納税申告終わった。

アメリカでは4月15日が納税申告の締切日。

毎年私は一月末か二月中旬くらいまでには申告を済ませてしまうのだが、今年から主人が仕事をやめて隠居生活になったこともあり、例年とは違うフォームを使うということでかなり焦っていて、すごく不安だった。

実は私は家計に関することには結婚以来全く関与してこなかった。お恥かしい話なのだが、私にはそういうことは分からないと思い込んでいて、なにもかも主人任せだった。まあそういう家庭はアメリカでは珍しくない。家計の財布の口を主婦が握っているの普通の日本と比べて、アメリカの女性は意外と家庭内での権力はない。

しかし数年前から主人は視覚がかなり弱まり細かい文字を読むことは無理になった。コンピュータースクリーンも長く見ていることもできないので、こういう面倒くさい仕事はすべて私がすることになったのだ。そして、もう今年で4年目なので主人は完全にノータッチ。「任せるよ」と言ったまま手伝ってくれそうにない。書類はすべて1月中に整っていたので、やろうと思えばいつでもやれたのだが、なんか億劫というかなんというか、ぎりぎりまで後回しにしてしまった。しかし何かあった時のためにも、三月中には済ませてしまわねばと本日本気で取り組んだというわけ。

まあ今は便利なソフトがあるので、言われるままにフォームを埋めていけばいいだけなのは助かる。昔は紙のフォームにいちいち記入して大きな封筒に入れて税務署に郵送していた。私が引き継ぐ前の年に、主人が言い張ってすべてを印字して署名して税務署に郵送したが、何週間、何か月経っても音沙汰がない。税務署は電話に出ないので悪名高いため、問い合わせもできない。結局オンラインで申請をしなおしたところ、数日後にリファンド(返金)が届いたという経験がある。というわけなので今はオンライン専門だ。

しかし自宅が職場だった主人が引退したことで、光熱費やガソリン代が控除対象から外れたのは痛い。収入はゼロでも主人の引退は黙っていて、そのまま無収入でも仕事は続けてる体を装おうかなとは思ったのだが、脱税の罪を着せられるのは嫌なので、やっぱり辞めた。

来年は私も引退してるかもしれないな、そしたらまた新しいフォームを使うのかな?本当に面倒くさいなあ。

警察に通報されたお爺ちゃん

うちのお爺ちゃんは認知症ではあるが、アルツハイマーのひとのように徘徊癖などはない。ただ土地勘はかなり狂っているので親しみのある道でも迷ってしまうことはある。だが行きつけのスタバくらいまでは行って帰ってくるくらいは出来ている。店のなかにはいってコーヒーを注文するなどは無理だが。

最近は昼間だけ面倒を診てくれるデイケアセンターに通うようになっていた。ただ一人で家にいても、特に危険なことをするわけではないし、足腰はしっかりしているので転んでけがをするといった心配もない。それで、デイケアの時間と外れ、どうしても用があって誰もお爺ちゃんの世話ができない時は、数時間お爺ちゃんを一人にさせることはたまにあった。

しかし昨日事件は起きてしまった。

昨日はどうしてもお爺ちゃんを一人にして出かけなければならない用事が出来てしまった。連れていけるところには連れて行っているが、どうしてもだめな場合もある。それで私はお昼用にサンドイッチや果物を用意してテーブルの上に置いておいた。テレビもつけっぱなしにしていれば何かやってるから大丈夫だろうと思って家を出た。

数時間後、帰宅途中に携帯に電話がはいった。出るとお隣の奥さんからだった。「お宅のお爺ちゃん、外のポーチでずっと座ったままだけど大丈夫かしら?」あ、そうですか、いや、いま帰る途中なんで、もうすぐ着きますし。どうもすいません。しかし道は混雑しており事故などもあり、結局すぐそこまで来ていながら帰宅したのはその電話を切った30分後だった。

帰るとお爺ちゃんが正面玄関の前でうろうろしていた。近づいて顔を見ると泣いていたような顔つきだった。すぐに家に入れ、寒かったのでホットチョコレートを用意して飲ませた。夕飯の支度をしようとエプロンを付けた時、玄関からノックの音が。

出ると二人の警察官がいた。

「お宅の家の前で、困惑した男性が歩き回っているという通報があったのですが」あ、うちのお爺ちゃんですね。もう大丈夫です。「お話させてもらえますか?」え?なんか信用されてない?お爺ちゃんを呼ぶと口の周りにチョコレートのついたお爺ちゃんが玄関先に現れる。

「お爺ちゃん大丈夫?どっか具合悪いの?病院行く?」と警察官は親切そうに私を無視してお爺ちゃんに聞いた。お爺ちゃんは憤慨した様子で「わしは大丈夫じゃ。何を騒いでおる」と答えた。警官らはその後もお爺ちゃんに話しかけ、何か自分らに出来ることはないかと聞いていた。しかしお爺ちゃんはこの時とばかりにふんぞり返って「大丈夫じゃ」を繰り返していた。

後でこの話をツイッターでしたら、ネグレクトだと思われたのかもと言われてはっとした。笑いごとでは済まされない。私は障害者の老人を放ったらかしで外出した無責任な家族だと思われてしまうということか?

では今後は一人で散歩とかにも行かせられないということなのだろうか?

色々考えさせられる一日であった。


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