ここ2~3週間、日本赤十字が宣伝に使った宇崎ちゃんキャラの献血ポスターがセクハラだというクレームがついた話について、多くのオタク及び一般右翼市民から、またフェミニストのヒステリーが始まったよ、という批判があった。実は私個人もこのポスターはとても気持ち悪いと思ったし、献血ポスターとしては不適切だと思ったので、その理由をアメリカ人の立場から説明したいと思う。

先ず第一に、私が最初にこのポスターの件を知ったのはツイッターだが、ツイッターではポスター全体の写真が写らず、最初は宇崎ちゃんの顔だけが写っていたので何とも思わなかった。ところが、写真を拡大したら突然巨大な乳房が現れて「ゲッ、な、なんだこの気持ち悪い絵は!」と思ったのだ。

そのことをツイートしたら、胸の大きい女性は気持ち悪いのか、それこそ巨乳差別だろうとか変なコメントが来た。いや、そうではないのだ。私が気持ち悪いと思ったのは宇崎ちゃんの童顔とそのド外れた乳房の大きさというギャップなのである。

このポスターに最初に異議を唱えたのがアメリカ人男性らしく、そのコメントも私は非常に理解できる。

日本赤十字の仕事には常に賞賛している。そうであるから余計に今回のあまりにも性を強調した宇崎ちゃんのポスターを使ったキャンペーンには失望する。ものには時と場合というものがある。この場合にこれはふさわしくない。

このツイートをリツイートした女性弁護士がバリバリ左翼のフェミニストだったらしく、この批判に対する批判もかなりなものだった。しかし多くの日本人が誤解しているのだが、我々普通のアメリカ人があのポスターを見て気持ち悪いと思うのは、女性の胸が極度に強調されていることでも、ポスターがやたら性的であることでもない。問題なのは明らかな子供の顔とそれに全くに使わない大人の女性の肉体が幼児性愛を連想させて気持ち悪いのである。

幼い子供への小児性愛はアメリカでは非常に忌み嫌われる。無論日本でも年端も行かない子供への性愛など奨励されてはいない。だが、アメリカでは未成年との性交渉が極端なほど厳しく罰せられるので、萌えとかいって幼女への性愛を思わせるアニメが奨励されたり、援助交際をなんとも思わない日本人の感覚とはかなりのズレが生じるのである。

これは多くの日本人が誤解する点なのだが、アメリカ社会は実は日本に比べて色々な面で保守的だ。特に性に関してはヨーロッパ諸国などに比べるとものすごく慎み深い。昔からハリウッド映画は女性のセクシーな恰好はヨーロッパ向けと国内向けを別々に撮っていたほどで、ヨーロッパ向けなら胸もあらわなランジェリーでも、国内向けだと胸が隠れるローブを覆っていたりしていた。今は結構普通にハリウッド映画でセックスシーンが現れるので、日本人は普通のアメリカ人もああいう感覚なんだと思いがちだが実は全く違う。

現在のアメリカは映画やテレビにはレイティングシステムというのがあり、幼児向け(G)、子供むけ(PG), 少年向け(PG13), 大人向け(R)、そしてポルノ(X)、と解れている。日本では18禁のX以外は、GからRまで誰でも観られるのではないか(と思う)ので、ここに誤解が生じるのだ。

アメリカでは大人向けの宣伝なら多少セクシーでも特に文句は言わない。肉体美の女性を使ったビールのコマーシャルなど普通である。しかし、対象が子供むけだったり、性対象が幼児であったりすると非常に神経質になる。

宇崎ちゃんというキャラクターは大学生という設定になっているという話だが、顔だけ観てると幼稚園児のように見える。そういう少女がとってつけたような巨大なお乳を持っていると、我々アメリカ人の感覚では幼女性愛をどうしても連想してしまうのだ。

誤解のないように言っておくが、私は大人の女性を性愛の対象とする表現が悪いとは思わない。水着や下着のコマーシャルに美しい女性の肉体美を使うことにも全く異存はない。ポルノ映画も多いに結構だと思ってる。女性を性の対象として扱うな、などというフェミニストの考えは全くのナンセンスだと思っている。

しかしながら、ものには時と場合というものがある。そういう点で先のツイッタラーさんに私は同意しているのだ。

日本のテレビバラエティーで子供も観てる時間帯なのに、よくそんなことを平気で言うなという発言にお目にかかる。とある有名芸人が「この間俺風俗にいったんすけど、、」とか「デリヘルのお姉ちゃんを招んだ時のはなしなんやけど、、」とか普通に話していてびっくりした。以前にイギリスの人気俳優が黒人売春婦を買ったことが暴露されて大騒ぎになったことがあるのとは大違いである。

日本の場所を弁えない性的な表現というのにアメリカ人は非常に当惑するのだ。無論その感覚は日本人には伝わらないので、あれだけ性産業が盛んなアメリカで、何故日本の萌えアニメが批判されるのか理解できないのは当然である。

「知らないことを知らない」という概念があることをラムスフェルド国防長官が指摘していた。つまり我々には知らないということすら知らない概念というものが存在する。だからお互い解っているようで全く解らない感覚があるのだ。それで今回のような誤解が生じてしまうのである。


2 responses to 宇崎ちゃんの献血ポスターが気持ち悪いアメリカ人の感覚

Shima55552 weeks ago

苺畑さん
気持ちは分からなくもないのですが・・・
私は輸血で助かったことがあるので、こういう話題だと感情的なものを排除した見方をしてしまいます。

>献血
外国の事情は分かりませんが、日本の場合、過去6か月以内に「不特定の異性または新たな異性との性的接触があった」人は献血が出来ないようになっています。この条件に該当しない人物から献血してもらうための手段のひとつとしてアニメのポスターを使っているのではないかと思います。ポスターの内容よりも実際にどれだけ献血してもらえるかを重視した合理的な判断ではないでしょうか。

>ポスター
私個人の感覚で言うなら、アニメのキャラクターはどういう人物であろうと所詮は実在しない人物であって、紙の上に乗っているインクに過ぎません。実在する人物の少しばかりセクシーな写真を貼りだしたなら騒ぎになるのも分からなくはないですが、実在しない人物を少しばかりセクシーに描いた絵を貼りだして騒ぎになるのは理解出来ないです。(ただ、宇崎ちゃんのポスターに書かれているセリフは別の方向で不愉快です)

>芸人
日本だと芸人と俳優ではイメージ戦略が違うので、俳優であればまた事情は違うと思います。

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    苺畑カカシ1 week ago

    シマさん、

    オタクは童貞が多いから献血には最適なんだなんて言ってる人がいました。冗談はともかく、これは日本人とアメリカ人の感覚の違いなんで、こういう宣伝が効果があるのなら、まあそれはそれでいいのかもしれません。

    私は献血を定期的にしてきましたが、最近血圧が上がって献血出来ず残念でたまりません。うちは職場に献血車が来るので献血がしやすく、しかも献血した日は午後から帰っていいことになっています。日本でも献血がしやすい境遇を作っていくことが大切ですね。

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