サンフランシスコ近郊のサンタクララ郡というところで、二月に自宅で亡くなった57才の女性と69歳の男性が実は武漢ウイルスにかかっていたことが解った。これまでアメリカの第一号死者は2月下旬のワシントン州の人が最初だと思われていた。一人目の女性がなくなったのは2月6日。感染してから死に至るまでには一か月近くかかるので、この女性が感染したのは一月上旬と思われる。しかもこの二人には感染前に旅行はしていなかったという。ということは、トランプ大統領が中国からの渡航者の入国禁止をする三週間以上前に、すでにこの地域では感染が始まっていたということになる。

実はそれを裏付けるもうひとつの調査結果がある。同じサンタクララ郡とロサンゼルス郡で最近抗体を調べる検査が行われた結果、どちらの郡でも武漢ウイルスに感染した人数は当初の推測よりもずっと多いことが判明した。

これはスタンフォード大学とサウスカリフォルニア大学の二つによって行われたものだが、サンタクララ郡の場合は、調査団は3330人のボランティアに抗体検査を行い、約1.5%が陽性と出た。サンプルと人口を考慮に入れ調整すると、だいたい2.5%から4%の人がすでに抗体を持っていることになる。ということはサンタクララではすでに48000人から81000人が抗体を持っている計算になる。

ロサンゼルスではドライブスルーテストや参加者の自宅などで調査を行ったが訳2.8から5.6%が抗体を持っているという結果が出た。ということは22万から44.2万のロサンゼルス市民が感染したことになり、4月初めに確認された8000人の27倍から55倍の人々がすでに感染済みだったということだ!

武漢ウイルスはものすごいスピードで感染が広がるのか、でなければ思ったより早い時期にウイルスはすでに広まっていたと考えることが出来る。実際最初に亡くなった人の感染が一月初旬だったとすればこの話は納得がいく。

そしてこれは実は非常に良いニュースなのである。感染者が少ないのに死亡率が高ければ、この病気の致死率は非常に高いということになるが、感染者が多ければ多いほど致死率は低いという結果になるからだ。この調査から武漢ウイルスの致死率は.0014 から.0027。季節性インフルエンザの致死率が0.001%なので、インフルエンザとさしたる変わりのない致死率なのだということがわかる。

この二つの出来事は何を意味するのか。

  1. 武漢ウイルスは思ったより早期にアメリカで感染しはじめていた - 中国からの渡航者を一月下旬に止めても無駄だった。
  2. 武漢ウイルスはすでに多くの人に感染し、多くの人は症状を持たないまま治っていた。- 三月から都市封鎖などしても手遅れだった。

つまり、この病気を一か所に閉じ込めることは不可能だったのであり、今のような都市封鎖は何の意味もないということである。

私は最初の頃、日本は何故中国からの門戸を閉ざさないんだ、とかなり腹を立てていた人間の一人だが、今思うと、そんなことをしてみてもあまり意味はなかっただろうと悟った。それよりも実際はもっと多くの人に感染を広め、社会全体の抗体を作ることの方が大事なのだ。だから今アメリカがやってる州閉鎖はかえって逆効果なのである。

無論年寄りや病人は感染したら死ぬかもしれないので、十分な注意が必要だ。しかし若くて健康な人は特に心配せず、個人的な衛生に気を付けてどんどん仕事にも遊びにも行ってもらいたい。いつまでも家に閉じこもっていたら、感染を長引かせ蔓延第二派、三派を招くだけだから。


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