松岡宗嗣というLGBT活動家が『「男性が心は女性だと言えば女湯に入れるようになり、それを拒むのが禁止される」という言説がいかに誤りか』を説明しているといって過去の記事を紹介していたので、彼の説明とやらを読んでみようと思う。私は未だ読んでないので、ここで紹介と私の意見を加えながら読者諸氏と一緒に読んでいこう。

我々条令反対派は推進派のいう「差別」の定義が曖昧であり、どんなことでも差別とされてしまう危険性を唱えているが、松岡氏は次のように説明する。(強調はカカシ)

差別禁止への反対言説のなかに「差別の定義が曖昧だ」というものがある。前述のように、「差別的取扱い」とは、採用拒否や入居拒否などの「合理的な理由のない区別の取扱い」を指す。「当事者が差別だと感じたら、なんでも差別になってしまう」という言説も見受けられるが、当然そんなことにはならない。(略)

しかし、そもそもの「差別的取扱いはダメだ」という前提のルールすらない現状では、明らかな差別の被害を受けても、当事者は泣き寝入りしなければいけない。そもそも法律で「差別はNO」と明記されていないため、声をあげることすらできない現状がある。

法律を作るにあたって、こうした法的な議論を無視して、「なんでも差別になる」とか、「差別の定義が曖昧だ」というのは、反対するための説明になっていない。一概に差別とはみなされないケースを持ち出して、他の深刻かつ明確な差別的取扱いも含めて、「だから差別を禁止すべきではない」というのは理由にならない。

いや、だから何が差別かわからないのに、それを禁止などできないという話をしているのに、「禁止法すらない」では何の説明にもなっていないではないか。我々の言ってることが反対の理由になっていないというのは本末転倒。差別を禁止しろと言っている方が差別の定義をすべきである。ちゃんとした定義がない以上、「当事者が差別だと感じたらなんでも差別になってしまう」と思われるのは当然なのであり、そんなにことにはならないなどという松岡の保証には何の価値もない。

次に松岡氏は「内心や差別発言が罰せられる」のかという質問について色々書いているが、はっきりいってこれは藁人形論。増進法にも禁止法に法的な罰則がないというのが前提なので、違反したから法律によって罰せられるとは誰も思っていない。問題はどんな行為が違反したとされて訴えられる根拠になるのかということだ。

それで三つ目の項目「訴訟が乱発される」のかという点。はっきり言ってこの法律では刑事責任を問われるようなことはないので、法律に意味があるとしたら訴訟を前提としたものしかない。これに関して松岡氏も同意している。強調はカカシ。

前述のように、差別禁止法があれば、具体的な差別的取扱いの被害を受けた際に大きな後ろ盾となる。これまで被害を相談することすら難しかった状況を変えるきっかけとなるだろう。

その一つとして「訴訟」という形で問題提起され、被害を受けた人が救済されたり、調停やあっせんを受けられることは重要だ。「乱発」という言葉の印象操作によって悪いイメージが付けられようとしているが、悪質な被害について訴訟が提起されることはむしろ必要なことだろう。

ここで、「なんでもかんでも『差別だ』と主張し、訴訟が起きるかもしれないだろう」という反論が予想されるが、訴えた側が「差別」であると立証することには高いハードルがある。なんでもかんでも差別的取扱いに該当する、などという簡単な実務ではないことは強調しておきたい。(略)

声を上げにくい状況を変えるためにこそ、差別禁止という基盤が必要ではないだろうか。

「乱発」の定義がはっきりしないので、それが起きるとも起きないともいえない。ただ、松岡氏はこれまでよりも訴訟が容易になると言っているので、訴訟は明らかに増えることが予想される。松岡氏は自分で自分の質問に答えている。

松岡氏はもう一つ条令が社会の分断に繋がるのかという点について書いているが、この条例に関してそんな抽象的なことで反対している人はいないので、これも藁人形論だ。

さて、では肝心の「「男性が『心は女性だ』と言えば女湯に入れるようになり、それを拒むのが禁止される」のかという話について、松岡氏はこれは「トランスジェンダーをやり玉に挙げたバッシングとして代表されるのがこの言説だが、これも誤りだと言える」として説明しているが、ぐだぐだと長ったらしくてわかりにくいので箇条書きにする。

  • 「LGBT差別禁止条例」が施行されている約60の自治体でも、こうしたケースが起きて利用拒否が禁止された、という事例はない。
  • 埼玉県で同様の条例ができた際、提案者の自民党県議は、公衆浴場に営業の自由があること、管理者が入浴施設への立ち入りを禁止することが、一律に差別的取扱いで条例違反になるわけではない点を説明している。
  • 差別禁止の規定が、「迷惑行為防止条例」や「建築物侵入罪」などの適用を否定するわけではない点も説明している。

聡明な読者諸氏にはもうお分かりと思うが、こんなことは何の説明にもなっていない。これは条令が通った自治区で「まだ」問題がおきていないというだけの話であり、今後も起きないという保証はどこにもない。

拙ブログをご愛読の読者諸氏はよくご存じだが、トランスジェンダー許容の法律がアメリカ各地の州で通りはじめたのは2015年くらいからである。法律が通った当時から女子トイレや更衣室で性犯罪が起きはしたが、女性達が女子施設に男がいると言って声を上げ始めたのはつい最近のことだ。

2015年当初に起きた問題は単に女子施設に男性が入り込んだというだけでなく、実際に女子施設で女児が襲われたり隠し撮りをされたりといったあからさまな犯罪行為が起きたことで、これがトランス許容が原因だと考える人は少なかった。

しかし2021年のWiSpa事件を皮切りに、あちこちの女子更衣室やお手洗いなどでどう見ても男性に見える人たちが男性の裸体をさらけ出しているという苦情があちこちで聞かれるようになった。そして女性達の訴えも空しく、法律なので施設側はどうすることもできないとし、訴えた女性達がかえって警察に通報されるなどという理不尽なことが起き始めたのである。

拙ブログでもトランス許容法が通った当時、全く問題は生じていないというバズフィードの記事を紹介したことがある。法律の悪影響は通ってすぐにわかるとは限らないので、日本各地の自治体で法律があるのに問題はおきてないじゃないかというのは全く意味がないのだ。

それに、アメリカでの例でもわかる通り、一人の被害者が表立って苦情を述べると、他にも「実は私もそういう目にあった」と言い出す人が出てくる。WiSpaの事件も表ざたになったのは一件だけだが、施設側の対応が慣れていたことから考えて、同じような問題は以前にも何回か起きていたと想像できる。

つまり、こうした法律の悪影響が多く問題視されるようになるまでには、多くの被害者が我慢して泣き寝入りしている可能性は非常に大きいのだ。だから今問題が表ざたになっていないから問題がおきていないなどとは断言できないのである。

というわけで思った通り、松岡氏は「自称だけ女の男が女子施設に入ってくるなんてことにはならない」ということを全く証明できていない。


2 responses to LGBT理解増進法や差別禁止法が通ったからと言って、自称だけ女の男が女子施設に入ってくるなんてことにはならない、という活動家の嘘を暴こう

野崎晃一12 months ago

前略

ジャーナリスト松田隆氏のサイト 令和電子瓦版
2023年3月17日
LGBT団体「男が女湯に入るはデマ」こそデマ

上記の記事に一部引用させて頂きました。

失礼いたしました。

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    苺畑カカシ12 months ago

    こちらですね。

    まさしくその通り。今の状況は聞いてない。法律が通ったらどうなるんだという話をしている。また浴場をどういうふうに区別するかを経営者に一任することは、活動家からの圧力がかかって非常に危険。まったくの正論。

    https://reiwa-kawaraban.com/society/20230317/
    デマとされる内容:LGBT理解増進法案が成立すれば、性自認女性の男性が女湯に入れるようになる。

    (1)厚労省の管理要領では「男女を区別」とされている。

    (2)この場合の「男女」はジェンダーではなく、セックスとしての「男女」。

    (3)心と体の性が一致しない人の場合は施設管理者と調整が必要。

    (4)男に見える人が性自認女性で女湯に入れるというのは誤り。

     このような流れとなっている。まず、デマとされる内容は、あくまでもLGBT理解増進法案が成立すれば、ということが前提となっている。ところが、立石弁護士は現在の法令、要領について論じており、(4)で「現状では性自認女性の男性が女湯に入れない」と結論づけている。SNS上で広がっている不安は、現状では認められていない「性自認女性の男性が女湯に入る」が、LGBT理解増進法案が成立することで骨抜きにされる、つまり男が女湯に入ってくる、というものである。

     立石弁護士はあくまでも現状を説明したに過ぎない。それなのに、将来状況が変わった時に発生するかもしれないことを否定するかのように文章の中で使われているのはどういうことか。書いた記者が何らかの政治的意図を持って書いているか、そうでなければ理解力が著しく欠如しているか、どちらかであろう。

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