7月4日の本日はアメリカ独立記念日である。今回は祝日が日曜日と重なったので明日は振り替え休日。先日女子ハンマー投げのオリンピック出場資格決定選で第三位となり出場資格を得たグエン・ベリーという選手が、授賞式で国歌が流れた時に後ろを向いて変な顔をして国旗に対して不敬な態度を取ったとして非難を浴びるという事件が起きた。ベリーは後で言い訳としてアメリカの国歌「星条旗よ永遠なれ」は奴隷を奨励する歌詞があり、自分たちの人々(黒人)を代表する歌ではないと屁理屈を述べた。彼女は歴史を知っていればそのことは明白なはずだ、などと開き直っていた。

もし歴史を知っていれば、国歌の詞を全部知っていれば、第三章節に殺されたアメリカの奴隷の血が床中に広がっているとあります。これは黒人に対して不敬であり、この歌は黒人のためのものではありません。疑いの余地がありません。

何が疑いないだ。歴史を知らないのはベリーの方である。

「星条旗よ永遠なれ」は米英戦争という史実を元にした誌で作詞者はフランシス・スコット・キーという弁護士。華氏は4番まであるが、普段は一番しか歌われない。普通のアメリカ人でも最後まで歌詞を歌えるひとはほぼいないだろう。この詩について詳しく説明してくれてるサイトがあったので引用する。

アメリカ国歌『星条旗』(The Star-Spangled Banner/スター・スパングルド・バナー)の歌詞は、1812年に勃発した米英戦争における史実が元になっている。

米英戦争において優勢にあったイギリス軍は、首都ワシントンD.C.を陥落させ、さらにイギリス海軍がアメリカ・ボルティモア港のマクヘンリー砦を包囲していた。

ここで大事なのは作詞者のキーはこの時どこに居たのかということだ。実はこの頃、イギリス海軍はアメリカの船を次々に拿捕し、乗組員や乗客を捕虜として拘束していた。時にはアメリカ人乗組員をイギリス艦の奴隷労力として使っていた。キーはイギリス艦に捕虜として拘束されていたウィリアム・ディーンズ医師の釈放を交渉するためイギリス軍の捕虜交換職員のジョン・スチュワート・スキナー大佐と一緒にボルティモア湾のイギリス船に乗っていた。交渉は成功しディーンズ医師の釈放は決まったのだが、戦闘中だったため三人はイギリス船から降りて岸に向かうことは許されなかったのである。それでキーたちは一晩中イギリス軍によるマクヘンリー砦への砲撃を聞かされることとなったのだ。

砲撃が止んだのは1814年9月14日の朝のことだった。25時間にも及ぶ1,500発以上の砲弾にも関わらず、マクヘンリー砦の上には、星15個、縞15本が表わされた特大サイズのアメリカの国旗・星条旗が翻っていた。

この星条旗を目にした弁護士のフランシス・スコット・キーは大変感銘を受け、集中砲火を耐え抜いた国旗を讃える詩「マクヘンリー砦の防衛 The Defence of Fort McHenry」を直ちに書き上げた。

そして出来たのがこの歌詞。

おお、見えるだろうか、
夜明けの薄明かりの中
我々は誇り高く声高に叫ぶ
危難の中、城壁の上に
雄々しく翻(ひるがえ)る
太き縞に輝く星々を我々は目にした

砲弾が赤く光を放ち宙で炸裂する中
我等の旗は夜通し翻っていた
ああ、星条旗はまだたなびいているか?
自由の地 勇者の故郷の上に!

さてそれではベリーが言っている第三章には何が書かれているのだろうか?こちらがその部分。強調は彼女が言っている部分。

戦争による破壊と混乱を
自慢げに断言した奴等は何処へ
家も国もこれ以上我々を見捨てはしない
彼等の邪悪な足跡は
彼等自らの血で贖(あがな)われたのだ

敗走の恐怖と死の闇の前では
どんな慰めも傭兵や奴隷達の救いたりえず
勝利の歓喜の中、星条旗は翻る
自由の地 勇者の故郷の上に!

確かに「血」とか「奴隷達」という言葉は出てくるが、殺された奴隷の血が床中に広がっているなどという表現はない。ここでいう「彼らの血」とはアメリカに侵略してきてアメリカ人に殺されて果てたイギリス兵たちの血であり奴隷とは無関係。

それでは次の「傭兵や奴隷達」とは誰を指すのか?イギリス軍の部隊はすべて志願兵だけで成り立っていたわけではなく、外部からの傭兵や戦争などで捕虜になった奴隷などが含まれていた。つまり、ここでいう奴隷とはアメリカ人奴隷のことではなく、イギリス人が奴隷労力として使っていた人々を指す。この中にはアメリカの船に乗っていてイギリス軍につかまった白人アメリカ人も含まれている。つまり、アメリカのアフリカ人奴隷とは全く無関係な人々である。しかも、キーはそれを奨励しているわけではなく、かえってイギリス軍は傭兵や奴隷といった強制労働者を使わなければやっていけない情けない軍隊だとあざ笑っているのだ。

こうして読んでいけば、アメリカ国歌が黒人奴隷制度を奨励していただの、黒人を虐待していただのという歌ではないことは明白。

無論グエン・ベリーの誤解は彼女だけのせいではない。きちんとアメリカが義務教育で独立戦争のことや独立記念日の意味や国歌の意味だのをきちんと教えていれば彼女のような無知蒙昧な発言をする人間は出てこないはず。

独立記念日の今日、アメリカ人たるもの、全部は歌えないにしろ、その歌の意味くらいはきちんと把握してもらいたいものだ。


2 responses to 「星条旗よ永遠なれ」歌詞の意味と歴史

よもぎねこ3 months ago

 日本では90年代ぐらいから「自虐史観」と言われるとにかく日本が悪い、日本を貶めるの日本史が一般化しました。 
 勿論これは日本共産党始め左翼政党と左翼マスコミが揃って行ったプロパガンダによるものです。 
 この自虐史観の中心は第二次大戦時の日本軍の残虐行為の捏造でした。 
 ワタシも日本の保守派も、これは日本が敗戦国であるからだと思いこんできました。

 しかし今アメリカでアメリカ自虐史観がアメリカ世論を席捲しつつあるのを見ると、どうも不可解です。
 
 なるほど黒人奴隷制は許されない歴史かもしれませんが、しかし黒人奴隷狩りはイスラム圏も1000年以上前からアフリカとイスラム圏がヨーロッパに植民地化されるまで続けた事です。

 それをアメリカだけがひたすら反省、挙句に国家自体を否定するような勢いなのは、どう考えても異常です。

 この手の自虐史観の横溢には、本当にアメリカが悪いとかそういう話ではなく、何か違う原因があるんじゃないですか?
 何かこのプロパガンダを推進している勢力が、アメリカにも入り込んだのではありませんか?

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    苺畑カカシ3 months ago

    アメリカおよび西欧で自由民主主義社会を根底から覆そうという左翼思想が猛威を振るっています。イギリスでもカナダでもアメリカで起きたような偉人の銅像を破壊する行為が続出しており、政府も暴徒を罰するどころか奨励しているようにさえ見えます。

    自虐史観が顕著になったのはオバマ政権の頃だと思います。それまでも左翼の間では自虐的な見方はありましたが、オバマ時代にその考えが民主党の間で主流化してきたと言えるでしょう。オバマは最初からアメリカを根底から覆して改革すると宣言していましたからね。

    保守派トークショーホストの故ラッシュ・リンボーはオバマの政策の成功を祈らないと言って保守派からも批判されましたが、ラッシュはオバマの最終目的はアメリカ破壊にあると当初から察知していた数少ない思想家でした。

    しかし今や民主党はアメリカ破壊を目的とする過激派左翼に牛耳られてしまっています。だから国歌も国旗も花火大会ですら人種差別だから止めるべきだなどと言い出す始末。少なくともオバマ以前のアメリカでは民主党も共和党も星条旗の元にアメリカ人として一つになれたものなのですが。

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