最近日本では選択的夫婦別姓を求める声が大きくなっていると聞く。もっとも選択的別姓を求めているのはせいぜい人口の30%で、ほとんどの人はそれを望んでいないようだ。

さて、夫婦別姓のシステムが日本社会にどのような影響を与えるかという話はまたいずれするとして、本日はカナダで行われた夫婦別姓カップルとそうでないカップルの結婚持続性を調べた調査の記事をみつけたのでご紹介しよう。Marital Surname Change and Marital Duration Among Divorcées in a Canadian County

欧米諸国では日本のように婿養子の伝統はないので結婚して姓を変えるのは常に妻のほうと決まっている。しかしアメリカやカナダでは必ずしも妻が夫の姓に改名しなければならないという法律はない。つまり今日本で一部の人が提案しているような選択的夫婦別姓はすでに起用されているということだ。しかし、カナダのある地域で行われたこの調査によると結婚時に妻が夫の姓に変えるかどうかが、実際にその夫婦が長続きするかどうかに関連性があるらしいという結果がでた。

調査対象となった107組の夫婦で妻が夫の姓に改名した夫婦は改名しなかった夫婦よりも60%長く夫婦でいたという。この中で夫が妻の姓になった夫婦はひとつもなかったが、夫婦の間に出来た子どもは夫の姓を名乗っている。また旧姓を残した妻の夫婦間の子どもの数も少ないことが解った。もっとも結婚する機関が長いと子供の数が多くなるということもあるので、子供の数は直接改名とは関係ないともいえる。

カナダやアメリカでは選択的夫婦別姓は合法であるにもかかわらず、女性が改名しない率は4.6%から6%とかなり低い。また男性側も妻が改名するのは当然という考えがあり、夫婦間の子どもが男性の姓になるのも当然という考えが浸透している。

また北米では旧姓を結婚名とハイフンで続けて残す人も多いが(ヒラリー・ロドム-クリントンのように)こういうことをやる女性は社会的に離婚しやすいとか、よいお母さんになれないのではないかといった偏見で見られやすいとのことだ。

興味深いのは、北米では日本より専業主婦は少ないにもかかわらず、結婚時に旧姓を残す人は極めて少ないということだ。しかも夫が妻の改名は普通だと思っており、男性も女性も旧姓を残す女性は結婚に真剣に取り組んでいないと考えていることである。

で、私はおもったのだが、選択的夫婦別姓に賛成だと言っている日本の30%の人たちも、実際に自分たちが結婚する際に別姓を選ぶという人は少ないのではないだろうか?つまり、私たちは同姓にするが、他の人が別姓でも構わないと思っているだけなのでは?だとすると夫婦別姓を心から望んでいる人たちというのはどのくらいの数なのだろうか?

数が少ないから無視してもいいとは言わないが、既存の法律を変えてまで実現させなければならないほどの問題だろうか?

旧姓をどうしても保ちたいと言う人は、数回の結婚を念頭に置いているのではないかと疑いたくなる。


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