宗教の自由が勝った! オレゴン州で男同士の結婚式に出すウエディングケーキ製作を宗教上の理由から拒否して訴えられ州裁判で敗訴したケーキ屋が、それを不服とし最高裁に上訴していたのだが、そのケーキ屋さんが先日最高裁で勝訴した。下記は日本語版ハフポの記事より。(カカシ注:イタリックの部分をクリックするとリンクにつながる)英語の記事はこちら

アメリカの連邦最高裁判所は6月4日、宗教を理由に、同性愛カップルにウェディングケーキを作るのを拒否した男性を擁護する判決を下した

裁判を起こしていたのは、コロラド州デンバーにケーキ店を構えるジャック・フィリプス氏。

フィリップス氏は2012年、ウェディングケーキの相談をするために店を訪れた同性カップルのチャーリー・クレイグ氏とデビッド・マリンズ氏に対し、キリスト教を信仰しているのでケーキは作れないと拒否した。

コロラド州の州法は、人種、性別、配偶者の有無、性的指向に基づいてサービスを拒否することを禁じている。クレイグ氏とマリンズ氏は、ケーキ作りを拒んだフィリップス氏は州法を違反していると同州の人権委員会に訴えた。

コロラド州人権委員会はフィリップス氏が州法を犯していると認定。コロラド州裁判所も人権委員会の認定を支持した。

しかしフィリップス氏はこの判決を不服とし、コロラド州人権委員会を相手取って裁判を起こしていた

連邦最高裁判所は判決で、「コロラド州人権委員会は宗教に対する敵意を示しており、アメリカの憲法が保証する、信教の自由に反している」として7-2でフィリップス氏の訴えを支持した。

実はオレゴン州でも似たようなケースがあり、カカシは最初、今回の勝訴をそちらの裁判と勘違いしていた。オレゴン州の件は、スイートケーキと言うケーキ屋さんがレズビアンカップルの同性婚ウエディングケーキを拒否したことにより、レズカップルから訴えられて店は多額の罰金支払いを命じられ、ネットで過激派左翼たちに叩かれひどい嫌がらせを受けるなどして閉店に追い込まれ破産状態になっている。

今回のケースはコロラド州の人権委員会が極端に反宗教偏見を持っていたという理由でケーキ屋の勝訴となったので、オレゴン州のケースとは同等には扱えないとはいうものの、宗教の自由を尊重したという点に非常に大事な凡例となった。

同性婚に関するサービスを拒否して裁判沙汰になったのはケーキ屋さんだけでなく、ウィスコンシン州のフリーランスカメラマンの件やニューヨークのカトリック教徒経営の結婚式場の件などがある。他にも裁判沙汰にならずとも市や州から同性婚へのサービスを拒否して罰金を課された経営者は多く居る。

これらの件で共通しているのは、同性愛カップルたちは、断られることを承知のうえで、わざと敬虔なるキリスト教徒のビジネスを狙ったことにある。同性愛者たちは申し込み拒否されると即座に訴訟を起こした。はっきり言ってこれは完全なるLGBTパワハラである、宗教弾圧である。

他にいくらも同性婚フレンドリーなビジネスはあるわけで、何も取り立てて同性婚に反対な宗教家を選んで依頼を持ち込む必要はない。最初からキリスト教徒への嫌がらせと弾圧が目的であったと考えれば話の辻褄はあう。それが証拠にモスレムケーキ屋が訴えられた例はひとつもない。(コメディアンのスティーブン・クラウダーがわざとモスレムケーキ屋に同性婚ウエディングケーキを注文したところ、はっきりと断られていた。)だからこそ今回の最高裁の判決は非常に大事なのだ。

アメリカでは宗教の自由と言論の自由が憲法補正案第一条で保証されている。何故宗教の自由が言論の自由と同等に扱われるのかといえば、宗教は思想であり思想を表現することが言論であるからだ。思想を弾圧するのは言論を弾圧するとこと同じである。

しかし宗教の自由はどこまで認められるのか。イスラム教のように女児性器を切除するような野蛮な因習を宗教のしきたりだからと言って認めてもいいのかと言えば、そうではない。アフリカ産のブードゥー教では動物を生贄にするしきたりがあるが、これも無論認めることはできない。では、どこまでが認められてどこまでが認められないのか。

思うに、宗教及び言論の自由は自分や他人の身体に危害を与えない及び、他人の権利を損なわないところまでが限界である。他の宗教や思想を批判する行為は許されるが、他人の名誉を傷つける行為や、「○○宗教の人間は皆殺しにしろ」と暴力を煽るような行為は言論の自由では認められない。

しかし、宗教上の理由から特定のサービスを拒否する権利はビジネスには認められるべきだ。そうでなければユダヤ教徒のコーシャーレストランやイスラム教のハラルレストランで豚肉を出さないのは差別だとか、ヒンドゥーレストランでビフテキを出すことを強制できるというおかしなことになってしまうからだ。

それでは宗教上の理由から従業員が仕事を拒否できるのか。この質問の答えは、イエスアンドノー。例えばコンビニの従業員が豚肉製品やアルコール製品の扱いを拒否したとしたら、経営者は彼に仕事を強要することは出来ないが、解雇する権利はある。仕事をしない従業員を抱かえておく義務はどんな経営者にもないからだ。最初からどんな仕事か承知の上で就職しておいて、後で仕事を拒むのはおかしい。

この問題を同性愛者への差別と歪曲している人がいるが、これらのビジネスはそれまでにも同性愛者の客へのサービスを断って来たわけではない。特にスイートケーキの場合はレズカップルとは知り合いで、それまでにも色々なケーキを焼いてきたという話だ。問題なのは同性婚なのであり、同性愛そのものではない。

ともかくこれを機に、同性婚サービスを拒否して裁判沙汰になっているほかのケースもビジネス経営者を支持する判決が下る希望が出て来た。


3 responses to 米最高裁、オレゴン州同性婚ウエディングケーキを拒否したケーキ屋さんを全面的に支持

Shima55556 years ago

苺畑さん
キリスト教やキリスト教的思想とは縁がないので状況が分かり辛いですが、日本でいう紹介制(会員制)のレストランまたはゴルフクラブと似たものだと考えれば納得できます。公的機関の経営でない限り、お店が顧客を選択するのはOKだと思います。

ちなみに、私は最初からサービスの提供を断ってお金を受け取らないお店よりも、何も言わずにぼったくるお店の方が悪質だと思っています。ですので日本のサービスでたまにある「〇〇お断り」の方が海外のぼったくりよりは比較的好きですね。

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    苺畑カカシ6 years ago

    最初から断られるとわかってるところにわざわざ言って無理難題をふっかけるのは恐喝ですよ。ハラル(イスラム教)とかコーシャー(ユダヤ教)レストランで「とんかつくわせろ!さもないと訴えてやるぞ、このレイシスト!」というのと全く同じ理屈ですからね。

    欧米はジュデオクリスチャンが基盤です。だから左翼共産主義者らは西洋の根底にある体制派文化を破壊しようとしている。しかしよもや欧米は、特に西欧は、世俗主義が普通で、左翼が体制派となってしまったため、ユダヤ教やキリスト教は少数派として弾圧されるようになったのです。

    後退派左翼が常に少数派を守れなどと言っているのは完全なる偽善です。

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      Shima55556 years ago

      苺畑さん
      そうですね。全ての宗教に対して「自分たちを認めろ」と言うのと、特定の宗教にだけ言うのとでは話が違いますね。日本から欧米の(一括りにしてすみません)LGBT事情を見ていると、行き過ぎた事例が多くて困惑してしまいます。自分の理解出来ない人を許せない極端な人が多い印象です。

      >ジュデオクリスチャン
      「ユダヤ・キリスト教文化」という認識でよろしいですか?

      純粋な疑問なのですが、欧米でユダヤーキリスト間の距離が近くなった背景には何があるのですか?私(日本人)からすると不思議な現象です。何故なら、ユダヤ人は古い時代に国を失って、欧州の多くの国でも長い間迫害され続けて、オランダ、ポーランド、アメリカなどの特定の国に移民していった人々という認識があるからです。ですので、特定の国で距離が近いのは分かりますが、欧米全体でそのような雰囲気があるのはどういった理由なのでしょうか?もしもご存知でしたら後学のため、是非教えて頂きたいと思っております。

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