August 31, 2012

左翼リベラルの言う「嘘」とは自分らに都合の悪い真実という意味

一昨晩、共和党副大統領指名の受任演説を行ったポール・ライアン。非常に感動的な演説ですばらしかったと思う。特にオバマ王に関する話題では、現大統領を批判しながらも、卑屈にならず意地悪な攻撃でもなく、我々は違う、我々はアメリカをもっと良い国にする計画がある、とオバマの批判に終始しない楽観的なもので、聴いていて非常に気持ちがよかった。

20を越した大卒の20代の若者が自分の子供部屋に未だに住んで、色あせたオバマのポスターなんぞを見つめながら,いつになったら独立して自分の生活を築くことが出来るんだろうなんて、思っているべきではない。(略)

すべてはあの輝かしい演説で始まった。ギリシャの柱、新しいことへのスリル。だがいまや、残ったのは漂流する大統領の座、逃した時機に必死につかまろうとする疲れ切ったスローガンのみ。これはまるで昨日の風に乗って進もうとする舟のようなものだ。

こんなすばらしい演説を放っておく訳にはいかないのが左翼リベラルメディア。一斉にライアンの演説は嘘だらけだという記事があちこちで発生した。

特にこのアソシエイトプレスの批評なんかが典型だろう。

1)オバマケア(オバマ発案の国民皆保険制度)は七千百六十億ドルをメディケア(シニアシチズン専門の保険制度)から取り上げてオバマケアにあてがうというものだというライアンの主張に対し、APはライアンが発案した予算案こそメディケア予算を削減するものだと主張。

確かにライアンはメディケアの改革を提案しているが、それは単なる予算削減ではなく、破産状態にあるメディケア救済のために、税金だけに頼るメディケアの性質を民営の保険でも賄えるように変革していこうというもの。APはライアンが指摘した、メディケア予算を略奪しその埋め合わせを全くせずにメディケア完全崩壊につながるオバマ政策は否定せず、ライアンの法案批判に話をすり替えている。

2)オバマの経済活性案は単にオバマ支持の企業への予算横流しに過ぎず、一般市民はその恩恵に全く授からなかったというライアンの主張に対し、ライアン自身、議会が活性案を可決した後ウィスコンシン州の省エネ企業への配給を申し込んでいると批判。

活性案が可決された以上、それがより地元で有効に活用されるように勤めるのが地方代表の政治家の仕事だ。だが、それ自体は大統領が独断で自分に政治献金をより多くしたというだけの、後に倒産したソリンドラのような似非企業に莫大な金額を投資して税金を無駄遣いした事実を否定するものではない。左翼リベラルの言い分は、お前だって活性案で得したくせにオバマの政策を否定するのは偽善だ、というものだが、例えそれが事実でも、ライアンが嘘をついたということにはならない。

3)ライアンはウィスコンシン州のジェネラルモータースでオバマ候補が演説したとき、自分が大統領になった暁には、この工場は永遠に潰さないと公約しておきながら、オバマ就任後の数ヶ月後に工場は閉鎖されたと語った。

これに対してAPは、向上がつぶれたのは2008年で、オバマ就任の前のことだったと書いている。しかしAPの言う「事実」とは裏腹に、真実は、この工場は2008年でSUV生産は取りやめていたが、他の軽自動車の生産は続行しており、最終的に閉鎖したのは2009年4月のことだった。これは完全にAPの嘘だね。

4)ライアンはオバマ王が両党共同の負債救委員会の推薦を無視して何もしなかったと指摘した。これに対してAPは、ライアンも委員会の提案には反対だったしている。ライアンが委員会の具体的な推薦や提案に反対したということと、オバマ王が推薦を無視して何もしなかったということとどういう関係があるのだ? ライアンが委員会の推薦に賛成しようと反対しようとオバマが推薦を無視した事実は変わらない。ライアンが嘘をついているという理屈は成り立たない。

まあ、その他にも色々あるが、これだけ読んでも解るように、APによるライアンの嘘というのは、自分らの事実誤認か、もしくは「お前だってやってるじゃないか」風のこじつけだけで、実際にライアンの指摘が「嘘」だという証明は全くされていない。

自分のことは棚にあげてよく言うよ、という批判なら、まあまだしもなのだが、相手の言ってることが嘘だと主張するからには事実をきちんと調べてから書いてほしいものだ。

ところで、今回の大会で演説者の多くが「それはあなたが建てたのだ」という言い方を何度もしたが、これはオバマ王が以前に企業を立ち上げて成功した人々に向って、あなたがたの成功はあなたが建てたものではない、"you did not build that"、という言った失言を多いに活用したものだった。保守派はオバマのこの発言は、個人の成功は個人の独自の努力や才能の成果ではなく政府の援助があってこそ成り立つのだという、オバマの社会主義的な思想を表すものだとして批判した。

無論オバマ支持の左翼リベラルは、保守派がオバマの発言を歪曲していると文句を言っており、オバマが個人の努力や才能を卑下したという共和党の言い分は嘘偽りであるとがなり立てている。

しかし、オバマの発言は、人は大きな政府の力があってこそ成功するのだという民主党の思想に乗っ取ったものであり、だからこそ大企業はより多くの税金を払うべきなのであるという民主党の政策にぴったり沿っている。その本音を表明したオバマの発言を共和党の「嘘」だと主張しなければならない民主党にこそ問題があるといえる。

August 31, 2012, 現時間 10:29 AM

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