アルカエダ、スンニ派への攻撃激化の持つ意味

24日、バグダッド近郊のある聖廟でトラック爆弾が爆発し35人が死亡、60人が負傷するという事件があった。バグダッドで自動車爆弾が爆発したというニュースを聞いても、またか、と思われる方も多いだろうが、明らかにアルカエダの仕業と思われるこのテロの標的がスンニイラク人であることが興味深い。
外国人勢力であるアルカエダと地元抵抗勢力だったスンニイラク人とは、フセイン政権崩壊後米国及び同盟軍をイラクから追い出すという目的で当初は協力関係にあった。だが地元イラク人を卑下しているサウジ・ヨルダン系の外国人勢力とイラク人との間では最初からかなりの亀裂があった。特にザルカーウィのシーア派に対する残虐な行為は同じイラク人であるスンニ派イラク人からかなりの反感を買った。
すでに2004年の暮れあたりから外国人勢力に嫌気がさしたスンニ派部族のリーダー達が内々にではあるがアメリカ軍と和平交渉をおこなってきたことをご存じの方も多いだろう。アメリカ軍の新作戦が始まりテロリストへの取り締まりがより厳しくなるにつけ、無駄な抵抗は止めて安定したイラク政府を求めるスンニイラク人と、なんとしてでもイラクの混乱状態を保ちたいアルカエダ勢力との間の亀裂がさらに深まったものと思われる。

(攻撃を受けた)バグダッドから50マイルほど西にあるハバニヤーの聖廟のイマームはアメリカに支援されているイラク政府へのアルカエダを含めた武装勢力の攻撃に反対していた。

すくなくとも35人が殺され62人が負傷したと、ハバニヤーのアブドゥール・アズィズ・モハメッド少尉は語った。ハバニヤーは反乱軍の温床であるラマディとファルージャの中間に位置する。
犯行を認める宣言はまだ誰もしていないが、バグダッドの西にあるアンバー地区のスンニ同士の争いだという疑いが強い。武装勢力は最近政府を支持し暴力に抗議するスンニリーダーたちへの攻撃を強めている。

このようなテロ事件が相次ぐことで注意をしてみていないとイラクは混乱がさらに深まっているような印象を受ける。だが、アルカエダによるスンニイラク人への攻撃が増えているということは、それだけ反乱軍内部でのまとまりがつかなくなっているということを意味する。これがあともう少しで勝利をつかもうという勢力の行動だろうか? 長期に渡る戦争に疲れてきたのはアメリカ市民だけではないのだ。
アメリカのメディアも含め世界中のメディアはほとんど報道していないが、イラクではアメリカ兵ひとりが戦死するにあたり、その10〜20倍のテロリストが殺されているのである。アメリカ市民がアメリカ軍の犠牲で士気が弱まるのであれば、その十何倍の犠牲を出している敵側の士気消失も過小評価すべきではない。
スンニイラク人の立場に立って考えてみれば、これ以上の抵抗に何の意味があるというのだろう?フセインは処刑されてしまった。戦争によるバース党の再興は先ず望めない。外国からの助っ人は次から次に殺されてしまう。にも関わらず新イラク政府はくずれそうもない。アメリカメディアやアルカエダが繰り返しアメリカ軍は臆病者だからちょっと踏んばれば逃げ出すと繰り返しているにも関わらず、そんな気配は全くない。民主党が選挙で勝ったらアメリカ軍は退散すると聞いていたのに、アメリカ軍は撤退するどころか増派計画を進めている。いったいこんな戦いが何時まで続くのだろう? かといって自分達は外国人テロリストのように自爆する気などさらさらないし、「おい、もう駄目なんじゃねえのかこの抵抗ってやつさあ、この辺が潮時じゃねのかあ?」と考えているスンニ派も多いのではないだろうか?
またこのテロ攻撃がバグダッド市内で起きたことではないということにも注目すべきである。ファルージャ地域、特にアンバーはアルカエダテロ軍団の本拠地であるはずだ。自分達の本拠地で自分らへの犯行分子を処罰するような行為に出ているアルカエダの状態を考えてみよう。
イラクでテロがあったというニュースを聞いて、『アメリカの新作戦はうまくいっていない、イラクはこれまで以上に荒れている』と判断する前にテロ攻撃は何処で起きて誰が誰にやっているのか考える必要がある。
私はこれはアメリカの新作戦がうまくいっていて、アルカエダが追いつめられている証拠だと考えるが、みなさんはどうお考えだろうか?


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アメリカ軍がイラクで戦う意義

先日カカシはイラク戦争に勝つのは重要で70%近くのアメリカ人がイラク戦争に勝つことは重要であると考えていると書いたことに関して、いったいイラクで勝つとはどういうことなのか、という質問がアセアンさんからあった。それについてアセアンさんはご自分のブログで穏健派?タカ派?という題名で書いておられるのでこれについてちょっと返答してみよう。

軍隊は外交交渉が潰えた後に出番が回ってくる的な言説もある訳ですが、それをそのまま使用するならば現在のイラクの状況は「話し合い」という手段が尽きてしまった為に「軍隊」という武力組織が登場していることになります。

つまり、相手を脅しつけようとして”手を振り上げた”状態ではなく、「既に相手をぶん殴ってしまった状態」な訳です・・・そのぶん殴られた相手とはフセイン大統領であり、彼の政権、体制だったのですから、そういう意味ではブッシュ大統領が既に発表しているように「軍事的な勝敗は決した!(=米国が勝利した)」のは間違いがないと考えます。(結論を言うと、一旦、行使してしまった軍事力はその強弱に関係なく、最後迄使い切るしか終結させることは非常に難しい、が故にその行使の判断には重大な責任があり、抜いたからには重大な覚悟が必要だ!っということですが・・・
 問題はその後の「占領政策」にあったのは事実です(ラムズフェルドなんかは、実はその辺り迄は深く考えていなかったのではないか?という雰囲気ですが)。フセイン政権を打倒する為の”懲罰的攻撃”は米国流の理屈からすると「祖国(米国)を護る為の戦い」だったとは思いますがその後の地上軍(州兵を主体とした)の侵攻から彼らの活動(治安維持活動という名称が示すように)の全ては、新生イラク国民を”敵”とは認識することではなく、それこそ平安な生活をイラク国民へ取り戻すことを目的としていたはずです。
現在のイラクで米軍は一体何と戦っているのか?それは何の為なのか?が(多分)一般的な米国民も、共和党も民主党も実は良く分からなくなっているのではないか?っと思えて仕方が無い。 (強調はカカシ)
 上記でも書いたように「米国本土の安全保障の為」という理屈は、タリバン政権とフセイン政権を崩壊させた時点で決着が付いている訳です(報復攻撃、懲罰的攻撃という意味ですが)。

先ずブッシュ大統領はフセイン政権を倒した直後、イラク戦争に勝利したとは言っていない。何度も言うがブッシュ大統領がバカだと思っているひとたちはブッシュが不注意な言葉使いをしていると思う傾向があるが、反ブッシュ派が考えるのとは裏腹にブッシュ大統領は言葉を非常に選んで使うひとなのである。ブッシュ大統領は「主な戦闘は終了した」とは言ったが、あえて「勝利した」とは言わなかった。なぜならブッシュ大統領はイラク復興はそう簡単にはいかないだろうと最初から予期していたからである。ブッシュはそれがどのくらい難かしい作業であるかという計算違いはしたかもしれないが、イラク国内の反乱軍や外国からイラクに潜入してくるテロリストたちと激しい戦いが長期にわたって続くことは考慮に入れていた。それはラムスフェルド防衛長官にしても同じである。
だからイラクに外国人テロリストが集まる可能性について問われたとき、ブッシュ大統領は「Bring it on! (どんとこい!)」と答えたのだ。またラムスフェルド長官もアメリカ国内で戦争をするのではなく、戦争を敵側の陣地にもっていくのだと語っていた。
つまり、イラク戦争はテロリストによるアメリカ国内への攻撃を防ぐために必要不可欠な戦争なのだとブッシュ政権は言いたかったのである。しかし、ブッシュ大統領もラムスフェルドもイラク戦争が対テロ戦争の一貫なのだということをアメリカ国民に充分に説明できていないというのは事実である。私がブッシュ大統領に対して持っている不満があるとしたら、一重にこの「説明不足」にある。
アメリカがイラクで戦っている最終的な目的はイラクの治安維持でも民主化でもない。イラクの治安維持や民主化はアメリカの最終目的を達成するためのひとつの手段に過ぎないのである。アメリカのイラク戦争は対テロ戦争の一部なのだ。アメリカ軍はアメリカをテロ攻撃の脅威から守るために戦っているのである。イラク市民には気の毒だが、イラクはそのための最前線となってしまったのである。
しかしイラクでアメリカ軍がアルカエダのような外国人テロリストと戦うことは対テロ戦争だと言えるかもしれないが、何故イラク人であるスンニ反乱軍やシーア民兵を戦うことが対テロ戦争の一部だと言えるのか不思議に思われるひともあるだろう。
アメリカがアフガニスタンと戦争をしたのも、フセイン政権を倒したのも、911が原因ではあるが、911への報復が理由ではない。ブッシュ大統領はアフガニスタンを攻撃する際に、アメリカは今後一切テロリストもテロリストを擁護する政権も許さないと宣言した。我々と共にテロリストと戦わないのならテロリストの味方をすることになる、とも言った。
アフガニスタンのタリバンが攻撃されたのはアルカエダというテロ組織とその首領のオサマ・ビンラデンを匿っていたからだし、フセインが攻撃されたのもフセイン政権がアルカエダやハマスなどのイスラム教過激派を支援していたことが原因だ。だからイラクにフセイン政権がなくなったとはいえ、戦後の動乱でイラクがテロリストの温床となってしまうのであればイラク戦争の意味が全く失くなってしまうのである。アメリカ軍がスンニ反乱軍やシーア民兵と戦う理由は、これらの勢力が生み出す混乱を利用してイスラム教テロリストがイラクで繁栄してしまうのを防ぐことにある。イラクが民主化することによってテロリストの温床を拒絶するのが最終的な目的なのだ。
ブッシュ大統領がそのことを国民が納得できるほどきちんと説明していないので、イラクでいった何が起きているのか、アメリカは何をやっているのか、理解できていないアメリカ人が多いのではないかと思っていたのだが、今日パワーラインで発表された世論調査を読んでちょっと元気つけられた。

パブリックストラテジーによって行われた世論調査によると、57%のアメリカ人が「イラク戦争は国際的なテロ戦争として大事な鍵を握っている」と答えたという。また57%が「イラクでの任務を完了することを支持し、イラク政府がイラク市民のために警備維持をすることができるまでアメリカ軍を駐留させるべき」だと答えた。
さらに56%が「ブッシュの政策には心配な点も多くあるが、戦争中である以上アメリカ人は大統領のを後ろから支えるべきだ」と答えた。また53%が「民主党が大統領にイラクから塀を撤退させようと押しているのは行き過ぎであり時期早尚である」としている。
また同じ調査において60%がイラクは多分安定した民主主義にはならないだろうと予測し、60%がブッシュの仕事ぶりには不満であると答えている。しかしながら民主党とは違って回答者たちはこれらの問題とイラクにおいてどのように前進すべきかということは区別して考えているようだ。

もっともこの世論調査の対象となったのは大学出で40歳以上の大人がほとんどだったことが結論に偏った影響を与えていると考えられるため、この世論調査のみでアメリカ市民のほとんどがイラク戦争の意義をよく理解していると解釈するのはちょっと乱暴だろう。しかしアメリカの中年世代がカカシと同じように考えてくれていると知ったことは心強い。


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アメリカ、イラン空爆までの二つの条件

20日付けのニュースだがBBC放送がアメリカはいよいよイランを空爆するらしいと報道した。

米、イラン空爆計画を策定か=核・軍施設が攻撃対象に−BBC

2月20日15時0分配信 時事通信
 英BBC放送(電子版)は20日、米国がイランを空爆する非常事態計画を策定しており、空爆に踏み切った場合、標的は核関連施設にとどまらず、大半の軍事施設も攻撃対象になると報じた。軍事施設には、空軍と海軍の基地をはじめ、ミサイル関連施設や各種司令部も含まれる。
 外交筋によると、米フロリダ州にある中央軍司令部では既に、イラン国内の攻撃目標の選定を終えている。核施設には中部ナタンツのウラン濃縮施設や、同じく中部のイスファハン、アラク、南部ブシェールの関連施設も含まれる。
 一方、実際に攻撃開始となるには2つの状況が考えられ、1つはイランが核兵器を開発していると確認された場合。もう1つは、イラク駐留米軍が攻撃を受け、攻撃へのイランの関与が分かった場合とされる

このブログを愛読されている方々にはこの報道はニュースでもなんでもない。それどころか何を今さら、といったところだろう。しかしここで米国がイランを攻撃する状況として上げられている二つの条件には笑ってしまう。こんな条件はいつでも満たされるではないか。
先ず一つ目『1つはイランが核兵器を開発していると確認された場合』だが、IAEAの報告によればこの条件は早くも満たされているといえる。22日に提出された国際原子力機関(IAEA)の報告でははイランが国連安保理の決議を無視して濃縮活動を拡大させているとしている。以下読売新聞より。

報告によると、イランは昨年12月23日の安保理決議採択から60日間の「猶予期間」中も、中部ナタンツの地上施設で遠心分離器164個を連結した濃縮装置「カスケード」を運転し、低濃縮ウラン生産を続行。これまでに注入した濃縮ウラン原料の量は66キロ・グラムに達した。

報告によると、イランが産業規模を目指すナタンツの地下施設では、新たに遠心分離器164個で構成するカスケード2系列の設置を完了し、回転試験に着手。さらに2系列のカスケードも近く完成する。

となれば二つ目の条件「イラク駐留米軍が攻撃を受け、攻撃へのイランの関与が分かった場合」にかかってくるわけだが、アメリカ軍はすでにこの話をこの間から何度も繰り返している。先日もイラクでアメリカ軍によるイラン関与の証拠を陳列した報告会がひらかれたばかりだ。
アメリカがこんなすぐ満たされる、もしくはすでに満たされている、状況を戦争開始の条件とする理由はいったい何か? 英BBCの報道はアメリカの公式発表ではないが、これはアメリカがわざと流した情報なのではないかという説もある。このような報道をする一つの理由は無論イランへの牽制もあるわけだが、イランはアメリカの脅しなどあまり怖がっている様子はない。となればこれはイランへというより国連への警告だと言える。
ご存知のように現在国連安保理が行っている経済制裁は全く効き目のないものだ。だからもし国連がアメリカによるイラン攻撃を防ぎたいのであればもっと厳しい効果のある経済制裁を行えとアメリカは国連に促しているわけだ。
しかしイラクの時でもそうだったように、国連安保理の決議などあんまり当てにはならない。そうやってアメリカがイラン空爆を実際にはじめたら、国際社会は「イランが核開発をしていたという証拠は全くなかった、アメリカのつくりあげたでっちあげだ。」とまた騒ぐのであろうか?


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「イラク戦争に勝つのは重要」と七割のアメリカ国民、二月の世論調査

民主党は昨年の選挙で民主党が圧勝したことで、アメリカ国民がイラク即撤退を望んでいると解釈し、ブッシュ大統領のイラク政策を何かと阻止しようと必死だが、今月行われたインベスターズ・デイリーの世論調査によると、七割近いアメリカ国民がイラクで勝つことは「非常に重要」もしくは「重要」と答えていることが分かった。
IBDの調査をまとめてみると、『イラクでアメリカが勝つことはどのくらい重要なことだと思うか』という質問に対して、42%が『非常に重要』とこたえ、24%『多少重要』と答えており、『あまり重要ではない』の17%と『全く重要ではない』の13%を大幅に上回った。またこの数字は去年の12月の調査に比べると『多少重要』と考えていた数が3%減りかわりに『非常に重要』の数が増えていることがわかる。
また、『アメリカのイラク政策が成功することにどのくらい期待しているか』という質問では、『非常に期待している』が35%(4%増)『多少期待している』が23%(8%減)『あまり期待していない』が21%(1%増)、『全く期待していない』が19%(2%増)となっており、期待している人が期待していない40%よりも18%も多いことが分かる。
これが党別の期待感になると、なんと80%の共和党支持者がイラク政策成功を期待していると答えているのである。(無所属は53%、民主党は43%)
こうしてみると、民主党が現在イラクに出動している軍隊の必要経費を削減したり補充戦費を拒否したりすれば、国民からかなり反感を買う恐れがある。また民主党と一緒になって援軍の出動に反対反対と決議案に投票している共和党議員は2008年の選挙で投票者からひどいしっぺ返しを受ける可能性が高まった。
私もミスター苺も、全国共和党委員会が裏切り者共和党議員に資金援助をするのであれば、党には一銭たりとも献金しないと決めた。献金はイラクに勝つ気のある議員の選挙運動に直接しようと昨晩話あったばかりである。
すでに、ロサンゼルスの人気ラジオDJのヒュー・ヒューイットなどが先頭となって勝利幹部会(The Victory Caucus)なるものを結成し、イラク増派反対に投票した議員たちの地区に次の選挙の予選で挑戦者を立てようという動きが起きている。
もっともイラク政策が選挙運動期間中になってもあまり成功の兆しをみせていなければ、世論は再び変動するであろうから、今のうちに反戦を唱えておくのも選挙運動の作戦としては正しいことなのかもしれない。だが、そうだとしたら、反戦政治家たちは本当に「アメリカの敗北に賭けている」といえる。


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なんとしてもイラク戦争に負けたい米民主党

アップデートあり文章の終わりを参照ください。
イラク戦争の新しい進路がうまく進めば進むほど民主党は新作戦を脱線させようと必死である。彼等の行動を見ていればその動機はあきらかである。民主党はイラク戦争に負けることを恐れているのではなく、アメリカがイラク戦争に勝つことを心から恐れているのである。
なぜアメリカ人である民主党議員たちがアメリカが戦争に負けることを望むのかといえば、イラク戦争は共和党のブッシュによる戦争であるという考えから、イラク戦争が失敗すれば国民は共和党全体を罰して民主党が2008年の一般選挙で大幅に議席を増やし、大統領選にも勝ち、大勝利を迎えられるという思惑が根本にあるのである。
16日の金曜日、米国下院はブッシュ政権によるイラク増派反対の決議を通した。ブッシュの報道官であるトニー・スノー氏は記者会見で「民主党はアメリカの敗北に賭けている」と苦々しく語っていた。

 【ワシントン=山本秀也】米下院本会議は16日、ブッシュ大統領が表明したイラクへの兵力増派に反対する決議を賛成246、反対182で採択した。決議に拘束力はなく、ブッシュ政権はイラク新政策で表明した2万人以上の兵力増派を続行する構えだ。

 決議は民主党のスケルトン軍事委員長らに共和党の議員が加わって超党派議案として提出され、現行の米軍のイラク駐留には支持を表明しながらも、ブッシュ大統領がイラク新政策の目玉とした米軍増派を不支持とする内容だ。本会議での討論に4日間を要し、議員の9割に当たる392人が発言する本格的な論戦となった。この日の採決では共和党の17議員が賛成にまわった。
 民主党のペロシ下院議長は、「決議の採択は戦闘終結と駐留米軍の帰還に向けたイラクでの方向転換のシグナルとなる」と語った。民主党は戦費執行に制約を設ける法的措置なども検討しており、イラク政策をめぐって大統領と議会の対立は一段と強まりそうだ。一方、上院本会議も17日、同様の増派反対決議案の採決を予定している。

民主党議員たちはブッシュの新作戦が早くも実りを見せていることにうろたえて、ついこの間まで絶対にしないと誓っていたくせに与党リーダーのハリー・リード上院議員とナンシー・ペロシ下院議長があり得ないといっていたイラク戦争の戦費差し止め執行を振り回して真っ向からブッシュ大統領を脅迫しにかかっている

民主党はイラクへの増派とイランへの先制攻撃を阻止する方法を見つけたとしてブッシュ大統領の開戦権限に真っ向から挑戦している….

「わが国はイラク路線について劇的な変更をおこなう必要があります。そしてその変更を実現させるのは議会の責任であります」と下院において軍隊支出の監督にあたっている民主党のジョン・マーサ下院議員は下院議員は語った。
マーサ議員は兵士の戦線出動に一年の期間をおくなど戦闘員動員について厳しい規制をかける議案を準備している。最終的にはこの案によってブッシュが計画している16万兵を何か月にも渡って維持することは不可能になるであろうとマーサ議員は語った。

マーサ議員の決議案は要するに戦闘員を出動させるにあたり、何かについていろいろと理不尽な規制をつけて、大統領がいちいち議会にお伺いをたてなければ軍隊を出動させることができなくなるというもので、現実的には戦闘員の速やかな出動をほぼ不可能にすることになる。これはどう考えても三権分立の憲法に違反する。
例えば一旦イラクに出動した隊が帰国したら、どんな場合でも、少なくとも一年は戦場へ出動させてはいけないという規則がある。このほかにも、理不尽に高いレベルの訓練を受けていなければならないとか、戦士の任務期間を延長してはならない、軍需品が理不尽に高度なスタンダードに達していなければならないなどという規制がかけられ、しかもこれをいちいち大統領が確認し議会に提出し議会の承認がなければ出動できないとなっているのである。(この案はイラクだけに限られ、アフガニスタンにはあてはまらない。)
このような案が通ったならば、戦場での貴重な経験を得た戦士が数カ月後に新しく動員される戦士と一緒に出動して知識や技術を引き継がせることができなくなる。また戦況が変化し経験ある隊の任期を延長させたり、帰国して数カ月しかたっていない軍を援軍としておくることもできなくなるのである。
ムーブコングレス(MoveCongress.org)というウェッブサイトのインタビューでマーサ議員はこの案の本当の目的はイラク増派を阻止することであると意図を明かにしている。。(注:掲載した後でまずいと気が付いたのか、サイト経営者は内容を書き換えてしまった。下記は書き換える前の記事である。)

防衛費充当委員会は大統領の930億ドルの追加予算申請について審議をはじめた。この申請への行動が新しい議会がイラク戦争において「財布の紐を締める」ことのできる最初の機会である。.

マーサ会長は自分の作戦はイラクへの動員を制限するだけでなく、大統領の外交、国内警備政策をことごとく邪魔することにあると説明した。

しかし専門家の間ではこのような議案は下院すらも通らないだろうという見解だ。この議案は一見アメリカ兵に無理な出動をさせないという思いやりがあるようにもとれるが、実際にマーサ議員が裏口から増派阻止を行おうとしていることは一目瞭然であり、アメリカ市民はこのような卑怯な手段には騙されないであろう。
フォックスニュースの解説者はこの議決案は民主党にとって非常にまずい動きだと解説していた。その理由は:

  • 増派に反対している人でも、一旦出動している軍隊に必要な資金を断ち切るという考えには非常な抵抗がある。
  • このような行為は民主党は国防に弱いという先入観を強化することにつながり、民主党は戦争を嫌うあまり、勝利よりも敗北を望むと思われる。
  • そこまで思わないひとでも、議会が出動する軍隊の規模や場所まで規定するのは行き過ぎだと考えるだろう。
  • 2007年の予算は9月分まで充当されており、議会は早くても10月までは戦費を差しとめることはできない。
  • しかし10月までには民主党が最も恐れているブッシュの新作戦の成功があきらかになり反戦のメディアでも隠しきれなくなっている、という可能性がある。

つまりマーサの作戦は失敗が目に見えているということだ。であるから下院の民主党議員ですらこの議決案には投票しないであろう。また、金曜日に増派反対の議決案が下院を通ったとはいえ、当初予測されていた共和党議員による大幅な寝返りは見られなかった。この議決案には拘束力はないが下院議員のイラク戦争に対する意見が反映する。共和党議員が多数投票していたならば、戦費差し止めの議決案を検討する意味もあったが、たった17人の寝返りでは共和党は民主党が期待したほど戦争反対の意識はないということになり、戦費差し止めの議決案が通る見込みはまずない。
それでも民主党が戦費差し止め議案を提案するならば、国民には共和党は必死にイラク戦争に勝とうと努力しているのに、民主党は自分らの勢力を強めるために、なんとかしてイラク戦争に負けようとしているという印象を与えてしまうだろう。
アップデート: 上院議会イラク議決案を否決
わざわざ土曜日に出頭してきた上院だが、昨日下院で通ったイラク増派反対の議決案は上院で否決された。賛成56、反対34、可決に必要な60票には満たなかった。
「軍隊への支持に関する投票で戦費について沈黙しているのは両方の道をとろうとする試みだ。」とケンタッキー代表で共和党リーダーのミッチ・マコーネル氏は語った。「だから我々はもっと正直な公の討論をしようと要求しているのだ。」
民主党は戦費差し止め案をあからさまにだして国民から軍隊を支持していないと思われるのは嫌だが、反戦派にいい顔を見せたいので増派には反対だという拘束力のない意思表示だけをしておこうという魂胆である。マコーネル議員が抗議しているのは、戦争に反対なら反対で戦費差し止め執行を提案するぐらいの根性をみせろ、双方で良い顔をしようなどとは卑怯だ。正直に討論しろと要求しているわけだ。


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効果をあげるブッシュのイラク新作戦

English version of this post can be read here.
先日もカカシはブッシュの新作戦が早くも効果をあげているという話をしたばかりだが、ミスター苺がここ数日の米・イラク軍の活躍について書いているのでこちらでも紹介しておこう。以下、Big Lizards より。
APの記事によるとここ数日のアメリカ・イラク連合軍によるシーア民兵の本拠地であるサドル市を塞ぎ各家を一軒一軒回って武器や民兵を探索する手入れはかなり効果をあげているようだ。またアメリカ軍はバグダッドのスンニテロリスト本拠地でもさらに厳しい取り締まりを行っているらしい。

米・イラク軍は木曜日バグダッドのスンニの本拠地に深く潜入した。両軍は爆弾の仕掛けられた乗用車数台によって迎えられた。一方イギリス軍先導の隊はイラク南部において輸送用のコンテナを使ってイランからの武器流入の道を塞いだ。またイラク内政省は前日のバグダッド北部においてイラク軍との衝突の際、イラクのアルカエダのリーダーであるアブ・アユーブ・アル・マスリが負傷し側近が殺されたと発表した。

本日になってアユーブ・マスリが負傷したという情報は確認できないと内政省はいっているので、実際何があったのか今のところちょっとはっきりしていない。しかしイラク軍とアルカエダ勢力の戦闘において重要人物が殺され負傷したことは確かなようだ。
米・イラク連合軍はテロリストによる数回に渡る待ち伏せにあったが、味方側の負傷や戦死はなかった。ただアンバー地区で海兵隊員が名誉の戦死をした。
ミルブロガーのビル・ロジオ(Bill Roggio)によると連合軍はモクタダ・サドルのマフディ軍への攻撃も激しく続けているようだ。

連合軍はサドルへの圧力を維持しており、サドルがイランに避難している足下からマフディ軍解体のため積極的に働きかけている。バグダッドではマフディ軍、(別名ジャイシ・アル・マフディ)のメンバー二人が24時間前から拘束されている。バグダッドではイラク特別部隊が「武器供給や資金援助をしていたジャイシ・アル・マフディ組のならず者」を他の「参考人」と共に捕らえた。また別のマフディ軍のメンバーで「イラク市民や警察官を誘拐、拷問、殺人などをしてきたとされる」人物もイラク特別部隊員によって捕らえられた。

イラク連合軍によるとイラク軍が捉えた二人はマフディ軍のなかでもかなりの重要人物のようである。
まだイラクにはアメリカ軍の増派は起きていないにも関わらず、新作戦を取り入れたことによって早くも多大なる効果が生まれていることはうれしい限りである。実際私はちょっとおどろいているほどだ。これに米・イラク兵合わせて9万の兵が増加される(アメリカ兵21,500兵に加え残りはイラク兵)ことで、この作戦は成功すると私はかなり期待している。
2008年の選挙の際にはイラク状況は2006年の時よりもずっと向上しているものと思われる。イラク状況は選挙に多大な影響を与えるであろう。もし私の予測が正しければ多くの民主党議員と民主党と一緒になってブッシュ政策に抗議する拘束力のない議案に投票したような少数の裏切り者共和党議員などは大きな代償を支払わされることとなるだろう。
イラク状況が今よりもずっと良好な方向に進んでいれば、共和党の有力大統領候補の三人は誰もこれを利用して選挙運動に挑むことができる。イラク戦争は泥沼だ絶望的だと言ってアメリカ軍の作戦を妨害するような行動ばかりとっていた民主党はイラク戦争を持ち出せなくなる。
とにかく全てがブッシュ新作戦の成功にかかっているわけだが、この調子で進んでくれることを願う。


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イランの飼い豚サドル、イランへ蓄電!

イラクでのアメリカ軍によるシーア民兵取り締まりが厳しくなるなか、なんとカカシがイランの飼い犬ならぬ飼い豚と読んでいた、シーア民兵軍マフディ軍の親玉サドルが数週間前に家族のすむイランへ遁走していたことが発覚した。

「サドル師、2週間イランに滞在」と米高官
2007.02.14
Web posted at: 09:42 JST
– CNN
(CNN) 米高官筋は13日、CNNに対して、イラクのイスラム教シーア派の反米指導者ムクタダ・サドル師が、ここ2─3週間イランに滞在していると述べた。同師がイラクを出国した理由や、イラン滞在予定期間は不明とされる。
ただ、イラク関係筋はサドル師の出国を確認していない。また、同師に近い関係者は、同師のイラン滞在は「うわさ」だとして全面否定した。同師事務所は8日CNNに対し、同師がイラク中南部ナジャフに滞在中だと語っていた。
米当局者らは、ブッシュ大統領の指示による米軍イラク増派で、身の危険を感じたサドル師が出国したとの見解を示した。同師がイラク国内に不在の場合、同師を支持する民兵組織「マフディ軍」にどのような影響があるかは不明。
こうしたなか、イラク治安部隊のカンバル将軍はテレビ演説を行い、首都バグダッドの治安強化を目的に、イランおよびシリアとの国境を72時間閉鎖すると発表した。政府関係者がAP通信に語ったところによると、国境閉鎖は2日以内に実施される予定。また、イラク当局者はCNNに対し、検問所に爆弾検知装置などが設置する予定だと語った。
バグダッド市内の夜間外出禁止令は延長される見通し。また、イラク治安部隊は、民間人の武器・弾薬保有免許を一時停止する計画という。

APの記事によるとサドルの家族はもともとイラン在住だということだがイラン滞在は一時的なものだという見解が大きいようだ。
しかしサドルの出発はイラク政府が近隣のイランとシリアとの国境を72時間ほど塞ぐという発表をしたのと時期を同じくしていることから、国境が塞がれる前にイランへ渡ったものと思われる。しかし親分のサドルがイランに逃げたとなるとイラクに残されたマフディ軍の連中はどうするのだろうか?
イラクがサドルの帰国を許可しないという方法もあるが、この先どうなるのか注目される。


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バラク・オバマの最初の失言 『アメリカ兵は無駄死にした』を謝罪

リアル・クリア・ポリティクス(Real Clear Politics)において、バラク・オバマが大統領選挙出馬表明から一日もたっていないうちにイラクで戦死した米兵の命は「無駄死にだった」と失言した、即座にオバマは集まった記者たちの前で戦死した軍人の家族に対して失礼なことを言って「全く申し訳なかった」と謝罪した。オバマ氏は「言ってるそばから失言したと気が付いた」と語った。
オバマにとってはこれが最初の失言かもしれないがおそらく最後ではないだろうとRCPは書いている。オバマが期待の新人である理由はまだ投票者がオバマという人間がどういう政治家なのかを理解していないからである。以前にも書いた通りオバマは政治家となってまだ間がないため、特にこれと言った功績を残していない。 であるから過去に色々問題のある言動をしていないという利点もあるが経験不足から色々間違いをおかす危険性もあるといえる。
よく大統領とは見習いのやる仕事ではないといわれるが、選挙が近付くにつれて民主党の投票者はオバマが大統領としてやっていけるだけの器かどうかを見守っている。今後もこのような失言を続ければ彼への期待も薄れること間違いない。
しかしヒラリー・クリントンの人気はオバマをかなり上回っているので、今後もこのような間違いをおかしていてはとてもヒラリーには追い付けないだろう。
ところで、もう一人の有力候補ジョン・エドワードは過激派左翼で反カトリック教のブロガー、メリッサ・マーコッテをついに首にした。一度は保守派の圧力には負けないといっていたエドワードだが、その直後にマーコッテが再びカトリック教を下劣に攻撃する記事をブログに書いたため、さすがにエドワードも自分の間違いに気が付いたらしい。こんなに判断力のない人間が本気で大統領を目指すというのも恐ろしい限りである。


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イラク: 積もるイラン関与の証拠

昨日もイランによるイラクへの関与の話をしたが、アメリカ軍はどのような証拠をもってイランがイラクに関与しているというのか、その記事を紹介し、どうしてブッシュ政権がずっと過小評価してきたイランの関与について、最近突然大々的な発表をはじめるようになったのか考えてみたい。
まずはCNNのニュースから、

「爆弾攻撃にイラン関与」とイラク駐留米軍
2007.02.12
Web posted at: 12:43 JST
– CNN/AP/REUTERS
バグダッド──イラク駐留米軍は11日、少なくとも米兵170人が死亡したイラク国内の爆弾攻撃に、イランの最高指導者ハメネイ師から指示を受けている精鋭部隊が関与しているとの見解を示した。
米軍がイラン関与の証拠として挙げたのは爆発成形弾(EFP)で、製造法にイラン起源の特徴が見られるという。また、同じくイラク国内で攻撃に使用されている81ミリ迫撃砲弾は、イランからイラク国内に直接持ち込まれたとみられている。
米軍によると、こうした弾薬類はハメネイ師が直轄するイラン革命防衛隊のアルクッズ部隊によって、イラク国内のイスラム教シーア派グループに供給されている。ここ数週間内に北部アービル市内で拘束された数人のイラン当局者の中に、同部隊の関係者1人が含まれていた。
さらに、昨年12月にバグダッド市内で拘束された他のイラン当局者らは、イランがイラク国内の有力政治組織を武装していると供述した。当局者らは、イラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)の指導者アブドゥル・アジズ・ハキム氏の施設の家宅捜索で拘束され、米軍はこの際に武器取引の証拠文書を押収した。
政治組織の関係者は、武器調達が自衛目的であると説明。ただ、米軍側は、迫撃砲や狙撃用ライフル銃といった調達武器が自衛には使用されないと反論している。

この狙撃銃について今日新しい情報がはいった。下記はPowerline紹介のDaily Taragraphの記事より。


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アメリカが国際社会でイランのイラク関与を批判する意味

な〜んか、イラク戦争前夜と似たような雰囲気になってきたなあ〜。
我々保守派の間ではイラクにおけるイランの関与をなんとかすべきではないのかという意見がもう2年以上も前から議論されていた。しかし以前にもここで話たように、アメリカはイランの関与についてあまり表立った批判をしてこなかった。その理由はイランの関与を表だって批判しないことで、アメリカは内々にイランの協力を得ようという思惑があったからなのかもしれない。だがイランの最近の行動は目にあまるものがあるため最近アメリカ政府は方針をかえ、大々的にイランを批判すうようになった

イラクで使用の爆発物にイラン関与の証拠と、米国防長官

スペイン・セビーリャ——ゲーツ米国防長官は9日、イラクで武装勢力が使った爆発物にイランが関与したことを示す製造番号や刻印が発見された、と述べた。セビーリャでの北大西洋条約機構(NATO)の国防相理事会後の会見で述べた。
イラクの武装勢力に兵器もしくは技術を供与していることの物的証拠としている。これらの爆発物の数は全体の中で大きな比率を占めないが、「殺傷能力は極めて高い」と指摘した。路上に仕掛けられる爆弾攻撃などで米兵は大きな犠牲を強いられている。
長官はまた、「イランがイラク情勢に関与していることは驚きではないが、米軍などの家宅捜索でイラン人が実際に見付かったことは驚きだった」とも述べた。米政府はイラン政府が影響力を拡大するためにイラクに干渉していると主張している。

アメリカ軍がわざわざNATOの理事会でこのようなことを発表したとなると、アメリカ政府はいよいよイランに本格的な圧力をかける覚悟ができたということだろう。ブッシュ大統領はイランへの「侵略」はあり得ないと言っているが、この言葉使いに気をつける必要がある。ブッシュはイランと戦争をするつもりはないとも、イランに軍事攻撃を仕掛けるつもりはないともいっていない。ブッシュがあり得ないといったのはイランへの「侵略攻撃」だけである。
よくブッシュ大統領をバカにしている左翼連中はブッシュが舌がよく回らないのをおちょくってあたかもブッシュが言葉使いには疎い人間であるかのような批判をするが、実はブッシュ大統領は言葉使いには非常な神経を使っている。だからブッシュがわざわざ「侵略は」あり得ないと言ったことには十分に注目すべきである。
以前にアセアンさんがアメリカがイランとの外交をうまくやって来なかったからアメリカはイランとの戦争に追い込まれているのではないかといっていた。だが私はそうは思わない。アメリカはイランと交渉をしようとしているのである。だが、イランはアメリカと交渉をして得をすることはないと考えているはずだ。つまり、アメリカにはイランと交渉をするための札を持っていないので、アメリカが今やっていることはイランに交渉を強制させるための切り札作りをしているといえるだろう。ま、平たくいえば脅迫である。(笑)
アメリカはイランには「戦争を仕掛ける可能性がある」という姿勢を見せて脅かしながら、諸外国には経済制裁のような政治的な圧力をかけていこうと呼びかけるわけだ。そうやってイランがイラク関与をやめてくれればいいし、それが駄目なら軍事行使となるのかもしれない。
関連過去エントリー
イラクに伸びるイランの魔の手


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