一週間ちょっと前、白人の若い女性二人が経営するブリート専門の屋台トラックが文化盗用だと責められ町を追い出されるという事件が起きた。ブリートというのはメキシコ料理のひとつでトルティーヤと呼ばれるひらったく薄べったいパンに肉や野菜や豆を巻いた食べ物。中国料理のムッシューポークに良く似ている。屋台を営業していた二人の女性はメキシコ旅行で見つけたおいしいブリートを自分らなりに工夫してフードトラックで売ったところ、そのおいしさで評判になり地方紙のオンラインニュースで紹介されたらしい。ところがこの評判が仇となった。
この記事が掲載されて10日もしないうちに、彼女たちのしたことは文化盗用だとか、二人がメキシコ人のレシピを盗み取ったことを自慢しているなどという記事が掲載されたりと大騒ぎになり、二人は屋台を閉めて市を追い出される羽目となった。ちょっと待てよ、ポートランドで白人女性がブリートを売ったらメキシコでトルティーヤを作ってるメキシコ人の商売の邪魔になるのか?彼女たちのせいでどれだけのメキシコ人が迷惑を被ったというのだ?
はっきり言って何を言われても彼女たちは店を閉めるべきではなかった。こんなこと単なる言いがかりに過ぎないではないか。私はこの記事を自分のフェイスブックで紹介し、だったら日本食レストランだと言って似非日本食を売ってる韓国人や中国人のジャパニーズレストラン経営者はどうなるんだ?と書いてみた。
腹が立つのはなぜか文化盗用は常に一方通行だということだ。なぜか西洋人(白人)が西洋以外の文化に感化されてその文化を自分らなりに取り入れることは文化盗用ということになるのに、有色人種が白人の文化を借りることは特に罪にはならないらしい。
いったい我々の一人でも西洋文化の影響を受けていない文化があるというのか?技術にしろ言葉にしろだ。日本人とほんの数分でも会話を交わせば訳の解らないカタカナ英語に出くわす。世界中の音楽番組を見てみろ、西洋音楽に感化されていないものなどないではないか。中国大陸の音楽祭でマイケルジャクソンやビヨンセの歌が流れるなんざ序の口である。それを言うならインターネットだってソーシャルメディアだってユーチューブだってスマホだってみんな西洋文化の賜物だろうが。
他文化の人々が西洋文化を真似するのは構わないのに、西洋人が他洋人の文化を取り入れたら盗用ということになるという理屈はどこからくるのだ?多様性の本質とは色々な文化の良い点を取り入れるということにあったのではないのか? だったら西洋人が日本の生け花に魅了されたり北京歌舞伎に感動したりすることのどこがいけないのだ?東洋人がアメリカのヒップホップを楽しむことと何が違うのか?
中国人の神童がバイオリンでモーツァルトを弾くことを非難する人はいない。アフリカ人バレリーナが白鳥の湖を踊りこなすことに眉を顰める人はいない。それならなぜ白人アメリカ人がブリートを作ったとか白人カナダ人が原住民の芸術に感化された絵をかいたりしたら非難されるのだ?
だいたい文化盗用という言葉自体おかしい。盗用というからには盗まれた人の所持物が奪われ元の持ち主はそれを使えないことをさすが、外国人のレシピを真似したり音楽や絵画のスタイルやデザインを自分らなりに取り入れることによって元の人々の所持品がどれだけ奪われたというのだ?
文化盗用という概念の本当の狙いは何なのだろうか?
これは少なくともアメリカやカナダにおいては単なる白人へのハラスメント(嫌がらせ)だと思うね。有色人種で白人への劣等感を持った奴らが何かと白人を責め立てる道具につかっているのだ。白人がビジネスで成功しているのがそんなに妬ましいなら、自分らも努力したり新しいアイディアを使って成功してみろ!
そういう意味で、私は韓国人や中国人の日本食レストラン経営者を責められないんだよね。


7 responses to オレゴン州ポートランド市、文化盗用の罪で白人経営のブリート屋台トラックが追い出される

5555 shima7 years ago

こんにちは。いつも楽しく読んでいる一読者です。
左目の手術をされたという記事を読んでたいへん心配しています。術後の経過は悪くないとのことですが、どうぞお大事に。
「文化の盗用」という単語は日本ではほぼ耳にしない単語で(苺畑さんのブログで初めて知りました)、概念も平均的な日本人の発想とかけ離れたものなので、アメリカで一体何が起きているのか私には分かり辛いです。
(似たような話で、ボストン美術館に展示された着物の件も意味不明でした)
苺畑さんは「単なる白人へのハラスメント」と書かれていますが、アメリカやカナダでは「白人」と「それ以外の人々(よく分かりませんが・・・)」の対立はそんなにひどくなっているのですか?
私にとっては「文化」とはお互いに影響し合う生き物のようなもので、それに触れる人みんなが楽しむものです。上手い言い回しが思いつきませんが、人間がハッキリと線引きするものじゃないように思えます。
特にアメリカのような多様な人々が集まる国ではそういう風にしていった方が平和的だし、アメリカがこれまで歩んできた歴史に沿っているではないかと考えているのですが・・・
そういう意味で私には「文化の盗用」という概念は理解出来ないですね。

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苺畑カカシ7 years ago

shimaさん、どうもです。
あなたが文化盗用の概念が理解できないのは、そんなものは最初から存在していないからです。これは一部の後退派左翼がでっちあげた言いがかりだからです。
人種間の関係が険悪になってきたのはオバマ大統領政権になってからです。彼が人種間の亀裂を何かと煽ったからです。私はアメリカ生活30余年でここまでひどい人種間の対立をみたことがありません。これもすべて後退派左翼が民主党と共に自分らの政治的立場を優位にするために、少数民族を利用してアメリカは差別社会だと騒ぎ立てていることが原因です。
本当の多様文化とは他の文化の良い面を取り入れて、社会全体が利益を得るというものであったはず。多様文化多様文化と騒ぎ立てていた人たちが文化盗用とか言い出すのも皮肉なもんです。

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5555 shima7 years ago

苺畑さん
返信ありがとうございます。改めて過去の記事を色々と読んでみたのですが、少しだけその意味合いが見えてきた気がします。
ところで、私はアメリカの状況をほとんど知らないので教えて頂きたいのですが、苺畑さんはオバマ大統領の時代に人種間の対立が酷くなったと書かれていますよね。単純な質問なのですが、これはどういう経緯でそのように考えていますか?
オバマ大統領以外の民主党政権時代は本当にそこまでひどくなかったのですか?もしそうだとすると、オバマ大統領と他の民主党政権の大統領には何か極端な違いがあるのでしょうか。

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苺畑カカシ7 years ago

shimaさん、
オバマ時代のアメリカがどれほど人種関係を悪化させたかは拙ブログの独裁者オバマ王の陰謀カテゴリーを読んでいただければよくわかるかと思います。
特にオバマ大統領が大統領になりたての頃のこちらのエントリーなどは参考になるかと思います。

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アンデルセン7 years ago

プライベートが忙しくなったのかと思っていましたが、手術でしたか。症状にもよると思いますが、日本ですと目の疾患にはブルーベリーやルティンのサプリメントが人気です。お大事に。
>私は韓国人や中国人の日本食レストラン経営者を責められないんだよね。
日本人的には、彼らがブリート屋さんと同じように美味しく安全な料理を提供し、かつ「なんちゃって日本料理」なのか、きちんと勉強し料亭などで修行を経た上での日本料理なのか明確にするなら文句ないんですけどねw
メキシコ人あるいはメキシコ系アメリカ人で、彼女たちの味方をしてくれる人はいなかったんでしょうか。
アメリカも、アメリカを創ってきた人、アメリカの構成員であることを自覚しアメリカを作り上げてゆく覚悟がある者たちと、ただアメリカの富を求めて居る人たちとの間には深い溝があるようですね。

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アンデルセン7 years ago

すみません、投稿のエラーでダブりました。
片方の削除をお願いします。

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5555 shima7 years ago

苺畑さん
オススメ記事の紹介ありがとうございます。民主主義の国として、投票を妨害する行為は誰であっても許されないことですよね。厳格な、そして平等な取り締まりが必要ですね。
カテゴリの方も少しずつ読ませて頂いています。これまで読んだ中ではいわゆる「オバマケア」についての記事がとても興味深かったです。日本の国民皆保険とは違うものなんですね。
アンデルセンさん
こんにちは。
>メキシコ人あるいはメキシコ系アメリカ人で、彼女たちの味方をしてくれる人はいなかったんでしょうか。
日本のボストン美術館の着物の件と似たような感じで、メキシコの方は恐らく誰も彼女たちに対して怒ってないでしょうね。
この話を知っている方が彼女たちの味方になってくれれば、そして願わくば彼女らがお店を再開してくれればと思わずにはいられません。

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