数日前にロシアの戦死者の数が一万五千近くなっているという話を聞いた時、まさかそんなバカなと思った。20年続いたアフガン・イラク戦争での米軍戦死者の数がせいぜい8000人程度だったことを考えると、ほんの数週間で15000人の戦死者なんてあり得ないだろうと思ったからだ。しかし本日ネットで拾った情報によると、ロシア軍の損失は10年続いたアフガニスタン侵攻の数をすでに上回っているという。下記の表、左側が1979年から1989年まで続いたアフガニスタンでの損失。右側がウクライナ侵攻でのこれまでの損失。一番上が戦死者の数。そのすぐ下が将軍の戦死者だ。

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断っておくが、この数はウクライナ側からの発表なので、実際こんなにひどい損失があったのかどうかは分からない。少なくともロシア政府は公式発表をしていないのでこれが正確な情報であると確信することは出来ない。私個人の意見としては多すぎると思う。

しかし、ロイターの記事によれば、去る23日(3・23・22)ロシアでは黒海艦隊の副司令官Andrei Paliy艦長の葬式が行われたとある。戦死者の合計もさることながら、複数の重要な将軍たちが戦死していることはロシア軍にとっては大打撃である。

ウクライナ発の情報によると、ロシア軍は6人の将軍とともに大佐など高官の戦死者がかなり居るとのことだ。

実際に6人もの将軍が戦死したかはともかく、高階級の将校が何人も戦死しているということは、ロシア軍の諜報能力にはかなり不足があると言わなければならない。ロシア軍はウクライナ軍の砲の位置をしっかり把握していなかったようだ。それに比べてウクライナ軍はロシア軍の特に司令官の位置をその携帯のシグナルから確定出来ていたようである。

ロイターの記事を読んでいて学んだことは、ロシア軍は非常に中央集権であるため、伍長などのいわゆるアメリカ軍でいうノンコムという下士官による判断が許されていない。アメリカ軍の強みは大佐や将軍の命令を受けなくとも、現場に居る伍長クラスの判断で即座に決断を下すことが出来ることにある。ロシア軍にはその仕組みがないため、高階級の司令官がわざわざ第一戦に出ていくことになり、その分危険にさらされてしまうということらしい。

実は日露戦争の時も、日本海軍は現場司令官にかなりの決断権をゆだねていたが、ロシア軍は上からの命令を待っていなければならず、連絡が遅れて日本軍のような臨機応変な作戦が立てられなかったという話を聞いたことがある。

ところでウクライナ軍がロシア軍高官の居場所を彼らの携帯のシグナルで追っていたという話だが、別の記事、The Ukrainians Are Listening’: Russia’s Military Radios Are Getting Ownedによると、ロシア軍はウクライナのセルを使っているため、ロシア軍の情報はウクライナ側に筒抜けなのだという話である。

アメリカの郡専門家の話によると、ロシア軍はウクライナ侵略にこんなにてこずると思っておらず、長期にわたるコミュニケーションシステムをきちんと用意していなかったのではないかという。それでウクライナ軍はロシア軍のラジオ通信を妨害したり、将軍の居場所を確定して狙撃するなどしているという。

ロシア軍はまた、彼等の秘密伝達システムがきちんと機能しないため、暗号化されていない普通の携帯を使うなどしているため、ウクライナにはロシア軍の情報が駄々洩れになっているというのだ。

そしてこのコミュニケーションの問題は、地上軍と空援軍との連携プレーがきちんとできないという弊害を及ぼしている。イラク戦争の時に色々学んだのだが、アメリカ軍は地上軍が敵陣に大量の兵士で「突撃~!」などとやるような戦争はもうしない。地上軍の役割は敵の陣営を確定し、それを空援軍に知らせて空からピンポイントで標準攻撃をするのだ。めったやたらな突撃は兵士を大量に損失させるだけで効率が悪い。また意味のない無差別空爆は民間人を多く巻き込むだけでなく、弾と燃料の無駄づかいである。

しかしロシア軍はこの無差別攻撃をやってしまったため、暗号化コミュニケーションに必要な3Gと4Gの携帯コミュニケーションタワーをも破壊してしまった。

ロシア軍はウクライナのインフラをここまで破壊する計画ではなかったはずだと専門家は言う。ロシア軍はウクライナを迅速に制覇し、なるべくウクライナは無傷のまま占領してしまおうと思って居たはずだ。

またロシア軍は戦闘員たちに適切な訓練をしておらず、ウクライナ国境に居た隊は自分らがまさかウクライナに侵攻するなどとは思ってもいなかったため混乱が生じた。ウクライナ攻撃が命令されてからたったの24時間でどこの隊が何処を攻めるのか、誰がコミュニケーションをコントロールするのか全くといって準備がされていなかったため、なんと一般市民がどこからでも聞こえるような周波でウォーキートーキーラジオを使ったりしていたというのだから驚く。

こういうおかしな戦争をやってしまうというのも、プーチンが独裁者ならではのことだ。たとえ軍内部に、この作戦は愚策だと思ってる人がいたとしても、独裁者であるプーチンに意見できる人など、もうロシアには残っていないのだろう。

もっともアメリカ軍だってバイデンによるアフガニスタン撤退時に信じられない作戦をとって無様な失態を犯しているので、人のことは言えないけどね。


1 response to ロシア軍の損失、10年続いたアフガニスタン侵攻を上回る

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