2001年、911同時多発テロの報復としてブッシュ政権が始めたアフガニスタン侵攻。あれから20年が経とうとする今、バイデン政権は米軍のアフガニスタン完全撤退を発表した。アフガニスタンではタリバンがその勢いを盛り返している時期であり、この時期に大々的に撤退するなどという宣言をしたのは間違いだった。思った通り、タリバンはアフガニスタン全土を制覇しつつあり、アフガニスタン政府は崩壊。今タリバンは首都のカブールに侵攻しつつある。まだカブールには数百人のアメリカ兵やイギリス兵が残っている。また米軍のために働いていた通訳やガイドたちの命も危ない。アメリカ軍はいったい彼らをどうやってアフガニスタンから脱出させるつもりなのだろうか?

さすがにこの状況は常にバイデンの肩を持ってきたCNNですらまずいと思ったようだ。6週間前、慌ただしい米軍の撤退はタリバンにアフガニスタンを奪われることになるのではという質問に、バイデンは「そうと決まったわけではない」と言っていた。CNNのジェイク・タッパーはアントニー・ブリンケン国務長官に「どうしてバイデン大統領はこうも誤ったのですか?」と厳しい口調で問い詰めた。

撤退するにしても、もう少しやり方があるだろう。どうしてこんなふうに慌ただしく、関係者の安全も確保せずに撤退なのだ?国務長官はアフガニスタンを出たい地元の関係者たちは優先的に脱出させると言っているが、今の状況でそれは可能なのだろうか?まさかベトナムの時のようにアメリカの味方をした南ベトナム人同様見殺しにするんじゃないだろうな。

私はアフガニスタンでの戦争は間違っていたとは思わない。タリバンが支配するアフガニスタンはアメリカにとって非常に危険な国だったのだ。問題は何時アメリカが去るべきだったのかということ。しかし私はアメリカ軍がアフガニスタンから全面的に撤退する必要はなかったと思っている。朝鮮戦争が終わってからも米軍は韓国に駐留しているし、日本にもアメリカ軍の基地はある。アフガニスタンにも米軍基地を残し、タリバンのようなテロ集団が再びアフガニスタンを制覇しないように監視する必要があると思う。

私はトランプ大統領の政策には概ね賛成だったが、ことアフガニスタンやイラク戦争に関しては同意できなかった。しかし、少なくともトランプ大統領はアメリカ軍を危険さらさずに着々とアフガニスタン駐留の兵士の数を減らしていった。なぜバイデンにはそれが出来ないのか?

バイデンはトランプ政権がタリバンと結んだ協定を受け継いだだけで、これはトランプのお膳立てが悪かったのだと言い訳している。マイク・ポンぺオ前国務長官は、Fox Newsのインタビューで、「自分の10歳の息子にすら、そんな情けない言い訳はさせない」と苦笑した。ポンぺオ前長官はトランプ政権がタリバンと直接交渉した理由について、アフガニスタン政府がふがいなく、アフガン大統領はタリバンと平和共存をする根回しをせずに、ワシントンDCに来てアフガニスタンへの支援金調達運動ばかりやっていたと手厳しく批判した。同長官は、タリバンとの同意についてもタリバンが協定の条件を破った時は米軍は武力行使で制裁する用意があったと語る。だから米軍がどんどん撤退していってもタリバンは米軍基地への攻撃などしなかったのである。

私はバイデン政権に成功などしてもらいたくない。だが、この任務だけはきちんと遂行してもらいたい。アメリカ兵やアメリカ軍に協力してくれた人たちの命がかかっているのだ。ブリンケン国務長官はアメリカ人および関係者の救出を第一優先すると言っている。彼らのためにも、それが成功することを祈ろう。


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