さて先ずは良いニュースから。トランスジェンダーに関する臆面もない強い批判をしたことで、HBOの年末ハリー・ポッター20周年記念番組から疎外されていたJ.K.ローリンゴ女史が、HBOの新しいCEOによって、新しい企画に参加する旨が報道された。どうやら女史への謹慎処分は解けたようである。特筆すべきは、彼女はこの間、キャンセルカルチャーに屈服せず、謝罪したり迎合したりこびへつらうような行為は一切してこなかったということだ。それどころか、常に強気でツイッターなどでトランスジェンダー活動(TRA)への批判を辛辣に行っていた。ではどうしてHBOは彼女への態度を改めたのだろうか?

読者諸氏もご記憶に新しいと思うが、Netflixで人気コメディアンのデイブ・シャペルが自殺した自分のトランスジェンダー女性の友達の話を番組中にしたことで、シャペルがTGをバカにしたとしてNetflixの従業員が抗議デモをした。シャペルは後にハリウッドボウルで公演中に舞台に登ってきた男に刺されそうになるという暴行を受けたほどだ。

シャペルはおよそ右翼保守ではない、それをいうならローリング女史も左翼過激派フェミニストと言ってもいいような人だが、シャペルは自殺した自分の友達への追悼の意味でトランスジェンダリズムについて語ったにすぎないのだ。彼は一流コメディアンで大人気なので、彼のスペシャルを観た人は非常に多い。これまでに右翼保守をおちょくるコメディをいくらもやってきた人物でもあり、こんな人までポリコレにそぐわないと批判される文化とはいったい何なんだろうと多くの人が考えたはずだ。

右翼保守のベン・シャピーロやマット・ウォルシがトランスジェンダーを批判するのは誰も不思議に思わない。左翼リベラル達も右翼保守はどうせホモフォブでトランスフォブだと思い込んでいるから、彼らの発言になど耳を傾けない。しかし今まで十分左翼リベラルで自分らがファンだったり尊敬していた人たちまでポリコレに反すると批判されるようになると、いったい彼らの言った何がいけなかったのだろうかと不思議に思う人たちが出てくる。そしてその中には彼らが何を言ったのかをきちんと聞いて、別に何も悪いことを言っているようには思えないと考えるひとが出てくるはずだ。

どうして「男は女になれない」「女性を生理のある人などと呼ぶな」といった発言がいけないのだ?「女子刑務所に男子を入れるな」「男子を女子競技に参加させるな」という考えのどこがいけないのだと感じる人が出てくるはずだ。

そして今日、アメリカ人気トークショーホストのビル・マーがまさにそれをやった。彼は自分の番組の冒頭の独白でLGBTの行き過ぎたポリコレを痛烈に批判。特に子供の性転換の危険性について言及した。

「すべてが君たちのことばかりじゃないんだよ」

とビル・マー。彼は王道のコメディアンで左翼リベラル。これまでにも左翼的な発言で右翼保守を散々批判してきた男だ。しかし彼をしてまで、これはおかしい、と言わせるということで、どれだけLGBT運動が過激化したかが解ろうというものだ。

しかしもっと注目すべき点は、ビル・マーが彼の番組で公にこのような発言をしても大丈夫だと思ったことである。少し前ならローリング女史のちょっとしたツイートで彼女が自分の書いた本のスペシャルに出演できないような背景があったにも関わらず、今ならこれを言っても大丈夫だとマー自身も番組制作者も判断したことが興味深い。

私はビル・マーに信念があるなどとは思っていない。彼は典型的な日和見主義の芸能人。だから彼の今回の発言は勇気がある行為だなどと評価する気はさらさらない。しかし、彼がこのような発言をしても安全だと判断した裏には、左翼リベラルの間でさえもLGBT活動は行き過ぎていると感じる人が増えている証拠だ。彼のジョークを笑い飛ばす観客の反応も興味深い。

実は最近LGBTQ+に迎合したメディアの失敗が次々に報道されている。以前にもお話したように保守派の間で言われ始めた言い回しに”Get WOKE, Go Broke”というのがある。WOKEというのは目覚めるという意味のwakeの過去形だが、ここではポリコレへの極端な配慮を指す。つまり、「ポリコレのやりすぎは破産への道」といった感じだ。

2~3年前思春期前の少女のストリップもどきのダンスを描いた映画で批判されたNetflixの売り上げが今期かなり落ち込んでいるという。またこの間フロリダの児童手懐け禁止法を公に批判したディズニーも売り上げが伸び悩んでいるという事実がある。多くの観客はもうLGBTQ+一辺倒のメディアにいい加減うんざりしているのである。

これに加えて大柄な男子が女子スポーツで次々に記録を塗り替えたりしているのを見て、一般市民は「おいおい、ちょっと待てよ、それは違うんじゃないか?」と思い始めているのだろう。キャンセルカルチャーはその社会の協力なくしては起き得ない。社会全体がそれはおかしいと口にするのを恐れ無くなれば、TRAの特権もまた失われるのだ。


1 response to 風向きが変わった?LGBTQ+運動の行き過ぎに左翼リベラルすら嫌気がさし始めた今日この頃、ローリング女史のキャンセルも終わる

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