アルカエダ、スンニ派への攻撃激化の持つ意味

24日、バグダッド近郊のある聖廟でトラック爆弾が爆発し35人が死亡、60人が負傷するという事件があった。バグダッドで自動車爆弾が爆発したというニュースを聞いても、またか、と思われる方も多いだろうが、明らかにアルカエダの仕業と思われるこのテロの標的がスンニイラク人であることが興味深い。
外国人勢力であるアルカエダと地元抵抗勢力だったスンニイラク人とは、フセイン政権崩壊後米国及び同盟軍をイラクから追い出すという目的で当初は協力関係にあった。だが地元イラク人を卑下しているサウジ・ヨルダン系の外国人勢力とイラク人との間では最初からかなりの亀裂があった。特にザルカーウィのシーア派に対する残虐な行為は同じイラク人であるスンニ派イラク人からかなりの反感を買った。
すでに2004年の暮れあたりから外国人勢力に嫌気がさしたスンニ派部族のリーダー達が内々にではあるがアメリカ軍と和平交渉をおこなってきたことをご存じの方も多いだろう。アメリカ軍の新作戦が始まりテロリストへの取り締まりがより厳しくなるにつけ、無駄な抵抗は止めて安定したイラク政府を求めるスンニイラク人と、なんとしてでもイラクの混乱状態を保ちたいアルカエダ勢力との間の亀裂がさらに深まったものと思われる。

(攻撃を受けた)バグダッドから50マイルほど西にあるハバニヤーの聖廟のイマームはアメリカに支援されているイラク政府へのアルカエダを含めた武装勢力の攻撃に反対していた。

すくなくとも35人が殺され62人が負傷したと、ハバニヤーのアブドゥール・アズィズ・モハメッド少尉は語った。ハバニヤーは反乱軍の温床であるラマディとファルージャの中間に位置する。
犯行を認める宣言はまだ誰もしていないが、バグダッドの西にあるアンバー地区のスンニ同士の争いだという疑いが強い。武装勢力は最近政府を支持し暴力に抗議するスンニリーダーたちへの攻撃を強めている。

このようなテロ事件が相次ぐことで注意をしてみていないとイラクは混乱がさらに深まっているような印象を受ける。だが、アルカエダによるスンニイラク人への攻撃が増えているということは、それだけ反乱軍内部でのまとまりがつかなくなっているということを意味する。これがあともう少しで勝利をつかもうという勢力の行動だろうか? 長期に渡る戦争に疲れてきたのはアメリカ市民だけではないのだ。
アメリカのメディアも含め世界中のメディアはほとんど報道していないが、イラクではアメリカ兵ひとりが戦死するにあたり、その10〜20倍のテロリストが殺されているのである。アメリカ市民がアメリカ軍の犠牲で士気が弱まるのであれば、その十何倍の犠牲を出している敵側の士気消失も過小評価すべきではない。
スンニイラク人の立場に立って考えてみれば、これ以上の抵抗に何の意味があるというのだろう?フセインは処刑されてしまった。戦争によるバース党の再興は先ず望めない。外国からの助っ人は次から次に殺されてしまう。にも関わらず新イラク政府はくずれそうもない。アメリカメディアやアルカエダが繰り返しアメリカ軍は臆病者だからちょっと踏んばれば逃げ出すと繰り返しているにも関わらず、そんな気配は全くない。民主党が選挙で勝ったらアメリカ軍は退散すると聞いていたのに、アメリカ軍は撤退するどころか増派計画を進めている。いったいこんな戦いが何時まで続くのだろう? かといって自分達は外国人テロリストのように自爆する気などさらさらないし、「おい、もう駄目なんじゃねえのかこの抵抗ってやつさあ、この辺が潮時じゃねのかあ?」と考えているスンニ派も多いのではないだろうか?
またこのテロ攻撃がバグダッド市内で起きたことではないということにも注目すべきである。ファルージャ地域、特にアンバーはアルカエダテロ軍団の本拠地であるはずだ。自分達の本拠地で自分らへの犯行分子を処罰するような行為に出ているアルカエダの状態を考えてみよう。
イラクでテロがあったというニュースを聞いて、『アメリカの新作戦はうまくいっていない、イラクはこれまで以上に荒れている』と判断する前にテロ攻撃は何処で起きて誰が誰にやっているのか考える必要がある。
私はこれはアメリカの新作戦がうまくいっていて、アルカエダが追いつめられている証拠だと考えるが、みなさんはどうお考えだろうか?


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ミネアポリス空港イスラム教タクシー運転手の乗車拒否に厳しく対処

去年の10月アメリカのミネアポリス空港において一部のイスラム教タクシーの運転手が酒類を持った乗客を拒否するという事件が相次いでいることをお話した。いまや空港に出入りするタクシー運転手の3/4がサマリア出身のイスラム教徒であることから、乗客からの苦情が殺到し空港側もその対処に困っていた。

ミネアポリスの空港ではタクシーがお客を拒否した場合、一旦空港を出てタクシー乗り場の列の最後部に並び直さなければならないため、暇な時は2時間も3時間も自分の番が再び回って来るのを待たなければならない。そこでこの待ち時間を不服に思ったタクシーの運転手らが、空港に特例を出してもらい、イスラム教徒のタクシー運転手が酒類を持っている、または持っていそうなお客を拒否する権利をもつ特別許可を申し出ていた。空港側は宗教を理由に短距離のお客を断る運転手が出るのを恐れ、この申し出を却下した。

しかし、いくつものタクシーに乗車拒否をされた外部からの乗客から苦情が殺到しているため、空港側は酒類を拒否する車は特別な色のライトを車の上につけることを提案した…
しかし少なくとも今回に限っては、この提案は市民の間で非常に悪評版であったため、案はお釈迦になった。

空港側はタクシー会社の代表者や地元イスラム教団体、サマリア移民団体代表らを招いたりして、自主的な譲歩などお互いに納得のいく解決方法を話し合ってきたが、タクシー運転手側の譲歩は全くなかったという。そこで空港側はタクシー運転手による乗車拒否にたいしてさらに厳しい対応策を提案した。

結果、空港委員会は乗車拒否に対する厳しい罰則を提案する。一回めの違反は30日間の空港での営業許可の差し止め。二回目からは許可とり消しとする。

あっぱれ、あっぱれ、ブラボー!
空港側は一般利用者からの意見を求めており、三月二日まで手紙を受け付けるということだ。私は空港側が運転手側の理不尽な要求を受け入れるのではないかと心配していたのだが、かえって厳しい対処をするとはあっぱれである。
ここはアメリカ、アメリカのやり方が気に入らないならアメリカでタクシーの運転手などするなといったところだろう。ところで、イスラム教徒が酒類を運送できないというイスラム法は存在しないと他のイスラム教徒らは言っている。ニューヨークなどでもアフリカ系やアラブ系のイスラム教運転手がいくらでもいるが、酒類を持っていて乗車拒否されたなどという話はきいたことがない。またカリフォルニアなどイスラム教徒が経営するコンビニでいくらも酒類は売られている。イスラム教徒は自分達が酒を飲むことは禁じられているが、他宗教のものが酒を飲むのを阻止する義務はない。
ここでも何度も紹介しているが、一部のイスラム教過激派はなんとかアメリカや他国にイスラム教を広めようとしている。そしてそれはこのような小さなことから始まるわけだが、我々はその度ごとに戦って勝たねばならない。そうでないと気が付かないうちにいつの間にかアメリカがシャリア法によって支配されることになるからだ。


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アメリカ軍がイラクで戦う意義

先日カカシはイラク戦争に勝つのは重要で70%近くのアメリカ人がイラク戦争に勝つことは重要であると考えていると書いたことに関して、いったいイラクで勝つとはどういうことなのか、という質問がアセアンさんからあった。それについてアセアンさんはご自分のブログで穏健派?タカ派?という題名で書いておられるのでこれについてちょっと返答してみよう。

軍隊は外交交渉が潰えた後に出番が回ってくる的な言説もある訳ですが、それをそのまま使用するならば現在のイラクの状況は「話し合い」という手段が尽きてしまった為に「軍隊」という武力組織が登場していることになります。

つまり、相手を脅しつけようとして”手を振り上げた”状態ではなく、「既に相手をぶん殴ってしまった状態」な訳です・・・そのぶん殴られた相手とはフセイン大統領であり、彼の政権、体制だったのですから、そういう意味ではブッシュ大統領が既に発表しているように「軍事的な勝敗は決した!(=米国が勝利した)」のは間違いがないと考えます。(結論を言うと、一旦、行使してしまった軍事力はその強弱に関係なく、最後迄使い切るしか終結させることは非常に難しい、が故にその行使の判断には重大な責任があり、抜いたからには重大な覚悟が必要だ!っということですが・・・
 問題はその後の「占領政策」にあったのは事実です(ラムズフェルドなんかは、実はその辺り迄は深く考えていなかったのではないか?という雰囲気ですが)。フセイン政権を打倒する為の”懲罰的攻撃”は米国流の理屈からすると「祖国(米国)を護る為の戦い」だったとは思いますがその後の地上軍(州兵を主体とした)の侵攻から彼らの活動(治安維持活動という名称が示すように)の全ては、新生イラク国民を”敵”とは認識することではなく、それこそ平安な生活をイラク国民へ取り戻すことを目的としていたはずです。
現在のイラクで米軍は一体何と戦っているのか?それは何の為なのか?が(多分)一般的な米国民も、共和党も民主党も実は良く分からなくなっているのではないか?っと思えて仕方が無い。 (強調はカカシ)
 上記でも書いたように「米国本土の安全保障の為」という理屈は、タリバン政権とフセイン政権を崩壊させた時点で決着が付いている訳です(報復攻撃、懲罰的攻撃という意味ですが)。

先ずブッシュ大統領はフセイン政権を倒した直後、イラク戦争に勝利したとは言っていない。何度も言うがブッシュ大統領がバカだと思っているひとたちはブッシュが不注意な言葉使いをしていると思う傾向があるが、反ブッシュ派が考えるのとは裏腹にブッシュ大統領は言葉を非常に選んで使うひとなのである。ブッシュ大統領は「主な戦闘は終了した」とは言ったが、あえて「勝利した」とは言わなかった。なぜならブッシュ大統領はイラク復興はそう簡単にはいかないだろうと最初から予期していたからである。ブッシュはそれがどのくらい難かしい作業であるかという計算違いはしたかもしれないが、イラク国内の反乱軍や外国からイラクに潜入してくるテロリストたちと激しい戦いが長期にわたって続くことは考慮に入れていた。それはラムスフェルド防衛長官にしても同じである。
だからイラクに外国人テロリストが集まる可能性について問われたとき、ブッシュ大統領は「Bring it on! (どんとこい!)」と答えたのだ。またラムスフェルド長官もアメリカ国内で戦争をするのではなく、戦争を敵側の陣地にもっていくのだと語っていた。
つまり、イラク戦争はテロリストによるアメリカ国内への攻撃を防ぐために必要不可欠な戦争なのだとブッシュ政権は言いたかったのである。しかし、ブッシュ大統領もラムスフェルドもイラク戦争が対テロ戦争の一貫なのだということをアメリカ国民に充分に説明できていないというのは事実である。私がブッシュ大統領に対して持っている不満があるとしたら、一重にこの「説明不足」にある。
アメリカがイラクで戦っている最終的な目的はイラクの治安維持でも民主化でもない。イラクの治安維持や民主化はアメリカの最終目的を達成するためのひとつの手段に過ぎないのである。アメリカのイラク戦争は対テロ戦争の一部なのだ。アメリカ軍はアメリカをテロ攻撃の脅威から守るために戦っているのである。イラク市民には気の毒だが、イラクはそのための最前線となってしまったのである。
しかしイラクでアメリカ軍がアルカエダのような外国人テロリストと戦うことは対テロ戦争だと言えるかもしれないが、何故イラク人であるスンニ反乱軍やシーア民兵を戦うことが対テロ戦争の一部だと言えるのか不思議に思われるひともあるだろう。
アメリカがアフガニスタンと戦争をしたのも、フセイン政権を倒したのも、911が原因ではあるが、911への報復が理由ではない。ブッシュ大統領はアフガニスタンを攻撃する際に、アメリカは今後一切テロリストもテロリストを擁護する政権も許さないと宣言した。我々と共にテロリストと戦わないのならテロリストの味方をすることになる、とも言った。
アフガニスタンのタリバンが攻撃されたのはアルカエダというテロ組織とその首領のオサマ・ビンラデンを匿っていたからだし、フセインが攻撃されたのもフセイン政権がアルカエダやハマスなどのイスラム教過激派を支援していたことが原因だ。だからイラクにフセイン政権がなくなったとはいえ、戦後の動乱でイラクがテロリストの温床となってしまうのであればイラク戦争の意味が全く失くなってしまうのである。アメリカ軍がスンニ反乱軍やシーア民兵と戦う理由は、これらの勢力が生み出す混乱を利用してイスラム教テロリストがイラクで繁栄してしまうのを防ぐことにある。イラクが民主化することによってテロリストの温床を拒絶するのが最終的な目的なのだ。
ブッシュ大統領がそのことを国民が納得できるほどきちんと説明していないので、イラクでいった何が起きているのか、アメリカは何をやっているのか、理解できていないアメリカ人が多いのではないかと思っていたのだが、今日パワーラインで発表された世論調査を読んでちょっと元気つけられた。

パブリックストラテジーによって行われた世論調査によると、57%のアメリカ人が「イラク戦争は国際的なテロ戦争として大事な鍵を握っている」と答えたという。また57%が「イラクでの任務を完了することを支持し、イラク政府がイラク市民のために警備維持をすることができるまでアメリカ軍を駐留させるべき」だと答えた。
さらに56%が「ブッシュの政策には心配な点も多くあるが、戦争中である以上アメリカ人は大統領のを後ろから支えるべきだ」と答えた。また53%が「民主党が大統領にイラクから塀を撤退させようと押しているのは行き過ぎであり時期早尚である」としている。
また同じ調査において60%がイラクは多分安定した民主主義にはならないだろうと予測し、60%がブッシュの仕事ぶりには不満であると答えている。しかしながら民主党とは違って回答者たちはこれらの問題とイラクにおいてどのように前進すべきかということは区別して考えているようだ。

もっともこの世論調査の対象となったのは大学出で40歳以上の大人がほとんどだったことが結論に偏った影響を与えていると考えられるため、この世論調査のみでアメリカ市民のほとんどがイラク戦争の意義をよく理解していると解釈するのはちょっと乱暴だろう。しかしアメリカの中年世代がカカシと同じように考えてくれていると知ったことは心強い。


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いよいよ始まったヒラリー対オバマの非難合戦

いよいよ民主党の大統領候補の戦いは始まったようである。

ヒラリー、オバマ両氏、非難合戦=民主党指名争い−米大統領選

 【ワシントン22日時事】2008年米大統領選挙で民主党候補指名争いの先頭を走るヒラリー・クリントン上院議員とバラク・オバマ上院議員の両陣営が 21日、激しい非難合戦を展開。民主党候補指名争いの「開幕戦」となる来年1月のアイオワ州党員集会までなお1年近く残し、2大候補のつぶし合いの火ぶたが切って落とされた。
 米メディアによると、両陣営の非難の応酬は、かつてクリントン前大統領のために資金集めに奔走したハリウッドの大物デービッド・ゲフィン氏がオバマ陣営にくら替えし、その資金集めのホストになったことが発端。それにとどまらず、同氏はヒラリー氏批判も繰り広げた。
 ゲフィン氏はスティーブン・スピルバーグ監督らとともに映画制作会社「ドリーム・ワークス」を創立した人物。ニューヨーク・タイムズ紙とのインタビューで、「クリントン前大統領は無責任な人間。ヒラリー氏は野心満々ではあるが、戦時に国をまとめていけるとは思わない」と切り捨てた。
 これに、ヒラリー陣営は「オバマ氏の資金調達係からの個人攻撃」といきり立ち、オバマ氏による発言撤回を要求。これを拒否する同氏の政治的資質を問題と見なす声明も出した。

まだアイオワ選まで一年もあるのにこんなに早期から殴り合いが始まるとは驚いた。ヒラリーとオバマは双方のウェッブサイトでお互いを攻撃しあっているが、その内容はかなり過激なものになってきている。先ずはヒラリーのウェッブサイトから:

オバマ上院議員は斬ったり焼いたりの政治活動を昨日批判していながら、自分の(選挙運動の)資金調達会長にクリントン上院議員と彼女の夫を辛辣に個人攻撃させている。
もしオバマ議員は誠実に政治活動のトーンを変えたいと考えているのなら、氏は即座にゲッフン(資金調達会長)の供述を糾弾し、氏を選挙運動から解雇し集めた資金は返還すべきだ。
民主党は政策について激しく討論を交わすべきではあるが、わが党においてオバマ議員の資金調達会長がしているような個人的な罵倒が存在する場所はない。

これに関してオバマ議員の返答は面白い。

バラク・オバマはクリントン夫婦とかつてのクリントン最大の支持者との間の仲たがいに関わるつもりは全くない。皮肉なことにクリントン夫婦はデイビッド・ゲッフンが(クリントン氏のために)1800万ドルの資金を集め、(ホワイトハウスの)リンカーンの寝室に招かれ寝泊まりした時は何の文句もなかった。またさらに皮肉なのは、黒人であるバラク・オバマが候補に選ばれれば、民主党全体が一緒に引きずりおろされると語ったサウスカロライナ州上院議員ロバート・フォード氏の支持を全面的に受け入れていることだ。

なんとバラク・オバマはアメリカ最初の黒人大統領(黒人に同情的という意味で)と言われたクリントン大統領の妻ヒラリーを人種差別者だと言って攻撃しているのだ。
さて今日になって、オバマが完全に手中に入れたと思っていたノースカロライナの有力な黒人コンサルタントが、オバマではなくヒラリーと契約を結んだことが明かになった。このコンサルタントはもう一人の候補者エドワードとも契約交渉中だったらしいのだが、どうやらヒラリーが提案した月一万ドルの契約費が他の二人を上回っての落札だったようだ。
オバマの選挙運動委員会はこのコンサルタントとオバマは契約寸前だったのを横からクリントンが契約を奪い取ったとして、オバマ側とコンサルタントのかわしたメールをメディアに公開するなどしてヒラリーを攻撃している。
エドワードはこの間反カトリックの下品なブロガーを雇ったり解雇したりしてかなり評判をおとしてしまったし、アメリカ社会の格差を売り物にして自分は貧乏人の味方だと言っておきながら、貴族のような大豪邸を建てていることが明かになってしまったりで人気がた落ち。
オバマとヒラリーの戦いはアイオワの民主党集会までの一年間どうやら激しくなりそうだ。


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エルサレム、なぜ通路修復工事が問題なのか

今、イスラエルのエルサレムでは宮殿に続く通路の修復工事を巡ってイスラム教徒による暴力沙汰が起きている。下記は9日の毎日新聞の記事。

エルサレム旧市街のイスラム教の聖地ハラム・アッシャリーフ(ユダヤ名・神殿の丘)につながる通路の修復工事を巡り、金曜礼拝に集まったイスラム教徒が9日、投石などで激しい抗議行動を展開、イスラエル警察が聖地に入場してゴム弾や催涙ガスを使用する事態に発展した。死者はいない模様だが、双方に負傷者が出た。
 イスラム教徒はイスラエル当局が実施している同工事について「聖地が破壊される恐れがある」と激しく反発。指導者らが9日の礼拝にあわせて大規模な抗議行動をするよう呼びかけていた。
 高台にある聖地の下部にはユダヤ教徒が祈りをささげる「嘆きの壁」があり、投石が始まった後、イスラエル警察はこの付近からユダヤ教徒らを退避させる一方、聖地に入場して催涙ガスなどを使用した。イスラム教徒の一部は聖地の「アルアクサ・モスク」内に陣取るなどして抗議を続けた。毎日新聞 2007年2 月9日 21時22分

いつものことではあるが、イスラム教徒側の主張はただの言いがかりだ。この通路はテンプルマウント(神殿の丘)にあるアルアクサ・モスクに続く道ではなく、丘の下部にあるユダヤ・キリスト教の聖地へとつながる通路である。第一、イスラエルはこれまで存在しなかった通路を新しく建築しているわけではなく、すでに存在していた通路が数年前の地震で破壊された際に臨時に建てられた木造通路を、もっと安全な通路へと修復するために工事をしているに過ぎない。通路がモスク破壊につながるというのであれば、とっくの昔に破壊されていたはずである。以前にもイスラムは惜しみなく奪うで書いたように宗教的に価値あるものを破壊するのはイスラム教徒のほうでありユダヤ教徒ではない。
では何故、モスレムたちはこの修復工事にこうもムキになっているのだろうか。実は丘の上から聖地へつながる通路はモスレムが管理しているため、イスラム教徒以外の信者は通ることができない。モスレム以外の信者が聖地へいくためには下部にあるこの通路を通る以外にないのである。つまり、モスレム達はインファデル(不信心者の意味)が聖地に入るのを全面的に阻止しようとしているわけだ。
この話を理解するためには神殿の丘にまつわる歴史的背景を振り返ってみる必要がある。ここでウィークリースタンダードに掲載されたこの記事を参考に考えてみよう。(Ramping Up the Violence, The truth about the Temple Mount controversy. by David Gelernter, 02/26/2007, Volume 012, Issue 23)


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アメリカ、イラン空爆までの二つの条件

20日付けのニュースだがBBC放送がアメリカはいよいよイランを空爆するらしいと報道した。

米、イラン空爆計画を策定か=核・軍施設が攻撃対象に−BBC

2月20日15時0分配信 時事通信
 英BBC放送(電子版)は20日、米国がイランを空爆する非常事態計画を策定しており、空爆に踏み切った場合、標的は核関連施設にとどまらず、大半の軍事施設も攻撃対象になると報じた。軍事施設には、空軍と海軍の基地をはじめ、ミサイル関連施設や各種司令部も含まれる。
 外交筋によると、米フロリダ州にある中央軍司令部では既に、イラン国内の攻撃目標の選定を終えている。核施設には中部ナタンツのウラン濃縮施設や、同じく中部のイスファハン、アラク、南部ブシェールの関連施設も含まれる。
 一方、実際に攻撃開始となるには2つの状況が考えられ、1つはイランが核兵器を開発していると確認された場合。もう1つは、イラク駐留米軍が攻撃を受け、攻撃へのイランの関与が分かった場合とされる

このブログを愛読されている方々にはこの報道はニュースでもなんでもない。それどころか何を今さら、といったところだろう。しかしここで米国がイランを攻撃する状況として上げられている二つの条件には笑ってしまう。こんな条件はいつでも満たされるではないか。
先ず一つ目『1つはイランが核兵器を開発していると確認された場合』だが、IAEAの報告によればこの条件は早くも満たされているといえる。22日に提出された国際原子力機関(IAEA)の報告でははイランが国連安保理の決議を無視して濃縮活動を拡大させているとしている。以下読売新聞より。

報告によると、イランは昨年12月23日の安保理決議採択から60日間の「猶予期間」中も、中部ナタンツの地上施設で遠心分離器164個を連結した濃縮装置「カスケード」を運転し、低濃縮ウラン生産を続行。これまでに注入した濃縮ウラン原料の量は66キロ・グラムに達した。

報告によると、イランが産業規模を目指すナタンツの地下施設では、新たに遠心分離器164個で構成するカスケード2系列の設置を完了し、回転試験に着手。さらに2系列のカスケードも近く完成する。

となれば二つ目の条件「イラク駐留米軍が攻撃を受け、攻撃へのイランの関与が分かった場合」にかかってくるわけだが、アメリカ軍はすでにこの話をこの間から何度も繰り返している。先日もイラクでアメリカ軍によるイラン関与の証拠を陳列した報告会がひらかれたばかりだ。
アメリカがこんなすぐ満たされる、もしくはすでに満たされている、状況を戦争開始の条件とする理由はいったい何か? 英BBCの報道はアメリカの公式発表ではないが、これはアメリカがわざと流した情報なのではないかという説もある。このような報道をする一つの理由は無論イランへの牽制もあるわけだが、イランはアメリカの脅しなどあまり怖がっている様子はない。となればこれはイランへというより国連への警告だと言える。
ご存知のように現在国連安保理が行っている経済制裁は全く効き目のないものだ。だからもし国連がアメリカによるイラン攻撃を防ぎたいのであればもっと厳しい効果のある経済制裁を行えとアメリカは国連に促しているわけだ。
しかしイラクの時でもそうだったように、国連安保理の決議などあんまり当てにはならない。そうやってアメリカがイラン空爆を実際にはじめたら、国際社会は「イランが核開発をしていたという証拠は全くなかった、アメリカのつくりあげたでっちあげだ。」とまた騒ぐのであろうか?


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日本女性の半島引き上げ体験本がアメリカでボイコットされる理由

韓国による反日感情が強まるなか、韓国は日本バッシングになんとかアメリカを巻き込もうとしているという印象を受ける出来事が立て続けに起きているのでその話をしたいのだが、両方書くと長くなるので今日はまずその一つ目。
この話はもう日本のブロガーの間でも取り沙汰されているので御存じの方も多いと思う。ことの起こりはヨーコ・カワシマ・ワトキンズさんというアメリカへ移住した日本女性が戦争中の思い出を書いた『竹の森遠く』(So Far from the Bamboo Grove)という児童向けの本がアメリカの中学校で80年代から推薦書と指定されていたことに最近になって数人の在米韓国人父兄が抗議をしたことにある。この物語りは1945年当時11歳だったヨーコさんが軍人だった父親の仕事の関係で家族と一緒に住んでいた今の北朝鮮に当たる場所から日本へと引き上げる際に、日本の避難民が地元朝鮮人の盗賊やロシア兵に冒涜されたり金品を略奪されたのを目の当たりにした体験を少女の目からみて綴ったものである。

問題はこの小説が数年前から米国の中学校の推せん図書60冊に入っているという点だ。この事実を知ったボストンやニューヨークなどに住む韓人の保護者らが教育当局に強く抗議を始めた。子供たちがこの本しか読まなかった場合、残酷な日本の植民地統治は全く知らず、韓国人に迫害された日本人たちの話だけを知ることになるという論理だ。

誤った歴史認識を持ってしまう可能性のあるこの小説を、学校から退出させようという運動は昨年も起こった。ニューヨーク州にあるライカントリーデイスクールの場合は非常に成功的だった。昨年、この学校の6年生の韓人女子児童が問題の小説が英語の推せん図書に含まれた事実を知り、自ら授業をボイコットした。娘の授業の拒否理由を知った親は学校側に説明し、一理あると判断した学校側はこの本を推せん図書から除外した。
ボストンでは韓人保護者たちの抗議が続くと地域教育委まで出た。マサチューセッツ州ドーバー・シェルボーン地域教育委員会は論議の末、2日、この本を推せん図書に含むかについて投票を実施した。投票の結果、推せん図書から外そうということになった。しかしこうした結果について英語教師らは「戦争の惨酷さをよく表した作品」として反発した。ここに他の人種の保護者たちが加勢し、投票はなかったことになってしまった。
韓人たちが多く暮らすカリフォルニア州でもサンフランシスコ韓国教育院を中心に最近ボイコット運動が始まっている。教育院は現在、北部カリフォルニア州の学校を対象に実態の調査も並行して行っているということだ。

私の伯母も幼い子供と一緒に中国から引き上げた人間の一人であるし、恩師もやはり同じような経験をしている。特に恩師のご主人はヨーコさんのお父さんのように、ロシア軍に捉えられて何年もシベリア送りになっていた。当時の大陸や朝鮮からの引き上げ難民の凄まじい話は幼い頃から聞かされてきたことなので、カカシはヨーコさんの体験が嘘だなどとはよもや思わない。だが韓国人たちは彼女の本のなかの内容が歴史的事実と噛み合ないとしてこの話は真っ赤な嘘であると主張している。
親日のオーストラリア人が書いてるブログ、Occidentalismで、以前にも紹介したアメリカ人のゲリー・ビーバーさんがこの話を特集しているが、今年の2月16日にワトキンズさんがサイン会をしたボストンの会場で、彼女は「南京」などと書かれたTシャツをきた反日の観客らに詰問攻めにあったという。「あなたのお父さんは中国で何をしてたんですか?」とその中でも特に敵意丸出しで73歳のワトキンズさんに詰め寄ったのはダニエル・バレンブラット(Daniel Barenblatt)という男性で、日本軍が中国人をつかって生体実験をしたとする話題作”A Plague Upon Humanity”の著者である。
彼はヨーコさんの話は最初から最後までねつ造だと言い切り歴史的にも間違いだらけだとし、その最大の間違いは加害者と被害者を取り違えていることにあるとしている。さらに、このバレンブラットなる人物はワトキンズさんの父親が生体実験をやったとされる731部隊の隊員だったのではないかとさえ言っているのである。(自分の反日本を売りたいためのパフォーマンスではないのか勘ぐるのはカカシだけだろうか?)
一般に韓国人が「竹の森遠く」が歴史的に正しくないと指摘する数々の点、例えば少女のヨーコたちが住んでいた場所には竹林などなかったとか、鉄道がアメリカ軍の空爆で破壊されたとあるが1945年にアメリカ軍はこの地区を空爆していないとか、ヨーコや家族が共産党員が攻めてきたと話しているが、その頃まだ北朝鮮には共産党はなかったなどというのは重箱の隅を突くようなくだらない言いがかりだ。
まず、北朝鮮に竹林が存在しないといういい分こそが嘘である。また11歳の少女には鉄道の爆発がアメリカ軍の空爆によるものか、ロシア軍のものか、それをいうなら日本軍がわざと爆破したものだったとしても、周りの大人たちの言っていたことをそのまま信繰り返しているにすぎない。北朝鮮に共産党員が実際に居たか居ないかにしても、北朝鮮の反対勢力を日本軍が単に「共産党員」と呼んでいただけのことかもしれず、11歳の少女に自分らに襲いかかってくるのがただの野盗か共産党員かなど分かるはずはない。
第一、日本軍が朝鮮半島や中国で例え悪逆非道を行っていたということが事実だったとしても、日本軍が負けた時点で日本を占領軍として憎んでいた半島の抵抗勢力が日本人市民に報復としての悪行を働いたとしても不思議でもなんでもない。いやむしろ復讐の念を持って仕返しをする人間が一人もいなかったと考えるほうがおかしい。被害者は必ずしも善とは限らないのである。
はっきり言って日本軍の行いとヨーコさんの体験は無関係であり、それをもって嘘だったという根拠には全くならない。
在米韓国人たちがアメリカの児童に朝鮮の恥べき姿を知られたくないという気持ちは解る。だが、ヨーコさんらに悪行を働いたのは今の北朝鮮にあたる地域にすんでいた朝鮮人であって、今の韓国人とは関係ないはず。韓国の人々は悪事を働いたのは北朝鮮に人間で自分達ではないので混乱しないようにと読者に教えればいいだけの話だ。それとも北も南も同民族だというだけで道義上同じ責任があるというのだろうか?
私にはどうして韓国が日本よりも後になって戦争した北朝鮮を、日本バッシングをしてまで庇う理由がどうも分からない。いくら同じ朝鮮民族だといっても彼等は共産党独裁主義であり、民主主義で自由な国は北などより日本とのほうがよっぽども共通点があるではないか。
血族にばかりこだわって、韓国にとって大切なことを見失うと、今後の韓国の発展は見通しが暗くなってくる。


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幻想と現実が錯誤するパンズ・ラビリンス(牧羊神の迷宮)

今日の映画はパンズ・ラビリンス(牧羊神の迷宮Pan’s Labyrinth )というスペイン映画。監督と脚本はギレルモ・デル・トロ(Guillermo del Toro)。日本公開は今年の秋。(映画情報はこちら
牧羊神が出てくるというから、ナルニア物語みたいな子供用の幻想映画だと思って観にいったらもっと暗くて悲劇的な大人の映画で非常に驚いた。小さい子供には残酷なシーンもありちょっと恐い映画かもしれない。ファンタジー映画のファンだけではなく一般のひとたちにもぜひ見てほしい美しくも悲しい物語である。
例によって映画好きな友達はこの映画がスペイン語で字幕付きだとは全然教えてくれなかったので、突然英語の字幕が現れてかなりカカシはうろたえた。それというのもアメリカではあまり外国語の映画というのは公開されないからで、カカシは画面の下に現れる字幕を読むのに慣れていない。最初の配役紹介の部分では文字を追うのにかなり苦労したが、実際に映画が始まってみると、すぐに幻想の世界に引き込まれ字幕を読んでいるということをすっかり忘れてしまった。
物語は1944年、スペイン戦争後のファシスト政権下のスペインが舞台となっている。主役の少女オフェーリア(Ivana Baquero)は、再婚して身重の母親と一緒にファシスト側の軍人である継父が勤務する森林基地へと車で向かう途中で昆虫の姿をした不思議な妖精に出会う。
母子を迎えた継父のビダル大佐(Sergi López)はゲリラ勢力の強い僻地でゲリラと戦う任務に当たっている冷酷非常な男だ。ゲリラの疑いのある人間は証拠があろうとなかろうと拷問したり殴り殺すことなどなんとも思っていない。妊娠中毒で容態の悪い妻カーメン(Ariadna Gil)をわざわざ危険な戦地に呼び出したのも息子は父親のそばで生まれるべきだという身勝手な考えからだった。ビダル大佐は跡継ぎを守るためカーメンに基地の医者をあてがうが、奥方は絶対安静が必要だというファレイロ医師(Álex Angulo)にいざとなったら母親はいいから息子を救えと命令する。
この寂しい基地でオフぇーリアは妖精に導かれ基地のすぐそばにある遺跡のなかに入り込む。オフェーリアはそこで羊と人間の間の子のような牧羊神に出会い、自分がいにしえの昔別の世界で悲劇の死を遂げた地下の国の姫であることを知る。牧羊神はオフェーリアが姫としての位を取り戻し、地下の国で再び君臨するためには満月までに三つの試練を全うしなければならないと語る。

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牧羊神から指示を受けるオフェーリア


オフェーリアの冒険はまるでおとぎ話なのだが、その背景にあるファシストとゲリラの戦いは決して子供だましではなく非情で残酷な戦争である。映画ではオフェーリアの幻想の世界と、現実の世界が交互に境目なく描写される。
オフェーリアは現実社会の基地で親しくなった賄い女のメルセデスが(Maribel Verdú)実は弟のペドロ(Roger Casamajor)がいるゲリラ集団と内通しており、基地の医者ファレイロ医師もゲリラに協力していることを早くから学ぶが、オフェーリアは残酷で非情な大佐とは対照的にやさしいメルセデスやファレイロ医師に同情して秘密を守る。
映画はどちらかというとゲリラに同情的な立場をとってはいるが、政治的なことよりもこれは個人の描写に重点がおかれている。命令されたというだけでどのような非人道的な行為でも盲目的に従うビダル大差と、たとえ命令でもそれが正しいかどうか常に自分の意志で判断するオフェーリアの対照的な姿に注目すべきだろう。
映像は怪しく美しく現実と幻想が交わって最後のほうでは何が現実で何が幻想なのかわからなくなる。おとぎ話の結末は観客の見方次第でハッピーエンドとも悲劇とも言えるが、私はハッピーエンドのほうを選ぶことにした。


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「イラク戦争に勝つのは重要」と七割のアメリカ国民、二月の世論調査

民主党は昨年の選挙で民主党が圧勝したことで、アメリカ国民がイラク即撤退を望んでいると解釈し、ブッシュ大統領のイラク政策を何かと阻止しようと必死だが、今月行われたインベスターズ・デイリーの世論調査によると、七割近いアメリカ国民がイラクで勝つことは「非常に重要」もしくは「重要」と答えていることが分かった。
IBDの調査をまとめてみると、『イラクでアメリカが勝つことはどのくらい重要なことだと思うか』という質問に対して、42%が『非常に重要』とこたえ、24%『多少重要』と答えており、『あまり重要ではない』の17%と『全く重要ではない』の13%を大幅に上回った。またこの数字は去年の12月の調査に比べると『多少重要』と考えていた数が3%減りかわりに『非常に重要』の数が増えていることがわかる。
また、『アメリカのイラク政策が成功することにどのくらい期待しているか』という質問では、『非常に期待している』が35%(4%増)『多少期待している』が23%(8%減)『あまり期待していない』が21%(1%増)、『全く期待していない』が19%(2%増)となっており、期待している人が期待していない40%よりも18%も多いことが分かる。
これが党別の期待感になると、なんと80%の共和党支持者がイラク政策成功を期待していると答えているのである。(無所属は53%、民主党は43%)
こうしてみると、民主党が現在イラクに出動している軍隊の必要経費を削減したり補充戦費を拒否したりすれば、国民からかなり反感を買う恐れがある。また民主党と一緒になって援軍の出動に反対反対と決議案に投票している共和党議員は2008年の選挙で投票者からひどいしっぺ返しを受ける可能性が高まった。
私もミスター苺も、全国共和党委員会が裏切り者共和党議員に資金援助をするのであれば、党には一銭たりとも献金しないと決めた。献金はイラクに勝つ気のある議員の選挙運動に直接しようと昨晩話あったばかりである。
すでに、ロサンゼルスの人気ラジオDJのヒュー・ヒューイットなどが先頭となって勝利幹部会(The Victory Caucus)なるものを結成し、イラク増派反対に投票した議員たちの地区に次の選挙の予選で挑戦者を立てようという動きが起きている。
もっともイラク政策が選挙運動期間中になってもあまり成功の兆しをみせていなければ、世論は再び変動するであろうから、今のうちに反戦を唱えておくのも選挙運動の作戦としては正しいことなのかもしれない。だが、そうだとしたら、反戦政治家たちは本当に「アメリカの敗北に賭けている」といえる。


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イラン国内テロにアメリカ関与のねつ造写真を暴く

イラン国内では反政府分子らによる連続テロが起きている。14日にイラン革命防衛隊のバスが車爆弾でふっ飛ばされ11人が死亡30人以上が負傷するという事件があったばかりだが、昨日16日にも女子学校が車爆弾のテロにあうという事件があった。その記事を読んでいて最後のほうに面白い文章が目に付いた。

2007.02.17
Web posted at: 13:57 JST
– CNN
テヘラン(CNN) パキスタン、アフガニスタンとの国境に近いイラン南東部のザヘダンにある女子学校で16日夜、爆弾が爆発したが、負傷者などは出なかった。国営イラン放送などが軍報道官の話として報じた。
同地では14日、同国の精鋭部隊、イラン革命防衛隊が所有するバス近くで車爆弾が爆発し、少なくとも11人が死亡、30人以上が負傷する事件もあった。
軍報道官によると、ザヘダンでは16日、複数の戦闘員が人心をかく乱させる狙いで音響爆弾をさく裂させ、発電所にも発砲。その後、逃走して、家屋に潜伏、治安部隊とにらみあっているとしている。路上で銃撃音も聞かれたという。
同地では停電も発生した。14日のバス攻撃では、イラクに本拠を置くイランの過激派組織「ジュンダラ」が犯行を認めている。同組織はこれまでイランの国境検問所などに攻撃を仕掛けている。
イランのメディアによると、14日の攻撃に使われた爆発物は「米国製」としているが、信ぴょう性は不明。

アメリカがイランがイラクに関与していると発表したことを受けて、イランもどうやら国内の反政府分子をアメリカが武装していると言いたいらしい。Little Green Footballによると、イラン政府はアメリカ関与の「証拠写真」まで発表してこのプロパガンダを押し進めているというのだが、LGFはその写真はねつ造写真だと語る
LGFが読者からもらった情報によると、イランのファーズ・ニュース・エージェンシーは明らかなフォトショップねつ造写真を使ってアメリカ製の武器がイランで発見されたとし、イラン国内のテロリストがアメリカ供給の武器を使っている、と報道している。

テヘラン(ファーズ・ニュース)土曜日の報告でアメリカ製の武器が最近イラン南部のシスタンとバルシュスタンで起きたテロ行為で使われたことの証拠として警備当局はFNAに武器の写真を提供した。
これらの武器は木曜日南部地区首都のザヘダンにおいて、ジュンダラとして知られるテロリスト団の隠れ家を手入れした際に没収されたものである。

写真はLGFのサイトへ行って注意して見ていただきたい。手りゅう弾や銃弾の箱など同じイメージがひとつの写真のなかで何度も複写されているのに気が付くはずだ。LGF ではフラッシュアニメーションでどこに複製があるか示しているので分かりやすい。
しかし考えてみればこのようなプロパガンダはかえってイラン国内の混乱を招くのではないだろうか? イラクにイランが関与しているといってもイラクは所詮アメリカにとっては外地である。イランとイラクは隣り合わせであるしついこの間の数日間の国境封鎖まで国境はがら空きだった。しかしイラン国内のテロにアメリカが関与しているとなったらこれはイランの国内警備の弱さを示すようなものでイラン政府は何をやっているのかという疑問が生まれる。
イラン国民にしてみたら、アメリカとの戦争などごめん被りたいはずで、なにかにつけて核兵器を持っているアメリカやイスラエルを挑発するようなアクマネナジャドの発言を苦々しく思っていることだろう。そんなに言ってアメリカが本気にして攻めてきたらどうする気だ、と思ってるイラン人も少なくないのではないだろうか。
そんな中で、アメリカがイラン国内のテロを援助しているとなったら、それこそイランとアメリカとの戦争はまじかであるという不安をイラン国民に与えることになるのでは? そして今でさえイラン政府に反感をもっている反政府分子が本気でやる気になってしまうという逆効果もあるのではないだろうか?
イランはかなり危ない綱渡りをしているように思える。


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