私が好きなユーチューバーのひとり、ヤスラーじゃーなるさんが、最近留学中のユーチューバーが留学志望者からお金をとってアドバイスをして、金銭をめぐってトラブルが起きたという話を紹介していた。彼に言わせれば留学中の学生にアドバイスを求めること自体がおかしいとのことだった。これ、私も全く同感。

ヤスラーさんはアメリカに高校留学して大学もアメリカで出て就職をカナダでして10年以上海外生活をしている社会人。まあそういう人だから留学や海外就職の仕方など最近の情報も良く知っているし、本気で留学したい人には参考になる情報を持っているだろう。そういう人にアドバイスを求めるなら参考になると思う。

だが今留学中の人間は、特に親の金使って学費も生活費もまかなってもらってるお客さんみたいな人には海外生活の大変さなどわからないし、ましてや就職事情なんて全く分からない。そんな人にアドバイスを求める方が悪い。ま、金銭トラブルが起きたとしても、それはまだ学生たちが子供だからだろう。

効果的な短期留学とは何か

それではここで僭越ながらアメリカ生活30余年のカカシが短期で語学留学をする人にちょっとアドバイス。現在の留学事情は知らないが、留学した際にもっとも短期で効果的に言葉を学ぶ方法は今も昔も変わらない。

基礎がないと上達も遅い

英語は文法など出来なくてもしゃべっている間に自然としゃべれるようになると言う人がいるが、自然に学ぶにしてもある程度の基礎は必要だ。この間、あまり教養がないと思われるとある日本の芸能人がアメリカに半年足らず「留学」した時の話をしていたのを聞いた。

彼女は個人で一日3~4時間英語の先生と話をするという授業を受けていたそうだが、最初のうちは何を言われているのか全くわからず数週間が過ぎたと言っていた。私は高校卒業後すぐに英語専門学校へ通ったが、その授業はすべてネイティブ教師による英語だった。しかし第一日目から教師の言っていることは理解できた。無論初心者にわかりやすい語彙でゆっくり話してくれたからには違いないが、それでも解るためには多少の語彙や文法力がなければ無理だったはず。私が教師の言ってることが多少なりとも理解できたのは高校までの基礎が出来ていたからだろう。

その芸能人がどのくらい英語力を得たのかというと、コンサートに駆け付けたアメリカ人男性ファンから「君はすばらしい」と言われていたのさえ「え、何、今なんて言った?」と通訳さんに聞いていたくらいなので、留学で英語力を養うという目的は全く果たせなかったようだ。

基礎は何故大事なのか

最近フィリピンに語学留学し、教わってる英語のレベルが低いのに、それでも理解できずに帰宅してから日本語の教科書でおさらいをしてやっとついて行ってると語っている人のビデオを観た。もし高校までの英語を完全マスターしていたら、もっと高いレベルの授業から受けられたはずで、せっかくの留学で基礎をやり直すという無駄な時間を使っていると反省していた。

まさしくその通り。私の経験からしても英語圏でESLを初心者レベルから勉強したら、一年や二年では上級者レベルに到達できない。それに初心者レベルのクラスは自分と同じように英語が下手な外国人ばかりなので、クラスメートと話をしてもかえって変な英語のくせを覚えてしまうのがオチ。

三か月とか一年といった短期語学留学で効果的に英語を学ぼうと思うのであれば、上記のフィリピン留学の人みたいに時間を無駄にしないよう、留学前に基礎をしっかり勉強しておくことが大切。

しかしここでいう基礎とはヒアリングやスピーキングのことではない。大切なのは語彙と文法そして作文能力を高めることだ。

知ってる言葉は聞き取りやすい

語彙を増やすことの大切さは色々あるが、語彙が広いと聞き取りの際にひっかかる言葉が多くなる。英語初心者は相手がわ~と話している言葉がひとつのつながった音にしか聞こえないが、もし知ってる単語がいくつか聞こえたら、文章がところどころ区切れて聞こえる。例えば「わーわー、寿司、わーわー、レストラン」という風に聞こえたら、寿司屋の話かなという想像がつく。だから知ってる言葉が多ければ多いほど聞き取りの役にたつ。「出る単」でもなんでもいいから使って、とにかく語彙を増やしておくことが大事。

文法が解れば文章を再構成できる

高校レベルの文法がしっかり頭にはいっていれば、相手に言われたことがすべて聞き取れなくても文章を再構成することができる。例えば、「学校、わ~わ~、何、わ~わ~勉強?」としか聞こえてこなくても、文法がしっかりしていれば、「学校で何を勉強しているのですか」と頭のなかで文章を再構成することが可能だ。日常つかう簡単な文章をいくつか暗記して空で言えるくらいになっていれば、普通の会話はそのバリエーションであることに気づく。こうしておけばヒアリングは非常に早く上達する。

文章力があると上級者用授業が受けられる

短時間で高レベルの能力を身に付けるためには、やはりESLも上級者並みのクラスから始める必要がある。アメリカのコミュニティーカレッジのESLなどではレベルが低い順に1から5まであるが、それぞれ一学期づつで年に二学期しかないと5にたどり着くには二年半もかかってしまう。これを短期でマスターするつもりなら、せいぜいレベル3以上のクラスに入る必要がある。そのためにはどうすればいいか。

大抵の場合能力テストは作文のみで面接などはない。なので短時間にきちんとした作文が書ければ上位のクラスに入ることが出来る。普通こういう作文で要求されるのは、ある話題に関して賛成か反対かの立場を取り、何故そう思うのかを見三つの項目に分けて書く。所要時間は50分くらいが普通。

こういう作文でさっさと考えをまとめるためには時事問題に日頃から注意を払っておくことが大切。地球温暖化とかプラスチック汚染の話とか、米中貿易問題とか、話題になってる話に関して自分の考えをまとめておくとこういう時に役に立つ。

日本語は話すな!

最後に一番大切なのは自分を英語漬けにすること。留学生あるあるでよく聞く話は、留学先で日本人と友達になって日本人とばかり付き合って現地の人と全然友達になれないということ。たかが三か月や一年の留学でこれをやってしまったら本当に時間がもったいない。それでも回りに日本人がいるとつい甘えてしまうという全く自制心がない人は、日本人が居ない場所に留学するのも一つの手だ。

一番お勧めできないのが日本人経営の日本人学生を対象にした語学学校。いくら英語圏の国にあってもクラスメートがすべて日本人だったら、日本で外語学校に通うのと何ら変わりはない。ここは心を鬼にして日本人を避け、英語のみを使うように努力する。留学中のほんの一年足らずのことだ、出来るよ。頑張れ!

結論として

結局留学に関してのアドバイスを受けたいなら、いったい何のために留学しようと思っているのかをはっきりさせる必要がある。単なる留学手続きの話なら今在学中の留学生から最新情報を聞き出すのはよいことだろう。どういう授業を受けるのが効果的かという話なら、卒業後に何をしたいのかで話が変わってくるが、大学卒業して海外で就職したいのか、日本で就職したいのか、もっと上の学校に進学したいのか、そうした目的をはっきり決めてからそうした経験を積んだひとからアドバイスを受けるのが得策だろう。

ま、カカシのような人間に出来るのは勉強のしかたくらいで、留学に関するアドバイスはあまり出来ない。なにしろ情報が古すぎるから。でも語学の学びかたは別に変わっていないので、多少なりとも参考になればうれしいかな。


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