米国憲法補整案第二条で保証されている市民の銃砲所持権利はアメリカ人にとって一番大切な権利である。これは第一条の言論の自由よりも大切な権利だ。政府によって言論の自由が迫害されたとき、銃で武装した市民のみが政府に立ち向かうことが出来るからである。
私はアメリカに移住した途端に親銃派になった。その後も銃砲所持問題に関しては非常に興味があったので大学時代ずいぶん銃法の研究をした。それで反銃派の屁理屈は耳にタコができるほど聞いている。彼らの屁理屈は統計に基づいたものではなく、すべて感情論だ。この間のフロリダでの乱射殺人事件の後もソーシャルメディアなどで反銃派がまたまた使い古された銃規制の屁理屈をあたかも新しい議論であるかのように羅列している。そんな議論はもうとっくの昔に論破されているのに。
さて、銃法取締り法研究ではその第一人者であるジョン・ロット教授は前々からガンフリーゾーンと呼ばれる銃携帯禁止区間の危険性について述べいるが、教授によればアメリカで起きた1950年以降の大量乱射事件のほとんどがガンフリーゾーンで起きているという。
今回のオーランドのゲイナイトクラブもそうだが、フロリダは銃携帯が合法だが、クラブそのものは銃法持込を禁止していた。犯人のマティーンはその妻の話によると、数ヶ月前からテロを行なう場所を視察しており、オーランドのディズニーワールドでのテロも考えたという。実際ディズニーの警備員がマティーンの怪しげな行動をFBIに届けていた。マティーンが武装した市民に邪魔されずに大量の人間を殺せる場所としてガンフリーゾーンのポルスナイトクラブを選んだのは偶然ではない。
その他にもロット教授は未然に防がれたテロ事件で、テロリストが大量に人が集まる場所として銃持込が禁じられている教会を選んだ例や、アリゾナのオーロラ映画館での乱射事件でも、何軒もある付近の映画館で唯一、銃携帯禁止の表示があった劇場が狙われた例などをあげている。その他バージニア工科大学乱射事件、サンディフック小学校乱射事件など、ガンフリーゾーンが狙われた事件は数え上げたら切りがないのだ。
今年の二月に発表されたスタンフォード大学の統計でも、2002年以降153件の大量乱射事件(一度に三人以上が射殺された事件)のうち、家族や職場関係のない不特定多数の犠牲者を狙った53件のうち、37件がガンフリーゾーンで起こっており、残りの17件は市民の銃携帯が許可されている場所で起きた。これらの事件のうち一般市民の銃携帯者が犯罪を食い止めたもしくは最低限に抑えた件は、ガンフリーゾーンでは二件、携帯許可区間では五件あった。
またCPRCが発表した調査でも 2009年から2014年に起きた大量射殺事件の92%がガンフリーゾーンでおきているとなっている。
ここで、反銃派の屁理屈も一応紹介しておくべきだろう。ガンフリーゾーンが大量乱射の標的になっているという神話を砕くと息巻いているのが2015年6月のザ・トレースの記事。
ザ・トレースの記事は他の反銃派の記事よりは感情論だけに頼らずに理論を提示しようとしているので、考えてみる必要があると思う。
先ず著者はロットの調査範囲になっている事件の対象に異議を称えている。ロットの調査対象は3人以上の死者が出た乱射事件で大量殺人が目的だったもののみに絞られている。犠牲者が3人以上でていても家族や職場関係の犯罪やコンビニや銀行などでの強盗事件は対象からはずされている。その理由は統計を取るにあたり、大量殺害を目指す人間がどういう場所を選ぶのかという目的でされているので、別の犯罪や個人的恨みが動機になっている事件を対象にするのは不適切だからである。
ザ・トレースはこれは間違っていると主張する。著者らは大量乱射事件のすべて、及び犠牲者が3人未満で阻止された銃撃事件など、すべての銃撃者が選んだ場所を考慮に入れるべきだというのだ。だが様々な要因を含めた銃撃事件をすべていっしょくたにした統計など意味がない。
著者らが使ったFBIの統計は死傷者が何人出たかという統計ではなく、銃撃者に焦点を当てた統計である。それによると、教育の場で起きた39件の銃撃事件で31件までが銃撃者となんらかの関係があり、27件は現役の生徒か元生徒だった。職場での銃撃事件では23件のうち22件までもが現及び元従業員だった。これらの銃撃者は銃撃の場所に存在する人間と深いつながりがあり、乱射の動機はガンフリーゾーンとは無関係だというのである。
はっきり言ってロットの統計調査とFBIの統計調査を比べること自体おかしい。なぜならばロットは大量乱射事件について述べているのであり全ての銃撃事件について述べているわけではないからだ。それに対し、ザ・トレースは銃撃事件が公の場で起きた場合すべてについて述べている。しかも犠牲者が一人二人の場合も含まれていることから、単に自分が憎む相手がたまたま学校や職場に居たという事件も含まれており、ロットが問題としている大量殺人を目的とした犯罪統計とは全く別物について議論しているのである。
それに、銃撃犯人が乱射の場所を選ぶ理由は必ずしもひとつではない。大量殺人を目的とする人間がどこでそれを行なうかを考えた場合、自分がよく知っている場所を選ぶのは当然だろう。計画犯罪を犯す人間は犯罪の場を下見するのが普通。今回のオーランドでの乱射事件でも犯人はポルスというナイトクラブの常連だったという。自分がよく知っている場所なら犯罪は行ないやすい。現及び元生徒なら学校内がガンフリーゾーンかどうかも良く知っているだろうから、それが一つの要因となった可能性は高い。犯行現場と犯人に感情的つながりがあるからといってガンフリーゾーンが動機の要因になっていないと断定するのはおかしい。
職場での銃撃事件については、記事の著者が挙げている幾つかの例を見てみると、その職場にいる特定の人物を殺すことが目的で起きているものがほとんどだ。実はカカシ自身の職場でも、解雇された元従業員が上司を射殺して自殺するという無理心中事件があった。幸いにして他の従業員は巻き込まれなかったが、こういう事件で三人以上の犠牲者が出る場合、犯人の目的は大量殺人ではなく特定の人物を殺すことであり、大量殺人は副作用である。
このほかにも、著者らは合法銃所持者が犯罪を未然に防いだ件数はロットがいうほど多くないといいながら、きちんとした統計資料を提供していない。また、法律上はガンフリーゾーンでも銃携帯者が結構存在した場所での事件や、州法が銃携帯を許可しておりガンフリーを施行する権限のなかった施設での事件なども含めて、これらの地域をガンフリーゾーンとして統計に含めるべきではないと主張する。だが、実際にどうなっていようとも、銃撃犯人がガンフリーゾーンだと判断すれば同じことである。
ジョン・ロットの主張は、どんな施設でも『ここはガンフリーゾーンです』と宣伝するのは大量乱射犯人を惹きつけることになるからお止めなさい、ということなのだ。オーランドのナイトクラブで武装した私服の警備員が一人でも居たら、事情はずいぶん変わっていたことだろう。(制服の警備員は銃撃犯に狙われるので要注意だとロット教授は言う。)


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