民主党勝利=イラク撤退ではない!

English version of this entry can be found here.
私は先日、今後のイラク戦争、民主党勝利で激化の可能性でも述べたとおり、民主党が議会を制覇したからといってそれが自動的にアメリカ軍イラク撤退につながると考えるのは早計だと考える。 テロリスト諸君には申し訳ないが、いくら民主党といえどアメリカ人だ。アメリカ人はテロリストごときの脅しに怯んで逃げ出すほどやわではない。 むしろ戦争を早期に効果的に勝利に収めるために民主党は一時的にしろ戦況を激化する可能性がある。
テロリストどもも、昨日紹介したイスラム教諸国の政治家も、そして諸外国のメディアも皆誤解しているが、民主党は「イラク即刻撤退」を公約して選挙運動をしたのではない。 無論民主党の極左翼の連中が即刻撤退を約束していたことは確かだが、同じ民主党でも兵を増やすべきと唱える元将軍らもいて、中庸から右よりの候補たちのイラク戦争にかんする意見は決してイラク即刻撤退ではなかったのだ。 民主党候補者がただひとつ全員で意見がまとまっていたのは、ブッシュ大統領のイラク政策「進路を保つ」には絶対に反対だということだけだ。 だから民主党の公約はあいまいな「イラク戦争の進路を変える」というもっと微妙なものになったのである。
民主党候補らが、声を揃えてイラク即撤退を唱えなかったのは、自分らの間でも考えがまとまっていないということもあるが、アメリカ市民が即刻撤退を望んでいるかどうか確信がもてなかったというのもその理由のひとつ。 イラク戦争はすべきではなかったと考え、イラク戦争はうまくいっていないとしているアメリカ人も、始めてしまった以上はきちんと始末して帰って来いと考えている人が多い。 仕事を途中で放りだして負け犬のように退散すべしなどと考えるのは負けず嫌いなアメリカ人には似つかわしくないからである。
選挙運動中は便宜上極左翼のご機嫌取りをしてイラク即刻撤退を唱えていた候補者も、当選した今となっては今後責任ある対策を採らなければ2008年の再選は望めない。 だからハト派のプラットフォームで出馬した議員らが必ずしもイラク即刻撤退政策を打ち出すとは限らない。 
ブッシュ大統領はこの民主党の葛藤を利用すべきである。 ミスター苺は新しい議会が開会する来年の一月に、ブッシュ大統領はテレビネットワークを通じてひとつ大々的な演説をぶちかますべきだという。 下記は物書きであるミスター苺がブッシュ大統領のスピーチライターとして立候補して書いたブッシュ大統領がするべき演説。 (ブッシュさん、読んでね!)

我が同胞アメリカ市民の皆さん今晩は。 去る11月の選挙は多くの論争問題によって決められました。腐敗やスキャンダルの排斥といった誰でも同意できるものから、ほかはもっと複雑なものもあります。
イラク戦争問題がその複雑な問題のひとつです。 アメリカ人のなかには、善良なアメリカ人でこの国を愛しながらも、この戦争は勝てないと考える人がいます。 彼らは我々にできる唯一の方法は敗北してイラクを去ることであると信じています。なにしろ勝利を持って去ることは不可能なのだからと。 私はそうはおもいません。 ほとんどのアメリカ人がそうは考えていません。
そのほかに、アメリカ軍はイラク内部にある基地に退き、我々が援助して築いた新しいイラク軍に残りの戦いを任せるべきだという人もいます。彼らはこのままアメリカ兵がパトロールを続ければ、もっと多くのアメリカ兵が殺される、これ以上の犠牲はアメリカは我慢できないと心配します。 この意見にも私は同意できません。 我々はパトロールを続行しイラクの人々と近い接触を保たなければなりません。 なぜならそれがイラク市民からテロリストに関する諜報を集める手段だからです。 イラクの人々と日々の接触がなければ、イラクで悪行を犯す悪者をみつけることはできません。
しかし時には政権の内外に存在する先鋭な見解を持つ多くのアメリカ人が、イラクで、治安を安定させ、テロリストやジハーディストから勝利を勝ち取り、我々の考える形と違うとはいえ、中東の真ん中に民主主義を繁栄させるという仕事を完遂させるには、アメリカ兵の数が多すぎるのではなく、少な過ぎるのだと論じてきました。
私はアメリカ兵の大幅な増加には抵抗してきました。 なぜなら私はアメリカ兵の足跡が多くなればなるほどイラク人が自らの手で責任を負うことが難しくなると考えたからです。しかし兵力増加の訴えは良識となり、いまや戦地の将軍達のほとんどが同意しています。
私はこの戦争を始めた時から、先ず勝利を勝ち取る責任のあるプロの意見を聞くと繰り返してきました。 現場の指揮官から広範囲にわたる議論を聞き、また議会の新しいリーダーたち及び与党の議員とも相談した結果、私は間違っていたと気がつきました、そして私の批判者は正しかったと判断しました。 我々はサダム・フセインを倒すのに充分な軍隊を送ってその戦争には勝ちました。 しかし主な戦闘が終わった後、私は平和を保つのに必要な充分な軍隊を残しませんでした。
今夜、この場において私はさらに75000兵をイラクに出動させることを発表いたします。 司令担当者たちは早急に詳細にわたって何人の兵士が何処に必要であるか調査書を提出します。 しかしこの戦争に勝つためには次の三つの目的をはたさねばなりません。
イラクのイランとシリアとの国境を守ること。 この二つの国々は双方ともイラクに武器弾薬及びテロリストを潜入させています。 この穴を埋められない限り、ジハーディストに勝つことは出来ません。 なぜならイランとその手先のシリアがその穴からどんどん代わりを送ってくるからです。
我々はイラクの最前線を守らねばなりません。特にアンバー地区ですが、ここに多くのスンニテロリストのアジトがあるのです。
そして最後に、イラク人口の20%以上が住んでいるイラクの首都、バグダッドを平穏化せねばなりません。 これはイランが支配しているモクタダ・アル・サドルの民兵とバーダー旅団といったこちらもイランのムラーたちと親密な関係にあるシーア民兵軍を崩壊させることを意味します。 新しく出動する我が軍のほとんどがバグダッドに配置されます。
新しい部隊は少なくとも一年はイラクに駐留します。そして任務が完遂するまでは撤退しません。 彼らはそのためにこの危険な職務に立候補したのです、任務を遂行させ戦争に勝つために。
我々はイラクのノーリ・アル・マリキ首相と相談し、出来る限りの範囲でイラク政府の祝福を得ながらイラク軍と一緒に行動します。 しかし我々はイラクにある目的を持って侵攻しました。 それはイラク人を解放するというだけでなく、合衆国を守るという目的のためです。アルカエダや他のジハーディストテロ軍団がイラクを温床として、大量破壊兵器を開発し、イラクを拠点に世界中にいるアメリカ人やアメリカ国内へ戦いを挑むことが出来ないようにするためです。
アメリカ合衆国はこの目的を達成するまではイラクから退きません。我々は苦境に不動に立ち向かいます。我々は勇ましく戦います。 アメリカはイラクが今後二度と過激派やテロリストの味方とならず、アメリカ関係及びアメリカ本土そのものを含み他の諸国に対してあからさまな攻撃をしかけないと確信するまでは、は怯みません、負けません。我々は我々を守るためにせねばならぬことを成し遂げるのです、今もそして将来も。
私は議会において両党協力してこの一時的な兵力増加法案を通してくれることを呼びかけます。 上院多数派リーダーのハリー・リード議員、ならびに下院ペロシ議長、そして共和党上院少数派リーダー、ミッチ・ミッコネル議員そして下院少数派リーダーマイク・ペンス議員、らはすでに各党の議員たちと相談をしています。そして我々は全員この戦争に勝つためには一致団結して同じ方角にすすむ意外にはないと同意しました。
両党の多くの議員の方々からすばらしい貢献をうけ、ご支援をいただいたことを感謝します。 神の祝福を受けながら、アメリカ軍の陸軍兵、水兵、空軍兵、そして海兵隊の勇気と根性をもってすれば、我々はかならずや世界中にひろまるジハード戦争に勝つことができるでしょう。 そしてその一番重要な戦場イラクで勝つのです。
今アメリカ人の一人一人が、戦地で敵の弾や爆弾やロケット弾に面している兵士らと同じ勇気をもちさえすればいいのです。 イラクの爆破魔や首切り屋にアメリカ合衆国に面と向かうということがどういうことか教えてやろうではありませんか。 奴らは戦争を欲したのです。奴らは戦争を得ました。 奴らに合衆国アメリカに喧嘩を売った日を生涯悔やませてやりましょう。
ご清聴ありがとうございました。 我々すべてに神のお恵みあれ。

アメリカ人はイラク戦争においていくつかの求めていることがある。

  • 何か目に見えた状況改善の道を選ぶこと。
  • 共和民主が協力して行動すること。
  • そもそもどうしてこの戦争を始めたのかという明確な目的を提示すること。フセインを倒したのはいいが、それがアメリカにどういう関係があるのかが明らかではない。

アメリカ人がナンシー・ペロシ女史とはちがって、イラクで勝つことのほうがイラク撤退よりアメリカのためになると悟って、敗北よりも勝利を選んでくれるといいのだが。
(ところで75000という数はミスター苺が適当にだした数字であって、無論これは現場の将軍たちが決めることだ。)
もし民主党がこの考えに賛成すれば、新しい防衛長官ロバート・ゲイツ氏の任命承認もスムーズにいくだろう。


View comment

なぜ共和党は惨敗したのか

The English language version of this article can be found here.
昨日は気がめいって仕事を休んでホテルに閉じこもっていた、、なんてことはない。 実は風邪を引いて寝込んでいたのであった。 それでもまさかマイケル・ムーアじゃあるまいし三日三晩も寝込んだりはしない。(リベラルの風刺映画監督マイケル・ムーア氏は2004年の民主党惨敗後、気がめいって三日三晩寝込んだという話。) しかし負けは負け。 潔く認めてどうしてこういうことになったのかきちんと反省し、 2008年の大統領選挙めざしてがんばろう!!
選挙前にも書いたとおり、選挙の勝敗はどれだけ基盤が積極的に選挙に参加するかによる。 つまり投票率がものを言うわけだ。 民主党支持者が共和党候補に入れるということは先ずないので、共和党の投票率が悪かったということは共和党が選挙に行く気になれない理由が共和党にあったということになる。 保守派が気がめいって選挙に行く気になれなかった理由とは何か、それを先ず考えてみる必要がある。

  1. ロビーイストのエーブラモフによる不正献金スキャンダル
  2. ランディ・デューク・コニングハム 汚職スキャンダル
  3. オハイオ州贈賄スキャンダル
  4. ペンシルベニア州贈賄スキャンダル(エーブラモフ関連);
  5. ボヘミアのスキャンダル、、、おっとこれはシャーロックホームズだった。
  6. マーク・フォーリーわいせつメールスキャンダル;
  7. 地元優先の法案を別の法案に乗っけて通す、イヤーマークスキャンダル;
  8. 移民問題ついて意味ある改正案通らず。
  9. 国家予算浪費削減に失敗。
  10. イラク戦争に速やかな勝利むかえられなかった;
  11. 14人の裏切り者のために保守派裁判官任命が充分にできなかった。
  12. 8~11のため保守派の怒りを買った。
  13. 共和党リーダーのトム・ディレイ起訴される
  14. ディレイ議員とフォーリー議員の代理候補は土壇場での交代だったため、投票名簿にすら載っていなかった。
  15. 共和党の支持率39%
  16. そして無論大統領の任期6年目という時期。1986年、レーガン大統領の任期6年目のときも共和党は上院の議席を8席も失った。 ただ共和党はもともと少数議席だったため弱かった立場が余計弱くなっただけだが。

お気づきのように、13番から16番を除けば、これはすべて自業自得。 このスキャンダルに満ちた有様はなんだ? 共和党は地方レベルでも全国レベルでも腐敗した議院を監視し取り除くことが出来なかった。 汚職やセックススキャンダルなど常習犯は誰かくらいわかっていたはず。 それを党が積極的に取り除けなかったというのは非常に問題だ。 
7番のイヤーマークというのは、議員が自分の地元に有利は法案を無関係な法案にくっつけて何気なく通してしまうというもの。 このイヤーマークが気に入らなくて他の議員が賛成しなければ、大事な法案までお釈迦になってしまうという汚いやり方。 こういうやり方はぜひともすぐにやめてもらいたい。
8番と9番は共和党内での団結が全くなかったことが原因。 だれも妥協しようとせず自分の要求がすべて通らなければ妥協案も認めない、という態度の議員ばかりでまとまりのなさが顕著に現れた。 見ていてかなり情けなかったね。これじゃあ基盤の支持が減るのは当たり前。 また小さな政府を目指すはずの共和党が民主党と一緒になって国家予算を浪費してちゃ意味ないでしょうが、これは言われるまでもない。
10番のイラク戦争、 これはちょっと難しい。 なにしろ相手のあることだから、アメリカ軍だけが頑張ってもうまくいくとは限らない。 しかし実際にはイラク戦争は試行錯誤とはいいながらアメリカ軍は臨機応変に作戦を変えながら対応していたのである。 にもかかわらず、ブッシュ大統領はただただ「道を保持して」ばかりを繰り返し、アメリカ軍が色々な作戦を取りながら最初のゴールに向かっているのだという事実をきちんと国民に説明しなかった。 反戦メディアはイラク戦争の悪いニュースしか報道しない。 イラクでの功績をアメリカ市民に納得してもらうにはブッシュ政権の積極的な国民とのコミュニケーションが必要なのだ。 ブッシュ大統領はこの点を心して変革していただきたい! (選挙に負けてからラミーを辞任させるくらいなら、選挙の勝敗にかかわらずラミーは選挙後辞任するとあらかじめ発表してしまえば、ラミー長官の仕事振りに不満だった保守派をなだめることができたかもしれないのに、このタイミングの悪さは信じられない。)
11番の裁判官の任命だが、これは非常に大事。 アメリカのような訴訟社会では裁判官が保守派かリベラルかによって法律の解釈がかなり変わってしまう。 カカシは共和党から献金催促の電話が来たとき、保守派裁判官の任命を成功させなければ金は送らないと怒鳴ったことがるくらいだ。 共和党がひとつにまとまって民主党の邪魔立てを阻止していれば、多くの裁判官が任命されたはず。 共和党とは名ばかりのリベラル共和党員をうまくまとめることができなかった多数派リーダーのフリスト議員の人徳のなさがここに現れている。 党のまとまりさえあれば、12番、15番は自然解決する。
テキサス時代からの宿敵検事がトム・ディレイに濡れ衣を着せての起訴は議会はどうしようもなかったが、共和党はトム・ディレイを見放すべきではなかった。 起訴されようとどうしようとこれは濡れ衣だとディレイは議会に残って出馬もあきらめないと開き直るべきだった。 代わりの候補の名前が名簿にも載らない土壇場での辞任なんて最悪だ。
最後の6年目の浮気はまあしょうがない。 他が非常にうまく言っていればこの浮気も克服できたのだろうが、こうもスキャンダルに次ぐスキャンダルではどうしようもない。 
共和党よ、2年後の選挙ではこんな無様な態度をしめすなよ! ヒラリー大統領なんて絶対ごめんだからね!


Comment

米民主党大勝利! 上下院ともに多数議席獲得!

今朝、起きてみたらなんと下院では民主党はミスター苺が予測していた12議席どころか30近くの議席を獲得して10数席の多数席有利で下院を獲得。 上院はなんとか共和が持ちこたえるとおもっていたのに、こちらもわずか一席の差で民主に取られたようだ。 以下CNNの記事より。

民主党の上下両院多数派の獲得、2州の結果待ちに

2006.11.08
Web posted at: 20:31 JST
– CNN
(CNN) 米中間選挙は8日、開票作業が依然続いており、野党・民主党の多数派獲得の可能性も出てきた上院(定数100)では米東部時間の午前6時(日本時間同日午後8時)過ぎの時点で、与党・共和党、無所属を含む民主の獲得議席数は非改選を合わせ各49と互角の戦いを演じている。再集計実施の事態も有り得るバージニアとモンタナの2州の結果が勝負の分かれ目となっている。
民主党は下院(定数435)で12年ぶりの多数派の奪回を決めている。同党が上院の多数派も制すれば、1994年以来となる。今回選挙の最大争点だったイラク政策の政策転換が図られる可能性も出てくる。
上院の改選対象は33議席、下院は全議席を改選する。上院の改選前の勢力は、共和党が55、民主が44、無所属が1。これまでの開票結果で、共和は4議席を失っている。
民主党は2州を制すれば多数派を奪回する。1勝1敗となれば、上院議長のチェイニー副大統領が共和党と投票を同一にするため、同党の多数派支配が継続する。
下院の改選前勢力では、共和が229、民主201、無所属1、欠員4。これまでの開票結果では、共和は27議席を失い、民主が28議席を新たに獲得、多数派の218議席を超えた。15議席の勝敗が決まっておらず、共和が194、民主227となっている。
また、50州中、36州で知事選も実施され、共和党が6州で敗退、民主が勝利を奪った。2州での結果が未定で、共和党が獲得の州が20、民主が28となっている。改選前は、共和28州、民主22州だった。

う~ん、どちらかわからないといっていた州はすべて民主党に落ち着いたようだ。 普通共和党は世論調査よりも良い成績を上げるものなのだが、どうやら今回の世論調査モデルはかなり正確だったようである。
上下共に民主がコントロールするとなると、今後2年間ブッシュ政権はかなり難しい立場におかれることになる。 ブッシュ大統領の権限は大きいが、ブッシュの政策を議会がことごとく邪魔をするという形になるし、また復讐にもえた民主党が共和の議員達を相手取ってあることないことでっちあげては捜査、捜査であけくれる2年になるかもしれない。
イラク戦争のみならず、イランや北朝鮮でも難しい時期であるのに、これは非常にたいへんなことになりそうだ。 税金は絶対にあがるな。 


View comments (2)

米中間選挙いよいよ投票開始!

アップデートあり:後部参照
18:00:00 EST現在
カカシ: 皆様今晩は、東海岸では夕方6時をまわったところです。 バージニアのデスクからお届けする選挙の夜特別番組司会の苺畑カカシです。 東海岸は仕事が終わってこれから投票という方々が増える時間です。 三時間の時差のある西海岸では三時のおやつを済まして、お子さん達が学校から帰ってくる前に家庭の主婦などが投票する時間でしょうか。
全国各地で待機している特派員(ブロガー)からの報告をもとに、この番組では随時選挙の模様を実況でお届けしたいと思います。 では先ず下馬評専門家ミスター苺から選挙予測をちょっと報告してもらいましょう。 ミスター苺はカリフォルニアのハリウッドのスタジオ、Big Lizsards.netで待機中です。 ミスター苺、ミスター苺、状況はどんな具合ですか?
ミスター苺: はい、土壇場になっていくつか発表された世論調査ではなぜか共和党が巻き返しの兆候をみせているため、上院は共和党が失う席は三つから四つでなんとか多数議席を保つという予想が一般的になってきました。 しかし下院はまだ10月末から世論調査がされてないため、10数席から20数席の議席が民主党に渡るという大幅なずれがあり、なんともいえない状態です。
カカシ: わかりました。ミスター苺からは出口調査の情報が入り次第またリポートしてもらいましょう。 さてそれでは各地の投票の模様から、先ずはミッシェル・マルキン特派員からのリポートです。
ミッシェル: 読者の方たちのメールからご紹介します。
カリフォルニア州、タスティン市、投票場に行ったボブ・シューフラーさんは開いている数ある機械のなかから英語で投票できる機会はすべてふさがっており、開いている機械は韓国語、ベトナム語、中国語しかないといわれたそうです。 加州のオレンジ郡は東洋人が多いため多々の東洋諸国の言葉でスクリーンがプログラムされている模様です。 仕方なくシューフラーさんは中国語で投票。 かなり困惑したそうです。 (当たり前だ!)
アラバマ州、ハンツビル市マディソン郡での投票は問題なし。投票場に係員は充分足りていたし、係員は極力客観的であろうと努力していた模様。写真のついた身分証明書を提示した後、英語で書かれた紙の投票券で投票。なにもかもスムーズで全く問題なかった、 とクレイトン・ジョーンズさん。
オクラホマ州、オクラホマ市、 完全な赤い州(共和党支持)のオクラホマの田舎では、近所の人たちが顔見知りなので身分証明書は必要ありません。 投票済みの紙の投票権はすぐにきちんと整理され問題ないかどうかその場で調査がありました。 全く問題ありませんでした。 スコットさん。 (カカシ注:誰が誰に入れたかすぐわかりそうだね。)
カカシ:あ、ミネソタ州のパワーラインスタジオから、今日はワシントンDCへ取材にいっているジョンからの速報です。 ペンシルベニアの投票マシンで問題があったのですか?
ジョン:はい、今朝ペンシルベニアで投票マシンを使った投票場において問題が生じました。 ペンシルベニアに朝7時ごろ、愛国者としての義務を果たすためペンシルベニア中部にある投票場へある男性が訪れたところ、すでに長い列ができており、全く動く気配がなかったとのことです。 現場の係員の話によると投票マシンがきちんと作動開始しないため投票者には外で待っていて欲しいとのことだったそうです。 列に並んでいたある女性は建物に入って事情を聴きに行って出てきたときに、「チェイニーの仕業だ!」と大声で叫んだそうです。 どうやらチェイニー副大統領がペンシルベニア中部の投票マシンを自ら操作した模様です。
カカシ: チェイニー副大統領がそんなことをしていたんですか? それはひどい。 これでは共和党がもし多数議席を保っても民主党は納得いかないでしょうね。 副大統領自らが投票マシンを操作するとは、、、
ジョン: はい。 地元ミネソタ州のレバノン郡でも投票マシンに問題が生じ、投票時間が午後9時まで延長されることになりました。 これもチェイニー副大統領の仕業でしょう。
カカシ: わかりました。 ミッシェル、ジョン、ありがとうございました。 ではここでちょっと休憩し、また後ほどアップデートを報告します。
アップデート1:22:00:00 EST現在
カカシ: 東海岸の投票場は閉まりましたので、だいぶ当選確実の情報が入ってきています。 ここで再びミスター苺にきいてみましょう。 ミスター苺、当選確実は予想通りでしたか?
ミスター苺: はい、いままでに当選確実が決まった上院の議席は下記のとおりです。Dが民主、Rが共和で、ミシガン、ミネソタ、ニュージャージーは現職の民主党が保持。オハイオ、ペンシルベニア、ロードアイランドは民主党の勝利で議席がみっつ増えたことになります。
# MI – Debbie Stabenow (D) vs. Mike Bouchard (R): Democratic hold;
# MN – Amy Klobuchar (D) vs. Mark Kennedy (R): Democratic hold;
# NJ – Robert Menendez (D) vs. Tom Kean, jr. (R): Democratic hold;
# OH – Mike DeWine (R) vs. Sherrod Brown (D): Democratic pick-up;
# PA – Rick Santorum (R) vs. Bob Casey (D): Democratic pick-up;
# RI – Lincoln Chafee (R) vs. Sheldon Whitehouse (D): Democratic pick-up;
カカシ: ということは今のところ民主党優勢ということですか?
ミスター苺: そうです。 でもこれらの席は民主党へ行くと予想されていた席ですから特に驚きではないです。 注目されているバージニア、ミズーリ、テネシーはどれも共和党がリードしていますがその差は小さく接戦でまだどちらともいえない状態っです。
カカシ: 下院のフォーリー議員が辞任したフロリダ16地区はどうなってますか? 
ミスター苺: 当選確実といわれていたフォーリー議員がスキャンダルで辞任したため、確実に民主党に奪われると予想されてましたが、34%の開票で1%の差ですが共和党候補がリードしています。 またどちらともいえないといわれていたフロリダ13地区では共和党が3%のリードしています。 共和党よりと思われていたフロリダ22地区では民主党がかなり優勢で29%の開票で8%もリードしています。 これを取られると共和党は痛いですね。 また接戦のインディアナ9地区は民主党当選確実とフォックスニュースでは発表していますが、ちょっとまだこれは早いんじゃないかと思います。最終結果が出るのは留守投票の結果を待つことになるんじゃないでしょうか。
カカシ: 解りました。 いまのところまだ開票があまり進んでおりませんので、確実なことはいえないようです。 バージニアのデスクからお伝えしました。 次のアップデートをご期待ください。
アップデート2:24:00:00 EST現在
カカシ: どうやら民主党が下院を勝ち取ったようです。 ミスター苺、民主党はどのくらい議席をとったのですか?
ミスター苺: 今のところ三議席優勢で多数議席を勝ち取りました。 しかし三議席くらいでは強い立場とはいえないですね。 なにしろ数人の議員が党一辺倒で投票しないだけで法案は通りませんから。 ただ委員会のリーダーはみな民主党に握られることになりますから、共和党にとっては、イラク戦争の予算案や税金引き上げなどといった難しい2年間になりそうです。
カカシ: でもまだ民主党は議席を増やす可能性はあるわけですよね。
ミスター苺: そうです。 20席くらい取るという予測もありましたから、あと数席とる可能性はあります。 しかし強力な多数派となるためには5~6席優勢くらいではあまり事は進みませんよ。 共和党はもう少し優勢でしたがそれでも色々な法案が立ち往生しましたからね。
カカシ: 上院のほうは共和党がなんとか保持しそうですか?
ミスター苺: 今問題になっているミズーリ、モンタナ、バージニアの三つの州を民主党が全部取れば上院も民主党へひっくりかえることになります。 バージニアのアランとウェッブ票差は数千という接戦で、これでは今夜十には結論は出ないでしょう。 またどちらが勝っても1%以内の差の場合は自動的に再換算がされますから結果が出るのは数日後になるかもしれません。 モンタナは民主党が優勢ですがまだ20%も開票されてませんからなんともいえません。 ミズーリは共和党が3%くらい優勢で多分共和党のコーカーが逃げ切るのではないかと思います。
カカシ: どうやら長い夜になりそうです。 それでは読者のみなさん、カカシは一応今夜の放送はこれにて終了させていただきます。 夜が明ける頃にはもっと色々な情報をお届けできるでしょう。 おやすみなさい。


View comment

オハイオ州: 左翼ブロガーの冗談がとんだことに!

アメリカの選挙で特に共和党にとって大切なのが投票率。世論調査の多くは共和党の投票率をかなり低めに計算しているので、当日の投票率が多ければ多いほど世論調査を乗り切って共和党に良い結果が出ると考えられている。
だから、共和党の選挙運動員はここぞとばかりにがんばって、交通手段のないお年寄りや低所得者を対象にミニバスなどで送り迎えをしたり、戸口訪問や電話連絡で「投票して下さ~い」と呼びかけるので大忙し。 (私も一度共和党に登録している家々を「~議員に清き一票をお願いしま~す」と回ったことがある。 共和党の人たちは結構政治問題には詳しいので、「~議員はこの件についてどのような見解をもっているんですか?」と挑戦されること多々ありで、結構たいへんだったのを覚えている。)
しかしそれを承知している民主党の選挙運動員たちの間にはかなり汚いことをする奴らがいる。 前回などはオハイオ州で共和党の送迎用バス数台のタイヤが切られたり、共和党選挙運動事務所に暴徒が押し入りコンピューターが奪い取られ、ボランティアの伯母さんが怪我をするなどという事件まであった。 
だからそのオハイオ州で、今回共和党の選挙運動部員として潜入し投票促進運動を邪魔しようという陰謀が民主党側にあると言う話を聞いたりすると、あり得ない話ではないと考えてしまうのは無理もない。 (BizzyBlog、Operation Infiltraton Update: HOAX, with Consequencesより)
ことの起こりはBuckeyeStateBlog (BSB) という民主党支持のブロガーが「共和党の72時間投票促進運動で二重スパイになりたい人はここで登録できます!」 と書いたのがきっかけ。 これを読んだ共和党支持のブロガーたちが民主党はこんな汚い真似をしていると書きたてた。 人によってはオハイオ民主党選挙運動を請け負っている会社の幹部を名指しで批判。 どこかの掲示板ではこの幹事長の住所氏名、職場や得意先の名簿までが公表されてしまうという大騒ぎになってしまった。
驚いたのは当の民主党選挙運動会社の幹事長ライアン・フィセルさん。(Ryan Fissel)。 そんな話は聞いていないとあわててBSBに連絡した。 下記はフィセルさんがこの問題を取り上げた保守派のブログ、ビズィーブログへ宛てたメールから抜粋。 (ビズィーブログは最初からこの話には半信半疑だった。)

私が本日この手紙を書いているのは、BSBとPlunderbundが書いた共和党投票促進運動へ潜入するという記事について、いくつかのブログが書いていることに気がついたからです。
私が主に心配しているのは、私の名前や職場のパートナーや他の人たちの名前までがこの混乱に巻き込まれたことにあります。 私はBSBのラッセル・ヒューロックと話をしたところ、彼はこの話はやらせで(共和党の)人たちを心配させて選挙24時間前のイベントに神経を集中できなくさせるのが目的だったといわれました。
ここではっきり申し上げておきたいのは、私はこのやらせには全く関知しておらず、今朝になってBSBのラッセル・ヒューロックに電話して説明を迫るまで全くしりませんでした。 この手紙はフリーリパブリックのコメント欄に私の自宅の住所、電話番号、及び私のビジネスパートナーや顧客名簿までが掲載されたことへの返答です。
BSBのウェッブホストが私の所持しているホスティングサービスである理由は、我々が一緒にウェッブサイトをいくつか経営しており、他のサービスを使うより便宜上楽だったからです。しかし、出来るだけ早くこの状況は変えるつもりです。
これでこのブログで書かれていた情報を訂正していただけると希望します。 もしご質問があればメールをください、どのような質問にも出来る限りお答えいたします。
ありがとうございます。
ライアン・フィセル

共和党をあわてさせようと企んだのに、かえって民主党の選挙運動を邪魔してしまったというお粗末な話。 しかし事の真偽を確かめもせず無関係な人間の自宅の住所や職場の顧客名簿まで公表してしまうという馬鹿ウヨにも充分反省して、迷惑をかけたフィセルさん及び関係者にしっかり謝ってもらいたいものだ。


Comment

米地方選挙の泥仕合、テネシー州の巻

どういうわけか知らないが、テネシーの上院議員選が全国で話題を呼んでいる。 テネシー候補はボブ・コーカー氏(共和)とハロルド・フォード氏(民主)でいまのところコーカー氏が8%優勢。
フオード氏は若くてハンサムな黒人男性で期待の新人。 しかしテネシーといえば南部も南部。 昔ながらの黒人差別意識はまだ根深いと人は言う。私は民主党の黒人政治家は何かとライバルからの批判を人種差別と言ってだまらせようとする傾向があるので、そういう話はいつも眉唾だと思って聞いている。 しかし共和党が作成したこのテレビコマーシャルが人種差別的だと批判されたことは、まあわからないでもない。(YouTubeで見られるがリンクはつながらないので、このアドレスをコピペしてみてくさだい。http://www.youtube.com/watch?v=_vZF5ZTu2Go)
このコマーシャルでは金髪の美女が「私、ハロルドとプレイボーイのパーティで会ったのよ」という映像がながれ、最後のほうで「ハロルド、電話してね」とやって終わる。 コマーシャルではやくざっぽい男が、フォードはポルノ映画制作者から献金をもらったと言うシーンもある。 コマーシャルのメッセージはハロルド・フォードはテネシー出身ではなく、地元の人間とは全く違う価値観をもったハリウッド風のエリートだというもの。 (フォード氏は下院議員の息子としてワシントンDCで育った。)
ただ南部ではまだ黒人男性が白人女性とデートするのはあまり好ましいとされていないため、このコマーシャルはその反感を煽るようなものだと批判されたわけだ。 このコマーシャルはコーカーの後援会が製作したものではなく、コーカー自身も悪趣味だと訴えたためコマーシャルは五日間で取り下げられた。 
私がみたコーカー後援会製作のコマーシャルは結構けっさくで、ハロルド・フォードはハンサムでテレビ写りがいいと何度も繰り返されるものだった。しかしいいのは顔だけで中身は全くないというメッセージがひしひしと伝わってきて効果的なコマーシャルだったと思う。
もっともフォード氏もコーカー氏は大金持ちのビジネスマンで庶民の気持ちなどわからないといったようなコマーシャルを流しているから、まあおあいこだろう。
今日はこのテネシーに、元大統領のクリントンはじめ、ハリウッドスターなどもフォードの応援に駆けつけた。 (やっぱプレイボーイのパーティくらい言ったことあるんじゃないの、フォードさん?) また、フォードの選挙運動員はビデオカメラを持ってコーカー候補をずっと追っかけまわしている。 キャンペーンの最中にコーカー議員が失言するのを見逃さないように見張っているのである。(バージニアの共和党候補、ジョージ・アレンはこのライバル候補の運動員に人種差別的な侮蔑語を使ったとして大批判を浴びて支持率が下がってしまったから、油断大敵。)
テネシーでフォード氏が受かったら、南部から黒人の上院議員がでるのは南北戦争後以来だという。 でもコーカーのほうがテネシー訛り丸出しだし、なんといってもテネシー地元って感じなのでフォードは無理でしょう。 彼が黒人だからというのではなく、彼はどうしても地方の人間って感じがしないので。


View comments (2)

勉強しないとイラクにいくはめに! ケリー議員アメリカ兵を無教養な能タリンと侮辱

アップデートがたくさんあるのでバンプします!
数日前、2004年に民主党の大統領候補として出馬して負けたケリー議員が、カカシの住まい近くのカリフォルニアはパサディナの大学で、知事候補の応援演説をした。 (共和党の知事候補はもちろんシュワちゃん。 圧倒的な支持率だから当選まちがいなし!)
ケリー氏はパサディナ大学の学生を前にこんな「冗談」を述べた。

いいですか、教養とは、それを最大限に生かし、一生懸命勉強して宿題をやって賢くなるよう努力すれば、かならずや報われます。 しかしそれをしないと、イラクで立ち往生するはめになります。

これを聞いた元軍人や現役軍人および一般市民からも、勉強しないとイラクへ行くはめになるってのはどういう意味だ! アメリカ軍に入隊する兵士らは怠け者の能タリンだと言いたいのか! という批判が出たのは言うまでもない。 退役軍人のLieutenant Colonel (Retired) Joe Repya 氏。

わが国で制服を着て奉仕している男女を政治家の冗談の種にするなどもってのほかである。合衆国の退役軍人や現役の兵士らを無教養な負者であると侮辱したジョン・ケリーはわが国の制服を着た勇敢な男女に対して謝罪すべきである。 2005年のイラクフリーダム作戦の帰還兵として、私はティム・ワルツ(民主党下院議員候補)及び民主党にケリーの深刻な侮辱を糾弾するとともに、明日わが州(ミネソタ)における選挙応援への招待を差し止めることを呼びかけるものである。

Repya中佐はイラクだけでなく、ベトナム経験と湾岸戦争の体験もあるひとだ。
あまりの批判の声にケリー議員のスタッフは言い訳に大忙し。 これは軍人がイラクで立ち往生をするという意味ではなく、勉強しないとブッシュみたいな大統領になってイラク戦争で立ち往生するという意味だとかいう見苦し言い訳をしてまわっている。 エール大学での成績はブッシュのほうがケリーより良かったのにねえ、変ですねえこの言い分。
イラク戦争そのものに対する批判なら政治家だからフェアゲーム。どれだけ批判しようとかまわない。 だが大統領の命令で戦争に出かけた軍人を批判するのはおかしい。 軍人は戦う戦争を選ぶ権利などないのだから。 戦争中に命がけの戦いをしている自国の軍人をよくまあこれだけコケにできるものだと読者の皆様もあきれておられることだろう。 しかしケリー氏がこれをやったのはこれが最初ではない。 いやそれどころか、ケリー氏の政治家としてのキャリアが始まったのが反戦運動と言う名の軍人侮辱運動だった。 
ベトナム戦争時代、二度の軽傷を口実にケリー少尉はベトナムから帰還した。 その直後氏はウィンターソルジャースというベトナム帰還兵による反戦運動グループを創設。 議会の公聴会でアメリカ兵がベトナムで強姦、略奪、虐殺と、どれだけ地元ベトナム人を虐待しているかを告発した。 アメリカ兵はまるで「ジンギスカンの兵士」らのように野蛮だと証言した。 加えてソンミ村で起きた一部の兵士らによる暴走が明るみに出てケリーの話は真実味を帯びた。これがきっかけでケリーは輝ける民主党の星として政界にデビューしたのである。
後になってケリーのグループのメンバーの多くがベトナム帰還兵どころか軍隊にいたこともない偽元軍人たちで、ケリーの証言はすべてでっちあげだったことが、本当のベトナム帰還兵らの証言から明らかになったが時すでに遅し。 反戦ムードの高まっていたアメリカではアメリカ兵士らに対する不信感が高まった。
しかし大学へ行けば徴兵が卒業まで延期されるという時代ならばともかく、今の志願制軍隊において勉強しない怠け者の能タリンだけが軍隊に志願すると考えているケリー氏のエリート意識はえげつない。
私は軍人との付き合いが多いが、彼らが口をそろえて言うことはアメリカ軍の強さはノンコムの優秀さにあるというものだ。 ノンコムとはNon commisioned officerといって、下士官では高位の准尉・兵曹長クラスの略語だが、大学を出たばかりの若い中尉などより、学歴はないが下士官の中ではベテランで経験豊富な曹長などのほうがよっぽど頼りになる。
軍隊の中では将校らは色々なセミナーを受講するが、これらの学校の指導員の多くがノンコムである。 生徒の将校らのほうが位は高いので教師であるノンコムは口調は丁寧で必ず「サー」という敬称を付けて呼ぶが、生徒の将校らは位は低いこれらのノンコムに非常な敬意を評する。 一度海軍の特別部隊シールの訓練キャンプの模様をテレビで観たとき、ノンコムの指導員が生徒の将校に向かって大声で怒鳴っている姿があったが、普通なら「おら、おら、もたもたすんな~!」というところを「もたもたすんな~」といっておきながら最後に「サー」と付け足していたのには笑ってしまった。
余談だが、私は仕事柄元軍人と一緒に仕事をすることが多い。 特に企画部長になる人は大抵が軍隊で指揮官の立場に居た人だ。 しかし誰が元将校で誰が元曹長かはその態度ですぐわかる。 
「おい、カカシ、なにやってんだ! さっさとケツあげて仕事しろ!」 というのが曹長。 「カカシ君、ちょっと急いでやってくれないかな。 すぐ必要なのでね。」というのが元将校。 
とにかく、アメリカ軍には優秀なノンコムが多いため、個々の小隊が独自の判断で臨機応変な行動ができる。 また軍そのものがそういう有能な個人の判断を起用できる組織になっているところが、アメリカ軍独特の強さにつながっているのである。 コソボでロシア軍と一緒に警備の仕事をしていた軍人が言っていたが、ロシアの軍隊にも有能な軍人はいくらでもいるが、組織そのものが柔軟でないため個々の指揮官らが独自の判断で動くことができないと語っていた。 以前のアフガニスタンや現在のチェッチェンでロシア軍がアメリカ軍のイラク戦争犠牲者などとは比較にならないほどの犠牲者を出しているのもこの柔軟性のないトップダウンの機構に問題があるのである。
このような有能な軍人の多いアメリカ軍隊を怠け者の能タリンと呼ぶとは、ケリーとは全くけしからん男である。 これだから2004年の大統領選の時、ベトナム退役軍人(特にケリーが所属していた海軍速力小型船隊の元メンバー達)からアンチケリー運動が起きたのも納得できるというものだ。
戦争中にこんな議員を応援に呼ぶ民主党の候補達は、またまたアメリカ市民の気持ちを逆撫でしたようである。
アップデート: ミルブログでも最大のBlackFiveに面白い記事が載っている。 昨晩陸軍士官学校ウエストポイントと、空軍士官学校のエアフォースアカデミーのフットボール試合があった。 その時だれかが大きな横幕を立てあげたのだが、そこには「私たちはケリーより頭の悪いひとたちを支援します」と書かれていた。 それを読んだ陸軍生はどっと歓声を上げた。 横幕が空軍生のスタンドの方に向けられるとそちらからも歓声がわいた。
ブラックファイブは「ケリー、陸軍と空軍の心をひとつにさせる、、、」と感慨深げだ。 
アップデート2: ミッシェル・マルキンのサイトにも面白い写真が載っている。 イラクにいる州兵数名が横幕を持っている写真に副大統領が寄せ書きをしている図。 横幕には「ケリーさん、助けて、僕らはイラクで立ち往生しています。」と書かれている。
アップデート3: 上記と同じ写真の拡大版が載ってる日本語ブログがあったので、リンクしておこう。 マイネ・ザッへさんとこのStupid Soldiers. 写真の横幕メッセージで、Rが裏返しになっているのにご注目。 これは子供がよくやる間違い。 なにせイラクで立ち往生してる兵士らは教養がないもんねえ。 
訂正! あ、Rは反対じゃなかった! 失礼間違いはhelpとイラクのスペルでした!


View comments (4)

ケリーの弟子? 反戦イラク帰還兵のおかしな戦話

先ほどケリー上院議員がベトナム戦争帰還後にあることないこと、(ほとんどないこと)をでっちあげて反戦運動をしたという話をしたばかりだが、新世代にもケリーのような帰還兵はいるらしい。 ミズーリ州上院議員選挙で民主党のクレア・マックカスキル(Claire McCaskill)候補の選挙運動テレビ広告では、ジョシュア・ランスデールというイラク帰還兵がイラクで負傷した足首を軍事病院で診てもらうのに6ヶ月もかかった、これというのも軍隊医療費増加法案を反対した共和党議員のジム・タレントのような政治家のせいだ、と言う証言をしている。
ランスデール君は実際にイラク帰還兵で軍医をしていて、2003年から2004年にかけてイラク戦争に参加していた。 同じランスデール君はまた別のテレビコマーシャルでも、「イラクのせいで世界はもっと危険になった。」という台詞でちょっと登場していた。 「していた」というのは実は今は登場していないからだ。 その理由はというと、
実はランスデール君がイラクで負傷した後診察を受けるまで6ヶ月もかかったという話がどうも胡散臭いのだ。 軍事病院がいくら能率が悪いとはいえ病院の話ではイラク帰還兵は最優先で治療を受けられることになっており、長くても30日以内に治療をうけられるはずだという。 この疑問に答えるためにマックカスキル候補はランスデールに診断書を提出するように要請したが、ランスデール君はマックカスキルからの電話に答えようとしないで逃げまくっているらしい。
この4月、ランスデール君は自分が足首を怪我した状況をこのように語った。

「かなり危険な場所でした。 私たちはたくさんのモーター弾や、路肩改良爆弾、自動車爆弾などの攻撃を受け、ヘリコプター墜落もたくさん目撃しました。 私たちは国連爆破時の救援にあたりました。 私は燃える建物やら、車やら、バイクなどの爆発から何人もひきずりだしました。」

しかしイラクでランスデールと同じ隊にいた別の帰還兵らの話によると、どうもランスデールが語ったこの勇ましい手柄話にもかなり後から尾ひれのついた自慢話になっているらしいのだ。
ランスデールの所属していたのは陸軍の予備隊487、エンジニア部でイラク出動は2003年5月から2004年4月までの一年間。同じ隊で消防隊チーフをしていたゲリー・クーエン(Gary Kuehn, SFC/AGR, Retired)さんの話では、、( Gateway Pundit

一度ヘリコプターのタイヤがパンクして一人の兵士が大怪我を負い、一人が死亡という事故がありました。 また一度バイクを運転していた兵士が臨設トイレ清掃車にぶつかって頭に大きなたんこぶをつくるという事故がありました。 それ以外には我々が居た間、飛行機やヘリコプターの墜落など一度もありませんでした。 我々はバグダッド近くには行きませんでしたし、大使館の建物もキャンプアナコンダへ行く途中に通りすぎだだけです。
モーター弾による攻撃は幾晩もありましたが、我々や消防署の付近まで届いたのはほんの1~2発で、しかもそれはほとんど最後のほうでした。 敵の撃った95%ははずれか不発でした。 私の部下の消防士で燃える建物から人を引きずり出した者はひとりもおりません。 二人ほど火事と戦っている最中に熱さから倒れるということはありましたが。
ジョシュア・ランスデールは確かにアメリカでは見られない色々なことを目撃したのでしょう。 しかし彼の話はあまりにも大げさ過ぎます。 私の部下に三人ほど彼など想像もつかないほど死に近づいた者達がいます。 彼の診断書をみるまではなんともいえませんが、私は彼が足首を怪我をしたことを思い出せません。 ねんざくらいはしたかもしれませんが、、

私は戦争体験者が自分の手柄話を誇張して友達や親戚に語る分には全く問題ないと思う。 たとえ自分自身危険な目にあっていなくても死ぬかもしれない戦場を覚悟で戦争に行ったというだけで帰還兵にはそのくらいの自慢話をする権利はあると考えるからだ。 しかし、それが講じて他人を傷つけるようなことになるとしたらこれはいただけない。 そのようなことをするのは自分のせっかくの栄誉に泥を塗るだけでなく、もっと危険な目にあった他の軍人達にも失礼である。
しかしこの地方選挙の泥試合、醜いものだな。


Comment

バージニア選挙戦不思議に絡む蜘蛛の巣(ウェッブ)

カカシが出張中のバージニア州上院議員選は民主党のジョージ・アレン(共和)とジム・ウェブ(民主)との戦いである。 ジョージ・アレン氏は元バージニア州知事、上院議員も一期勤めた経験があり、当初ウェッブ氏より10%以上もリードしていて確勝といわれていたが、数ヶ月前ライバル候補の黒人スタッフに対して差別用語を使ったとしてメディアにかなり叩かれたせいで、大幅リードがかなり狭まり今は僅か3%程度の優勢に留まっている。
しかし民主党の候補者ジム・ウェッブ氏は非常に不思議な人間なのだ。 以下ウィークリースタンダードに載ったアンドリュー・ファーガソンのコラムを参照に紹介しよう。(Tangled Webb、Cognitive dissonance in Virginia、by Andrew Ferguson)
ウェッブ氏はベトナム戦争体験軍人で、紫章を二つ、銀章、海軍十字章をもらっている申し分ない英雄である。 氏はレーガン大統領(共和)時代には海軍長官としてレーガン政権内部で勤めた経験もあり、一度は共和党員だったという噂もある。 特にウェッブ氏の一般市民による銃砲所持権利への熱烈な支持は民主党員としては問題である。またウェッブ氏は以前に左翼政治活動家が訴訟を悪用してアメリカの伝統を破壊しようとしているなどと書いたこともあり、はっきり言ってどうしてこんな極右翼が民主党の候補者になったのかと非常に不思議だ。
ウェッブ氏はまた戦争小説の作家でもあり、特に南北戦争では南部側への同情心を強くみせている。 彼は南部軍の英雄リー将軍にちなんで息子をロバートと名づけたくらいだ。 彼の小説では伝統的な価値観を持つスコッツアイリッシュ移民が左翼の多様文化主義者の犠牲者となりながら後に反撃していく姿が暴力的な戦闘シーンなどによって描かれているという。
どうもファーガソンのコラムを読む限りは、ウェッブ氏は民主党候補というより極右翼が行き過ぎて共和党からおいだされた、これもアイルランド移民の息子パット・ブキャナンとの共通点のほうがかなりあるように思えてならない。 ウェッブ氏はブキャナンと同じでアメリカ国内の労働者を外国人移民労働者や外国産業から守るという主義であり、資本主義にも批判的で大企業への政府からの税金免除などにもかなり批判的である。 この間も述べたようにこういう社会主義の右翼は、ファシストと通じるものがあって非常に危険だ。 
では何故このような社会主義右翼がリベラル民主党の候補者になったのかといえば、それは一重にウェッブ氏のイラク戦争反対の姿勢にある。 ウェッブ氏はイラク戦争がはじまる前の2002年からイラク戦争絶対反対の姿勢を貫き通している。 言ってみれば彼のキャンペーンは、イラク戦争全体反対以外には何もないのである。 民主党は本当に戦争中にただただイラク戦争反対、切捨て遁走を唱えるだけでポピュラーな共和党候補を破ることが出来るのであろうか? またイラク戦争反対というだけで、このような右翼を選んでしまうことがリベラル民主党にとって有利なことなのだろうか?
ところで、ウェッブ氏の小説にはかなり性的に変態的な描写が出てくるという。 しかも女性虐待描写が非常に多いという話である。 いくら小説に不思議なセックスシーンが出てくるからといって必ずしも著者に変な趣味があるという理屈にはならないが、ライバルのジョージ・アレン氏はこの小説の内容を利用して選挙運動に使ったようだ。 ま、やり方が汚いといえば汚いが、ウェッブ側のアレンに対する攻撃もかなり汚いからどっちもどっちといったところだろう。
バージニアでは上下議員の選挙だけでなく、州において結婚の定義を男女一人づつに限るという憲法改正案も出されているが、ウェッブ氏はこの改正案にも反対である。保守的なバージニア州でこのような意見がどれだけ支持を得られるかみものといったところだろう。 


View comment

米中間選挙接戦地域の勝敗はいかに?

お断り: 下記はカカシがネットアクセス不能になる前の10月27日現在の予測です。
普通アメリカの中間選挙では大統領と反対の政党が議席を巻き返すということになっている。 前回2002年の中間選挙では共和党が議席を増やすという異例の事態が発生したが、これはアフガニスタン戦争中でイラク戦争直前という状態がもたらした特別な状況だったという判断が通常である。
今回の選挙ではイラク戦争があまりうまくいっていないという印象を国民が持っているだけでなく、任期6年目のブッシュ大統領への支持率が比較的低いということなども影響して、共和党は議席を失うだろうというのが通常の観方だ。
問題は共和党がどのくらいの議席を失うか、それによって与党としての座を上下議会で守り通すことができるかどうかということにある。
共和党内部の極右翼のあいだではブッシュ政権のイラク政策や違法移民問題への対策が軟弱すぎるという批判から、これらの人々が投票拒否をするのではないかという懸念がある。 それで悲観的な見方をするひとたちのなかには共和党が下院で25議席も失い、上院でも多数議席を失うと確信している人たちもいる。 だが、ミスター苺は状況はそこまで切羽詰ったものではないと結構楽観的にみている。
先ず下院。 確実に民主党が増えると思われるのは2議席。 多分民主党へ傾くだろうというのが7議席。 可能性があると思われるのが8議席。確実の2議席は民主党にやるとして可能性ありは半分こして4議席とすると、6議席となる。多分の議席は2/3から3/4が民主党にいくとして計算すると、合計で民主党の議席増加は10から12議席ということになる。 真ん中を取って11議席とすると、すれすれだが221:214で共和党がかろうじて多数議席を保てるという予測。
上院はというと、今問題になってるレースは13議席のみ。 そのうち当ブログが確実に民主党にいくと考える議席はペンシルベニアとオハイオの2議席と多分がロードアイランドの1議席。 どっちともいえないのがメリーランド、ミシガン、ニュージャージーの3議席。 ここは一歩譲ってこのうち2議席を民主党がとるとすると、合計で5議席増加。 しかしどっちともいえない議席のひとつかふたつを共和党が取れば、民主党の増加は3から4議席となり、上院もかろうじて共和党が多数議席を保つ。
この見解は楽観的すぎるというご批判もあるだろうが、Hugh Hewittのブログで書いてるディーン・バーネット氏の見解は当ブログの予測よりもさらに楽観的である。 ( The Smell of Victory, Posted by Dean Barnett )
バーネット氏はオハイオは駄目だが、バージニア、モンタナ、テネシー、ニュージャージー、マリーランド、ミズーリ、は共和党が勝てると宣言する。 ミスター苺が民主党確実と判断しているペンシルベニアや多分と判断したミシガンですらサントラム候補、やボーチャード候補の支持率高揚に期待が持てるという。 ロードアイランドはどっちともいえないが、現役のリンカーンチェイフィー氏は共和党とは名ばかりのリベラルなので、どっちかいうと負けて欲しいというのがバーネット氏の見解。
楽観的なミスター苺ですら、バーネット氏の予測は楽観的すぎると言っているが、さてさてどうなることやら。


Comment