5月24日(2019)、イギリスの欧州連合(EU)離脱を巡り二年間による無様な外交により、テレサ・メイ首相は辞任を発表した。彼女はイギリス近代史のなかで最悪な首相だった。イギリス国民は二年前の国民投票でEU離脱を支持した。メイは元々在留派だったが、首相に就任した際、国民の意志は守り通すと断言した。しかし彼女が過去2二年間やってきたことは、なんとかしてイギリスをEUに在留させるかという策略ばかりだった。メイは離脱への道に脚を引きずることによって、世論を変えさせようと思ったのかもしれないが、これは完全に失敗した。今もしまた第二回目の国民投票をやったら、前回よりももっと多数差で離脱派が圧勝することは先ず間違いない。

多々の世論調査によると在留派の方が多数だという意見もある。だがこういう世論調査というのは非常に眉唾だと私は思っている。前回の投票の前も在留派が圧倒的に優勢と言われていたのに、離脱派の勝利に終わった。主流メディアの報道する世論調査には意図的な印象操作が感じられる。

そのような世論調査よりも、イギリス国民の意思がもっとはっきりしたのが、この間行われたEU選挙である。EUには参加国からその人口に合わせて何人かづつ代表者が選ばれるが、イギリス代表ではナイジェル・ファラージ率いるBrexit Party、EU離脱党が30.8%という票を獲得し圧倒的多数で第一位を飾った。離脱党はトミー・ロビンソンの加入などを巡って脱退した元UKIP(イギリス独立党)のメンバーたちで急遽設立された党だった。ちなみにUKIPから出馬したトミー・ロビンソンは選挙運動をことごとく邪魔され僅か2.2%の票で大敗した。これについてはまた後で話そう。

反欧州連合派が優勢だったのはイギリスだけではない。全体で反EU派はなんと30%の議席を獲得したのだ。

ヨーロッパ議会によりますと日本時間の午前9時現在、議会の会派ごとの獲得議席の予測は、EUの統合を支持する中道の2つの会派が全751議席のうち、合わせて329議席で、今の選挙制度が始まった1979年以来初めて、両会派を合わせても過半数に届かない見通しです。

これに対してEUに懐疑的な勢力は、イギリスでEUからの「合意なき離脱」を求める「離脱党」が首位になったほか、フランスで極右政党の「国民連合」が、イタリアで右派政党の「同盟」が、それぞれ首位になりヨーロッパ議会全体でも議席を増やす見通しです。

ヨーロッパでは左翼でない思想はなんでも極右とされてしまうが、フランスではマクロン首相率いる与党がマリーヌ・レペン率いる 国民連合(旧国民戦線)に敗北した。そのほかイタリア、スペイン、ハンガリー、ギリシャなどもEU懐疑派の勝利がめだった。

イギリスによるEU離脱の新しい目標は10月。メイ首相が辞任した今、次の首相が離脱を成功させなければ与党であるトリー党は持たないだろう。離脱党のファラージはすでに国内選挙に出馬する意欲を見せているので、もしかすると長年による与党支配も終わりを告げるかもしれない。イギリスは根底から改革する必要があるからそれはかえって良い結果を生むかもしれない。

それにしてもEUの未来はあまり長くないという感じのする選挙だった。



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