October 27, 2006

イラン攻撃作戦4、スーパー経済制裁

イランをどうするか、前回までのお話:

1)攻撃作戦の選択色々
2)斬首作戦
3)ムラーの顔丸つぶれ作戦

題名からもご察しの通り、これはイラン経済に注目する作戦である。言ってみれば「超経済制裁」である。イラク、サウジ、そしてほとんどの中東の産油国のようにイランは原油輸出国である。 

イランの経済は原油に完全に頼った非常に偏ったものである。ほとんどの経済活動は政府が統括しており、民間企業などほとんどない。カタミ前大統領は経済改革をラフサンジャニ大統領も続けているがあまり効果はない。近年原油価格が比較的高いおかげでイランは40億ドルという外貨リザーブを所持している。しかしこれもインフレや高失業率を緩和するのにはほとんど役に立っていない。大量破壊兵器開発に不均衡な資産を投入しすぎていることも大きな問題である。

この状況を観ればイランの弱点は一目瞭然である。イランは原油輸出で成り立っている国だ。輸出するということは原油を外へ運び出さなければならないわけで、その通路となる港を遮断してしまえば輸出は不可能となる。この経済制裁作戦は最初の核兵器施設破壊作戦と同時に行えばイランは破壊された施設を修理することすらできなくなる。

油田そのものを破壊する必要はないので、環境汚染につながることもなく、イラン国内だけでなく近隣諸国への悪影響も出ない。クルーズミサイルを数本ペルシャ湾とキャスピアン海に打ち込めばことは足りるはずだ。この作戦の目的はイランを崩壊させることにはない。ムラー達に圧力をかけて国内における革命を促進することにある。だから革命後に必要なイランのインフラはなるべく破壊せず一時的に昨日不可能な状態にして保存しておく必要があるのだ。

しかしこれだけでは不十分である。イランが現在持っている40億ドル外貨をなんとかする必要がある。そうでないとこの金を使ってイランは食料から修繕費からすべてまかなうことができるからである。ということは二つの出入り口をふさぐ必要がある。

ペルシャ湾には我が海軍が出動して閉鎖することが可能だが、カスピは陸に囲まれているためれができない。だがここはどうしてもふさがなければならない。なぜならカスピ海を使ってロシアから必需品が輸送されるのを防がなければペルシャ湾だけをふさいでも意味がないからである。 (イランの地図参照

この裏口を閉めるのは地理的にも政治的にもかなり困難と思われる。幸運なことに今現在イランとロシアとの間で実用的な原油パイプラインは存在していない。 イランへ来るどのような貨物も海を渡るか路線を使う以外に方法はない。

イランのカスピ海沿岸にはネッカとバンダー・アンザリという二つの主要な港がある。ネッカには核兵器施設があるとされているので、まず最初にここを攻撃すべきだろう。しかしイランのもっとも主要な港はイラン北西でアゼルバイジャンに接するバンダー・アンザリのほうである。アンザリも大事な標的リストのうちに入れられなければならない。

これはイラン隔離というわけではない。石油輸送の阻止であってイラン漁業の邪魔をするわけではないからだ。一般市民への悪影響は出来る限りさけなければならない。

地上輸送はそれほど問題にならないのではないかと思う。というのもイランはトルコ、アルメニア、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、そしてもちろんイラク、アフガニスタン、パキスタンに囲まれている。最後の三つの国からの援助は先ず考えられない。イランは北方の近隣諸国とはまあまあの関係にあるが、トルコ以外にはイランを支えるだけの資源を提供できるような産業といったものは特にない。我々はトルコとの親睦に力をいれてイランへの空爆に協力させるよう働きかける必要がある。 すくなくともいまのところトルコはイランよりは親米に近寄っている。

万が一交渉が失敗した場合には、アメリカはイラン攻撃に備えてトルコ国内に核兵器設備を90ほど配備しているという。 イランがトルコからの協力を得ることは先ず無理だろう。

一番心配なのはロシアの反応と原油市場の反応である。もしサウジがイランに同情してアメリカへの原油輸出を制限した場合にはアメリカは難しい状況に陥る。しかしブッシュ大統領のおかげでアメリカには石油の貯えはかなりあるが、それでも二年か三年が限度だろう。 輸出制限がそんなに長く続くとは思えないが、アメリカ国内の経済に与える悪影響は多大なものになる可能性がある。

しかしOPECは今のところ我々側についているので、サウジがイランの分を補ってくれれば原油の値段が上がる必要はない。

ロシアの反応は簡単には予測できない。イランとロシアは最近色々な企画で協力関係にある。 また旧ソ連時代からの名残もあっていざとなればロシアはアメリカよりイランに味方するだろう。しかしロシアがアメリカに対して何ができるのかはかなり未知数だ。ロシアはチェチェンやウクライナの問題を抱えているし、西側とも経済面で色々なつながりがある。ロシアはまだまだ現代化に向かって産業を発展させる必要がある。そんな時にロシアはイランの問題でアメリカと一戦交えたいなどと考えるだろうか、ロシアも手を焼いているのと同じ過激派のイスラム教徒なんかのために、、

この作戦4は作戦1のイラク核兵器施設攻撃と同時に行われるべきである。このような状況にあってロシアは多分国連安保理で大声を張り上げて抗議はすうだろうが、特になにもしないのではないかというのが私の予想だ。

この作戦は作戦1をエスカレートさせたものだが、攻撃に次ぐ経済制裁でイランが破壊させた核兵器施設を再建するのを防ぐことになる。であるからこの作戦は真剣に考える価値があると思う。

原文はこちらBig Lizardsより:, Iran Strategies 3: the Econostrike

October 27, 2006, 現時間 1:38 AM

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