先日、二人のユーチューバーのビデオを観ていて、中国移民について考えさせられることがあった。一つはserpentZAというウィンストン‣スターゼル(39歳)のチャンネル。もうひとつはヤスラーじゃーなるというチャンネル。ウィンストンは南アフリカ出身の白人男性で中国生活14年という体験があり、去年あたりからカリフォルニアに在住している。ヤスラーさんは日本出身、アメリカで高校大学を出てカナダで就職、アメリカとカナダを合わせて北米生活10年と言う人。

まずヤスラーさんがカナダとアメリカにおける移民の違いについて語っていた時、特に「大陸」からの移民が全くカナダに溶け込もうとせずに自国の悪い文化をそのまま持ってきて生活しているという話をしていた。ここでいう大陸とは無論中国大陸のことである。アメリカも移民の国だが、移民の受け入れ方がカナダとは違い、アメリカは移民の融和を奨励する。だからアメリカの移民は10年以上も経つとアメリカ人的になってしまうし、二世代目になったら、もう完全なアメリカ人だ。しかしカナダの移民は何十年住んでいても何世代居ても完全にはカナダ人にならない人が多いという話だった。

確かにそれはあるかもしれないが、これもお国柄の違いが相当左右する。日本人移民は私のような一世でも数年も住んでいればかなりアメリカ人化してしまうが大陸出身の中国人は違う。カリフォルニア南部のアルハンブラ市あたりをドライブしてみればわかるが、街の看板はすべて中国語で道行く人たちも中国人だらけ。白人が歩いてると「あのガイジン」という冷たい目で見られるくらいで、まるで中国がそのまま移動してきたように感じる。あんなところに住んでいたら何年アメリカに居ようとアメリカ人になどなれない。

だが、同じ中華民族でも台湾系や香港系の人々や、中国共産主義前の中国からの移民やその子孫とでは、現在の大陸からの移民とは全く違う。台湾や香港や昔の移民がアメリカに融和出来たのに、現在の大陸からの移民がアメリカに融和できないのは何故なのだろうか?その答えは、中国の共産主義にあるのだ。

ウィンストンが紹介した大陸出身移民の西洋社会での苦労話を聞いていると、中国共産党が外国へ出た中国人に対しても強い影響力を持っていることが解る。

中国と言う国は広く多くの少数民族がいるにもかかわらず、他民族の文化や言葉を尊重するという姿勢は全く示さない。中共は当局以外の思想を許可していないので、中国市民は当局の流す大本営放送しか知らないし、他の考え方があるということすら意識していない。ほぼ単一民族で自分らが多数派だから外国人や少数民族を法律が差別し自分らが蔑視するのは当然だと思ってる。

その彼らが突然外国に行き、自分らが少数民族になった時の心細さたるは尋常ではないだろう。中共により意図的に外国事情に無知にされてきた彼らは、外国の礼儀作法が理解できない。いや、外国には違う文化や礼儀作法があるという認識すらできていない。もともと彼らは、中国以外の国は中国を敵視しているという先入観がある。そう教えられてきたのだ。それで外国に来て大陸並みの民度の低さを見せて諸外国から顰蹙を買って批判されると「やっぱり外国人は中国人を敵視してる」と誤解し萎縮してしまう。

それに大陸人は中共式愛国心を叩きこまれているため、中共を支持しない中華民は敵視する。同じ中華民族なのに台湾人や香港人や旧移民が中共を支持しないと、裏切り者であり配信者だと思い込む。だから新移民は旧移民の間に溶け込むことができなくなり、新移民だけで固まり余計に孤立する。

もっと怖いのは外国に移住した大陸人への中共の影響である。中共は諸外国に住む大陸人をコントロールするため、地元メディアを買い取り、中国語でニュースを発し、大陸人が外国に居ながら中国共産主義のプロパガンダを聞き続ける体制を取る。もし地元の中華系民が独自の団体を作って独自の行動を行おうとすると、中共の息がかかった団体が真っ向から潰しにかかる。欧米やオーストラリアで香港支持のデモが中共支持の学生たちによって暴力的な攻撃を受けているのがそのいい例である。

私の同僚のCは台湾系移民二世で、完全なアメリカ人。彼が北京語を話せるということ自体信じ難いほど中国文化を感じさせない。彼によれば台湾系香港系及び旧大陸系の移民と中共支持新移民の間には大きな亀裂があるという。それで新移民と旧移民とでは居住区すら分かれており、若者がたむろする場所も違うという。C以外の旧移民子孫が新移民のことをFOB(フレッシュオフボート、つまり船から降りたばかりの奴)と言って馬鹿にするのを何度も聞いたことがある。

私も移民だから祖国愛は理解できる。祖国愛は素晴らしいものである。生まれた国を愛しその文化を愛することは大事だ。だが、移住した以上は、現在住んでいる国に対して敬意を表するべきだ。自分を受け入れてくれた国に対して多少なりとも感謝すべきだ。それが出来なければ何時までたっても融和できず、孫子の代になっても少数民族としてセカンドクラスシチズンとして生きるはめになる。

いつまでも中共の呪縛に縛られていては中国人移民に未来はない。


1 response to 中共支持大陸人移民が地元に融和できないわけ

よもぎねこ4 years ago

 カナダの中国人移民問題についてはこんな本が出ています。

 Claws of the Panda: Beijing’s Campaign of Influence and Intimidation in Canada

 同様にオーストラリアでも中国人移民について、こんな本が出ています。

 Silent Invasion: China’s influence in Australia

 いずれの本でも、中国共産党政権が中国人移民を監視して中国共産党政権に従わせるとともに、移民を通して現地のメディアや政治家などを中国に従わせるような工作をしているという問題が描かれています。

 中国共産党は最終的には移民を使って、移民先の国々を人工侵略しようとして活動しているというのです。

 ワタシはこれらの本についてはこの動画で知ったのですが。

 https://www.youtube.com/watch?v=A-61SxMwUZg

 

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