英米ペルシャ湾武装強化に慌てるイラン

私はすでにアメリカ軍のジョン・C・ステニス(USS John C. Stennis) と ドワイト・D・アイゼンハワー(USS Dwight D. Eisenhower)の空母艦戦闘グループ(CVBG)二つがペルシャ湾と(もしかしてインド洋にも)出動しているという話をしたが、これが普通の戦闘グループであるならすでに次の装備がされたことになる。

  • ニミッツ級原始力駆動の空母艦、2隻
  • イージス装備のクルーザー、4隻;
  • 同じくイージス装備のデストロイヤー、4〜6隻;
  • 対潜水艦用フリゲット(ASW)、2隻;
  • ロスアンジェルス級速攻潜水艦、4艦;
  • 戦闘機や攻撃・輸送用ヘリコプターあわせて180機。
  • ペルシャ湾を航海するアメリカ及び同盟国の船をイランからの攻撃から守れる航空防衛可能なペイトリアット用のバッテリー

そして本日英国タイムス(UK Times Online) は英国が 爾来排除船 二隻をペルシャ湾に送ったと発表した。

英国が送ったのは二つの爾来排除船、HMS Blyth と HMS Ramseyである。二隻は湾岸に, イランが石油輸出用航路を塞ごうとする場合に備えて2年間にわたって航路の安全を守る任務を果たす。

ホワイトハウスはイランへの軍事行使の計画はないと主張している。しかしコンデリーザ・ライス国務長官はこの武装強化はイランの「不安定な振る舞い」に対して常に変化していく作戦の一部であると説明した。

さてここで私が先日今こそイランを攻めるチャンスで紹介した歴史家のアーサー・ハーマン氏の作戦を思い出していただきたい。

  1. まずホルムズ海峡を通る石油輸送を阻止する国はどこであろうと容赦しないと発表する。
  2. その脅しを証明するために対潜水艦船、戦闘機、じ来除去装置、イージスBMDシステムなどを含む空母艦バトルグループをペルシャ湾に派遣する。むろんこちらの潜水艦も含む。
  3. アメリカ一国によるイランの石油タンカー通行を封鎖。イランから出る石油、イランへ入るガソリンなどを完全阻止する。ほかの国の船は自由に通過させる。
  4. イランの空軍基地を徹底的に攻撃し、イランの空の防衛を完全に破壊する。
  5. イランの核兵器開発地及び関係基地、インフラなどを攻撃する。
  6. そしてこれが一番大切なことなのだが、イランのガソリン精製施設の徹底破壊である。
  7. アメリカの特別部隊がイラン国外にあるイランの油田を占拠する。

この作戦のすばらしい点はイランの一般市民への犠牲が非常に少なくて済むということである。ということは親米のイラン青年たちを敵にまわさずにイランの石油輸出とガソリン輸入をの行き来を我々の好き勝手に操れることになる。 — 今現在これを完全停止することも可能なのである。そして現在の政権が倒されて、もっとましな新政権が設立された暁には流れを再開することができるという仕組みだ。
タイムス が意見を聞いた「イラン問題専門家」のアリ・アンサリ博士( Dr Ali Ansari)は、このような積極的な武装強化は「誤って」西側とイランとの間に戦争をぼっ発させる危険があると述べた。

「現在の冷たい戦争が熱い戦争に変わる可能性が多いにあります。」と博士「これは偶発的な戦争を待っているようなものです。たとえ世界一誠実な意図を持ってしてもこのような危機はうまくあつかえないものです。あっという間に手に負えない状況となってしまうからです。」

英国タイムス はアメリカのニューヨークやロサンゼルスと同じように鈍いのだろうか? 我々は今まさに湾岸においてハーマン作戦に必要な すべての要素 を装備したことになるのである。英国タイムス は本当に我々がイランが我々に攻撃する可能性を考慮していないと思っているのだろうか?
明らかに英米軍はイランによる攻撃に対応すべくすべての準備をしているのである。このような備えにはいくら民主党でも文句はいえまい。
イラン政府がこの武装強化に気が付かないはずはない。彼等は突然我々に柔軟な姿勢を見せ始めた。 聞くところによると強気のアクマネナジャド大統領と最高統治者 Grand Ayatollah Ali al-Khamenei 氏と共にスンニ王国であるサウジアラビアに使者を出しシーア派のイランとユダヤ・キリスト教のアメリカとの間を取り繕ってくれと嘆願したというのである。

月曜日、イランの核兵器交渉リーダーの Ali Larijani はサウジアラビアのアブドゥーラ王にイランの指導者からの手紙を届けた…

この会議にはサウード・アルファイサル外相大臣並びに皇室外交官のバンダー・ビンサルタン王子が参加した。
サウジ当局の話では イランはサウジの代表にワシントンにイランの誠実な意図を伝えて欲しいとサウジの協力をもとめたという。 しかしそれ以上の詳細は語らなかった。アメリカのコンデリーザ・ライス国務長官は月曜日か火曜日に会談のためリヤードを訪問する予定である。

英国のBlyth号と Ramsey号が到着して湾岸警備をはじめさえすれば、すべての要素が整うことになる。後は先制にしろ反撃にしろ、攻撃をする用意ができたのである。
イランとの短く熱い戦争はおもったより早く来るかもしれない。もしかすると戦争がおこったというニュースを聞く頃はすでに戦争は終わっており、世界中が騒ぎ立てても時既に遅しとなっているかもしれない。
無論これは言うまでもないが、単にふたつの空母艦隊がペルシャ湾に居座っているというだけで、戦争をするまでもなくイランの方針が変わり我々に勝利をもたらす可能性があることもわすれるべきではない。


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イスラエル、イランへ核兵器攻撃の計画あり!

本当かなあという感じの記事ではあるが、一応紹介しておこう。今日のサンデータイムスによると、イスラエルはイランの核兵器開発基地を狙い核兵器を使って限定攻撃をする計画があるという。題して「イスラエルの対イラン核攻撃暴露さる!
この記事の内容はイスラエルの空軍の2中隊がバンカーバースタータイプの小規模な核兵器を使ってイランの濃縮ウラン施設を攻撃する訓練を行っているというもの。
この計画によると通常のレーザー援助の爆弾を撃ち込んで標的に向かって穴をあけ、そのなかに「ミニ核」を撃ち込もうというもの。地下深くで爆発するため放射能の散らばりなどを防ぐという考えらしい。
「命令が下り次第一回の任務、一回の攻撃でイランの核兵器開発計画は崩壊されます」と関係者は言ってるらしい。これはイランが核兵器開発に2年以内に成功するという情報がモサドによって明らかにされたことからたてられた計画だという。
イランの核兵器開発施設は地下深くにうめられているという話だから、イスラエルとしては通常の武器での攻撃ではこれらの施設を破壊することはもはや不可能であると判断したらしい。しかしながら、この計画が遂行されるためには、アメリカがこの攻撃を邪魔しない場合に限る。
イスラエルが攻撃の標的としている施設は:

  1. ナタンズ(Natanz)濃縮ウラン精製に必要な遠心分離機が何千とあるといわれている。
  2. イスファハン(Isfahan) ウラニウム還元施設。250トンにわたる濃縮に必要なガスが保管されているという。
  3. アラク(Arak)の原子炉、将来に核爆弾を作るに必要なプラトニウムが保存されているという。

イスラエル当局はこの三つの施設を破壊することでイランの核兵器開発を半永久的に遅らせることができると語る。これでイスラエルが「第二のホロコースト」を恐れる理由がなくなるというのである。
サンデータイムスによれば、イスラエルとアメリカはすでに何度もイランへの軍事攻撃に関する会談を繰り返してきたという。イスラエルがこの計画をあえて発表した理由はイランに圧力をかけ、アメリカに攻撃を促すこと、及びイスラエルの攻撃に先駆けてアメリカに予告しておくことにあるのではないかという意見もある。それというのも、新しい防衛長官ロバート・ゲーツ氏はイラン攻撃は最後の手段だと語っており、イランへの武力行使にあまり積極的な意見を述べていない。イスラエルとしてはこうなったら自分達次第だという考えがあるのかもしれない。しかしイスラエルがそのような攻撃に出れば昨日も書いたようにイランはペルシャ湾の原油輸送を阻止することは必定。となってくると、アメリカは否応なくイラン攻撃に巻き込まれるだろう。
私はアメリカによるイラン攻撃には賛成だが、その時期をイスラエルによって決められるというのは好ましい状況とは思えない。もしイスラエルがイランを攻めるのであれば、アメリカと前もって打ち合わせをした合同作戦であるべきだ。こちらが用意ができていないうちに状況が進んでしまうというのは決してよいことではない。
イスラエルのパイロットたちはすでにジブラルタルまで飛んでおり、イランまでの往復2000マイル飛行への訓練をしているものと思われる。またイスラエルからイランへの三つの飛行航路もすでに敷かれているらしい。
どうもイスラエルの訓練といい、アメリカの空母艦派遣といい、イスラエルとアメリカの合同イラン攻撃の布石がおかれているような気がしてならない。


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