ツイッターで欧州の立場からロシアへの経済制裁はそう簡単にはいかないという話をしていた人がいたので、こちらに引用する。著者は松尾豪さん。バイオを読むと「国内外電力市場・制度の調査を行っています。コメントは殆ど備忘録。CIGRE会員、電気学会正員、公益事業学会会員 資料・図表引用などのお問合せはgo.matsuo@eesi.co.jpまで。」とある。

私は、拙速な対露制裁について疑問を持っている。米国内の政治状況は不勉強なので言及しない。どちらかというと、私の問題意識は欧州委員会にある。 今回、ストラスブールの欧州議会に対露制裁を提案したのは、フランス・ティメルマンス上級副委員長である。彼は、「European Green Deal」担当、即ち環境政策担当である。

どうも、「再エネ導入」が目的化しすぎているのではないか。何故今日の事態を招いたのか。 社会経済を維持しながら、ロシアに対して最大限の打撃を与える方法は一体何なのかを考えるべきであるが、欧州委員会の再エネの更なる導入は論理的な解決になっているとは思えない(化石燃料大増産による資源価格低下を目標にすべきではないか?)。

再エネ導入を否定しているのではない。 短期・中期・長期の政策を一緒くたにして再エネを絶対視し、肝心のロシアへの打撃を与えることができない、目的不在の政策、戦略の不備を指摘しているのである。

もっとはっきり言いましょう。 エネルギー資源の対露制裁はロシアを利するだけです。資源価格の高騰を呼び、ロシアの販売量が減少したとしても、それを補って余りあるほどの収益を資源価格高騰で埋めることができる。西側諸国は一旦立ち止まって、本当にロシアに対する対応策を真剣に考えるべきだと。

もっと申し上げると、これは本物の戦争です。SDGs的な雰囲気が見受けられ、空気・流れで対露制裁が決まっていく風潮に大変な疑問を感じています。 ロシアが痛みを感じる制裁であるべきで、再エネ導入や資源禁輸が目的化するなど、あってはならないことです。これは人命がかかっている話です。

まったく松尾氏のおっしゃる通りなのだ。ロシアから原油を買えなくなれば、よそから買わなければならなくなるわけで、原油の供給が減る分値段が上がる。結局ロシアから買うしかない国々がその分高くなった原油をロシアから購入するためロシアにとってこの制裁は痛くも痒くもないというわけ。

では一体我々西側諸国はどうすればいいのか。それは松尾氏のいうように長期的な計画を立てて、それぞれの国が自給自足できるようなエネルギー生産に力を入れることである。ドイツにはすでに原発を再稼働させるという手立てがあり、これは今すぐにでも出来ることだ。

アメリカはバイデン耄碌爺が就任する前の、トランプ時代の生産に戻ればいいだけの話。これは明日からでも実現できる。自国でエネルギー生産可能な国はどんどん生産に力を入れるべきなのだ。そうやって原油や自然ガスの供給を増やし市場を溢れさせる。それによってエネルギーの値段は下がり、ロシアからの購入量も減り、ロシアに大きない痛手を負わせることができる。

アメリカやカナダによる原油や自然ガスの生産は、世界中にとっても良いことだ。特に貧しい発展途上国にとってはエネルギーの値段が下がって非常に良い結果を生む。イスラムテロリストを生み出す中東を無駄に肥やす恐れもなくなる。

もし左翼リベラルが本気で世界平和を望んでいるなら、世界各国が原発やパイプラインやフラッキングをすることを奨励すべきである。日本が原発再稼働をすべきなのは言うまでもない。

武漢ウイルスにしろロシアのウクライナ侵攻にしろ、自国のサプライチェーンやエネルギーを他国に依存することの危険性が我々平和ボケ現代人にも良く分かったはずだ。ここはウクライナ可哀そうという同情心だけでなく、頭を使って長期的な戦争に備えよう。


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