日本ではColaboという若年層の女性を救うという慈善事業の運用資金の使途を巡って色々話題になっているが、この問題が表に出た経緯と今イギリスでおきているシススペース(Sistah Space)(カカシ注:シスターと伸ばさずにわざと「シス」とタと短く発音して強調するのが黒人風訛りである。)の問題が似ているのでちょっと紹介したい。

皆さんもお聞きかもしれないが、シスたスペースの代表ヌゴズィ・フラ二(Ngozi Fulani)という女性がバッキンガム宮殿で行われたカミール王妃主催の「女性と少女を暴力から救う」イベントで、故エリザベス王妃の側近を60年以上も務めた女性から自分の出身地について詰問されたという話を自分のSNSに挙げた。フラニはカリブ海諸島移民二世で、生まれも育ちもイギリス。

そんな彼女に対して、この側近が彼女の出身地についてしつこく詰問したと言うのである。

フラニによるその時の会話は次の通り

先ずレイディーSHはフラニの長い髪の毛を肩からよけて名札を確認すると。

SH:あなたはどこから来たの?

フラニ:シスたスペースです。

SH:あ、そうじゃなくて、どこから来たの?

フラニ:ハクニーからです。

SH:そうじゃなくて、アフリカのどこから来たの?

フラニ:わかりません、ちゃんとした記録が残っていないので

SH:どこから来たか知ってるはずよ。私は以前フランスに滞在したことがあるけど、あなたはどこから来たの?

フラニ:ここイギリスです。

フラニによれば、この後もレイディーSHはしつこく彼女の出身地を聞いたという。フラニのツイートによれば、彼女がイギリス国籍を持っていると主張しても、レイディーSHは諦めずにしつこく食い下がったというのだ。

これによって宮廷側は即座に謝罪し、レイディーSHは解雇された。しかし私はこの話を最初にツイッターで読んだ時になんか変だなと思った。それで「え?今の時代に?信じられない」とツイートを返した。相手の人は私が「そんな人種差別する人がまだいるの、信じられない」と言ったのだと思ったようだが、私はそういう意味でいったのではない。私が信じられないと言ったのは、この話が本当だとは信じられないという意味だった。

フラニのチャリティーは主にアフリカ及びカリブ海諸島系移民の女性を対象に行われている。それで彼女は当日もアフリカ系民族衣装を身にまとい、髪の毛もドレッドと言われる黒人特融の編み込みスタイルだった。イギリスには色々な国からの移民が多いことでもあり、レイディーSHはフラニが何処の国の移民を対象にチャリティーをしているのかを聞こうとしたのではないだろうか。

フリージャーナリストのアンディ―・ノーも指摘しているが、他人との会話をそうはっきり覚えている人がいるだろうか?もしこんなに正確に覚えているとしたら録音でもしていたのか?だが録音していたのだとしたら何のために?

それはともかく、この数日後、シスたスペースは活動を一時休止せざるおえなくなったという。それというのも、この事件のせいでスペースへの脅迫などが殺到しスタッフの安全確保のためしばらく活動休止となったというのが公式な理由。しかし実はもっと下世話な理由があるのではないかという人がいる。

写真:ヌゴズィ・フラニ

UK: Charity Commission Investigates Sistah Space Books After Anonymous Twitter Post Of Financial Records

フラニのツイートが掲載された数日後、匿名でシスタスペースの運営にいくつかおかしな点があるというツイートが上がった。そのことから慈善事業の運営を監視するチャリティーコミッション(慈善事業審議会)がその運営事情について捜査に乗り出したのだ。

審議会は未だ捜査中とのことだが、SNSではシスタの運営費がきちんとした使途に回っているのかどうか色々取沙汰されている。

Susan Hussey with late Queen

シスタが設立されたのは2015年。黒人女性とその娘が暴力的な愛人によって殺されたことがきっかけだった。シスタは主にアフリカ及びアフリカ系カリブ海諸島の移民女性救済をしている。

このチャリティーは2021年3月決算で政府から357,000ポンドの支援金と寄付金を得ている。2018年から19年から5万ポンドもの増加である。

同団体はイギリス政府のあらゆる組織から支援金を受け取っている。例えばthe Greater London Assembly (GLA),など。そしてthe Department for Culture,Media, Digital and Sport, and Comic Relief, 同団体のホームページデザインと運営のために6万ドルも寄付している。 

同団体が実際に不正を行っているという証拠はまだない。単なる匿名告発者のツイートがあるだけだ。しかし火の無いところに煙はたたないというか、左翼慈善事業が綺麗に運用しているとは到底おもえないし、第一宮廷の側近女性を罠にはめるような小細工をする女性が運営しているチャリティというのも胡散臭い。

シスタスペースは宮廷のレイディーをやたらに攻撃して目立ってしまったことがかえって墓穴を掘ることになったのではないだろうか?


2 responses to イギリスの黒人女性救済慈善事業、宮廷女性を差別者扱いしたことが藪蛇となる

よもぎねこ1 year ago

 「Where you from?」はワタシでもわかる英語で、ヨーロッパ旅行中も他の旅行者や現地の人から何度か聞かれました。
 これが何で人種差別なのか全然わかりません。 
 態々出身国の民族衣装を着ているのだから、イギリス人である事よりも出身国をアピールしたかったのでしょう?
 実際、出身国の女性の救済活動をしていたのだし。
 そういう人に出身国を聞くのが失礼と言うのは、全然わかりません。
 日系人ならこういう場合は、「自分は日系人で、現在は英国籍です。」と答えるだけじゃないですか?

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    苺畑カカシ1 year ago

    この理屈は、非白人は皆外国人に違いないという先入観が人種差別的なのだというものなのですが、おしゃるとおり、スワ二は民族衣装を着て自分のルーツを強調する格好をしていたのですから、外国人だと思われても仕方ないと思いますね。もし彼女が短い髪の毛で普通のスーツを着ていたら、こういう質問を受けたでしょうか?

    私もよく「どこから来たの?」と聞かれることはありますが、その意味を理解していてもわざと意地悪く「アナハイムです」とか言ったりします。でもすぐに「元々は日本です」と言って悪気はなかったことを伝えます。

    日系人が聞かれたら「祖先は日本からですけど、私は生まれも育ちのもハワイです」とか言えばいいだけの話で、いちいち差別だのなんだの騒ぐほどのことじゃないと思いますね。

    レイディーSHは60年も故エリザベス女王の側近をしていた人ですから、賢いはずです。もしどこから来たのという質問に、こういう答え方をする人に出会ったら「ああ、この人はイギリス生まれであることを強調したいようだ」とすぐ気づいたはずです。だから多分このやりとりは嘘だと思います。レイディーは多分「そうじゃなくて、あなたの団体はどこの国の移民を対象にしてるんですか」みたいなことを聞いたはずだとおもいますね。

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