昨日書きかけた中国人スパイの話、私の操作ミスで後半が消えてしまったのでパート2として書き直す。

さて、本日の話題はり李振成(リー・チュンシン)英語名をJerry Chun Shing Lee(ジェリー・チュンシング・リー)という中国人スパイの話だ。

この男は1994年から2007年までCIA工作員だった。生まれは確か台湾だったと思うが、子供の頃にハワイに移住。米軍陸軍で勤めたこともあり、国籍はアメリカに帰化している。

2007年にCIAを退職し香港に移住。2010年から中国共産党のスパイとして働いていたとされており、2018年1月にアメリカ当局において逮捕され、本人は罪状を全面的に認めた。今年12月、李は19年の刑を言い渡された。

検察当局の発表によると李のスパイ行為によって20人以上のアメリカ人工作員及び現地情報提供者が逮捕されたり処刑されたりし、アメリカの中国国内スパイ網が破壊されてしまったという。

さて、この李と言う男、実は日本とも関りがある。李は2007年にCIAを退職してからすぐに香港に移住し、日本たばこ産業株式会社(JTI)香港支部で偽物や密輸の捜査をする調査官として働いていた。元JTI重役の話によると、李が入社して一年もしないうちに問題が生じたという。JTIが西側捜査官と協力しておこなっていた捜査の詳細が中国側に漏れていることが発覚したのだ。しかもその漏洩元は李であるとの疑いがもたれた。確たる証拠はつかめなかったが、JTIは李がスパイ行為をしているとみて李を解雇した。李はその解雇を不服としてJTIの捜査部に違法行為があるなどと言いがかりを付けていたという。

李はその後2010年に自社を立ち上げる。アメリカの検察によれば李が中国にスパイとして勧誘されたのはこの頃だとされているが、時系的にみてこのタイミングはおかしいと思う。

李がJTIの捜査官として働き始めたのがCIAを退職した同年であるということ、JTIに勤務しはじめて一年足らずでスパイ行為の疑いをもたれたこと、20人からのアメリカ工作員及び情報提供者が殺されたり逮捕されたりしているのに19年の刑期は軽すぎること、などから考えると、李のスパイ行為は2010年よりずっと前から行われていたと考える方が辻褄があう。

私が思うに、李はCIA現役時代からスパイ行為をしており、それが原因でCIAを解雇されたのではないかということ。連邦政府にはスパイ行為をしていると疑われる人間はいくらもいるが、確たる証拠がつかめずに疑いだけで辞めてもらうケースが結構ある。多々の事情で解雇ではなく単なる退職とされることもあるので、李の場合もそうだったのではないかと考えられる。なぜなら李は退職後すぐに香港に移住して中国スパイを始めているからだ。JTIに入ったこと自体、中国のためのスパイが目的だった可能性がある。

さて、ではなぜ刑期十九年という軽い刑になったのかといえば、李は今もCIA内部でスパイ行為をしている中国人スパイに関する情報を持っているはずなので、その情報提供を条件に刑を軽くしてもらったと考えるのが妥当だろう。

今年に入ってCIA職員でありながら中国スパイと断定されたの中国系アメリカ人は3人。これは単に解っているだけの数で他にもかなりの数が居ることは確か。トランプ大統領はかなりこの問題でCIAに圧力をかけているようなので、今後も続々とその正体があきらかになっていくことだろう。

参考記事:

Arrested ex-CIA agent was fired from tobacco firm after suspicions he was spying for China

CIA mole may have triggered murders of assets in China, Russia: Report

Ex-CIA officer pleads guilty to conspiring to spy for China


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