昨日、トミー・ロビンソンがイギリスの人気朝番組、グッドモーニングブリテンにゲスト出演したいう話はしたが、私はその18分19秒に渡るビデオを全部観て、ものすごく胸糞が悪くなった。はっきり言って半分くらいのところで挫折しそうになったのだが、ちょっと休憩を入れてなんとか全部見終わった。
私はもともとピアース・モーガンは好きではない。これまでにもモーガンの卑怯なインタビューのやり方については書いてきた。モーガンは最近はトランプの移民政策やロンドンのイスラムテロについても多少はましなことを言っているように思えたが、やはり根底にあるリベラル左翼の気性は変えられないようだ。
先ずモーガンとその手下(基、アシの女)は、ロビンソンがフィンスブリーパークで起きた白人男によるモスレム参詣者攻撃直後、ロビンソンがフィンスブリーパーク聖廟は過去に過激派聖戦を主張し暴力をあおる説教をしていたとツイートしたことに関し、死傷者へのお見舞いの言葉もそこそこにイスラム批判をするのは不謹慎ではないのかと責めた。
ロビンソンは、当日自分はいくつかのツイートをしており、最初のツイートで同攻撃を糾弾する声明文を発表したとしたうえで、こういう暴力が起きる歴史的背景についていくつかツイートしたにすぎず、その内容はモーガンが働く新聞社も同日おなじような記事を掲載していると答えた。
しかし、モーガンは新聞記事がどうのこうのではなく、テロ直後に犠牲者に責任があったかのようなツイートをするロビンソンの思考回路はどうなっているのかが聞きたいのだと責め立てた。
ロビンソンが白人による攻撃が起きる背景にはイスラム聖廟の過激な説教があり、それを説明しなければ今回のテロの原因を究明することはできない。という内容のことを話そうと、用意してきた各聖廟で配られている暴力的な過激なビラの内容を紹介しようとしたり、色々持ってきた資料からどれだけのテロリストが聖廟で過激化されているかという統計を述べようとしたが、ロビンソンの発言はことあるごとにモーガンとアシ女の切り目のない怒鳴り声にかき消されてしまった。
明らかにモーガンはロビンソンの発言になど興味がない。ロビンソンを招待してインタビューするという形をとって、いかに自分が公平で均衡のとれたジャーナリストであるかを象徴しようとしたのかもしれないが、こんなのはインタビューでも何でもない。単なる個人攻撃だ。
イギリスの番組を観ていると感じるのは、イギリスはいまだに昔ながらの階級制度意識から抜けていないということだ。エリート大学を出て上流階級のアクセントを身に付けたモーガンのような男は、アクセントが上流だから頭脳も上流だと自分勝手に思い込んでいる馬鹿である。それでロビンソンのように労働者階級のアクセントで話す男を最初から完全に見下している。
これとは対照的に、ダグラス・マレーやマイロ・ヤナポリスらがイギリスの政治討論番組に出演する際の司会者の態度は礼儀正しい。これはマレーやヤナポリスが上流階級のアクセントやそのしぐさを完全に身に付けているからで、二人ともイギリスのエリート大学で教育を受けたことはその話し方で明白。(マイロは大学中退だけど、、)マレーもヤナポリスもモスレム移民についてはロビンソンと変わらない意見を持っているのに、彼らに対しては司会者は頭ごなしに馬鹿にした態度は絶対に取らない。私はモーガンがこの二人をインタビューするのをみたことはないが、多分彼らに対するモーガンの態度はロビンソンを扱う時とは違うだろうと察する。
今回のテロとは全く無関係なのに、モーガンは現在34歳のロビンソンが10代の頃にサッカーフーリガンとして警官に襲い掛かり怪我をさせたことや、本名はトミー・ロビンソンではなく、EDLという過激派保守派団体を創設した頃に改名したことなどを持ち出した。(ロビンソンは数年前にEDLからは脱退している)あたかも「お前なんか下町の下層階級のチンピラだ、お前の言うことなど聞く価値はない」とでも言いたげだ。
しかしこの攻撃は逆効果だった。ロビンソンの育ったルートン市は貧しい下町。もともと貧しい市ではあったが、ここ10数年、大量のモスレム移民によってどんどん治安が悪化している。地元の白人とモスレム移民との間でギャング紛争が絶えない場所でもある。腕っぷしが強くなければ生き残れない場所なのだ。そういう厳しい環境で育ったことで、ロビンソンはモスレム移民がイギリスに及ぼす危険を身に染みて知っている。モーガンはロビンソンの優等生ではない過去を持ち出すことで彼の信用度を落とそうとしたのだろうが、かえってエリートによる平民を見下した鼻持ちならない自分の本性を暴露してしまった。
モーガンはロビンソンがEDL時代に街頭演説をしているビデオを持ち出し、そのなかの一部を繰り返し、いかにロビンソンが過激派右翼であるかを印象付けようとした。ロビンソンはモーガンはその演説の前後の関係を無視して自分が言わんとしていることを歪曲していると抗議したが、モーガンはそれを聞こうとはしなかった。
しかし、いつまでたってもロビンソンが自分のツイッターの内容を反省する気配がないので、最後にはモーガンとアシ女は「あなたはイスラモフォビアですか」と聞くに至った。ロビンソンがこのバカげた質問に戸惑って「何それ?」という顔をすると、両者は大声で「あなたはイスラモフォブだ!」と喚き散らした。
やっと気を落ち着けたロビンソンは「イスラモフォビアなどというものは存在しない」「フォビアとは理不尽な恐怖のことだ。実際にある脅威を恐れることはフォビアとは言わない」と説明した。はっきり言ってこれがロビンソンの発言のなかで一番光っていた。
ロビンソンはコーランを手に掲げ、「この本の中に暴力を扇動する文章が100箇所以上に渡って書かれている」と言うと、モーガンは「本を下ろせ」「宗教に敬意を示せ」と怒鳴った。「敬意?我々を殺せと書いている本に、なぜ私が敬意を示さなければならないのだ?」怒ったモーガンはロビンソンに「あなたは偏狭な気違いだ!」と怒鳴りつけて締めくくった。
この『インタビュー』の目的がロビンソンの評判を落とすことにあったなら、それは成功しなかった。もともとロビンソンを嫌いだった人の意見が変わったとは思わない。だが、この番組を見るまでロビンソンのような男が居るということを知らなかった一般のイギリス市民はどう思っただろうか? イギリスにも台頭するモスレム勢力を苦々しく思っている一般庶民はいるはず。自分と同じようなアクセントで庶民の味方をしているロビンソンに対し、エリート意識丸出しの馬鹿に仕切ったモーガンによるこの攻撃は、もしかすると完全に裏目に出たかもしれない。


3 responses to 恥さらし、ピアース・モーガンのインタビューと称したトミー・ロビンソン攻撃

苺畑カカシ7 years ago

リリーさんからのコメントの続き。
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欧州の階級の問題を考えると、「では現代の日本社会は一体、どのように位置づけられるのだろうか」と考え込まされる。私がこのブログで綴ってきたさまざまな話題の底流には、常にその問題が意識としてあった。
実は、途上国ないしは中進国だと類別されているマレーシアは、レッキとした階級社会である。特にマレー人がそうである。インド系もカースト制度が暗黙の内に残っているのは勿論のこと、華人も出身地や地域方言によって、職種や階層がほぼ決まっている。
「そんなものは今はない」と言うマレーシア人がいるとすれば、その人が軽く表面的に扱われている証拠か、出自にいかがわしさを伴う場合か、あるいは教育程度が高くないからだろうと私は思う。
政府系プログラムで教えていた私の学生達には、名前ですぐにわかる王族貴族の子弟が一定数含まれていたことを、過去ブログで綴ったことがある。誰もが一様に、非常に丁重な物腰で、優雅で、お金の使い方が農村出身の学生とは全く違っていることには、すぐに気がついた。
従って、旧宗主国の英国が、今でも(ムスリムなのに)マレー人を贔屓にするのは、階級制度が英国社会とマレー社会の間で合致するからではないか、とケンブリッジ大学博士号のDr. Ng Kam Wengから伺ったことがある。
それならば、日本だって明治時代の「四民平等」から完全に脱皮していない側面が残っているのだから、英国と日本は、階級制度上、合致する面もあると考えてよいのだろうか。
itunalily 2017/06/26 16:32

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苺畑カカシ7 years ago

リリーさんが言うように、イギリスと日本には封建社会という共通する歴史がある。島国であるということや第二次世界大戦で大空襲の犠牲になったという点でも非常に似ている。
だから私は日本人にはイギリス人の気性が解りやすいのではないかと常に思うのだ。
その点アメリカは全然違うのだ。
イギリスのエリート風気性がアメリカ人にとってどのくらい胡散臭いものであるかは、いずれお話しよう。
とはいえ、最近私はダグラス・マレー氏の大ファンになったけどね。

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苺畑カカシ7 years ago

この討論の一部を後で観たというダグラス・マレー氏のインタビューを聞いたのだが、マレーも私と同じようにピアース・モーガンがロビンソンを無学として頭から見下している姿についてコメントしていた。
マレーは、モーガンは大学を出ていない人間の意見など価値がないという態度をしていると批判していた。
また、マレーがロビンソンがしている公共の場でのデモ行進を支持できない理由として、不特定多数の人間が集まる場合には、どういう人間が集まってくるか主催者にはコントロールできないため、一人でも暴力的な人が来て周りの車を燃やしたりすれば、それで集会そのものが台無しになってしまうからだと言っていた。
今起きているイギリス政府の横暴に対して、一般市民がどのように戦うことが効果的なのか、それについてはまた色々書きたいと思う。

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