私はよくツイッターで、英語の記事の見出しや、面白いツイートを簡単に訳して紹介するが、私の書いたことに興味を持ってグーグル翻訳を使って読もうとしてくれる人がいる。しかし英語から日本語はまだしも、日本語から英語に直すとかなりの確率で間違いが生じる。例えば、先日誰かが今夜の食事と言ってあげた写真にについてこんなコメントをした。

「今夜の食事だそうだ。10人分作ったみたい。」

ところがその英語訳はというと、、

I’d like to eat tonight. It looks like I made it for ten people.

「今夜食べたい。私が10人分作ったみたい」となってまるで意味が通じない。なぜこういうことになるのかと言えば、英語には必ず主語が必要だが、日本語では主語がなくても通じる場合が多いからで、翻訳機は主語のない日本語の文章に無理やり主語を付けるため、文脈を理解しないと誰が何をやっているのかが分からなくなるからだ。

もしこれを最初から主語をはっきりさせて「彼女の今夜の料理。10人分はあるみたい。」と書き換えると、

her tonight’s cooking. It seems to be for 10 people. (彼女の今夜の料理。10人分のようだ)

ちょっとぎこちないが、まあまあ通じる英文になる。翻訳機を使って日本語から英語にしたい場合は、主語と目的語を明確にしておくと誤解が少ない。

自動翻訳といえば、以前に英語の記事をせっせと訳してツイッターに載せていた人が居たが、彼女は在米で名前からして旦那さんはアメリカ人というそぶりをしていたが、彼女は実は英語があまりよくわからないのではないかと誰かが指摘した。英語から日本語への訳だったので、日本語の文章がきちんとしていれば誤訳をしていたとしても原文を読まなければ多少の誤りには気が付かない。しかし在米の人たちからおかしいと指摘されたのがこの文章。

第2の改正を保護する

実は私はこの文章を読んだが、意味が解らなかったので無視していた。しかし誰かが原文を載せて、これはグーグル翻訳機による直訳だと指摘してくれた。その原文というのはこれ

Protect the second amendment

先の日本語訳は完全なる間違いではない。だが、アメリカの政治を多少でもかじったことのある人ならこの原文をあのように訳すはずはない。なぜならThe second amendmentというのはアメリカ憲法補正案第2条のことで、市民の銃砲所持の権利を保障する法律であり、右翼保守ならこの補正案の重大さを知らないはずはないからだ。正しい訳は

憲法補正案第2条を守れ

となる。中学の英語を思い出していただければわかるが、動詞が冒頭に来る場合は命令形になるので「保護する」ではなく「守れ」となる。

文法はどうあれ、アメリカの政治に興味のある人にとって、左翼であれ右翼であれ理由は違えど、この条令は非常に大事な条令なのだ。であるから、アメリカの政治に多少でも興味がある人間ならこの条令の意味を知らないなどということはあり得ないのである。

言語とは伝達の手段であるが、何を伝えようとしているのか、その背後の文脈や文化を理解していないと頓珍漢な訳をしてしまう。例えば日本語の「瓜二つ」という表現。マイクロソフトの翻訳機では”Two melons”(2つのメロン)となるが、それは直訳であって、ふたつのものが酷似しているという意味にならない。この場合の英語の正しい訳は”two peas in a pod”なのだが、反対にこれを直訳すると「さやの中の2つの豆」となり、その言い回しを知らなければ意味が通じない。

同じような誤解で、1960年代の日本の経済発展についてアメリカ人が日本人のことをエコノミックアニマルと言ったことを、日本人を獣に例えるとはなんたる侮辱、とか怒った人たちがいたが、実は英語ではアニマルというのは何かに夢中になる人とか熱心になる人という意味があり決して侮辱の意味で使ったのではなかった。

最近誰かが英語で「お前らはみんなチキンだ!」と言った時も、我々をニワトリ扱いするとは失礼な奴め、と言っていた人がいたが、これもチキンはニワトリという意味ではなく「臆病者」を意味する。つまり侮辱は侮辱だが違う意味の侮辱だったというわけ(笑)。

最近は自動翻訳機もかなり性能の良いものができてきて、こういう言い回しも正しく訳せるものも出てきた。しかしまだまだ文脈を理解するまでにはいっていないので、英語が出来る振りをして翻訳機を使ったりするとぼろがでるのでご用心、ご用心。


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