この間の国際女性の日にジョー・バイデン元副大統領が二人の女性将軍を昇進させた際、軍隊における女性の地位向上に関して、女性の身体に合った鎧や制服や髪型の規制などの改良そして妊婦用パイロットフライトスーツの作成など、軍隊の多様性への姿勢を称賛した。

【ワシントン時事】バイデン米大統領は8日、陸海空軍と海兵隊などの軍種で構成する統合軍の司令官に女性2人を指名すると発表した。上院が承認すれば、米史上2、3人目の女性統合軍司令官になる。閣僚だけでなく、軍幹部の人事でも性別や人種の多様性を重視する姿勢を強調した形だ。

軍隊における女性地位の向上に関して異論はない。私は最初から女性であろうが男性であろうが仕事の出来る人がその任務に就けばいいと考えている。ただし、女性だからというだけで必要な技術や能力を持たない人を起用することは絶対に反対だ。これは軍隊、不能な人間を起用すれば、本人のみなら軍隊全体ひいては国家の安全に支障を来すからである。しかしバイデン政権の軍隊はかなりポリコレに侵されており、実際の国家安全の準備態勢をつくるより多様性への努力に力を注ぎすぎている。

歯に衣を着せないことで有名なフォックスニュースのタッカーカールソンは、中国が世界最大の海軍を築きつつある時に、アメリカ軍は妊婦を戦場に送り出すだというのか、軍隊をバカにするにもほどがあると自分の番組で痛烈な批判をした。またカールソンは、最近米海軍ではイルブラム・X・ケンディ著の反米プロパガンダ「いかにして反人種差別者になるか」を読書課目に加えたことに関して、なぜアメリカ軍が軍人に反米プロパガンダを教えるのかと問いかけた。

この批判に対して当の軍隊は非常に大人げない反応を示している。

マイケル・グリンストン陸軍上級曹長:女性達は最も強力な我が隊を厳格な姿勢で指揮している。彼女たちは未来におけるどんな戦場においても独占するであろう。タッカー・カールソンの言葉は分断的であり我々の価値観を反映するものではない。わが軍には世界で最もプロフェッショナルで教養があり柔軟で強力な下士官がいるのだ!

ポール・ファンク将軍:何千と言う女性が毎日世界中で勇敢に戦っている。彼女たちは自由の指針であり、その誠意と熱意でカールソンが間違っていることを証明している。彼女たちが軍に仕えてくれていることは非常に幸運なことだ。

左翼お得意の藁人形論だ。きちんと議論が出来ないとすぐに相手を差別者扱いする。軍人が自分の階級を公表してツイートしているからには、軍の承認があってのことと思われるが、このようなことを軍人がやるのかと思うと本当に情けない思いでいっぱいだ。明らかに上記のような発言はカールソンの批判から的を外した卑怯な議論である。

カールソンはアメリカ軍に女性が務めるべきかどうかなどという話はしていない。彼は女性が軍人としての任務を全うできないとも言っていない。彼はバイデンが言った「妊婦用のフライトスーツ」云々と反米プロパガンダ書物を読書課題にしている理由について疑問を提しているのである。アメリカ軍は本気で妊婦を戦場へ送り出すつもりなのか?何故アメリカ海軍が反米プロパガンダを軍人に教えるのかと聞いているのだ。

ツイート程度ならまだしもだが、なんと防衛庁の公式サイトでは「報道官、フォックス司会者による米軍批判を咎める」という見出しの記事が掲載された。

本来メディアのあるべき姿は、政府のやることに常に批判の目を光らせ、おかしなことがあったら指摘することにある。これはトランプ政権時代に左翼メディアがやっていたような政権へのあら捜しや意味のない個人攻撃という意味ではない。今回のように、政府の発表した方針が国の安全にかかわることであった場合、その意味を明確にすべきだという指摘はジャーナリストとして当然の発言であり、元来メディアはこうでなくてはならないはずだ。

しかしそれを政府が軍隊の威厳を使ってジャーナリストといえども民間人を個人攻撃するというのはどういうことなのか?政府が軍隊を使って政権を批判した民間人を攻撃するということは自由民主主義国家であってはならないことだ。これは民主党支持であれ共和党支持であれ由々しき状況だと気づくべきである。

何度も言うが、女性が軍隊に勤めることに関しては全く問題はない。軍隊に女性は常に存在していた。公式に戦闘員という肩書はなくても、看護婦や運転手や技術士やパイロットとしていくらでも最前線に出動している。彼女たちの功績は今更私が強調するまでもない。

問題なのは女性起用という概念だけに捉われて、実際に彼女たちが有効な武器として使われているのかどうか、かえってその方針が米軍全体の機能を低下させるようなことにはなっていないかどうかということだ。その質問に軍隊総司令官であるバイデン爺さんは、きちんと答えるべきである。


Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *