俳優のジョニー・デップがDVの汚名を着せられて人気映画の出演を取り下げされるなど、キャリアに多大なる損害を与えられたとして、元の妻アンバー・ハードを名誉棄損で訴えた裁判が今行われている

実は私はジョニー・デップという俳優は全然好きではない。彼はハリウッドスター典型の左翼リベラルで、しょっちゅうアメリカの悪口を言って、常時フランス住まいだったと記憶している。それに彼の演技はわざとらしくて好きになれない。ミスター苺などデップが嫌いすぎて、彼の出ている映画は極力避けているほど。多分最後にデップの映画を見たのはディズニーのカリブの海賊たちのシリーズ第一弾だったと思う。それにしたって私のお目当てはオーランド・ブルームだったし。

ま、そんなんで、2~3年前にデップが前妻からDVで告発されたという話を聞いた時も、まあハリウッドリベラルなんてそんなもんだろうくらいに思っていた。もちろん離婚時に妻が夫のDVを持ち出すのはよくあることなので一概に妻の言い分だけを信じるというわけにはいかない。しかし二人は示談で離婚しデップ側から前妻に700万ドルという慰謝料が払われていたことでもあり、まあ多少の暴力はあったのだろうと理解していた。

しかし、今回の裁判を少し観ただけでも当初の報道にはかなりの誤りがあったと理解できる。実はデップはDVの加害者というよりも、妻からのDVの被害者だったのではないかと思われる事実が色々出てきているのだ。

先ずことの時系列を追ってみよう。これはスティーブン・クラウダ―のサイトより引用。

  • 2016年5月、一年足らずの結婚で妻のアンバー・ハードが離婚訴訟を起こす。
    • ジョニーから暴力を振るわれたと主張。.
    • ジョニーは妻の主張を全面的に否定。
  • 2016年8月。示談で離婚は成立。
    • ハードは700万ドルの慰謝料を受け取る。
    • ハードはその慰謝料をACLUやLA子供病院に寄付すると宣言した、彼女が実際に寄付をしたという記録はない。
  • 2018年12月。ハードはワシントンポストにジョニーの暴力を告発するエッセーを投稿。SOURCE: WaPo
    • 記事ではジョニーを名指しで責めてはいなかったというものの、「2年前に私は家庭内暴力を代表することとなった。それによって告発する女性に対する社会からの恐ろしい力を感じた」と明らかにジョニーを指す文章があった。
    • ジョニー・デップはハードに対して5000万ドルの賠償金を求めて名誉棄損で訴訟を起こした。

昨日法廷でジョニー・デップ自身が証言したが、ハードによるデップへの暴力はかなりすさまじかったようで、公開された録音テープによると、ハードはデップを殴りながら、自分が殴っていることを誰に言っても信じてなんか貰えないわよ、とあざ笑っている音声が残っている。

またジョニーはアンバーからウォッカの瓶を投げつけられ、その瓶が指に当たって指先を切断という大けがを負っている。その時のことは医者にもきちんと報告されており、怪我の写真も公開された。デップは当時、おおやけにはドアに指を挟んだと体裁を繕っていた。

そのほかにもアンバーによるジョニーへの虐待が色々提示され、これは被害者はアンバーではなくジョニーなのではと思えるような供述がどんどん出て来た。

さて、ジョニー・デップの裁判で浮彫になってきたのは、実はDVと呼ばれる家庭内暴力は結構女性が加害者であることが多いということだ。

連邦政府保健省発表の2020年の子供虐待の調査によると、子供を虐待する親は母親の方が父親よりも多いという数字が出ている(Table 5-3 Perpetrators by sex)。無論母親のほうが子供といる時間が長いので必然的にそうなるのではないかという見方もあるが、同じ調査で母子家庭と父子家庭でも子供への虐待は母子家庭の方が多いという結果も出ている(Table 3-14 Victims by relationship to their perpetrators)。

無論これは子供虐待の調査であって男女間での暴力を示すものではないので、これだけ見て男女間での暴力の加害者が女性の方が多いと結論づけることは出来ない。しかし子供に暴力を振るうような女性は配偶者に対しても暴力的な傾向があると考えることは自然だ。

女性の場合でもDVの被害者は誰にも相談せず、ましてや警察に届けるなどと言うことをしない人が多いので、ましてや男性となれば女性に暴力を振るわれても我慢している人はもっと多いことだろう。だいたい男性は自分がDVの被害者になっているという認識さえない人がほとんどだ。

こちらは日本の内閣府男女共同参画局DVの現状に関する調査結果。このアンケートでは女性の方がDVの被害にあったと応えた人の方が多く、配偶者からの被害経験の有無で数回から1~2回と答えた人は、女性が31.3% 男性が19.9%。身体的暴力となると女性は19.8%で男性は14.5%。

確かに女性の被害の方が多いのだが、それでも男性の14.5%は結構多い。また、興味深いのは、DVに関して誰かに相談したかという質問に対して、女性の4割、男性の約7割が誰にも相談していないと応えている。そしてその理由は「相談するほどのものではないと思ったから」というものだ。

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男性の方が身体的に強者であるから、女性から多少殴られたくらいでは大した怪我はしないだろう。男性が女性と同じことをしたら女性は大けがをする可能性があるので、病院で手当てを受けていればその記録も残る。

アメリカでも日本でもそうだが、夫婦喧嘩で暴力沙汰になり警察が呼ばれても、たとえ加害者が女性の場合でも正当防衛で女性の手を払いのけた方の男性が罪に問われるなどということは日常茶飯事である。それにせいぜい引っかかれた程度の怪我では男性も警察を呼んだり医者のお世話になったりはしないだろうから公式な記録に残らないのは当然だ。

上記のアンケートでも解るように、女性からぶたれながら罵声を浴びせかけられるといった虐待をDVだと認識していない男性は結構いると思われる。

恐ろしいのは、女性が男性を告発すると、Me Too運動でも解るように「すべての女性を信じろ」などと言い出す人たちが居て、ジョニー・デップのようにDVを犯したなんの根拠もないのに、別れた前妻の証言が全面的に信用されて男性のキャリアや名誉が一遍に汚されてしまうということだ。そして男性には弁解の余地も与えられない。こんな理不尽なことがあるだろうか?

私が無実の罪を他人に着せる偽被害者を心から憎むのは、無実の罪を着せられた人のこともだが、本当のDVや強姦の被害者が信じてもらえなくなるからである。こういう偽物が自分は犠牲者だ生存者だと言って騒ぐたびに、本当の被害者の声がかき消されていくのである。

ところで、私自身も有罪だが、メディアの言うことを鵜呑みにしてはいけないとつくづく思う。カイル・リッテンハウスの時もそうだったが、事件そのものに関心がなくニュースの見出しだけ読んでいると全くの勘違いをしてしまうものである。私もいくら嫌いな芸能人のスキャンダルだからと言って、すぐに信じることは慎まなければと思った。


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