今年はどの映画も全く不入りで悩んでいるハリウッドだが、その中で一つだけ興行成績ダントツの大人気映画ワンダーウーマン(日本語公式サイト)を観てきた。
これは人気があれば三部作になるらしい話の第一部。ワンダーウーマンの出生物語。舞台は第一次世界大戦の真っ最中。女性戦士のアマゾン族のお姫様として、ダイアナは外世界からは完全に隔離された女性だけの住む離島で育った。そこへアメリカ軍のパイロットスティーブ・トラバーの乗った戦闘機が海に墜落。それを目撃したダイアナはスティーブを海から救出するが、スティーブの後を追ってきたドイツ軍により島は襲撃を受ける。多数の犠牲者をだしながらも、何とか外敵を撃墜したアマゾン族は、スティーブからオトマン帝国とドイツが共謀して化学兵器を開発している事実を学ぶ。世界中の人々がオトマンおよびドイツによって脅威にさらされていると知ったダイアナは、これはゼウスの息子で戦いの神であるアレスの仕業に違いないと確信。人々をアレスの魔力から救出すべき使命に燃えたダイアナはスティーブと共に現実社会へと旅立つ。
ダイアナは当初、闘いの神であるアレスを倒しさえすれば戦争は収まるものと非常にナイーブな気持ちで挑むのだが、現実はそんな単純なものではない。アレスは人々の戦闘心や他人を服従させ支配したいという野心に拍車をかけるだけであり、戦う戦わないは人間の自由意志によるものだ。ダイアナはスティーブの援助でそのことを少しづつ学んでいく。この映画の一番大事な点は個人の「自由意志」だ。悪を選ぶも善を選ぶも個人の自由意志なのだ。そんな人間を超人ワンダーウーマンが救う価値があるのだろうか?
常にスーパーヒーローが男ばっかりだと文句を言っている左翼フェミニストたちにとってワンダーウーマンは歓迎すべきヒロインであるはずだが、なぜか彼女たちの批評は冷ややかである。
左翼雑誌のスレートは、ワンダーウーマンの美しさが許せないようだ。主演のガル・ガドットがあまりにも美しく、ダイアナが絶世の美女であることが映画のあちこちで強調され、彼女が登場する場面ですべての男性の目が彼女の美しさに魅せられてしまうことが気に入らないというのだ。登場人物の一人が「恐怖を感じると共に性的興奮にかられる」と語るシーンが観客の笑いを誘うことにこの批評家は怒りを隠せない
そして主演のガドットがイスラエル国民であり、イスラエル軍で戦ったこともある元兵士であるということも左翼連中には気に入らないらしい。彼女がイスラエル人であることが原因でモスレム圏では上映が禁止された国もある。
同じく左翼雑誌のサローンも、ガドットがイスラエル人であることが気に入らないなかのひとつ。
ガドットがパレスチナ人の悪行を自分のツイッターで批判していたことを指して、イスラエルがパレスチナに対してしている悪行について書かないのは片手落ちだと批判。はっきり言って戦争している敵を批判するのは戦士として当然のことだろう。なんで他国による自国の批判までツイートしなければならないのか?彼女にそんな義理はない。第一、それと映画と何の関係があるのだ?
同じくサローンの別の記事では、スーパーヒーローは個人の強さを美化する傾向があり、政府設立の階級制エリート意識丸出しで平等とは程遠いと語る。これははっきり言って矛盾している。政府設立の階級制度では個人主義は奨励されない。なぜなら生まれが高階級の人間は個人的に能力があるなしにかかわらず権限が高いからだ。この批評家はわざと階級制度を持ち出すことによってスーパーヒーローの個人主義を批判している。彼女にとっての平等とは誰もが平等に力のない状態を指すのだろう。
特に馬鹿馬鹿しいのがMSマガジンのこれ、なぜワンダーウーマンは太った有色人種ではないのかという批判。そんなこといちいち説明する必要があるのか?

なぜワンダーウーマンは有色人種ではないの?ガドットがワンダーウーマンを演じると決まった時、観衆は彼女の貧乳を批判し恥をかかせた。もし主役を黒人女性が演じるとなったら白人至上主義者たちが何と言ったか想像がつく。(アマゾン族の住む)パラダイス島には白人と共に黒人戦士もいる。これは良い傾向だ。だが他の人種が見あたらない。

アマゾン族の島はギリシャにあるのだ。ギリシャにそうそういろんな人種が集まるわけはない。だいたい一つの種族で成り立っているのに、人種がまちまちだったらそれこそ変である。
あ、それともうひとつ。主演のガル・ガドットはユダヤ人で白人ではない。アラブ人と同様セマイト人種である。

また、女戦士たちは皆強く勇敢だが、誰もが背が高く細身ですぐにもファッションモデルをやれそうだ。(略)なぜ戦士のなかには太目のがっちりした背の低いタイプがいないのか?

確かに戦士がファッションモデルみたいに痩せ痩せで筋肉がない女ばかりだったら問題ではあるが、私の見た限り、かなりがっしりした女優も居た。アマゾン族は高度な技術のあるエリート戦士の集まりだから、必然的に戦闘に有利な体系の人間を集める。太って動きの鈍い人間じゃ役に立たない。これ、常識。

もうひとつの問題は明らかな同性愛描写が両性愛の普通化によって隠されてしまうことだ

女ばかりの種族ならダイアナもレズビアンであるべきなのに、男性のスティーブに恋をするのはおかしいということらしい。なぜダイアナをレズビアンで通さずヘテロセクシャルにしたのかという批判だ。ダイアナは自分の出生を選んだわけではないので、周りに男が居ないから男の必要性に気が付かなかっただけ。彼女が男性に魅かれても不思議でもなんでもない。それにワンダーウーマンがレズビアンだったという描写は原作にもないので、観客は彼女と男性とのロマンスを期待しているだろうし、これは商業映画として当たり前の決断だと思うけどね。
な~んかこれら左翼の批評は映画とは無関係のところでされているように思える。強い女ワンダーウーマンをフェミニズムの象徴として素直に喜べないフェミニストたちって、いったいどういう神経してるんだろう?
主な配役:
ダイアナ・プリンス / ワンダーウーマン、演 – ガル・ガドット
スティーブ・トレバー、演 – クリス・パイン アメリカ陸軍航空部隊長。
ヒッポリタ女王、演 – コニー・ニールセン セミスキラを治める女王でありダイアナの母。
アンティオペ将軍 演 – ロビン・ライト ヒッポリタ女王の妹でありダイアナの叔母。
エッタ・キャンディ 演 – ルーシー・デイヴィス スティーブ・トレバーの秘書。
サムイール 演 – サイード・タグマウイ
ドクター・ポイズン、演 – エレナ・アナヤ 毒物の専門家であり気違い科学者。
サー・パトリック・モーガン  演 – デヴィッド・シューリス


2 responses to ワンダーウーマンはフェミニストじゃない、左翼メディアからの不思議な攻撃

yomogineko7 years ago

>左翼雑誌のスレートは、ワンダーウーマンの美しさが許せないようだ。
 スーパーマンとか男性ヒーローは皆見事な肉体美と端正な顔立ちを持つ極め付けの美男ばかりでしたよね?
 背の低い太ったヒーローなんていませんよね?
 
 左翼がヒーローの容姿を問題にするなら、男性ヒーローの容姿を問題にすれば良いのです。
 

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苺畑カカシ7 years ago

よもぎねこさん、
そうなんですよ、女性の体形はどんなものでも美しいと認めろという女たちに限って筋肉隆々の背の高い美しい男性を求めるのです。
自分たちが美しくないからって、嫉妬してるだけだとしか思えないですね。
普通、映画の美しいヒロインを観て、自分もそうなんだと錯覚することに映画の面白さがあるのだと思うのですが。

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