最近よく聞くようになった英語の単語にWOKEというのがある。それを誰かが「お目覚め文化」と訳していて、皮肉たっぷりな適訳だなと思った。woke(ウォーク)は目覚めるという意味のwakeという動詞の過去形であるが、この場合は動詞ではなく「目覚めたこと」という形容詞に使われている。使い方としてはShe is so WOKEという感じ。しかし目覚めるという言葉の意味とは裏腹に、これは単に過激派左翼の思想にどっぷり浸かっていることを意味する。彼らの特徴としては、周りの人間が自分らが思うほど十分に過激派左翼ではないと思われる時、重箱の隅をつつくように、いかに相手がWOKEでないかを指摘して糾弾するのだ。

例えば先日、新しいミュージカル映画「インザハイツ」のキャストのほぼ全員がラテン系役者であるにもかかわらず、色の黒いアフリカ系ラティノが十分に含まれていないとか、LGBT+αの登場人物がいないなどというクレームがついた。アメリカでラティーノ(男性)とかラティーナ(女性)というと、中南米移民の子孫を指すことが多いが、カリブ海諸島やキューバなど元スペインの植民地で今でもスペイン語が公用語である国々からの移民やその子孫も含まれる。それで人種も白人や黒人やインディアンや混血など多種多様である。ザ・ハイツはニューヨークにある地域で主にドミニカ共和国出身の移民が多いそうで色の黒い人が多いのだそうだ。

さて、最近ではラティーノとかラティーナではなく中性的なラティンクスと呼ぶのがウォークとされているが、このミュージカルの作詞作曲をしたLin-Manuel Miranda(リン・マニュエル・ミランダ)は自身もラティーノでアメリカ創設の父たちをすべて黒人俳優にしたミュージカル「ハミルトン」の成功でも有名だ。こんなバリバリ左翼の脚本家がほぼ100%ラテンイーノで配役されたミュージカルについて、役者の肌の色が十分に黒くないとして謝罪を余儀なくされたのだ。これがウォークだ。

人気歌手のビリー・エリッシュの場合も非常にバカバカしい。現在19歳の彼女が12~13歳だったころ東洋人をバカにする言葉使いをしたビデオが暴露され謝罪に追い込まれた。そのビデオは観ていないのだが、彼女が歌っていたとされる元歌はユーチューブでまだ観ることが出来る。元歌は黒人のラップ。ウォークの偽善は黒人ラップ歌手は歌のなかでニガーだのチンクだの平気で歌い、それがラジオで流れても誰も何も言わないのに、白人がその歌を歌ったら人種差別者ということになることだ。言ってはいけない言葉なら、誰が言ってもいけないはず。どうして黒人が中国人をチンクと呼んでも良くて、白人が言ったらだめなのだ?

エリッシュの問題はこれだけではないようで、自分にはボーイフレンドが居るにも関わらず、自分をレズビアンに見立てた新しいビデオがLGBTに迎合しているとしてファンから批判を受けているようだ。

ビリー・エリッシュもミランダと同じでバリバリ左翼。去年の選挙でも民主党大会の時に演説までぶったほどだ。だからキャンセルカルチャーに文句を言えた義理ではない。しかしミランダやエリッシュのような敬虔な左翼過激派信者ですらも、ウォーク文化は容赦なく責める。彼らがいくら謝ってみたところで、いったんレイシストの汚名を着たら、そう簡単には名誉挽回は出来ないのだ。なにしろキャンセルの対象になった人が謝罪して許してもらえた例は一度もないからだ。

ウォーク連中には謝っても無駄だ。彼らが求めているのは謝罪ではない。彼らは攻撃の対象となった人々の完全破壊である。だからもしも彼らの攻撃対象となったら、何も言わずに彼らが飽きて別の対象を見つけるのを待つか、自分は何も悪いことはしていないと開き直った方が良い。

それにしても、いったい我々はいつまでこのウォーク文化に付き合わされるのだろうか?


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