私の体験した長時間就労と同僚の過労死についてお話してきたが、読者の皆さんは疑問に思われたのではないだろうか、これらの人々は、どうしてそこまで自分を追い詰めたのであろうかと。

コメンターのシマさんもおっしゃておられたが、アメリカではすぐ訴訟になるのでそういう環境で勤める人が居るというのは意外かもしれない。

偶然というか、私が上司と喧嘩をしたこの頃から、長時間にわたる残業に関する苦情が上部でやっと取り上げられるようになった。

そのきっかけとなったのは、とある新人が働いているのに残業手当を出さないのは法律違反だとして実際に働いた時間をすべて申告したのだ。実は我々には知らされていなかったのだが、残業は一日4時間までという規則はあくまで基本で、それ以上になる場合は、あらかじめ許可を得ていれば例外として認められるというシステムが会社にはあったのだ。幹部はこの事実を従業員に知らせるのを「うっかり忘れていた」らしい。この新人君のおかげで我々はそのシステムの存在を知ったのだ。

このシステムが明らかになってから、一日8時間以上の残業時間申告をする人が激増し、はじめて幹部はこんなに多くの従業員が長時間働いていることを知ったらしい。そこで会社では幹部役員と週に40時間以上の残業申告をした従業員を集めて緊急会議が開かれた。

この会議において、従業員の怒りは爆発。これまでの不満がいっぺんに表に出ることとなった。

幹部は残業手当の額を減らしたいこともあって、残業時間を本当に減らす努力を始めた。今までのような無償残業は厳しく取り締まられるようになった。最近は出張先で特に用もないのに職場に居ると「帰れ!帰れ!」と叱られるようになった。(笑)

なんだ、こんなことならもっと前に文句を言っておけばよかったな、などと言ってみても仕方ない。長い間苦情を言わずに我慢していた我々にも責任はある。でもどうして我々は苦情を言わずに長年こんな待遇に耐えたのであろうか?

よくアメリカ人は正直に思ったことを口にするとか、自分の権利はきちんと主張するとか言われるが、現実はそんなに甘くない。例えば私が上司に出張が多すぎるので減らしてほしいと言った時の上司の対応。

「出張出来ないなら他で仕事を探すんだね。」

私は腹が立ったので、その時は確かに「わかりました」と言って立ち去ったのだが、だからといってそのまま辞職するだけの勇気はなかった。それに私は仕事そのものが嫌いだったわけではないのだ。出来ればその分野で出世したいと思っていた。

アメリカで長時間就労を頑張ってしまう人というのは、必ずしも会社から強いられているとは限らない。いや、むしろ、会社はそこまでの奉仕を求めているわけではなく、本人がその会社で出世したいから、認めてもらいたいから、といった理由で頑張ってる場合が多いのである。だから仕事が好きな人ほど自分を追い詰めてしまうものなのだ。

日本やアメリカは奴隷制度を敷いているわけではない。だから辞めたければ辞めればいいのだ。自分を殺すほど会社にこき使われる必要はない。確かに日本は転職がアメリカほど普通ではないので、こんなに残業が多いなら辞めますとはいえないかもしれない。だが、病気になったり、ましてや過労死してしまっては元も子もない。

最近日本では人手不足だという。だったら企業は従業員が疲れ果てて死んでしまうまでこき使うのではなく、多くの人が雇われたいと思えるような勤務体制をつくるべきだ。安易に外国人を雇って働かせても根本の問題は解決できない。

日本人労働者はもっと強気になって企業と勤務待遇について話あってもいいのではないだろうか?

 


2 responses to 過労死は選択である、改善のカギを握っているのはあなた

oldman5 years ago

ブログを復活なさったことを昨日知りました。中断されてから1年以上になるでしょうか。どうされたのか心配していました。山火事が荒れ狂っているようですが、ひょっとして巻き込まれたのかな、などと。

移民問題ですが、我が国では「働き方改革」などと称するおせっかい極まる法律が制定されたようです。ようするに「あまり残業するな」という趣旨で、残業時間の上限が設けられたようです。これによる国民の所得減少は年間8兆円に上るという試算があります。「働き方改革」により、ますます人手不足感が強まり、デフレが悪化するはずですが、お構いなしです。こういう馬鹿げた政策を推進する総理大臣を私は「バカ」と呼ぶことにしています。
バカ総理・安倍晋三は移民を入れたいために「働き方改革」を押し通したのではないかとさえ思えます。

「働き方改革」のきっかけは東大卒の若き女性電通社員が過労死したことで大騒ぎになったことにあると見ています。「過労死は選択である」というお説には全面的に賛成いたします。が、我が国では物事を論理的、合理的に考えることができる人が極めて少ないのです。総理大臣でさえ感情に流されてしまい、前後の見境もなく馬鹿げた法律を作ります。ただし、「働き方改革」の真の狙いは「過労死の防止」というより、残業規制による企業の人件費削減にあるという説もあり、たぶんそれも一つの狙いなのでしょう。「人道」の仮面をかぶった巧妙な金儲け手段というわけです。

バカ総理・安倍晋三の仮面も最近どんどん剥がれてきています。終わりが近いようです。

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    苺畑カカシ5 years ago

    oldmanさん、お久しぶりです。色々ご心配をおかけしました。前のブログサイトのプロバイダーがアップグレードしたら以前のところでは書けなくなってしまい、お引越しのお知らせも出来ませんでした。再開するためにこちらのページを建設するのにものすごい時間と労力がかかってしまい、まだ完ぺきとは言えない状態。その間ツイッターにはまり、最近はブログが疎かになってしまい、申し訳ないです。

    私は安倍さんは嫌いじゃないですが、一連の移民受け入れは感心できないですね。人手不足を解決したいなら、企業が従業員の給料を上げ勤務環境を改善すれば、いくらも日本人が応募するでしょうし、過労死も自然と減ります。安い給料で過酷な仕事をさせようとするから人が集まらない。そんなことを外国人で穴埋めできると思うなら甘いです。外国人だって人間ですから、いずれ日本人との待遇との格差に不満を持って暴動したり犯罪に走ったり、そのあげくに日本の福祉に寄生するのが落ちです。

    もう欧米でいくらもそういう例があるのに、何故日本でそれをやろうとしているのか、安倍総理の真意が理解できません。

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