前回に続いて中国による南太平洋侵略について考えてみたい。最近オーストラリアは中国の豪州近辺への進出に非常な懸念を抱いている。中国は南太平洋にある貧しい国々に巨額な資金投資をし、これらの国には似使わない港の建設に余念がない。表向きは豪華客船の波止場建設だなどと言っているが、客船が泊まるには大規模過ぎる波止場は、オーストラリア軍隊から言わせると、中国の大型軍艦が停泊するのが目的であろうと語る

ニューヨークタイムスの記事から読んでみよう。

南太平洋にある小さな島国バヌアトゥ。オーストラリアはこの国への中国による影響増加に神経を尖らせている。 特に中国企業からの投資で建設された新しい埠頭は非常に問題だ。この埠頭が軍事用に使われれば、オーストラリアへの攻撃にはもってこいの距離だからである。

オーストラリアの心配をよそに、バヌアトゥ政府は中国からの借金はきちんと返せると強気だ。しかしながら、オーストラリアのニュース番組60ミニッツ(60分)によれば、バヌアトゥの中国依存は埠頭建設だけではない。

80からの島々からなるバヌアトゥ国は人口27万人の小国。 この小さな島国に中国は使い道のないスタジアムやコンベンションセンターを建設し、その度に同国に多大なる融資をしている。観光以外にこれといった産業のないこの小国に中国からの融資を返済すべきめどは全く立たない。すでに同国は台湾独立国表明を真っ先に辞任しており、中国による影響は隠しがたいものとなっている。

オーストラリアが懸念しているのは、埠頭建設費用を同国が返済できない場合、中国が埠頭を占拠し自分らの好きなように使えるという点である。もともと軍事用に建設されている以上、中国の空母艦や潜水艦の停泊港となることは必定。そうなればオーストラリアの安全が脅かされる。中国の狙いは最初からそこにあるのだというのがオーストラリアの見解だ。

中国によって乗っ取られつつあるのはバヌアトゥ国だけではない。南洋のフィジィ島もしかりである。フィジィは中国の影響などないと否定しているが、返せないほどの中国負債を抱えている以上安心はできない。最近はフィジィ島付近に漁船を装った中国の偵察船がしょっちゅう現れオーストラリア海軍とのにらみ合いが続いている。

日系アジアンレビューによれば中国のパラウ、フィジィ、クックアイランズへの中国進出はオーストラリアのみならずアメリカや日本にとっても非常なる脅威である。下記の地図を見ていただきたい。

日本の下へ続く二つの青い線。右側はオーストラリアから石炭や鉄を運ぶ海路。左側は中東から石油を運ぶ海路である。日本は鉄の7割、石炭の6割をオーストラリアからの輸入に依存している。日本の安倍晋三首相が好んでいう「自由に開いたインド・パシフィック」という言葉使いはインド洋と南東アジアに続く安全な海路の確保を指し、法と秩序が守るために中国の影響の拡大をけん制する意味が含まれている。日本からオーストラリアへ続く海路にある南洋の島々が中国管轄になった際に、日本やオーストラリアがどれだけ悪影響を受けるかはこの地図を見てもらえば明らかなはずだ。

中国は小笠原諸島の南にあるグアム⑪ サイパン⑫ 経由パプアニューギニア①の第二諸島チェーンと呼ばれる海路の確保を目指している。中国はこれらの島々を拠点として南太平洋における中国の軍事影響を広げようと企んでいるのだ。

オーストラリアのシンクタンクによれば、中国による南太平洋諸国への資金援助は2006年から2016年に渡る18億ドルに及ぶ。この金額は日本の1.5倍、アメリカの19億ドルに近い。

中国はまさに金で海路を買い取ろうとしているのだ。


Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *