日本の皆さまはアメリカの人気長寿番組「バチョラー」をご存じだろうか。私はリアリティショーは大嫌いなので一度もみたことはないのだが、これは一人の独身男性が数人の女性から一人理想の女性を選ぶという趣向で、女性たちはそれぞれ色々な試練に打ち勝って男性の心を射止めるというものだそうだ。

さて、その参加者の女性の一人レイチェル・カークコネルが、学生時代に南部の南北戦争前の時代をテーマにしたアンテベラムパーティに参加し、その当時の衣装を着て友達と撮った写真が浮上し、彼女の昔のSNSでのエントリーなどで人種差別的な発言があったとかなかったとかで失格になった。

アンテベラムというのは単に「戦前」という意味で、奴隷制度や人種差別とは無関係である。確かに南北戦争以前の南部には奴隷は居たが、それならその当時の世界中の国で奴隷の居なかったくになどほぼ存在していない。奴隷がいたから昔の文化をモチーフにしてはいけないとなったら、もうコスチュームパーティなんて出来なくなる。

ま、それは置いといて、本題はその次に起きたことだ。この件に関して番組の司会者のクリス・ハリソンが芸能ニュース番組でインタビューを受けた。彼はレイチェルとはこの件に関して特に話をしていないのでなんとも言えないとしながら、彼女は多分パーティに行って楽しんだだけなんだろう、そんなことで叩く必要はないのではないか、というようなことを言ったところ、「人種差別を擁護した」としてハリソン自身が番組を一旦降ろされるという事態に発展してしまった。え?なんで?

このインタビューを行ったレイチェル・リンゼイ(黒人)の発言を本日ニュースで読んで私はかなり胸糞が悪くなった。

クリス・ハリソンに辞任してほしいなどとは思ってません。ただ、インタビューを観て聴いてほしいと思いました。もっと大事なのはこういう議論に焦点をあてることです。そのためにはこういう気まずい会話も交わさなければなりまん。そうすることで根底にある何気ない人種差別を理解することが出来るのです。

ご冗談でしょ。私が人気番組の司会者なら、人種差別に関するインタビューなどにはもう絶対に応じない。やたらに「気まずい会話」になど巻き込まれて人種差別者の汚名を着せられるのはまっぴらごめんだ。

ところで保守派ポッドキャストのマット・ウォルシが言っていたが、何気なく言ったことが人種差別と取られ責められた場合、本人が即謝罪してみても意味はない。ポリコレ警察には慈悲とか許すといった寛容性はゼロである。一旦相手を「差別者」と決めたら、相手がとことん破壊されるまで攻撃の手が止まることはない。これは本人のみにとどまらず、家族や友達にまでも及ぶ。だからハリソンの恋人もすぐにハリソンは人種差別者だと糾弾した。

興味深いのは実際に人種差別行為をしたとされる本人よりも、その本人を弁護した人の方がずっとひどい目に合わされる。ウォルシ曰く、それはキャンセルカルチャーにあえて反逆する行為としてもっと重い罪になるからなのだ。

一旦キャンセルされるとなれば、もう逃れるすべはない。いっそのこと謝罪などせずに「自分は何も悪いことはしていない」と開き直り、解雇されたら雇用主を訴えるくらいの覚悟で居た方がいいのかもしれない。

以前にも言ったが、普段左翼リベラルを気取っている人の方がキャンセルカルチャーの犠牲にはなりやすい。自分は十分左翼だから大丈夫などと思っていると、思わぬところに落とし穴がある。


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