前回に引き続き私の「銃犯罪に関する五つの神話」に対するKenichiro McAlinn氏の反論を紹介していこう。

神話1: 大量乱射事件はガンロビーのせいである

NRAのロビーによってデータの電子化や収集が禁止されたり銃関連の研究のファンディングが阻止されてたりします。なので銃関連の研究は必要以上に大変、リスクが高い割にリワード(研究費)が小さいですね。

もちろん全国ライフル協会はロビー団体でもあるわけだから、政府に全く影響を及ぼせなければ存在の意味がない。だからMcAlinn氏のいうような活動をにNRAがしていたとしても不思議ではない(私は賛同できないが)。しかし私が言いたいのは、NRAの影響力が厳しい銃規制を阻止することに繋がっているとは思えないということなので、銃関係の研究が多少邪魔されているという程度では、彼らの影響力を判断するのは困難である。はっきり言って何故NRAが真実のデータを集めることを邪魔するのか理解できない。

神話2: 大量乱射事件がおきるのはアメリカだけである

これは乱射事件と定義が曖昧なので単純比較できないですね。記事のソースではこのランキングの問題点を指摘していて、人口の問題でノルウェーが一件で一位だったり、よりいい測り方だと米国が一位ですし、年ごとに見るとわかりやすいです。

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年度別にみれば、人口の少ない他の先進国と比べてアメリカが大量射殺の犠牲者が多いというのは本当かもしれない。しかし、McAlinn氏は乱射事件自体が稀な出来事であると認めており、本来は銃による犯罪や自殺について比べるべきだという。

私は銃による他殺を比べるべきというのには賛成だが自殺を含めるのは正しくないと考えている。なぜなら日本など銃のない国でも自殺はアメリカよりも率が高いからだ。自殺は銃がなくても他の方法でいくらも達成することができるため、銃による殺人の数に含まれるべきではないと思う。

それにしても何故比較を先進国のみにするのか、南米やアフリカを比較対象にしないのは犯罪率には銃云々以外の他の要素があると認めていることにならないか?

神話3: 常識ある銃規制があれば今回の乱射事件を防ぐことができた

まずテキサスで身元調査が義務付けれられてるのは免許ベンダーだけで個人間やオンラインは身元調査がないです。そして統計的な問題をanecdoteで語るのは誤謬です。実際にARを違法化した結果、事件数は(トレンド以上に)減少してます

ここではっきりさせておきたいのだが、私が言う銃規制というのは銃所持を全面的に禁止する規制のことを言う。銃購入の際の身元調査や精神鑑定など厳しくすることに全く異論はない。ただ、何故氏がここでテキサスの身元調査の話を持ち出すのかわからない。テキサス乱射事件の犯人は合法に銃を購入しており、きちんと身元調査も受けていたが、18歳という若年であったせいか犯罪歴もなく身元調査ではひっかからなかったのだ。

さて、1994年にアサルトウエポン禁止令が出て10年後の2004年で期限切れになるまで続いたが、この間に犯罪率が減ったというのは事実。しかし犯罪率は禁止令がでる前から減る傾向にあった。よしんばMcAlinn氏がいうように「トレンド(傾向)以上に減少」したというのが本当だったとしても、それなら何故違法の期限が切れた2004年以降も犯罪率は減り続けたのだろうか?もしARの違法化がそれほど効果があったのであれば、合法になった途端に犯罪率が激増するはずだが、そうはならなかったのだ。もしかして犯罪率減少には他の要因があったのでは?

こちら私が2013年に書いたエントリーより。

(2013年当時)たった二十年の間に銃による殺人事件は半数に、他の銃犯罪も急激な減少をみせている。減っているのは銃犯罪だけでなく、犯罪全体がアメリカで劇的な減少をみせているのだ。1993年から2011年の間に銃殺人はなんと39%も減ったという。これが殺人に至らない銃による傷害事件になると69%も減ったというのだから驚く。無論、銃はアメリカの殺人事件ではもっとも頻繁に使われる凶器で、三件のうち二件は銃殺人だという。また同調査では被害者が銃を使って身を守ったという件は1%にも満たなかったという。

当時私はこの犯罪率減少の傾向はこの間に多くの州が申請さえすれば、合法に銃携帯が出来るいわゆるCCW法があちこちの州で通ったからではないかと推測していた。

1990年半ばから20年に渡って銃犯罪激減の原因として考えられるのは、申し込み次第許可が降りる銃砲携帯許可法(CCW)が全国各地に広まったことだ。CCW法は2002年から2012年の間でなんと29州から39州にとひろまった

確か今は41の州で合法なはずである。これは果たして偶然の出来事だろうか?

これだけでCCWが犯罪減少の役に立ったと結論付けることはできないが、少なくとも銃携帯者が増えたことが犯罪増加につながっていないということは出来る。つまりここでも銃規制が犯罪減少に効果があるとは言い難い現実があるのである。

神話4: アサルトライフルこそが悪の根源

これも誤謬。ARは全体の問題の一部。数が少ないからと言ってどうという問題ではない。

この人よっぽど「誤謬」って言葉が好きなんだな。いやいや、ARのようなライフルやショットガンが犯罪に使われる率は全体のたったの3%なので、これこそが悪の根源だというのはおかしいだろうという話をしているのだ。規制しろというなら、なぜ犯罪で圧倒的に使用される拳銃を違法にしろと言わないのだ?

このあたりにくると氏も反論には飽きたようで、理論が怠慢になってくる。氏は多くの銃弾を収納できるハイキャパシティーマガジンについても書いていたが、そうしたマガジンを禁止している州でも乱射事件は起きているので、これもまるで意味がない。

神話5: 憲法補正案第二条設立時にアサルトウエポンの所持は念頭になかった

法学者ではないのでそこまで言及しませんが、この解釈は2008年の判決以後だと理解してます。そもそもARをもったところで米国軍には勝てないので空論だと思いますが。

建国の父たちは時代とともに銃が改良されることは無論念頭に入れていた。だから新型のライフルが憲法創設当時に存在していなかったからといってそれが憲法で保証されている権利に含まれないなどということがあるはずはない。なんと建国の父たちは民間の船が大砲を備えることすら憲法で保証されていると思っていたほどだから。

ま、これについては氏も専門外で言及はしないと言っているので、私もこれ以上はつっこまない。

最終的感想

ツイッターなどでは、全く何の根拠もなく、ただただ、お前の書いてることは間違っている、というだけの人が多い中、McAlinn氏はさすがに統計学者だけのことはあり、色々と興味深い資料を提供してくれた。それについては私も勉強になったし非常に感謝している。

私の氏からの反論の反論はこんなところ。これが納得のいくような理論になっているかどうかは聡明なる読者諸氏の判断にゆだねることとしよう。


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