カリフォルニア州全体が自宅謹慎に追い込まれてすでに四週間が経つ。ミスター苺も私も暇なので久しぶりに指輪物語の映画版ロードオブザリングスの延長版(一話約三時間超)三話を全部観ようということになった。

指輪物語の主題は絶対的な権力がどのように人の心を蝕むようになるかというものだ。ワンリングと呼ばれる指輪を所持した者は世界制覇が可能になる絶大な力を持つ。しかしそれなら、それを良いことのために使えば世の中は非常に良い場所になるのではないか、という誘惑は誰にでもある。だが、最初は良いことをしようと思っても指輪の力はいずれ持ち主の心を腐敗してしまう。

今、アメリカ中で起きている都市閉鎖で、地方都市の政治家たちは突然巨大な権力を得た。人々に外出してはいけない、ハイキングやサーフィングもしてはいけない、生活必需品以外買ってはいけない、など平常時の自由社会では決して政治家が市民に命令出来ないようなことを平気で命令するようになった。彼らはこの権力に酔っている。あちこちの市や郡で市長や郡政府役人たちが全く意味の解らない規制をはじめ違反者を逮捕するなどといった行為に走っている。命を救うためという大義名分で地方役人たちが市民を弾圧しているのである。

今は非常時だから仕方ないと人々は一応協力はしているが、いったいいつまでこの非常時は続くのか、いったいどういう状況になれば非常事態が終わり平常に戻ることが出来るのか、我々市民には知る権利がある。政治家たちは都市閉鎖の出口戦略は何なのか、それをはっきりさせるべきだ。

出口戦略というのは”Exit Strategy”の日本語直訳だ。これが正しい日本語かどうか私は知らないのだが、要するに何かを始めたら終わりにするために必要な条件は何なのかということだ。例えば募金運動など、一定の活動期間を決め、目標金額に達するか、もしくは期限が切れるといった状態で運動を終了する、といったように、運動の終わりの条件をはっきり示すこと、これが出口戦略だ。

私が見る限り、今起きている都市封鎖にはこの出口戦略が見られない。いったいどういう状況になったら都市封鎖が終わるのか、それを誰も説明してくれない。

このパンデミックが起きた当初、専門家と言われる人たちはアメリカでは今頃100万人以上が死亡すると予測していたが、16000人程度の死者しか出ていない。しかもその70%はもともと疾患のあった人々で武漢肺炎にならなくても普通の肺炎で亡くなる可能性の高かった人々だ。

また感染者のほとんどが重病にならないため、当時予測されていたベッドや人工呼吸器の不足なども起きていない。ニューヨークのクォモ知事も「治療が必要な人は治療を受けており、救える命はすべて救えている」と言ってるくらいだ。

であるならば、我々がこうして家に閉じこもっている必要はあるのか?

無論、それは都市閉鎖が効果があった証拠だという人もあるだろうが、都市閉鎖をしてもワクチンが出来るまでこれだけの数が減るという予測が毎日のように一万単位で減っている。こんなにちょくちょく変わる予測モデルなど何の意味もない。結局だれもこのウイルスの致死率も感染率もきちんと把握できていないのである。

これでは都市封鎖をしなくても、同じような結果になっていた可能性は多いにあるではないか? 

予測される死亡者の数が何人まで減ったら都市封鎖をやめて平常に戻れるのか、そのへんのところをトランプ大統領はじめ政治家たちははっきり示す必要がある。


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