昨日、日本語でアメリカのBLM/ANTIFAについて情報提供をしているアメリカ人のビデオを紹介されたので観てみたが、内容があまりにも嘘出鱈目に満ちていたので、アメリカ人が語るんだから本当なんだろう、と日本の皆様に誤解が生じてもいけないので、彼の言ってることにいちいち反論することにした。

先ず動画のリンクはこちら。この人はビデオではRAN、ツイッターではSSGTというハンドル名を使っているが、これは彼が海兵隊に居た時の位でスタッフサージェント(二等軍曹。下士官で下から三番目の位)の略。ここではSSGT RANと呼ぶことにしよう。

動画の半分くらいまでは過去の奴隷制度や1960年代までの南部での黒人差別に関する歴史的背景の説明がある。ここまでは特に問題はないと思うが、SSGT RANは400年前から始まってこの奴隷時代を経て1960年代前までの黒人弾圧が今もなおアメリカ社会に黒人への偏見をもたらしていると結論付ける。黒人差別はあまりにも組織的に行われたため、多くの白人は自分らの偏見に気づいていないと強調する。そしてBLMの目標については、、

すべての黒人を信用できない二級市民であるというアイデンティティーを100年かけて構築して差別的社会組織に起因するものです。社会の組織的差別よって差別が正常化されたため多くの白人は自分が差別的であり、黒人を抑え込んでいると認知しておらず社会組織がどれほど差別的なのかも理解していないのです。その無知を取り払い、アメリカの警察組織を一新し、社会組織の差別を撤廃して白人以外の人も白人と同じ機械が均等に与えられ肌の色に関係なく安心安全に毎日を送れる社会の構築がBLMの目標です。

と語る。これはBLM広報部の版で押したようなプロパガンダだが、SSGTRANが例として挙げたいくつかの「人種差別」について反論しよう。

黒人が警察に不当に差別されているという件

SSGTRANは、アメリカの黒人人口は全体の30%であり、白人とも犯罪率が同じなのに黒人の拘束数が多いと語る。だがこれは数字が間違っている。

先ず2016年のセンサスによれば、黒人と白人の人口割合は13.1%と61.3%であり、SSGTさんのいうような30:60ではない。FBIの犯罪数統計によれば、アメリカの犯罪の37%が黒人によるもので59%が白人によるものだ。白人の犯罪率は人口とほぼ比例するが、黒人のそれは人口の三倍近い。だから黒人の拘束率が白人より高いのは当然であり、これをもってして人種差別のせいだというのは暴言だ。

交通違反などで警官に呼び止められた時に、白人と黒人では警察官への恐怖心が違うという点に関しても、これは黒人社会が警察官に対する正しい認識を進めてこなかったことに問題があるのであり、警察による人種差別が原因とは言い切れない。

2019年に非武装の黒人が警察官に殺されたのは9人で、白人は19人。これは全体41人の21%であり、白人は41%。黒人の犯罪率が30%を超えていることから考えると非武装の黒人が警官に殺される可能性は白人のそれと全く変わらないことが解る。

黒人が銀行融資を公平に受けられないという件

次に融資の件で黒人が白人より厳しく審査されるというのも嘘だ。私は銀行で秘書として融資関係の仕事を多少していたことがあるが、人種による差別など全くなかった。いや差別があってはならないと必要以上に気を使っていた。それではなぜ黒人への融資が白人のそれより少ないのかと言えば、黒人は返済能力のある人が白人や多人種より少ないことに問題がある。

借金を踏み倒す可能性のある人に銀行はお金を貸さない。オバマ大統領が返済能力のない黒人たちに住宅ローンを促進して、結局返せずに破産する黒人が大量に出たのは記憶に新しい。

BLMは中核を持たない市民運動であり、共産主義というのは共和党が流したデマという件

さてSSGTRANのいうBLMの実質についても、かなり真実とギャップがある。まず彼はBLMは政治団体ではなく中核をもたない政治運動だと主張する。BLMという名の団体は存在するが、彼らがBLMの行動を指揮しているわけではなく、各地のBLM運動は地元の人たちが自発的にやっているのだという。

確かに末端で略奪をやってる連中は個人的にやっているかもしれないが、誰かがどこで集まってどこで略奪をするという指揮をしていることは間違いない。そうでなければシカゴのショッピングモールで起きたような組織的な略奪は不可能である。

ランド・ポール上院議員がDCで襲われた時も、暴徒たちは地元の人間ではなく、どこからか旅費をかけてやってきた運動家たちだったと語っていた。一体どこからそんな資金が出ているのか、徹底的に調べる必要があるだろう。

さてBLMが共産主義化どうかという話だが、SSGTRANは、ソビエトと西側諸国の冷戦前の世代は共産主義や社会主義に理不尽な恐怖を持っている、共和党はこの恐怖に付け込んで1960年代の市民権運動や反ベトナム運動の時にもしたように、BLMはマルクス型共産主義だとデマを流して恐怖を煽っているのだという。

ここで間違いを指摘。1960年代の市民権運動は共和党が推した政策で、民主党は絶対反対を唱えていた。人種間の交流を断固反対したのは共和党ではなく民主党である。

SSGTRANは冷戦後に生まれた世代は共産主義や社会主義に対する恐怖心がなく、かえって受け入れるべきと考えているとするが、それが事実なら、新しい世代は共産主義の恐ろしさを知らずに育ち、新世代を育てるはずの教育者が若者に社会主義を吹き込んだことが原因だろう。共産主義で成功した社会は存在しないという事実を若者たちはきちんと学んでこなかった。これも左翼が教育社会を牛耳ってしまったことの賜物だ。

BLMは創設者が誰であるかはっきりしており、彼女たちは自分らがマルクス主義だと自慢している。これは共和党が広めたデマなどではない。2015年のインタビューで、BLMの創設者の一人であるアリシア・ガーザが自分たちは「訓練を受けたマルクス主義者だ」と語っているのだ。

BLMには公式なウエッブサイトがあり、そこにはBLMのマニュフェストがある。そのなかで特筆すべきはこの部分。

We disrupt the Western-prescribed nuclear family structure requirement by supporting each other as extended families and “villages” that collectively care for one another, especially our children, to the degree that mothers, parents, and children are comfortable.

概訳すると、西洋で伝統的な核家族性を破壊し、家族の延長として「村」全体が母となり親となり子供を育てる、という全体主義が謡われている。個々の家庭を破壊して政府の言いなりになる子供を育てる、これが共産主義思想でなくて何だろう?

トランプ及び共和党は白人至上主義であるという件

SSGTRANは何の根拠も示さずにトランプは白人至上主義であると決めつけているが、その例として、先日ポートランドで行われたトランプ支持の愛国者ラリーで、愛国者たちが道端に居たアンティファ連中にペイント弾を撃ったことに関してトランプ大統領が称えるような発言をしたことを挙げている。

読者諸氏はよくご存じだが、愛国者たちは彼らのキャラバンを通すまいと道を塞いだアンティファ暴徒たちにペイント弾を撃って道を開けさせただけ。しかもその当日、アンティファ暴徒の一人が道を歩いていた愛国者を実弾で射殺したことに関してRANは完全に無言である。

実際にトランプが白人至上主義であるならば、何故トランプは黒人の経済力が付くような政策を取ってきたのだろうか?武漢ウイルス前のアメリカでは黒人の失業率は記録的に低かった。トランプはまた、実力ある学生が質の高い学校を選べるよう教育システムを変えようとしている。能力ある黒人学生が程度の低い学校でうずもれてしまわないようにするためだ。白人至上主義の人間が何故そんなことをする?

トランプ大統領が民主党が長年政権を握る州に州軍を送り込んだのは、地元政府が度重なる暴動を自分らで制御することが出来なかったため、最後の手段として行われたことだ。RANは暴動が激化したのは州軍や連邦軍が派遣されてからだなどと言っているが、これは小山エミの時にも説明したように、まるで話が逆さまである。

SSGTRANは結局バイデンを推してる件

結局SSGTRANは単なる民主党工作員であり、まっかっかな共産主義者である。ビデオの締めくくりは、トランプがこのまま大統領を続ければ、国内の不穏はずっと続くだろう、平和な国を取り戻したければバイデンが大統領にならなければならないのだという脅迫で終わっている。


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