本日は女子スポーツにおけるトランスジェンダーの立ち位置についてワシントンポストの記事から読んでみたい。現在オリンピックでは、自称女の男子選手が女子スポーツに参加するためには、男性ホルモンであるテスタストロンの数値を女子と同程度に一年以上保ってきた男子に限るという規定がある。私は二次性徴期を超えた成人男子のテスタストロン数値などいくら低くしても女子と平等に競争など出来ないと考えているが、トランス活動家たちはその条件すらもトランス選手に対して不公平だという主張をしている。

先日国際女子スポーツデイに、1972年に女子スポーツの地位向上のためにタイトルIXという規則を設立した女性達が中心となって女子スポーツ方針研究会(the Women’s Sports Policy Working Group)が、どのようにトランス選手を女子競技に参加させるかという妥協案を提出した。その案とは、高校生以上の競技において男子が女子競技に参加するためにはテスタストロン数値を一定に一年以上保っている男子に限り、それが出来てないトランス選手は別枠の競技に参加すべきというもの。これは、男子はどんな場合でも女子競技には参加できないという意見と、トランス女は無条件で女子競技に参加すべきという二つの意見の妥協案として出された苦肉の策である。私から言わせれば、そんな妥協策は全く意味がないと思うが、それでもトランス活動家たちからは、この提案ですらトランスフォビックだという苦情が殺到している。

しかし活動家の一部はこの提案は良識あるものとしながらも、研究会の女性達はこの方針が何百というトランスジェンダー選手の人生にどのような影響を及ぼすか真剣に考えているのだろうかと疑問を提じていると言う。

ちょっと待った!それをいうなら全国各地の何万という女子選手にどのような影響を及ぼすかを考えるのが先決なのでは?私個人としてはこの研究会の妥協案はナンセンスだと思う。こんなことをしてみてもトランス活動家から女子スポーツを救うことは出来ない。活動家とは一歩でも妥協すればすべてを取られてしまう。

実は私は知らなかったのだが、2010年からすでに大学生の女子競技に男子が参加するためには前記の条件を満たす必要があった。しかし高校生選手はホルモン治療を未成年に施すのは健康に害があると言う理由で社会的に女子として暮らし始めれば女子競技に参加できるということになっていた。(信じられない!)つまり今回の妥協案は高校生でも成人男子と同じ規則を当てはめるべきだというものだ。

しかしこれらの規則は州によって施行の仕方がまちまちである。今現在、最近新しく加わった四つの州を含め12の州でトランス参加は全面的に禁じられている。九つの州で無方針、そして19の州で無制限となっている。無制限ということは男子が自分が女子だと言い張れば女子競技に参加できるという意味だ。10年も前からこんな状態だったのに、今まで特に問題になってこなかった理由は、トランス選手の数はごく僅かであり、参加者がいたとしても上位成績を上げる自称女の男子が居なかったせいだろう。

だが数年前、コネティカット州で二人の男子が女子競技で何種目も出一位二位を独占するという事態が生じ、この問題は一気に水面上に浮上した。そのうちの一人テリー・ミラーは男子として陸上競技に参加していた時は上位競技に参加できないほど成績の悪い三流選手だったが、2018年に女だとカムアウトした途端にコ州の5つの選手権で優勝。次の年には州内選手権四つ、ニューイングランド選手権で二つ優勝という快挙?を遂げた。このことで入賞を拒まれた三人の女子選手たちが州を相手取って訴訟を起こしたことは、拙ブログでも紹介した通りだ。

テキサスサウスウエスタン医学大学の心臓学専門ベンジャミン・レビーン教授によれば、第二次性徴期を通過した男子が女子よりも運動能力が優越であることは疑いのない事実だと語る。この時期男子は女子よりも背が伸び骨格や筋肉密度が増え心臓も大きくなる。ま、いまさら専門家にそんなことを言われなくても、思春期を過ぎた男性が肉体的に女性より優れていることは誰もが知っている常識だ。だからこそスポーツは男女に分かれているのだ。

さて、これに対して活動家がどのような反論をしているのか、ツイッターで井谷さんと言う人が要約してくれているので引用させてもらおう。「このトランス選手に関する記事は、色々重要な点を挙げている。あえて3点選ぶとすれば:テストステロンに関連する「身体的優位性」を強調する人は、」

  1. トランスの若者が日々経験する社会的不利性を考慮していない(スポーツはホルモンだけの勝負ではない)
  2. トランスの女子選手が活躍したことでシスジェンダー女子選手がスポーツ奨学金やスポーツする機会を失ったケースは報告されいない(逆にコネチカットで活躍したMillerもYearwoodも大学に進むためのスポーツ奨学金を得ていないし、二人とも高校卒業後は陸上もやめてしまった)。
  3. 肯定的なトランスケアについての研究は、医学的トランジションを始める前に、一定期間性自認に従った性別で社会的に生活することでメンタルヘルスの問題を大幅に軽減できること、その中で社会から性自認を否定されないことが重要であることを示している。

ところで別の研究で、成人した男子のテスタストロン分泌を下げてみても女性と平等に競争できるほど運動能力が衰えるという確固たる結論は出ていない。男性同士で競争した場合にはテスタストロンレベルが低くなれば明らかに不利ではあるが、女子と競争した場合はすでに二次性徴期で得た優位性を取り除くことは出来ないからだ。反対派はいみじくもスポーツはホルモンだけの勝負ではないと言っているが、今現在のホルモン分泌量が問題なのではなく、ホルモンが個人の成長にどのように役に立ってきたかが問題なのである。

さて、この三つの反論には大きな問題がある。

先ず第一に、トランス若者に関わらず、若者はそれぞれ家庭環境や経済環境など別々の環境に置かれている。家が裕福で通う学校には施設も整っており優秀なコーチもいる家庭もあれば、地方出身であるものは自分と運動靴のみという子供もいるだろう。オリンピックなどアフリカの荒野で走ってるだけの選手とエリート教育を受けた西欧の選手とが真っ向からぶつかり合って優勝したりしている。背景がどうあれ、能力のある選手が公平な場所で競争するのがスポーツのだいご味というものではないのか?そんなことまでが競争の考慮に入れられたらスポーツなんか何の意味もなくなる。

第二に、今のところトランス選手が女子の奨学金を奪ったケースはないというだけで、今後何の制限もなく男子が女子競技に参加できるとなれば、学力で大学に行かれない三流男子が女子として奨学金をもらって大学に行く可能性は出てくる。今がどうのこうのではなく、今後のことを考えるべきなのだ。

第三は、トランスケアと女子スポーツとどういう関係があるというのか、トランスジェンダーの精神治療などに女子スポーツが付き合わされる言われはない。どこか他所でやってもらいたい。

考えても見てほしい。トランスジェンダー活動家たちは二次性徴期を通過した男子をそのまま女子スポーツに参加させろと主張しているのだ。以前にアメリカのオリンピックサッカーチームが高校生男子チームに惨敗したという話がある。一流エリート選手を簡単に負かすことが出来る男子選手をそのまま女子と競争させることがどれほど不公平であるか、そんなことを今更議論しなければならないことの方が異常だ。

だから何度も言っている通り、トランス活動家との妥協などありえない。トランスジェンダーを女子スポーツに受け入れるのか入れないのか、答えは二つに一つしかないのだ。

本題はトランスジェンダースポーツの未来ではなく、女子スポーツの未来がどうなるのか、我々は選ばなければならないのだ。


2 responses to 女子スポーツにトランスジェンダーの未来はあるのか?

苺畑カカシ5 months ago

アメリカ全国30州において男子の女子競技参加を禁止する法律が通された、もしくは通されつつある。https://www.wtsp.com/article/news/verify/anti-transgender-bills-us-2021/536-d00da060-22fa-48e5-867b-e3a004e2c397

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