先日ユーチューブにおいて人気保守派ユーチューバーのスティーブン・クラウダーのチャンネルが全面的に無収益(Demonitorized)対象となったことが発端となり、保守やリベラル関係なく多々の独立チャンネルが凍結されたり無収益対象となったりしたことが大きな話題を呼んでいる。

ユーチューブではビデオ再生に一回いくらの宣伝収益が付くことになっているので人気があればそれだけで生計を立てられる人もいる。超人気ユーチューバーなどは年収何億円という収益になる。つまり、そこそこの人気ユーチューバーならばチャンネルが凍結されたり、ビデオが無収益対象にされるのは死活問題である。

さて、なぜユーチューブは人気独立チャンネルの一掃を始めたのだろうか。ユーチューブはこれまでにも「過激派」とされたチャンネルをいくつも凍結してきた。陰謀論説者のアレックス・ジョーンズやアルタナ右翼とされたマイロ・イヤナポリスや、過激派右翼ジャーナリストのローラー・ルーマーなどがその例。ユーチューブが右翼保守が嫌いな傾向にあるのは前々からあきらかだった。過激派でも陰謀論説者でもないプレイガー大学チャンネルは、その保守派的内容からしょっちゅうビデオが無収益対象にされてきた。しかし、今回のクラウダーや他のチャンネルに起きた一掃はこれまでとはかなり違う。

クラウダーは元々コメディアンで、映画やテレビで活躍した過去もある。今はユーチューブチャンネルでコメディタッチで時事問題を扱って大人気をかもしている。事の発端はクラウダーがVoxMediaという左翼チャンネルのホスト、カーロス・マザをおちょくったことにある。自分でことあるごとに自分はラテン系だとかゲイだとか言ってるマザに関して、クラウダーは「Voxのラテン系ホモのマザ」などと言って笑いものにしたというのだ。これに怒ったマザはユーチューブにクラウダーのチャンネルを凍結しろと要求したのだ。まったくお前、小学何年生だよ?といいたくなる。

実はこれ、保守派におちょくられた左翼ユーチューバーによるヒステリーなどという軽いものではない。VoxMediaというのは個人がちまちまやっている弱小チャンネルではない。VoxMedia そのものが米国主流メディアのNBCユニバーサル社という超大企業が2千万ドルという投資されてるほどの大企業なのである。最近VoxMedia以外にもBuzzFeedやViceといったネットメディアがテレビ主流メディアと組んでネットメディアを独占しようとする動きが盛んになっている。

これらの主流メディアにとって一番厄介なのが人気独立チャンネルだ。なぜなら独立チャンネルは彼らの支配下にないからで、独立チャンネルの存在をゆるせば主流メディアによる社会論を独占できなくなるからなのである。

これまでユーチューブのバン祭りの対象となってきたのが、過激派右翼ばかりで自分とは関係ないと思っていたユーチューバーたちも、今回のパージ(一掃)で分かったはず。主流メディアの狙いは右翼保守派の意見を弾圧することにあるのではなく、右翼だろうと左翼だろうと主流メディア以外の声すべてを弾圧することにあるのだ。彼らの目指すものは企業独裁主義、つまりファシズム。

さて、ではどうすればいいのか。

これまでのようにユーチューバーは保守派を差別しているなどと愚痴をこぼしているだけでは何も解決しない。だいたい左翼が作り上げたプラットフォームで右翼保守がのうのうと金儲けさせてもらえると思っていた方が悪い。

すでにクラウダーやジョーダン・B・ピーターソン教授やデイブ・ルーベンなどがユーチューブやツイッターやフェイスブックといった左派系SNSに頼らない新しいプラットフォーム作成に手掛けている。保守派ユーチューバーたちは他の独立チャンネルと提携して全く別の自分らのプラアットフォームを作り上げるべきだろう。今すぐにはできなくても、もし今ユーチューブで多少なりとも収益を得ているのなら、その資金を使って別のプラットフォーム制作に投資すべきだ。今は大丈夫でもいずれ非収益対象にされたり凍結される日は来る。「もし」ではなく「いつ」の時期に入ってしまったのだから。

そういうわけで今回の一掃は、今まで自分には関係がないと呑気に構えていた保守派や独立ユーチューバーに警鐘を鳴らすという意味でよかったのかもしれない。



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