October 23, 2006

イラン攻撃作戦1、攻撃作戦の選択色々

今週いっぱい、私はネットアクセスのない場所で過ごさねばならないため、ミスター苺がBig Lizards.netで去年あたりから書き続けているイラン対策を少しづつ翻訳して紹介したいと思う。リアルタイムでの掲載ではないのでコメントへの返信は遅れると思うがそのへんはご了承いただきたい。

イランをどうするのか、どうもイランとの国連による交渉は全く拉致があかないようだし、このままではいずれはアメリカはイランと戦争をするはめになるだろう。だが、一口に戦争をやるといっても、第二次世界大戦のような戦争はもはや時代遅れであり、空爆を主体とする攻撃はイスラエルによるレバノン攻撃をみていてもわかるように、庶民への被害が大きいだけで肝心の標的を能率良く破壊することができない。ではいったいどうすればいいのか。

ここで三つ違ったやり方を考えてみよう。

  • 1. すでに分かっている核兵器施設の三つか四つを選りすぐって攻撃し、イランの核開発を遅らせ、対策を検討する時間稼ぎをする。

  • 2. 核兵器施設と解っている場所及び疑わしい場所すべてに一斉攻撃をかけ、イランの核開発計画を破壊する。

  • 3. イラン全体を侵略する。
  • 3番目は最初から問題外だ。アメリカはイランを侵略し占領するだけの人員など持ち合わせていない。イラクとアフガニスタンで手一杯なのにイランまで手をのばすことなど不可能である。クリントン前大統領の徹底的軍隊縮小がいまとなって仇となった。

    1番の限定攻撃作戦だが、標的を限定してみてもイランからの反撃は総攻撃のそれと全くかわらないだろう。我々が攻撃を制限したからといってイランが反撃を手加減するとは思えない。限定であろうと総攻撃であろうとイラン攻撃に協力する同盟国の数はかわらないだろう。つまり、総攻撃と限定攻撃ではこちらの損害は全く同じだということになる。

    1番と3番がだめとなると、残りは2番の

  • 核兵器施設と解っている場所及び疑わしい場所すべてに一斉攻撃をかけ、イランの核開発計画を破壊する。
  • ということになる。

    しかし一斉攻撃をかけるといっても、具体的にどうすればこの作戦を成功させることができるのであろか?

    この攻撃で問題なのはイランが実際何を持っているかがはっきり解っていないことにある。イランにはすくなくとも20数カ所の核兵器施設があるといわれているが、多く見積もるとこの数は70とも80ともいわれている。攻撃作戦がなにひとつ失敗せずに大成功だったとしても、イランの核兵器施設をすべて破壊することはできない。完全破壊ができなければイランの核兵器開発を阻止することはできないのである。

    なるべく多くの施設を破壊するためには正確な諜報が必要である。ここでもし、イスラエルの秘密警察、モサドの協力を得ることができればアメリカは大いに助かる。イスラエルはフセイン時代のイラクには潜入することができなかったが、現在のイランにはかなり秘密工作員が侵入しているらしい。イスラエルの諜報部はアメリカのCIAでは決して突き止められない情報を既に持っているのだ。イスラエルもアメリカが本気でイランを攻撃するつもりだと判断すれば、アメリカが生半可なやり方で中途半端な結果をだすよりは全ての施設を破壊してくれた方がイスラエルもありがたい。なぜならアメリカが失敗すれば、その報復は好むと好まざるとに関わらずイスラエルに向けられることは間違いないからである。

    こうするとこの作戦はちょっと改良されて

  • イスラエルの諜報でつきとめた、核兵器施設と解っている場所及び疑わしい場所すべてに一斉攻撃をかけ、イランの核開発計画を破壊する。
  • となる。しかしこのような「神に対する暴虐」をイランが許すはずはないから、もってるもの全てを駆使して猛反撃をしてくるだろう。イランはアメリカまで届く長距離ミサイルはもっていないが、アメリカ軍が駐留しているお隣のイラクへなら攻撃は可能だ。

    またイランが化学・生物兵器を所持していることはほぼ確実である。イランはこれらの武器を守りの甘い一般市民に向けて使うであろう。ということは攻撃の際には同時に弾道およびクルーズミサイル、爆撃機、軽飛行機、ヘリコプターに至るまで、イランの反撃機能も完全に麻痺させなければならないことになる。

    イランからイラク、アフガニスタンへ続く道も閉鎖せねばならない。そしてイラクに駐留しているアメリカ軍をイラン国境のイラン側へ移動させ、付近にあるテロリストのアジトに不意打ちをかけ、徹底的に潰す必要がある。

    思うにイランはアメリカからの攻撃はいずれあると予測しているはずだ。しかし多分彼等はクリントンがフセインイラクに仕掛けたような限定攻撃を期待しているはずである。数日間の限定標的への空爆ならイランはたえられると踏んでいるに違いない。だから我々がこのような一斉攻撃を仕掛ければ彼等の不意をつくことができる可能性は非常に高い。

    しかしこれをやっても、我々の完全な安全は保証されない。イランはいずれ反撃にでるだろう。もし長距離、中距離のミサイルがいくつかでも残れば、アメリカ、イスラエル、イラク、アフガニスタン、そしていずれはヨーロッパまでミサイルを飛ばしてくるだろう。それを予期して我々は弾道ミサイル防衛システムをできる限りの広範囲に備えておかねばならない。

    さらに、イランがヒズボラを活用することも考えねばならない。ヒズボラは言ってみればイランの先攻特別部隊である。イランを攻める同時にヒズボラも攻めなければならない。

    このへんはイスラエルに任せて、シリアがコントロールしているレバノン系ヒズボラが巣食っているベカバレーあたりを空爆してもらうのがいいかもしれない。レバノンがイスラエルの攻撃に協力などするはずはないが、ヒズボラが退治されても特に文句はいわないだろう。

    ふむふむ、この作戦かなり良くなってきたぞ。

  • イスラエルの諜報でつきとめた、核兵器施設と解っている場所及び疑わしい場所、ミサイル基地、航空基地、イラク国境線に巣食うテロリストのアジト、レバノンのヒズボラなどすべてに一斉攻撃をかけ、反撃に備えてミサイル防衛システムをはり巡らせ、イランの核開発計画を破壊する。
  • 無論、攻撃の直前には敵を混乱させるため味方の軍は意味があろうとなかろうとあちこちに移動する必要がある。こうしておけば相手は何かが起きるとは察知しても何時何処でどのような攻撃があるかを正確にとらえることができないからだ。ま、これは戦争の常識だから言うまでもないが。
    最後に大事な点を指摘しておこう。これは多分欧州にはショックだろう。だから事前に彼等に言ってはならない。イランにもれる可能性が大きいからだ。

    イランはアルカエダとかなり親しい関係にあるという。アルカエダはいまでもアメリカ本土攻撃をあきらめていない。イランが危機に陥れば、必ずやアルカエダに資金援助などをしてアメリカ攻撃を委託するだろう。アメリカを内部から崩してアメリカがひざまずかせようとするだろう。
    であるから、我々がイランとヒズボラを攻撃するのと同時に、アメリカ国内にあるイラン大使館、イラン系聖廟、市民団体、などに一斉に手入れをする必要がある。

    書類などをすべて没収し、国内に潜むアルカエダメンバーをいぶり出すのである。イランについての専門家であるケニス·ティマーマン(Kenneth Timmerman)氏によれば、イランの諜報省(MOIS)の大臣であるHojjat-ol eslam Ali Akbar を含むイランの高官や、イランの最高指揮官アヤトラ·アリ·コメーニ(Ayatollah Ali Khamenei )自らが過去にアルカエダのリーダー、アイマンザワヒリやオサマビンラデンと直接会見しているというのだ。

    イランはイラクのフセインや他の独裁者らと同じように外国勢力との会見については詳細な記録をとっているはずである。イラン大使館に納められているアメリカ国内のアルカエダアジトや名簿などはFBIやCIAが何年かかっても集められないような膨大な資料であるに違いない。無論、アメリカ国内の外国大使館を襲うなどということは、国際社会から非難轟々だろう。特にこの作戦では国連ビル内の大使館も含まれるのだから。しかし、考えてみればイラン攻撃ですでに国際社会は大騒ぎしているだろうから、もうひとつくらい加えても大したかわりはないだろう。

    というわけで、最終的にこの作戦は:

  • イスラエルの諜報でつきとめた、核兵器施設と解っている場所及び疑わしい場所、ミサイル基地、航空基地、イラク国境線に巣食うテロリストのアジト、レバノンのヒズボラなどすべてに一斉攻撃をかけ、反撃に備えてミサイル防衛システムをはり巡らせ、それと同時にアメリカ国内にあるイラン大使館、聖廟、市民団体の事務所などに一斉に手入れをし、アルカエダメンバーの名簿やアジトを含むすべての書類を没収し、イランの核開発計画を破壊する。
  • はあ、なんかすごい計画になってきた。しかし実際に攻撃をしようというならすべての可能性を考えておいた方がいい。たとえ計画に時間がかかったとしても、後になって「あ、あれを忘れていた!」なんてことになっては意味がない。マキアベリが言ったように、「王に攻めるなら王を殺さねばならん」

    生半可な攻撃ならやらないほうがいい。やるなら徹底的にやらねばならないのだ。

    原文はこちらBig Lizards.netより:Iran Strategies 0: Re-examining the "Default Assault"

    October 23, 2006, 現時間 12:43 PM

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    下記投稿者名: asean

    おはようございます、カカシさん

    ふ~~む、冗談で考えたシナリオっすか?
    それとも、アメリカ保守系の人達の一般的なイランに関する想像?

    イラン・ファクターをフォロー出来ているのはモサドなんかじゃないんだけどなぁ・・・

    それに、イランが核武装出来たとして彼らに欧州や米国迄の覇権意識なんてのはないですよ。
    彼らが持っているのは中東地域での覇権意識(中東地域の盟主になること・・)

    徹底してやる・・・のだったら戦略核ミサイルを使用してイランを地図上から抹消する!それが”徹底”という意味。
    (冷戦時代でさえ、中東地域で”間違った”核爆発が起こっても第三次大戦には絶対にならない・・・っという双方の認識だった)

    戦略というにはちょっとねぇ~

    上記投稿者名: asean Author Profile Page 日付 October 23, 2006 5:58 PM

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