イラク戦争当時は私もイラクやイラン関係の人間の名前は結構追っていたつもりだったが、今回トランプ大統領の命令で退治されたソレイマニ司令官と言う人がどういう人物だったのかということに関しては恥かしながら全く知識がなかった。種々のメディアで彼はイランの最高指導者のハメネイ師に次ぐ第二の権力者であったと報道している。

CNNの記事によると、カサム・ソレイマニはイランでは英雄としてかなり信望の合った人物らしい。 ハメネイ師からも「生きる殉教者」として称えられていたという話だ。同司令官はイランの革命防衛隊クォッズというエリート軍隊のトップで、いわゆる諸外国でのテロ行為を指揮していた男だった。

ソレイマニ司令官の軍人としてのキャリアは1980年初期に始まる。彼は順調に出世して中東にイランの影響力を及ぼす重要な人物になっていた。人望も厚く部下からは慕われていたという話だが、まあイラン関係者の言うことなので真相は解らない。

米防衛庁によれば、ソレイマニ司令官と彼の部隊はアメリカ軍及び同盟軍の何百という兵士の死と何千という負傷者出して張本人だという。同司令官はイランの「影の指揮者」と言われ、1998年からクォッズ部隊の指揮を取っていた。ということはイラク戦争中にイラクの親イラン派の教育や作戦や資金援助をしていたと考えられる。私が2007年頃にイラクにイラン戦闘員が入ってきてはイラク兵やアメリカ兵を殺してイランに舞い戻っているという話を書いたことがあるが、彼らを指揮していたのが誰あろうソレイマニだったというわけだ。

Iranian Quds Force commander Qassem Soleimani was killed by a US airstrike at Baghdad airport.

トランプ大統領はソレイマニが何百というアメリカ兵を殺したと言っていたのはこういうことだったのだ。また、同司令官はイスラム国テロリストの創設にも拘わっていたと噂される。イラクで暗躍するイスラム国の裏にはイランが居ることは前々から言われていたことだが、その黒幕はソレイマニだったようだ。

ソレイマニ自身もイランとイラクを行ったり来たりしていたらしく、今回もバグダッド空港に居ることが解り米軍に狙われたのだ。

ところでソレイマニのクォッズ部隊の影響は中東だけではなく世界中に広がっていた。拙ブログでも2010年にイランのクォッズがベネズエラに影響を及ぼしているという話を紹介したことがある。また2011年にはサウジのアメリカ大使アデル・アルジュバーをアメリカの首都ワシントンの高級カフェで暗殺しようとしたこともある。

米防衛庁によれば、ソレイマニはイラクにいるアメリカ外交官や兵士を殺す計画を立てていたとし、過去数か月にわたるイラク内のアメリカ基地への攻撃も彼の命令によるものだとしている。12月27日の攻撃ではアメリカ民間人警備員一人とイラク人が殺されている。

金曜日の米軍による空爆でソレイマニと共に殺されたのはアブ・マフディ・アルムハンディスというイラク人でイラン親派のPMFというグループの副指揮者。


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