ここ数年、TwitterやフェイスブックやユーチューブといったSNSプラットフォームが、自分らの会社の方針に従わない使用者の投稿を削除したり口座を完全凍結するなどということをしてきた。そして凍結される使用者はほぼ例外なく体制派の意見とは異なる見解を持った右翼や保守系の人々である。

しかしリバタリアンや保守系の人々はよく、これらの会社は民間企業なので、自分らの判断で顧客を選ぶことが出来ると言っていた。気に入らないなら自分らのでSNSを作れと。我々がこれは我々の言論の自由の権利を迫害するものだと言っても、言論の自由とは政府が国民の意見を弾圧することであり、民間企業の検閲は言論弾圧ではないという人もいた。

しかしここで考え直さなければならないのは、もしもこれらの民間大企業が政府と結託し、政府の意向に歯向かう人々の意見や情報を検閲しているとしたらどうなるのか?これらの企業は民営でも、結局公営のように機能してるとしたら、これは政府による言論弾圧ということにはならないだろうか?

それを踏まえて最近起きたジョー・ローガンのキャンセルとカナダのフリーダムコンボイについてお話したい。

私は拙ブログで何度かキャンセルカルチャーについて書いてきた。社会正義活動家の怒りに触れた人たちが仕事を失ったり社会的な地位から引きずり降ろされる傾向のことだ。今アメリカのメディアでその対象となっているのは、ジョー・ローガンというコメディアンでCNNの10倍以上の登録者を持つ人気ポッドキャスターである。

ローガンがどのくらいの人気もので影響力があるかをBluhさんの言葉を借りて説明すると、、。[1] Joe Rogan Speaks(ジョー・ローガンはかく語りき):プロフィール|Blah|not

2009年からスタートさせた自身のポッドキャスト『ジョー・ローガン・エクスペリエンス(Joe Rogan Experience)』では司会・プロデューサーを務め、全米で最も稼ぐポッドキャスター、そして世界一ダウンロードされているポッドキャストとして不動の地位を獲得している。

スポーツ、エンタメ、政治、時事問題、食、医学、LSDから狩猟まで、何事にも興味を持ち幅広く学び、有名無名を問わず人々との出会いを楽しみ、シガーを燻らせながらゲストと一対一で対談。(イーロン・マスクと合法的にではあるがマリファナを吸いながら収録し、その後テスラの株価が下がったこともあった。)(略)

ジョー・ローガンの絶大な人気と影響力は、その経歴や多彩なタレントから、日本で言うところの松本人志やビートたけしを想像させるが、米国の大きさと英語圏プラットフォームというアドヴァンテージを鑑みると、彼らですら小さく見えてしまう。

モンスター級の存在であるのに、本人が決して「御意見番」を気取らないのもローガンの魅力である。

ローガンのポッドキャストはSpotifyというプラットフォームからダウンロードできるが、最近往年のフォークシンガーのニール・ヤングやジョニー・ミッチェルと言った歌手たちが、ローガンがコロナワクチンの害に関してローバート・マローン博士をインタビューした内容が、社会に害を与える誤った情報だとして怒り、ローガンをSpotifyに留めるなら自分の曲をSpotifyから撤退すると脅迫した。

ヤングは昔は確かに人気のある歌手ではあったが、いまや70を超す過去の人。ローガンの絶大な人気には及ばない。それでSpotifyはヤングの曲を撤退させローガンを選んだ。しかしことはそれでは収まらなかった。

今度は誰かがローガンの古いポッドキャストからローガンが黒人を侮蔑する「ニガー(黒んぼ)」という言葉を使った過去の動画を文脈を無視して切り張りしてつなぎ合わせたビデオを公開。それによって他の音楽家や芸能人たちが一斉にローガンは人種差別者だSpotifyから追い出せと騒ぎ始めた。当初はローガンを応援していた俳優のドウェイン・ジョンソンなどは、この動画の登場で尻尾を巻いて逃げてしまった。

残念なことにローガンはこの動画については謝罪を余儀なくされた。このことについて大人気ユーチューバなのにユーチューブの理不尽な圧力で動画をすべて無収益にされたスティーブン・クラウダ―は、たとえ自分に非があると思ったとしても、モブには決して謝罪すべきではなかったと批判している。

ローガンがこの件で謝罪をしたから、これでローガンはSpotifyで生き延びられるかと言えば、彼への攻撃がこのままで済むとは到底思えない。彼が謝罪したことは、かえって敵の思う壺だ。謝罪は弱みとみなされるからである。

Spotifyは民営企業なので、彼らが誰と契約しようがそれは彼らの自由だ。しかしSpotifyは明らかにバイデン政権から圧力を受けている。ローガンが攻撃の対象になったのは、コロナワクチンは安全でありすべての人が摂取すべきと言うバイデン政権の方針に疑問を投げかけたからである。ローガンがゲストに呼んだマローン博士はワクチンの専門家であり、自分でもいくつか特許を持っているくらいの人だが、それでも今のコロナワクチンはリスクが高いという見解を持っている。政府の見解と異なる見解を述べる博士自身もツイッターやフェイスブックなどからは、とっくの昔に追放されてしまっている。

となるとこれらのSNSは一体誰の命令で動いているのかという疑問が生まれる。

つい先日も、GoFundMeという募金運動会社が、カナダのフリーダムコンボイが集めた記録最高の何億ドルという金額を集めた募金活動を一方的に閉鎖してしまい、募金の主催者には一セントも渡らず、しかも集めた資金を左翼市民団体に寄付(横領)するという発表をした。自分が寄付した活動に資金がいかないのなら返して欲しいと寄付者からの苦情が殺到し、結局GoFundMeは自動的に寄付金を寄付者の元に返すことになった。

だがいったいGoFundMeはどういう理由でフリーダムコンボイの資金集めを阻止したのか。多分反政府のテロ活動に加担できないからとかいった理由にならない理由だろう。実はGFMが自分らの思想に同意しない団体や個人の募金活動を妨害したのはこれが最初ではない。一夏で20億ドルの被害を出したBLM暴動で、放火や略奪や殺人で逮捕されたメンバーの保釈金の資金集めには全面的に協力したGFMだが、その暴動中に正当防衛で暴徒を殺害した人たち(カイル・リッテンハウス君も含め)が、裁判費用を集めようとGFMで募金を始めると彼らの口座を即閉鎖した。刑事裁判の被告のための募金活動には加担しないという口実だったが、BLMメンバーの時はそんなことは全く言っていなかった。ダブスタもいいところである。

さて、ここでもGFMは民営企業だから好き勝手に顧客を選べると言えばそうだ。しかしもしもFGMがカナダ政府やアメリカ政府からの圧力で動いていたとしたらどうなるのか?直接フリーダムコンボイの募金集めを阻止しているのはFGMではあるが、彼らは政府の手先として動いているわけだから、政府による言論の自由の迫害ということになる。

ところでアメリカ側でもフリーダムコンボイは立ち上がったが、その呼びかけをしようとしたフェイスブックページは即座に閉鎖された。

もう皆さんもご存じの通り、アメリカのビッグテックと呼ばれるSNSのプラットフォームはバイデン政権べったりである。バイデン政権はあからさまにビッグテックに反政府思想の検閲を要求している。特にコロナに関する情報統制は酷いものがある。本来左翼リベラルは体制派の権力を危惧したものだが、いざ自分らの側が権力を握ると反対派の言論弾圧に余念がない。左翼リベラルが言論の自由を信じていたなどというのは、ハナから嘘だったのである。

政府が大企業と結託して国民を弾圧し、市場を独占するシステムのことを何と呼ぶか?

聡明な読者諸氏にはお分かりだろう。そうその通り。

ファシズムだ。


3 responses to 民間企業による検閲は言論弾圧ではない?よく考えてみよう

よもぎねこ2 years ago

 民間企業の活動はできるだけ自由に任せるのが民主主義社会、自由経済の原則ですが、でもこれって企業が巨大化して市場が寡占状態になった場合は違いますよね?

 市場がごく少数の企業の寡占状態、まして独占状態になれば、自由競争が働かなくなって、本来の自由経済でなくなります。 だから民主主義国家では皆、独占禁止法などを作って、市場の寡占化、独占化が起きないようにしているのです。

 ところがyou tube、ツィッター、フェイスブックなどは、それぞれのジャンルで完全な独占状態なのです。
 そして巨大な独占状態である事で、それぞれの利便性が確保されると言う性質があるので、一度こうした企業が生まれると速攻で市場を独占するようになります。

 ところが現在の独占禁止法はネットには対応していないので、こうした巨大企業の独占は野放しです。
 一方こういう企業からすれば、何とか今後とも自分達の独占状態を維持したいでよう。
 これが政府の言論統制に自ら進んで強力する最大の理由ではありませんか?
 こういう独占企業にすれば、真の意味で自由主義的な政府が生まれて、ネット企業に対応する独占禁止法を作られてしまうのは絶対に困るのです。
 その意味では左翼的な政府は大歓迎じゃないですか?

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よもぎねこ2 years ago

 逆に言えば性質上どうしても市場を独占してしまうような企業の場合は、民間企業であっても様々な制約を付けられています。
 典型が日本の電力会社です。
 北海道の住民は電気は北海道電力から買うしかないのです。 
 
 だから電力会社は市場の独占ができる代わりに、企業活動について様々な規制を受けていて、自社の気に入らない活動をする連中には電力を売らない何てことは許されません。

 その意味では例えば、動画を独占するyou tubeのような企業は、自社の都合で勝手に動画を削除するとかは許されないような規制をしても良いはずでしょう?

 こういう規制は自由経済の原則に反するわけではないでしょう?
 
 

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    苺畑カカシ2 years ago

    今はこれらのSNSは民営とはいえ、公共サービス機関ということになっており、そのプラット―フォームにおける使用者の投稿に関しての責任は負わなくても良いことになっています。しかしながら、そうであるならば、使用者の発言を検閲したり口座を凍結したりする権限はないはずなのです。

    少なくともアメリカにおいては、この件をはっきりさせる必要があります。そうでないと、現政権とべったりのSNS会社によってライバル政党の主張が人々に全く届かなくなってしまうという状況が生じます。

    解決策としては、次の選挙で共和党が多数議席を得た暁には、共和党議員の方からSNSを出版社として扱うか、検閲の権限を持たないプラットフォームとして扱うか、どちらかひとつに絞るという議案を提案することでしょう。無論大統領が民主党のバイデン爺さんなので議案に署名するとは思えませんが、それでも共和党がそういう議案を発案することには意義があると思います。

    大企業が市場を独占するために政権とべったりになるというのがファシズムの基本なので、ビッグテックがそれを好むのは当然と言えば当然ですね。

    ジョー・ローガンが攻撃されているのも、実は主流メディアが競争相手を潰そうとしてるからで、ローガンの意見がバイデンの政策に批判的というのは都合のよい口実に過ぎません。例えばローガンが主流メディアと同意見の左翼リベラルでも最終的には潰しにかかっていたでしょ

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