数週間前、トミー・ロビンソンは「私はもう長くない」という題名のビデオを公開していた。この場合の「長くない」は自分がネット上で人々に情報を提供できる時間はそう長くはないだろうという意味だったのだが、今となってみれば、彼のジャーナリスト生命だけでなく彼自身の命がもう本当に長くないかもしれない状況となっている。

センサーシップ(censorship=検閲)が恐ろしいのは報道や言論の自由が失われることによって、今起きている現実がその場でどんどん政府に都合のいいように書き換えられていくことだ。これについてゲイトストーンが書いているので参考にしながら私の意見を書いていこう。

トミーが逮捕されて数時間後にはすでに13か月の禁固刑という判決が下され、トミー(本名スティーブン・ヤクスリー・レノン)は即座にフル刑務所に送還された。そしてメディアや一般人に対してこの件に関しての報道を一切禁じる報道規制が敷かれた。

英国のメディアは驚くほどこの命令に従順だった。スコティッシュデイリーレコードScottish Daily Record、バミンガムライブ Birmingham Live、ザ・ミラー The Mirror、ブレイトバートニュースBreitbart Newsなど、次々にすでに報道された記事を削除していった。興味深いのは左翼系とされるザ・インディペンデントthe Independentだけは何故か記事を取り消さなかった。それというのも同紙はトミーのサッカーフーリガンというイメージを守る続けることが期待できたからなのだろう。

現にイギリスにおいてトミー・ロビンソンに関して書かれた記事では、彼の名前の前に必ず「極右翼」とか反移民の市民団体である「EDL創設者」といった形容詞をつけ、彼のジャーナリストとしての行動にしてもわざわざ引用符を付け「報道」といったように書き、あたかも彼の行動はジャーナリストの報道に値しないという印象操作をするのが常だ。

英国版ブレイトバート紙は報道規制通知を公開。イギリスの専制ぶりを暴露した。

我々アメリカ人や日本人は言論の自由というものが当たり前だと思っている。テレビなどで放送禁止用語がったりコンプライアンスがどうのこうのという話を聞いても、それが自分に直接かかわってくるとは考えていない。ツイッターやフェイスブックで外国人や他宗教の悪口を言ったからといって、まさか警察が夜明け近くに土足で家宅捜査をするなんてことは想像もつかないだろう。

昔のソ連だの今の中国だのといった国なら別だ。まさかそんなことが現在のヨーロッパ諸国で、ましてやイギリスで、起きるなんて信じられない。しかし実際に今それが起きているのだ。

先日フリートミーのデモに参加した人々も、デモに参加することで失業したり逮捕される可能性を口々に語っていた。フリートミーの署名運動に名前を連ねたら、当局に目を付けられる可能性もある。普段は歯に衣を着せぬ口調で話すイギリスのユーチューバーのカール・ベンジャミンですら、家族に危険が及ぶのを恐れてトミーの件に関してコメントできないと語っている。

「我が国は自由ではない。アメリカ人がとってもうらやましい。君たちは自分らがどれほど幸運なのか分かっていない。」

今はノルウェーでジャーナリストをやっているスエーデン出身のピーター・スワンソンもイギリスで記者活動をしたかったのだが、渡英早々イギリス当局から家宅捜査をされ、在英の自分の両親すらも危険にさらされるに至ったため、ノルウェーに移ったという。イギリスはもうそんな怖い国になり果てていたのだ。我々は単にそれを知らなかっただけ。

今回のトミー逮捕及び情報規制によって、イギリスがどれほどの警察国家及び専制国家になっていたのかがはっきりと暴露されたのである。


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