この週末、コロラド州とインディアナ州で共和党の代議員選択大会が行なわれているが、その大半の代議員はクルーズが獲得する模様である。数的には多くはないが、トランプを阻止するためには一票一票が非常な価値を持つ。
トランプが代議員数の多いニューヨーク州での選挙運動に熱中しているのに比べ、クルーズはコロラド州の代議員選択大会で演説をするなど、幾つか集会を開いて地味な選挙運動を行なっている。その結果37の代議員の大半をクルーズが獲得するものと思われる。
ここで注意しなければならないのはアメリカの連邦制度だ。代議員選択のやり方は州によって極端に違う。コロラド州ではアリゾナやインディアナのような予選はなく、単に共和党大会において候補選択の投票をする代議員を選ぶだけである。これらの代議員が誰に投票するかはあらかじめ決められていない。しかし、自分に親派的な代議員が選ばれれば候補者にとって有利となる。クルーズは自分に忠誠的な代議員が選択されるよう運動をしているのである。
インディアナ州でも27の代議員が土曜日に選ばれることになっているが、同州の共和党員の間では反トランプ感情がものすごく高く、トランプはほとんど締め出されるものと見られている。だが、一般市民の間ではトランプの人気は高いので、5月に予定されているインディアナ州の予選ではトランプが勝つ可能性は高い。しかし、ブローカーコンベンションになった場合、同州の代議員たちは最初の投票ではトランプに入れる義理があるが、第二の投票では誰に入れようと自由になる。その時のために、クルーズは自分に同情的な代議員を選ぶ運動をしているというわけ。。
クルーズはアリゾナ州でも同じような運動を行なっている。アリゾナ州はすでにトランプが勝ったが、アリゾナの代議員は一回目の投票ではトランプに義理があるが、二回目からは義理がない。なので、クルーズはアリゾナ州でも自分に同情的な代議員が選ばれるべく運動をしており、成果をあげているようである。
さて、トランプのほうはというと、コロラドの代議員選択大会には顔を出さず、予定されていたカリフォルニアでの演説もキャンセルした。今まで大統領選挙の予選では全く影響力のなかったカリフォルニア州だが、今回の選挙ではトランプとクルーズは競り合いになっている。カカシも初めて共和党候補予備選で清き一票を投じることが出来ることで非常に興奮している。
それはともかく、トランプはもっぱらニューヨーク州の予選に力を入れている。なにせトランプはNYは地元で人気も高い。クルーズは以前の討論会で「ニューヨークの価値観」はどうのこうのとNYを馬鹿にするような発言をしたことが今になって仇となるのではないかという人もいるが、それがそうでもないらしい。
ニューヨークは非常にユダヤ系の多い州であり、トランプの反ユダヤ感情は悪名高い。特に親トランプ派の支持者たちによるユダヤ人叩きは目に余るものがある。それで保守的なユダヤ系の多い地区ではトランプは余り人気がない。州全体ではトランプがNYで勝つことは先ず間違いないと思われるが、その勝ち方によってはクルーズもかなりの代議員数を獲得することが出来る。
ニューヨークの予選規則は非常に複雑だ。
ニューヨーク州の予選は共和党に登録している人のみが投票できる。そしてその登録は3月25日までに済ましておかなければならない。他の州では民主党でも無所属でも投票できるところもあるので、クリントンに勝たせたい民主党がわざとトランプに投票することも可能なわけだ。しかしNYではそれは出来ない。ニューヨークでは28の地区があり、それぞれの地区が別々に予選を行なう。
NYの代議員数は95人だが、勝者が全ての数を取るのではなく勝った率で配分される。95人のうち81人は27の地区から3人づつ選ばれる。残りの14人は50%以上の票を獲得した勝者がすべて獲得できるが、50%以下であれば、勝者はその14人を20%以上勝ったライバルと分けなければならない。
また各地域でも50%以上で勝てない場合は3人のうち1人をライバルにとられてしまう。であるから、トランプが平均的に人気があっても、各地域ごとにどれだけ支持率があるかを考慮に入れないと、トランプがどれだけの率で勝てるかは解らない状態にある。
ニューヨークはカリフォルニアと同じで非常に民主党寄りな州である。だからクルーズはNYで人気があるわけがない。だが、クルーズの対象は民主党有権者ではなく共和党だ。ニューヨークのようなリベラルな州でわざわざ共和党に登録している有権者なら、案外かえって保守的かもしれないのである。
で、添付した記事の説明によると、共和党登録者の数が少ない地域で50%以上の勝ちを取れば、多いところで勝つより得なので、クルーズは比較的有権者の少ない地域で選挙運動を行なっている。会合中に民主党支持の一般市民から野次を入れられたりしているが、スペイン語を混ぜた罵声など受けたほうが、移民対策に厳しい姿勢を持つというイメージが強まって、かえって共和党の同情を買う可能性もある。
前にも述べたとおり、クルーズは過半数の代議員を取る必要はない。トランプが過半数取るのを阻止できればいいのである。ブローカーコンベンションになった場合、二回目からの投票ではクルーズが断然有利となるからだ。そのための根回しをクルーズは着々と行なっている。


Leave a Reply

Your email address will not be published.