April 23, 2013

気休めになっても役の立たない法律なんか通しても意味がない

ここ数日、ボストンマラソン爆破テロ事件に始まってその犯人の一人が殺され、もう一人が逮捕されるなど、どんどん事態が変化していくうえに、議会では銃規制や移民法の法案などが提議され、ニュースはハチャメチャに忙しい状態である。それらのニュースをひとつにまとめて興味深い観察をした記事をビクター・デイビス・ハンソン教授がナショナルレビューで書いている。

先ず、ボストンマラソン爆破テロの犯人兄弟の親について、ハンソン教授はツェルナエフ家の状況はアメリカの移民法がどれだけおかしなものであるかを象徴しているという。兄弟の両親はアメリカに難民として亡命し居住権を与えられたにも関わらず、後にアメリカを去ってロシアに帰国して安穏な暮らしをしている。亡命というのは自国にいては命に関わる危険な状態から逃れる目的で居住権が認められるもののはずで、帰国して平和に暮らせる国からの移民が難民とか亡命者として扱われるというのはおかしな話である。(たとえば日本からアメリカに亡命するなんて考えられないように。)

同じくロシアからの亡命者であるはずの兄のタメルランも去年から今年にかけて六ヶ月もロシアに滞在していた。どうして身の危険を感じて亡命してきたはずの人間が母国に平気で帰って六ヶ月も滞在して、またのこのことアメリカに戻ってこれるのだ?好きな時に自由に行き来できる国からの移民が何故亡命者として認められるのだ?彼らがそうやってアメリカを去ってロシアに帰った時点で彼らは難民としての資格を失うべきだったはず。

それだけではない。合法移民でも犯罪を犯せば強制送還されるべきである。タメルランは以前に付き合っていた女性に暴力を奮い逮捕されたことがある。タメルランの母親も16万円相当の品物を万引きして有罪になったことがある。にもかかわらず何故か二人はアメリカ追放にならなかった。

もしも移民局がきちんと移民法を施行していたならば、ツェルナエフ一家はとっくの昔にアメリカから追放されていたはずである。

法律を施行しなかったのは移民局だけではない。連邦警察にしろ国土安全保障局にしてもロシアから危険人物だと警告を受けていたタメルランの取調べを怠った。タメルランの反米行動は親戚や周りの人間の間では周知の事実であり、テロリストサイトにしょっちゅう出入りしていたり、ロシアでは過激派イスラム聖廟に通っていたことなどもFBIは承知していたはずである。にも関わらず何故こういう危険人物が合法移民としてアメリカに住み続けることができたのだろうか?

ハンソン教授は明らかに移民法改正には反対な人間だ。教授はどのような法律も国境警備からはじまらない移民法改正など意味がないという強硬派である。どんな条件をつけようと一旦違法移民が合法移民になれる手段を与えれば、結果的には条件は無視され事実上の恩赦となってしまうに違いないと教授は考えるのだ。ツェルナエフ一家のような例をみていると反移民強硬派が移民法改正案に懸念を持つのは完全に理解できる。

さて、タメルランは警察と撃ち合いになったときピストルとライフルを持っていたと報道されているが、タメルランは合法にこれらの銃を携帯する資格を持っていなかった。もっともそれを言うなら許可なくして爆発物を製造するのも違法なのだから銃を違法にもっていたなんてことは軽い罪だが。

注意点はだ、どれだけ厳しい銃法を通してみても、タメルランのような危険人物が容易に銃を持つことが出来るのであれば、既存の銃法は全く意味がないといえる。既存の法律ですらきちんと施行できないのに、これ以上新しく銃規制法を通して何になる?

オバマの御膝元のシカゴでは銃規制法は全国一に厳しいが、銃犯罪者の取り締まりは全国一に緩い市でもある。法律だけいくら厳しくしてみても、通した法律を施行しないのであれば何の意味があるのだろうか?

オバマや民主党のやることは全てこういう具合だ。何々の問題を解決するためにこれこれの法律を通さねばならんと言ってわけのわからない法律を通す。何もしないか、別の法律を通した方が効果があるなどという事実には知らん顔。自己満足するだけで害あって益なしの法律を通してしまうと、それがどのように施行されているかさえ興味がない。

アリゾナ議員を撃った乱射男にしろ、オーロラ市の映画館やサンディフック小学校の乱射事件犯人たちにしろ、皆精神病の治療を受けていた精神病患者である。気違い人間による大量殺人を防ぎたかったら銃を規制するより危険な気違いを精神病院に入院させやすくする法律を通すべきなのではないか。もっともそんなことは人権に関わるといって右翼も左翼も納得できないだろう。事実正気の人間を財産目当てに親族が精神科の医者と組んで無理やり入院させたなどという例はいくらもあるので、これはまた難しい問題ではあるが。

ハンソン教授は、こういう社会においては、次になにか恐ろしい事件が起きたら起きることは二つに一つだという。人々が気休めにはなるが何の役にも立たない法律をあわてて通すか、法律改正が多くの人々の気分を害するという理由で、既存の法律の欠点が無視されるかのどちらかだと。

なんでもかんでも感情が牛耳る左翼リベラルが政権を握ると、世の中は乱れるという良い例である。

April 23, 2013, 現時間 6:37 PM

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