アップデート:2017年7月6日現在。警察に虚偽の被害届を出したとして起訴されていたライアン・ロクテだが、本日ブラジル裁判所において、犯罪は犯していなかったとして起訴が却下された。当初カカシが言っていたように、ロクテらの証言に嘘はなかったことが証明されたのだ!やっぱり無実だったアメリカ水泳チーム。
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先週、リオのオリンピック水泳リレーで金メダルを獲得した「ライアン・ロクテ選手ら4人のアメリカ競泳代表選手は、14日未明にリオ市内でタクシーに乗っていたところ強盗に襲われ、財布と所持品を奪われ」たという話しが世界中で報道された。ところが一昨日になって、ブラジル当局は四人の証言にはつじつまの合わないところがあり、虚偽の被害届を警察に出した恐れがあるとし事情聴取のため四人のパスポートを一時押収し出国を阻止する意図を表明した。チームリーダーのロクテ選手ともう一人はすでに帰国していたが、残った二人は搭乗していた飛行機から下ろされて警察に連行された。
この時点でアメリカのメディアも含め世界中のメディアは選手たちの話は嘘だったと決め付けそのように大々的に報道した。

警察によりますと、4人は14日、パーティからの帰りに、警官を装った強盗に銃を突きつけられ、財布などを奪われたと訴えていました。しかし実際には、4人はその日、立ち寄った市内のガソリンスタンドでトイレのドアや鏡などを壊す騒動を起こしていました。そして、不審に思って駆けつけた警備員2人に銃を突きつけられ、経営者に壊したトイレなどの修理代として100レアル紙幣と20ドル紙幣、あわせて5000円相当を渡したということです。

リオで拘束された二人より一足先に帰っていたロクテ選手は、アメリカで受けたテレビインタビューでもまだ強盗被害にあったことは事実だと主張していた。ただ、リオのガソリンスタンドでの監視カメラのビデオが発表されたこともあってか強盗にあったのはハイウェイではなくガソリンスタンドだったと話しを訂正した。
ロクテ選手の当初の供述では、四人がパーティーの帰りにタクシーに乗って選手村に向かっていた深夜、道端で警察官のような格好をした四人の男らによって車を止められ、銃を頭に突きつけられて金品を奪われたということだった。が、後に受けたアメリカのテレビインタビューにおいて話した内容は少し違っていた。ロクテによると、パーティーの帰りにタクシーに乗り、タクシーがガソリンスタンドに止まった時みんなでトイレに行った。トイレからもどってタクシーの運転手に「行け」と指図したが運転手は行こうとしなかった。突然警察官のような男に銃を突きつけられ金品を奪われたと訂正した。頭に銃を突きつけられたと言ったのは誤りで、実際には自分たちの方向に銃を向けられたというものだった。しかし、細かい事情の食い違いはあるにせよ、強盗にあったことは意実である。強盗にあって気が動転していたので詳細を間違えただけだとし、そしてそんなことをでっち上げたりはしないと主張していた。
ガソリンスタンドの監視カメラのビデオには、四人がトイレに入ってからタクシーに戻る映像が写っているが、トイレのある場所は監視カメラの視覚外であるため四人がトイレを壊した映像はない。四人がタクシーに乗りこむと、警備員が車に近寄り窓から選手らに何かを言っているのが写っている。四人は車から降りると、それぞれ財布からいくらかの現金を出して警備員に渡している姿が写っている。
本日になってアメリカ選手らは1万ドルの罰金を払うことで釈放され出国を許可され無事帰国した。ロクテはソーシャルメディアで公式に謝罪表明をするに至った

ロクテ選手は19日、自身のSNS(=ソーシャル・ネットワーキング・サービス)でコメントし、「私の説明が慎重さと率直さを欠いていたことを謝ります」、「もっと責任感をもって行動すべきでした」と謝罪した。

どうもこの話はうさんくさい。カカシにはロクテ選手が強盗被害をでっち上げたというのは、それこそブラジル側のいいがかりなのではないかという気がするのだ。だいたいからして今回のリオのオリンピックは開催前からリオの治安の悪さや環境の汚染やズイカビールスの感染などが問題とされており、空港からオリンピック会場までの道で開催事前に訪れた選手団のコーチや委員会の人員や外交官が強盗にあったという話しがたくさん報道されていた。ロシアの外交官が渋滞で車が止まっているところに銃をつきつけられて、柔術を使って強盗の銃を奪い取り射殺したなんて事件もあった。開会式の翌日に警備員が道を間違えて路地に入り込み射殺された事件もあった。開会後も報道陣の携帯やパソコンの窃盗は日常茶飯事で、警察官がきちんと給料を払ってもらっていない状態なので、会場での警備体制もなっておらず、観客の入場に一時間以上も待たされるのはざらだという話だった。報道陣の乗ったバスに流れ弾が飛んできたなどという話もあった。事実この事件の直後にイギリスの選手が強盗に合っている。
そういう状況の中でアメリカ選手たちの被害の話はブラジルにとって非常に面子のつぶれる事件だった。聞いた話では、ロクテ選手らは被害にあったことをオリンピック協会の委員に報告し、地元警察から事情聴取されたとある。だが被害はそれほど大きくなかったことでもあり、そのまま穏便に済まそうという合意がされたという。ところがロクテ選手はその足で外に居た報道陣に強盗に合ったと自慢げに話しをしてしまったため、話はどんどん膨らんで大々的に報道されてしまったらしい。
私はブラジル当局がアメリカ選手を拘留した時点で、これは身代金目当ての脅迫だと感じた。なぜならたとえ四人の行動がブラジル当局のいうような状況で起きたとしても、たかがガソリンスタンドのトイレ扉を壊した程度のことだ。しかも賠償金はその場で払っている。確かに警察に嘘をついたという事実があったとしても1万ドルもの罰金を課すほどの罪か?どうせすぐに帰国してしまう外国人だ、せいぜい1000ドルくらいで勘弁してやってもいいではないか。
だがここでロクテ選手の証言が正しいと仮定しよう。問題になったビデオでロクテ選手の証言と矛盾することは何もない。ガソリンスタンドのトイレのドアや鏡を壊したというのはガソリンスタンドの従業員の証言であり、これらのものが壊れていたのは事実としても選手らが壊したという証拠はない。トイレは監視カメラの視覚外なのである。
警備員が銃を持っていたことも警備員が銃を抜いて選手らに外に出るように命じたことも双方が認めている事実である。警備員やガソリンスタンドの従業員が何を言っているのかビデオではわからないが、もし彼らがポルトガル語で話していたとしたら、選手らには何が起きているのかよく理解できなかっただろう。なにしろパーティーの帰りでちょっと酔っていたことでもあるし、突然銃を突きつけられたら動揺するのは当然のことだ。
仮に警備員が「トイレのドアを壊しただろう、弁償しろ!」と言っていたとしても、それが選手らにちゃんと伝わったかどうか解らない。単に金を出せといわれただけだと解釈しても当然のことだ。
ということは、選手らにとっては当初の話しのように「パーティの帰りにタクシーに乗っていたら突然警察官のような格好をした男に銃を突きつけられて金を奪い取られた。」というのは全くの事実だということになる。被害にあったのが道の真ん中であろうとガソリンスタンドであろうと誤差の範囲である。
ロクテの「謝罪文」を読んでみても、ロクテは「嘘をついて申し訳ない。」とは言っていない。「慎重さと率直さを欠いていた」とか「もっと責任感を持って行動すべきだった。」と言うあいまいな言葉使いで、いったい何を謝っているのか不可解な謝罪だ。チームメイトがブラジルの留置場に拘束されている以上「自分は嘘はついていない、本当に被害にあったのだ」と主張する自由などロクテ選手にはなかったはずである。とにかく他の選手たちが無事にアメリカに帰ってくるまではロクテもやたらなことはいえなかったはずだ。だからこの謝罪は脅迫されたうえでの謝罪であり全く意味がない。
思うにブラジルは度重なる不祥事に非常な屈辱を感じていた。だからアメリカ選手が強盗被害にあったという事件が大々的に報道され恥の上塗りとなり面目丸つぶれになったことに腹を立てていたのだ。ロクテ選手の証言にちょっと穴があったことから、ブラジル当局はトイレのドアの話をそれこそでっち上げて、アメリカ選手たちから身代金を取り立てようとしていたのだ。拘束された二人はとにかく帰りたい一心で大抵のことなら認めるに違いないと踏み、罰金にしては高額すぎるが身代金としてはまあまあな程度の1万ドルの要求をしたものと思われる。
ロクテ選手の過ちは、最初にオリンピック委員会の職員と警察との間で穏便に済まそうと合意したことを無視してべらべらとメディアに話してしまったことにあるのだ。たいした事件ではなかったのだから黙っていればよかったのである。そういう面では確かにもっと責任ある行動をとるべきだっただろう。


1 response to アメリカ水泳選手たちの強盗被害はでっちあげではなかったと思う理由

In the Strawberry Field3 years ago

やっぱり嘘はついていなかったアメリカ水泳選手たち

この間、オリンピック水泳メドレーで金メダルを受賞したライアン・ロクテら四人の選手たちについて、カカシはロクテ選手の供述は嘘ではないと思うと書いた。ブラジル当局の言い分はどうもうさんくさい言いがかりに聞こえたからだが、そう思ったのは私だけではなかったらしい。 アメリカの主流メディアのひとつUSAトゥデイという新聞がロクテ事件について詳細を調べるためリオデジャネイロに取材に行った。その報告というのが非常に興味深い。 先ずリオ警察は、ロクテ選手らが強盗にあったというのはまったくの作り話であり、実際は立ち寄…

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