80日間世界一周、PBS新シリーズがポリコレすぎて観てられない件

アメリカの公共放PBSで始まったデイビッド・テナント主演の新シリーズ「80日間世界一周」の第一回を観た。うちにはテレビがないのでアマゾンプライムで3.99ドルはらって観たが、一時間ものを30分観ただけでもう耐えられなくなった。その理由はポリコレを気にしすぎてキャラクター達がおかしくなりすぎてるから。

ここから原作の説明をするので、作品をよくご存じの方は**印のところまで飛ばしてお読みいただきたい。

80日間世界一周はジュール・ヴェルヌ原作で1873年出版された作品。ヴェルヌはSF作家として知られているが、この作品には魔術も存在しない技術も出てこない。しかし状況が奇想天外なので私はかなりSF的な要素が含まれていると思っている。あらすじをウィキから引用すると。

物語は1872年10月2日のロンドンに始まる。独身の紳士、フィリアス・フォッグは物事を尋常ではない正確さで行う習慣と、カードゲームに熱中する癖があったが、ロンドンの紳士クラブ「リフォーム・クラブ」(The Reform Club)のメンバーであること以外は全く謎で、裕福であることの理由も定かではなかった。

フォッグの前の執事はひげそりに使うお湯の温度を華氏で2度間違えたために解雇されてしまい、新たにこれまた規則正しい生活態度を尊ぶフランス人のパスパルトゥーが雇われた。

その日の夜、リフォーム・クラブでフォッグは会員たちと新聞のある記事について議論をした。「イギリス領帝国に新たに鉄道が設けられた」という記事と、それに伴って(略)80日で世界一周ができるという計算結果が載っており、フォッグはこれが実現可能なものであると主張する。

フォッグはこれを立証するために自ら世界一周に出ることを宣言し、自分の全財産の半分にあたる20,000ポンドをクラブの会員たちとの賭け金にする。残りは旅費に充てるため、期限内に世界一周を果たせなかった場合、全財産を失うことになる。フォッグは当惑するパスパルトゥーを伴って、10月2日午後8時45分発の列車でロンドンを発つ。彼のリフォーム・クラブへの帰還は80日後の12月21日の同じ時刻とされた。

主な登場人物は主人公のフィリアス・フォッグ、執事のパスパルトゥー、ロンドン銀行で起きた窃盗事件の容疑者としてフォッグを付け回すスコットランドヤードのフィックス刑事、インドでフォッグに命を救われる女性アウダの四人だ。

この四人の登場人物の性格は正確に描かれる必要がある。なぜなら彼らの性格が後の物語転換に非常に重要な役割を果たすからである。

もともとフォッグは規則正しく時間通りに行動する病的に几帳面な人間だ。だから自分の執事が髭剃り用の湯の温度をちょっと間違えただけで首にするなどという理不尽なことをするのである。そんな性格だから、新聞記事の時間表をみただけで自分には出来ると思い込んだのだ。

そんなフォッグに認められて一緒に旅をすることになったパスパルトゥーは自分の主人の才能を疑わない忠実な助手である。どんな苦境に出会っても、主人と運命を供にすべく命がけの行動をする。

この作品は原作出版当時から何度も舞台や映画やテレビドラマになっているが、なんといっても一番有名なのは1956年アカデミー賞を獲ったマイケル・アンダーソン監督の同名の映画だろう。映画を観たことのない人でもあの主題歌は聞いたことがあるはず。また1989年のテレビシリーズは原作にかなり忠実なのでお薦めである。

**さて、前置きが長くなってしまったのだが、今回のシリーズ一回目を観て私が観てられないと思った理由は、私の中にある登場人物の性格が全くイメージと違うということだ。無論私のイメージは1956年の映画デイビッド・ニブンと1989年シリーズのピアース・ブロスナンで出来あがってしまっているから偏見と言えば偏見だが、それでも今回のデイビッド・テナント主演のフォッグは私のイメージと違いすぎる。

まず第一に、テナントのフォッグが病的に几帳面であるという描写がない。最初のシーンで年寄りの執事がふらふらとお茶をこぼしながら運んでくるが、それに対してフォッグが「もっと大きなカップが必要だな」と執事の落ち度を咎めないところから始まる。これは几帳面で綺麗好きなフォッグからは考えられない行動だ。髭剃りの湯の温度が二度違うというだけで執事を解雇してしまうような男が、お茶をこぼしながら持ってくる年寄り執事を雇って置くはずがない。ここでおのお湯のシーンはなく、どこからか送られてきたハガキに狼狽えるフォッグの描写があるだけ。

紳士クラブで掲載された世界一周の旅の時刻表を読むシーンでも、フォッグが自信を持ってやり遂げられるという安心感を視聴者は持つことが出来ない。フォッグは時間を常に守り通す自分になら出来るという自信より、他に何かを証明するために出かけようとしているかのようで、観てるほうは不安感をぬぐえない。

前の執事が解雇された後にやってきたパスパルトゥー(Ibrahim Koma)も、実はエイジェンシーの紹介ではなく、紳士クラブでケンカをして警察に追われたウエイターが執事経験を偽ってフォッグの家にやってくる設定になっている。今の時代なのでフランス人のパスパルトゥーが黒人なのは別にいいとして、彼の背景がフランスのレジスタンス運動とか、ちょっと待ってよといいたい。パリに着く早々主人のフォッグを置き去りにしてどこかへ行ってしまい、フォッグが暴徒に襲われて身ぐるみはがれるという憂き目にあう。忠実な従者であるパスパルトゥーは絶対こんなことはしない。

そしてもうひとり、原作にはないアビゲール・フィックス・フォ―テスク(Leonie Benesc)という女性記者。名前からしてどうやらこれは原作でフォッグたちを追い回すフィックス刑事の役割を果たすようだ。確かに銀行での窃盗事件が扱われていないので、そういう設定にするならそれはそれでもいいが、だとしたら最初から彼女がフォッグたちと行動を共にするのはおかしい。フィックス刑事のようにフォッグとパスパルトゥーを追いかける形にすべきだっただろう。それにこういう生意気な女を描くなら、80日間、、よりグレート・レースのリメイクの方がよっぽども合っていると思う。なんにしても、どんな場合でも冷静を失わないフォッグが生意気な小娘や反抗的な執事に振り回されるというのがどうしても私にはついていけなかった。

この作品はファンタジーといってもいいものなので、パスパルトゥーが黒人でもフィックスが女でも構わないが、彼らの描き方があまりに現代風だと、フォッグの威厳が保てなくなる。一体誰が主役なんだ、一体この作品の目的はなんなんだと観客は非常に混乱する。

ミニシリーズだから色々加えたいのは解るが、もうすこし話の筋にあったサイドストーリーを加えるべきだったのでは?

この作品には他にいくつも別バージョンの映画やテレビシリーズがあるので、今回のシリーズで時間を無駄にする必要性を感じない。


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トランプ支持派1月6日の反逆?未だに人気あるトランプに焦る左翼メディア

本日は1月6日、去年一部のトランプ支持者たちが議事堂に乱入して議事堂内を2~3時間歩き回るという事件が起きた日からちょうど一年。民主党やメディアはこの情けない抗議デモを「反逆だ!謀反だ!」と大騒ぎし、FBIも2020年の夏中暴動を繰り返したBLM/ANTIFAの暴徒たちには見せなかった執念で、議事堂に乱入した人々をかたっぱしから逮捕した。しかし未だにその中の一人も反逆罪で起訴されていない。結局FBIはあの事件は計画的な反逆ではなかったと結論づけている。

ミスター苺がよく見てるスティーブ・ターリー教授によれば、民主党が本当に恐れているのは去年のような「反逆」ではなく、この一年をかけて共和党のトランプ派が地味にやっているスローモーションの反撃である。

2020年の選挙でトランプ大統領の勝利が民主党の陰謀によって奪われた最大の理由はドミニオン集計機を外国から操作したとかいうハイテックなものではなく、民主党活動家による地道な根回しの成果だった民主党活動家たちは武漢ウイルスを口実に多々の州で大規模な郵便投票を起用し、投票用紙受取日の締め切りを延長した。また選挙委員会に民主党支持の人間を集め、共和党の監査官を締め出し多くの選挙違反を実現させた。情けないことに、共和党が州議会の多数を占めていた州で、この不正は公然と行われてしまったのだ。

しかし共和党もそういつまでも民主党の違反行為を見逃しておくわけにはいかない。騙されても一度目は騙した方が悪い、しかし二度騙されたらこっちが悪い。というわけで共和党もこの一年をかけて徐々に民主党が不正しにくいように、あちこちの選挙委員会にトランプ支持者を送り込んだり、多々の州で選挙に関する厳しい規制を作ったりしている。

しかし何と言っても特筆すべきなのは、去年の1月6日以降トランプ大統領の人気は下がるどころか上がる一方だということ。共和党でもトランプ派は以前より勢力を増しているということである。

過激派左翼誌のサローンの記事クーデターは失敗したが、1月6日は成功したは何故共和党内部でトランプが未だに人気があるのかを分析している。あの事件の後共和党はトランプ支持派と反対派で内部分裂するのではないかと思われていたが、反対に共和党はトランプを中心にまとまってしまったのは何故か。

左翼たちはあの事件でトランプは行き過ぎだと感じた共和党議員やその支持者たちがトランプを見捨てると踏んでいた。しかし記事の著者アマンダ・マーコッテに言わせると、まるでカルトの信者たちが教祖の行為がどれだけ恥かしく不道徳な行為であっても、教祖の言う通りにせざる負えないほど深入りしている姿を見るようだったという。

党のリーダーがファシスト暴動を扇動したことは共和党の投票者と政治家にファシストか民主党かという否定できない選択を迫った。そして彼らの大多数が民主党より悪いものはないと考えたのだ。

トランプの就任式から4年間暴動をし続けた過激派左翼たちを批判するどころか、20億ドルの被害を出した2020年夏のBLM/ANTIFAの暴動を「概ね平和的な抗議運動」と言って散々応援し、暴動に加わった犯罪者たちの保釈金を払うような奴の居る民主党やその支持者に、共和党をファシストなどと言う資格があるのか?左翼メディアこそ根拠もないのに警官が黒人犯罪者を射殺する度に大騒ぎしてそれこそ暴力を煽っておきながら、トランプ大統領の「平和的に行進しよう」という発言を暴動を扇動したなどと良くも言えたものだ。

という共和党支持者たちの気持ちが全く理解できなマーコッテのような者には、なぜトランプ大統領が共和党支持者の間で未だに人気があるのか、いや当時よりもずっと人気があるという理由が理解できないようだ。それで彼女の出した結論は共和党は民主主義を破戒してファシズム独裁政権をもとめているのだというもの。

まあトランプはファシストだという前提から話を始めているわけだから話がそっちの方へ行ってしまうのはしょうがない。しかし彼女がそれを嘆いているということは、トランプ大統領がもし2024年に出馬したならばトランプが勝つ可能性は高いとマーコッテ自身が考えているということだ。

私個人としてはトランプには出馬してもらいたくない。理由は二つある。ひとつはトランプが高齢であるということ。2024年にはトランプも今のバイデンの年になってしまう。無論人によって認知度は違うので、もしかしたらトランプは100歳になっても頭脳明晰かもしれない。しかし老齢化による認知症はじわじわと起きるもので、気が付いたら大統領が認知症だったでは済まされない。今のバイデンを見ていればそれは明白だ。

二つ目の理由は、トランプには敵が多すぎると言う点。トランプの人格から、仲間となりうるひとも敵に回してしまう可能性があること。無論トランプが出馬したら共和党は彼を全面的に支持するだろうし、民主党大統領などごめんなので私も応援はするつもりだ。

この一年間のバイデン政権を見ていれば、本当のファシストが誰かは明白だからだ。

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正月早々風邪をひいた

いやはや新年早々風邪をひき、三日からの出勤が出来ずお正月休みが延長しているカカシです。ここ2年間やたら風邪をひくことが多いのだけど、今回の風邪はこれまでよりかなり重症。日曜日にガラージの掃除をしていて、鼻水が止まらなくなった。これは多分ガラージの埃が原因だろうと思っていたら、月曜日にはくしゃみが止まらなくなり、夜分には咳き込みはじめた。火曜日になったら鼻水は止まったけど今度は悪寒に見舞われ咳はどんどんひどくなり微熱あり。夜は横になると咳き込むのでソファで座ったまま寝た。水分を取らねばとハーブティーを飲み続け、火曜日はさすがに家事は無理ということでピザの出前を頼む。やっと水曜日の夕方ごろから咳も収まってきて熱も下がった。

今朝木曜日、だいぶ気分が良くなって、近所の薬局でビタミンD3とCとZinkを購入。Quercetinという薬がコロナ予防と治療に効くと聞いたが、近所の薬局には売ってなかったので後でビタミン屋さんに行こう。もしかしてオミクロンに感染したのかもと思ったのだが、PCR検査が出来るのは来週の火曜日が最初と言われたので諦めた。その頃には治ってると思うし。

サンディエゴに居る知り合いの話では、彼女の職場でも風邪が大流行りだそう。みんなコロナワクチンは打ってるけど、ただの風邪なのかオミクロンなのかは不明。彼女曰く、コロナワクチンのせいでみんな免疫が下がっているのではないかとのこと。

ところで同じ時期にワクチンを打った仲間の間でオミクロンが大蔓延という人の話を聞いた。私がよく聞いているポッドキャストのホスト達が一斉にオミクロンに感染。彼らによると彼らの家族や親せきも一斉にかかったそうだ。クリスマスにみんなで一緒になったから誰か一人でもかかっていればそれがみんなに移ったというのは考えられる。しかし彼らの話によると、ワクチン打った人も打たなかった人も皆症状は一緒で非常に軽かったという。

私が愛聴しているマット・ウォルシによると彼の症状は2~3日微熱が出た程度で治ったとのこと。彼の同僚のマイケル・ノールズも感染したが、ただの鼻風邪程度だったという。

正直な話、もうコロナ禍は終わったと私はおもっている。元の武漢ウイルスが変化して感染率は高いが軽症で済む弱体なオミクロン株になったことでCovid-19によるパンデミックは終わったのだ。オミクロンにかかっても死ぬことはない。単に2~3日軽い風邪にかかる程度のものだ。

だからもう無理やりワクチンを打つ必要はないし、マスクも必要ない。もちろん咳き込んでる人はマスクをすべきだが、何の症状もない人は心配することはないのだ。ただこの2年間で学んだ病気の予防はこれからも続けるべきだろう、手を頻繁に洗うとか、ビタミン剤を接種するとか。

私はワクチンを早急に打ったが、ブースターを打つ気はない。ともかく早く社会がもとにもどってくれればいいと思う。私には年老いた両親が実家におり、二人に何かある前に日本に行きたいので。


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日本が欧米のLGBT差別禁止法を真似してはいけない理由

先日、日本のトランスジェンダー活動家(TRA)と、イギリスやアメリカのトランスジェンダーに関する法律について話をしたのだが、彼のいうことを鵜呑みにも出来ないので、自分なりにUK(イギリス、ウエールス、アイルランド、スコットランド)の法律と、このTRAが推進するアメリカのマサチューセッツ州の法律を調べてみた。

結論から言う。日本は断じてこれらの法律を真似してはならない。

イギリスのジェンダー確認法(GRA)

これは言ってみれば日本でいうところの戸籍変更特例法である。2004年に通り2005年から実施されているGRAは公的に正式に性別を変更するための条件を示すものだ。

  1. 18歳以上であること
  2. 性同一性障害であるという医者の診断書があること
  3. 二年以上異性として暮らしてきたという証拠があること
  4. 既婚者の場合は配偶者の同意があること

となっている。お気づきの通り性適合手術(SRS)は義務付けられていない。その理由は当初、手術を受けることは暗黙の了解であり手術もうけずに性別を変更したいなどという人は稀だろうと思われたからだという。しかし蓋を開けてみたら性別変更を求める70%が適合手術を受けておらず、受ける気もないことが解っている。

こんな緩い条件でもTRAたちは条件が厳しすぎるとその緩和を求めている。しかも彼らの要求は妥協でもなんでもなく、1を除けば、2,3,4全て必要なしとすることだ。2と3は本人だけの問題だが、4は配偶者の人生を大きく変える大問題である。男と結婚したと思っていたのに突然自称女と暮らさなければならなくなる妻の屈辱をまるで考えない自分勝手な要求だ。イギリスでは同性婚は合法であるため、夫が女になりたいと言ったからといって自動的に離婚の理由にはならないのだ。夫婦に子供が居て妻が専業主婦だったら、別れたくても別れられない人も多く居るだろう。せめて子供が育つまで妻が夫の性転換を認めない権利はあってしかるべきだ。

さて、GRAにより公式書類の性別変更が認められた人には、GRCという性別変更証明書が発行される。刑務所などで男子囚人の女子施設移転が認められるためには少なくともこのGRC所持が義務付けられている。しかしGRCがあっても、女子受刑者に多大なる危険を及ぼす可能性のあるトランスは女子施設に移転されない場合もある。今のところイギリスの刑務所ではそれぞれの事例でトランス審議会にかけ判断することになっている。とはいうものの、原則的にGRCを持つ男子囚人の女子施設移転が望ましいとされている以上、よっぽどのことがない限り移転は許可される。

女子に危険を及ぼさないと判断されたトランスが女子刑務所で女子受刑者を襲った事件はいくらもあるので、この審議会の判断もあてにならないのである。

*2018年、イギリスのウエストヨークシャー市、カレン・ホワイト(当時52歳)幼児性愛の罪で受刑中トランス女性として女子収容所に移転された。女装はしていたものの公式に性別変更はしておらずGRCも持っていなかった。移転後たった三か月の間に二人の女子囚人を強姦。現在はB級犯罪者として男子収容所の方で性転換治療を受けている。

*カカシ注:下記は昨日のエントリーを書く前にすでに下書きをしてしまっていたので、内容が重複している部分があります。

アメリカ、マサチューセッツ州の2016年発表のジェンダーアイデンティティーガイダンス

これは同州や連邦政府の反差別法に基づき、それをどのように施行するかというガイドラインを示したもの。これはトランスジェンダーが、就職、銀行ローン、住宅、教育の場で差別されてはならないと言うものだが、具体的にどんなことが差別とみなされるのか、proof is in the pudding is in the eating.

まず雇用だが、トランスジェンダーだというだけで雇用を拒否した場合は差別だとみなされるのは当然としても、実際にその人物がトランスジェンダーだということの証明は義務付けられていない。それどころか容貌と自認が一致していない人に関して、雇用側は志願者が自認する方の性別に合法的に移行したという証拠提示を要求することはできないのである。

このガイドラインには、本人がトランスだという証明書の提示を要求すること自体が差別とみなされるとある。例えばトイレなどの男女別施設の使用に関しても、このガイドラインによると性自認と一致する方の施設を使わせないことは法律違反とみなされる。しかし男女別施設を使用する際に施設の経営者や従業員が使用者にSRSや他の性転換治療を受けたという証明書の提示を要求するのは差別的偏見とみなされるとある。

アメリカは広いので州によって公式な性別変更ができる条件が違ってくる。適合手術(SRS)を必要条件にしているところもあれば、そうでないところもある。マサチューセッツ州ではSRSは必要とされていない。

ここで起きる問題はおのずと明らかだ。容貌と性自認が一致していない人でも、自分はトランスジェンダー女性だと言い張りさえすれば、雇用主はその人が本当にトランスジェンダーなのかを確かめるすべがない。この人と一緒にトイレを使ったり、職場によっては更衣室やシャワールームを共用しなければならない場合もある女子職員たちにも、この男の存在が気持ち悪いとか苦情を述べることすら許されないのである。

日本ではどうなるのか

松浦大悟さんが口を酸っぱくして、やたらな反差別法など通せば男性器を持ったままの女装男が女湯にはいってくるようになると警告しているのはこういうことなのだ。イギリスとマサチューセッツの例を見てもわかるように、一旦特例法を緩和して手術なしでも性別を変えられるなどということになったら、男性器のついたままの変態男が女子施設を侵略しても施設の経営者も施設を使う他の女性達も何も言えなくなるのである。小さな会社で女子職員がどれほど女装男との施設共用を嫌がっても雇用主には女装男を追い出す権限すらなくなるのだ。

どうりで日本のTRAたちは、差別禁止法に身体的男女別施設の設置は差別にならないと明記すべきだ、という我々の要求を受け入れないわけである。TRAの真の目的はトランスジェンダリズムに批判的に人々を黙らせることにあるのだから。そしてそれによって一番被害を被るのは例によって女子供である。


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LGBT差別禁止法が一般社会に与える悪影響について考える

本日はLGBT差別禁止法がどのように一般社会に悪影響をもたらすかについて考えたい。そんなことを書くと「もうカカシさん、新年早々またその話?いい加減にしてよ。LGBT差別禁止法とか理解増進法とか一般人に関係ないし、そんなの一部少数派と過激派フェミニスト達だけの問題でしょ!」と思われるかもしれない。確かに仲岡しゅんや神原元といった活動家弁護士の言ってることだけきいていたら、差別禁止法が通ったからといって今日明日何が変わるというものでもないし一般社会に影響などほとんどないと納得してしまう方もいるだろう。だが現実はそんな甘いものではない。欧米諸国で差別禁止法がどのように悪用されてきたかを見て来た私から言わせてもらうならば、LGBT活動家の二枚舌など全く信用してはいけない。差別禁止法は一部少数派だけの問題ではなく社会全体の問題なのだ。

本日は、サチューセッツ市の性自認ガイドラインの内容を深く掘り下げてみることにする。このガイドラインは日本のトランスジェンダー活動家たちが参考にしていると自ら認めているものなので、この内容をしっかり理解することは今後差別禁止法を吟味するうえで非常に大切なことである。

同ガイドラインはマサチューセッツ州にLGBTに関するいくつかの法律と連邦政府の法律を合わせて、それらの法律を実際どのように現実の生活に当てはめていくかという内容になっている。つまり既存の法律をどう施行するかというガイドラインである。

性自認差別とは何か

A. 雇用

差別禁止の一番の問題は雇用。すでにアメリカの労働省は雇用の際に性別や性指向で差別してはいけないとしているが、これに性自認が加わると話は非常にややこしいことになる。

まず、この項目においては、『職場において、雇用主及び従業員や関係者は、従業員や仕事応募者を当人の性自認によって、勧誘、雇用、昇進、賃金、仕事の任命、教育、福利厚生その他の面で一差別してはいけない。』とある。この差別行為には差別的な冗談を口頭でするだけでなく、身振りなど相手との身体的接触なども含まれる。具体的にどういうことが差別とみなされるのか箇条書きにしてみよう。

  1. 男性従業員が性適合手術のために病欠を取って帰ってきた後、彼女”sic”の労働時間を減らしたり、オフィスの部屋を狭くしたり、降格したりする。
  2. 男性として仕事に応募してきた人が、前の職場では女性として働いていたことを知って不採用にする。
  3. 男性が女性っぽい仕草をするとして、上司や同僚が頻繁に男性をからかう。
  4. 上司がトランスジェンダーの部下を批判し、部下が望む代名詞を使うことを拒む。
  5. 常にトランスジェンダー従業員が大事な会議や宴会などから除外される。
  6. トランスジェンダーの従業員が常に同僚から侮蔑的な態度を取られたりからかわれたりすると上司に苦情を述べたにも関わらず、上司が問題を解決しようと行動しない。
  7. トランスジェンダーの従業員が当人の自認する方のトイレを使わせてもらえない

もうこれだけで聡明な読者諸氏には何が問題になるかは明白だと思うが、一応順序立てて考えてみよう。先ず3、5,6は特に問題ないので省く。

1.私が読んだ様々な資料によれば、性適合治療というのは一度手術をすればそれで済むというものではない。局所の手術に至るまでには、常時的なホルモン投与、男性の場合は顔面やのどぼとけなどの手術、女性の場合は乳房除去、子宮摘出、局所手術後の維持治療、手術失敗の際の再手術など、難病を抱えている人並の治療が控えている。また異性ホルモンを常飲すると、その副作用で精神不安定になったり怒りっぽくなることも知られている。こうした治療により当人の仕事の能率が極端に下がったり病欠が増えたりとなれば、労働時間が減らされたり大事な企画から外されたりということも十分にあり得る。しかし、それを従業員が差別されたと訴えたらどうなるのか?

2.もしこの職種が男性特有の能力を要する仕事だったらどうするのか?ホルモン治療で髭も生え声も低く、見た目は十分男性に見える人でも、肉体的に女性がやるには無理な仕事にこの人を雇うのは賢明な判断だろうか?建築現場の力仕事とまではいかなくても、男性の体力や筋力を必要とする仕事はいくらでもある。また精神力の面でも危険な仕事にどんどん志願するのはほとんどが男だ。いくら姿形が男でも、実際に男の仕事が女に出来るのか、雇用主がそう考えることは差別なのか?

4.これは言論の自由を弾圧する規則だ。治療の段階上どうみても異性に見えない人もいるし、また就職してから性別を変えた人はこれまで通りの代名詞で呼ばれることはあり得ることで、そんなことをいちいち差別扱いされたのでは怖くて誰も口が利けなくなる。また中年男性で自称トランスが信じられない恰好をすることがよくあるが、それを上司が注意したらモラハラだとかセクハラだとか言われるんだろうか?これは実際にあった話で、私の知り合いの男性が部下が突然トランスだと言い出し、場末のキャバ嬢でも着ないようなケバケバな恰好で出社した来たため注意したところ、トランス差別だと言われたという。知り合いは「女性があんな恰好で出社してきたら同じように注意していた。トランス云々以前の問題だ」と怒っていた。

7.トイレ使用に関しては言うまでもないと思うが、トランスは異性に見える人ばかりではない。いや、どちらかというと異性に見えない人が大半だ。そういう人に当人の好きな方の施設を使わせたら、他の従業員の人権はどうなるのか?こういう人に限って個室トイレの使用を拒否したりするから始末が悪い。また職場によっては更衣室やシャワールームがあるところもある。そういう場所で手術もしていない人が異性の施設を使うことの不条理さがこのガイドラインでは全く考慮されていない。

B 住宅・不動産

住宅やビジネスオフィスなどを売るもしくは貸す際に、相手がトランスジェンダーだから断るというのは明らかに差別なので、それはダメだと言うのは解るのだが、ひとつ気になることがある。それは、トランスジェンダー活動家団体にオフィスを貸さないのは差別だという項目。左翼市民団体は過激派が多い。特にトランス活動家たちはローリング女史への悪質な脅迫でも解る通り、かなり暴力的な団体である。しかもTRAと国内テロリストアンティファとは濃厚な関係にある。日本でいうならやくざと深いつながりのある市民団体のようなものだ。このガイドラインだと、そういう団体に不動産を貸さないことが差別だと判断される可能性があるということだ。

C 金融

返済能力があると判定された顧客のローンをトランスジェンダーだというだけで拒否することは差別である。これは当然のことだが、先日カナダでは保守派メディアが条件をすべて満たしていたのに保守派だというだけでローンを拒否されたという事件が起きた。すべての市民や団体が政治思想関係なく同じように扱われれるというのであれば、私は無論賛成である。

D 公共施設

差別禁止法で我々が一番気になるのがこの公共施設の使用方法である。仲岡や神原のような活動家弁護士たちによれば、差別禁止法が通ったからと言って男性器のついた女装男が女子施設に入り込むなどということはなにので安心しろとのことだったが、彼らが模範としているマサチューセッツのガイドラインではどう判断されているだろうか。

ここでいう公共施設とは「不特定多数の一般市民が使用できる民営もしくは公営の場所」であり、これに含まれるのは小売店、レストラン、ショッピングモール、市役所、公営公園、海岸、公共道路、ホテルや運動ジムなどである。

例外としてお寺とか教会などでは、宗教の自由を守る憲法補正案第一条で保証されている権利は守られる。

さて、では具体的にどのような行為が差別として禁止されているのかというと、、

  • 印刷屋がお客の性自認を理由に結婚式の招待状を印刷するのを断ったりしてはならない。
  • 映画館などで男女別トイレがあった場合、観客の性自認に合った方のトイレを使わせないのは差別とみなされる。
  • 男女別更衣室のある運動ジムでは個人の性自認に合った方の更衣室の使用を全面的に許可しなければならない。
  • 男女別更衣室のある公共プールでは使用者の性自認に合った方の更衣室を使わせなければならない。
  • 公共施設では性自認差別をするビラを配ったり表示を掲げてはならない。例えば、小売店で免許書など身分証明書の提示を要求するとき、免許書の性別と顧客の性自認が一致することを要求するのは差別とみなされる。
  • レストランでトランスジェンダーのグループを「ここは静かなレストランだから」とか「注目を浴びすぎるから」などという理由で席につくのを拒んだりしてはいけない。
  • ホテルはトランスジェンダーによる会合を断ってはならない。(カカシ注:ただしトランスフォビアの過激派フェミニストの講演会は積極的に阻止するべし
  • ケーキ屋が客の性自認を理由にケーキを焼くことを断ってはならない。

どの項目を読んでも実際の性別ではなく本人の主張する性自認が尊重されると明記されている。これでどうやって男性体の人間を女子専用施設から締め出すことが出来るのか。

証明の定義

さてそれでは一個人がトランスジェンダーであるかどうか、つまり本人がどちらの性を自認しているのかをどのように証明するのかという点についてだが、その部分を読んでも心配はつのるばかりである。

A  性自認の定義

性自認とは自分がどちらの性に属するかという考えで、生まれた時に割り当てられた(カカシ注:私の言葉ではない)性とは必ずしも一致しない。トランスジェンダーとは生まれた時に割り当てられた性から異性へと移行する人のことを指すが、本人はトランスジェンダーではなく、単に女性/男性と意識している。

B  証明の必要性

普通は雇用、住宅賃貸、住宅ローンなどの際に個人の性自認を証明提示を要求することは適切ではないとされる。ただし性自認によって差別されたと個人が訴えた場合には、本人が持つ性自認が誠実であるかどうかを証明するため、医療歴史や実際に異性として暮らしていた事実などの証明が必要となる。

雇用の際に志願者が本当にトランスジェンダーなのかどうか、その証明を要求することが出来ないとなると、雇用主は本人が言う方のジェンダーを受け入れるしかない。身分証明書と本人の性自認が一致しなくても、性自認を疑ってはいけないとなると、自分は女性だといい張る男を雇ったら、雇用主は、その男が女子専用施設を使うことを拒否できなくなるのである。

C  誠実な性自認とは

本人のいう性自認を本人が心から信じている誠実なものであるかをどのように証明するのかということに関してはきちんとしたガイドラインは存在しない。

D  トイレや男女別の施設

お手洗いなどの施設をジェンダーで分けること自体は反差別法に違反しない。ただしこうした施設を使うために使用者に対して性適合手術やホルモン治療をしているかどうかなどという証明提示をすることは差別とみなされる。

翻訳すると、男性器がある自称女を女湯に入れないのは差別だという意味だ。

教育の場での差別

それでは教育現場においての反差別法はどのように施行されるべきか。教育現場での差別の例として、

  • 大学院が男子生徒の学歴によって元女性であったことを知って入学を拒否する。
  • 性自認女性の大学院生に元男性であることを理由に女子寮の管理人助手を務めさせない

などがある。では教育現場で差別を防ぐためにはどのような方針を取ればいいのかというと、

  • セクハラや差別、特に性自認に関する差別的な方針の見直し。
  • 学生の個人情報に関する最新の情報を常に記載し、現状にあった名前や性自認がきちんと記載されるようにする。元の名前や性に関する情報は秘密として守られるようにする。
  • 学校職員や顧客や業者などによるトランスジェンダーに関する侮蔑やジョークなどを禁止する。
  • 適切な名前と性別に合った代名詞を使う。

教育現場でのガイドラインはまだ少し続くが、他と重複するところもあるので省くことにする。

結論

マサチューセッツ州のガイドラインを読む限り、どんな人でも自分はトランスジェンダーだと主張しさえすれば、他の人はその人の性自認を疑うことすら許されない。この人間が異性であるかどうかという以前に、トランスジェンダーであるかどうかさえ証明のしようがないのだ。

もし日本のTRAが本気でこのガイドラインを日本にも取り入れようとしているのであれば、彼らが常に差別禁止法を通したからと言って男性器を付けた女装男が女性専用空間を脅かすなんてことはないと言い張っていることが、どれほど嘘に満ちているかが解ると言うものだ。皆さまには是非ともそこのところをご理解いただきたい。



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