先日ロシア・ウクライナ戦争に関して、ウクライナ国内におけるアメリカやNATO軍の関与に関して機密情報を漏洩した21歳の州兵軍の一等兵が逮捕された。私は機密情報をを漏洩する行為は許せない。特にわが軍の位置や作戦を敵に漏らすような行為は非常に危険だ。

逮捕されたのはジャック・ティヘラ、21歳。マサチューセッツ州の州軍空軍の一等兵。航空警備隊所属で専門はサイバー輸送システム、いわゆるIT専門家だ。彼は「ウクライナに対する米国およびNATOの援助や、米国の同盟国に関する米国の情報評価について詳述」されてる書類の写真をディスコード(Discord)というソーシャルメディアにアップした。

興味深いのは彼の逮捕にはワシントンポストの調査がかなり貢献しており、言ってみればポストが警察の捜査に手を貸したのである。これは非常に不思議な状況だ。これまでにもトランプ政権内部の情報が漏洩したことがあるが、メディアはその情報元を隠すのが普通だった。ところが今回に限ってはメディアは政権の手先となって情報源の暴露に手を貸している。本来であれば、こういう情報こそメディアがこぞって入手し、ティヘラ本人に色々インタビューでもするのがジャーナリストとしての本筋ではないのか?それを早々に本人の逮捕に率先して協力し政権に不都合な情報元の口を塞ぐというのはおかしな話である。

機密情報を漏らすというのは決して許されることではないが、今回の場合、これは単なる漏洩というより内部告発であるという意見もある。それというのも露・ウ戦争の実情はバイデン政権が国民に知らせていた内容とかなり違っていることがわかってきたからだ。

ワシントンポストによるとティヘラはディスコード内部の招待客のみのプライベートチャットに情報をアップしていたらしい。

「(ティヘラ)は政府に対して暗い見方をしていた。若いメンバーは、米国、特に法執行機関や情報機関を、市民を抑圧し、闇に葬ろうとする不吉な力として話していたという。彼は “政府の行き過ぎた行為 “についてわめいた。OGはオンライン仲間に、政府は恐ろしい真実を国民から隠していると話した。」

しかしチャットルームのメンバーたちは、ティヘラはメンバーたちに自分の知識をひけらかすことのほうが目的だったような感じだったと語っている。ではいったいどのような情報が漏洩したのか。APの記事から引用。

「文書は、ウクライナに対する米国およびNATOの援助や、米国の同盟国に関する米国の情報評価について詳述しており、これらの国との関係を緊張させる可能性があると思われる。

また、2月と3月のウクライナとロシアの戦場での位置関係や、失われた戦場道具の正確な数、同盟国からウクライナに新たに流入した戦場道具の数など、リアルタイムの詳細を示すものもある。

また、ウクライナの重要な防空システムのミサイルがあと少しで枯渇しそうな状況も明らかになっている。そうなれば、ウクライナの空は、すでに都市やインフラに打撃を与えているロシアの空爆や砲撃にさらされることになる。

韓国、イスラエル、アラブ首長国連邦などに関するこれまで報道されなかった機密情報も含まれている。

どれだけの文書が流出したのか、明確な答えは出ていない。AP通信が閲覧した文書は約50件で、総数では数百件に上るとの推定もある。」

インテリジェンサーの記事にはもう少し詳しい情報が載っている

「ワシントンポスト紙は、リーク元に関する報道の中で、『約300枚の機密文書の写真を確認した』とし、また、他の情報報告を書き写したと思われるテキスト投稿も確認したと述べている。メディアの報道の多くは、リーク元の約100の文書のコレクションに焦点を当てている。Post紙の報道を見る限り、当初流出したのはそれよりもはるかに多くの資料のようだが、ほとんどの文書は公開されていないようである。

今回公開されたファイルは、NSA、CIA、国防情報局、DEA、国家偵察局(米国のスパイ衛星を管理する機関)が収集した情報に基づき、主に2月から3月に作成された説明文書やスライドの写真である。文書には、同盟国との共有が許可されたものもあれば、米国のみへの公開が指定されたものもあり、これは米国の情報源からのものであることを示す大きな手がかりとなった。

この文書の多くは、統合参謀本部議長のマーク・ミリー氏のために作成されたようだが、十分なセキュリティ・クリアランスを持つ人なら誰でもアクセスできただろう。最初の画像に写っている文書は、機密扱いのブリーフィングの一部である可能性が高く、折りたたまれてページを撮影できる場所に持ち去られたようです。ニューヨーク・タイムズ紙は、画像の余白にある詳細と、リークした疑いのある人物の実家の写真の詳細とを照合することができた。

流通しているリーク文書の中には加工されたものもあるようだが、どうやらそれはリークされた後に親ロシア派のプロパガンディストによって行われたようだ。」

機密情報の漏洩は決して許されることではないので、この青年は厳重に罰せられなければならないが、しかしウクライナの戦況は我々が知らされてきているほど好況とは言えない。

政権が現在続行中の戦争に関してすべての状況を詳細に国民に説明する義務はない。そんなことをしたら敵に我々の手中を知られてしまうからだ。しかしだからと言って、負け戦をあたかも勝ち戦であるかのように報道することは国民への裏切りだ。メディアが政権のいいなりになって大本営報道しかしなければ、国民はこの負け戦のために血税をウクライナに送っていることすら知らずに生きていくことになる。

今現在アメリカのインフレはものすごいことになっている。卵一ダースが1000円もするのだ!

ロシアへの経済制裁は何の役にも立っていない。それどころかかえって欧米の燃料が足りなくなり庶民は恐ろしいほどの値上げに苦しんでいる。

前にも書いたが、カリフォルニア今期の冬は例年になく雨季が長く続き、気温も摂氏0度から10度程度の日々が三か月以上も続いた。この間に天然ガスの値段が4~5倍に跳ね上がり、苺畑家の暖房費は普段の10倍!もっと大きな家に住んでいる家庭では、ガス代の自動引き落としの最高金額の400ドル(5万円近い)を越してしまい、ガス会社から上限を引き上げるように要請が来たという。

未だにコロナ禍の悪影響で経済的に復帰していない人が多くいるというのに、それに煽りをかけるようなこの不況。そして続くウクライナの戦争。

すでにウクライナにはアメリカ軍の特別部隊が出動していることが今回の漏洩ではっきりした。つまりアメリカはすでにロシアと戦争をしているということになる。こういう大事なことは大統領だけの決断で決めてはいけないはずだ。議会はどうなっているのだ?

軍事機密情報の漏洩はいけない。だが、そうしなければならないと思った兵士の気持ちもわからないではない。


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