拙ブログを検索でたどってくる人の多くが、私が昔書いた「ケチるとひどい目にあう、ホテルのチップ」ケチるとひどい目にあう、ホテルのチップ – Scarecrow in the Strawberry Field (biglizards.net)を読んでいることをに気づいた。ホテルのチップで検索してたどり着いた人が多いらしい。で、そういう検索でアドバイスをしている人の意見を色々読んでみたが、長年アメリカ国内で長期出張を繰り返しているカカシからみても、「そうかなあ?」という意見もかなりあるので、ここでちょっとその話をしてみたいと思う。

ホテルのチップで検索して第一にぶち当たるサイトがこちら、チップの誤った常識という記事アメリカの一流ホテルで10年間日本人マネージャーをしていたとかいう人が書いたもの。チップをもらう立場の人からの作文だから私としてはそうかなあ、と思うことが結構ある。たとえば、スーツケース3つ、買い物袋2つの荷物をベルマンに運んでもらった日本人がチップを2ドルしか払わなかったという例をあげて、

ベルマンには、荷物1つにつき2ドルを、ドアマンには、1人につき1ドル50セントを払う。端数がでる場合には切り上げる。これがチップのおおよその相場だ。荷物が5つあれば、ベルマンには10ドル。2人でタクシーに乗るのであれば、ドアマンには3ドルを払うことになる。

と説明されている。確かに荷物を5個預けてチップが2ドルは少なすぎる。著者がいうように非常識というのはわかるが、荷物ひとつに付き2ドルはちょっと多いのでは?ま、著者の勤めていたプラザホテルのような一流ホテルになるとそうなのかもしれない。カカシが泊まるビジネスホテルにはベルマンが居ないことも多いからそんな心配は必要ない(自分で持っていくためのカートを貸してくれるホテルは結構ある)。私の場合は荷物ひとつにつき1ドルとしている。ドアマンの1ドル50セントはまあまあかもな。でもタクシーに乗る人の数が増えるとチップも増えるというのは何か不思議。

ところで日本人はチップを払わないという評判がアメリカでは定着しているので、日本人がよくいくハワイのレストランなどではチップが最初からお勘定に加算されていることがある。合計に15%足して払う習慣のある我々は誤ってチップを二度払いするはめになるので要注意である。これについても記事の著者は、、

「勘定書きの中にチップの15%が書かれていた。失礼じゃないか!」こんな苦情を受けることがある。私は「計算する手間が省けるじゃないですか。いずれにせよ、チップとして、15%を払わなくてはならないのだから。」と、言いたくなる。

「チップはよいサービスをしてくれたことへの褒章だから、期待に見合ったサービスが受けられなかった場合には、少なくて良い。」という、誤った常識を持っている日本人が多くいる。ここアメリカでは、チップは労働賃金の一部であり、15~20%は彼等が受け取る当然の権利だ。だから、個人の主観で金額を変えてはいけない。チップを受け取る部署で働く従業員は、その分、給料が低くなっている。彼等の家計を支える主たる収入はチップなのだ。もしサービスに不満があり、チップを払いたくないのなら、チップの額を減らすのではなく、マネージャーに苦情をあげるべきだ。さもないと、日本人はチップの支払が少ないからということで、益々、勘定書きにチップの額が書かれることになる。

私はこの意見にはまるで賛成できない。チップは当然もらえる権利ではない。お客さんが言うように『よいサービスをしてくれたことへの褒章期待に見合ったサービスが受けられなかった場合には、少なくて良い。』というのは「誤った常識」ではない。

余談だが、最近アメリカでは最低賃金を生活賃金といって値上げをする州が増えており、ホテルのハウスキーパーの時給も昔から比べたらかなり上がった。なので、「チップは労働賃金の一部だから、、、15~20%は、、当然の権利」という常識は成り立たなくなってきた。
私はレストランでは普通20%のチップを払うことにしているが、15%のチップがすでに加算されていた場合そしてそれをウエイトレスがきちんと説明しなかった場合には15%以上のチップを払わないことにしている。もしサービスが気に入らなければ10%に下げる場合もある。サービスが良くウエイトレスがきちんと「15%のサービス料が含まれて居ます」と説明してくれれば20%に引き上げることもある。

ところで彼の計算でいくとホテルの宿泊料が一晩250ドルだったら、その15%にあたるチップの代金は一晩37ドル?え~たか~い!そんなチップ払ったことナイ!一流ホテルってのはそういうものか?やっぱ下々の者には理解できないね。最近ハワイのワイキキなどではリゾート料金とかいって20ドルから30ドルが宿泊料に加算されるので、250ドルの宿泊代といっても結果的には280ドル。それにチップも加えたら基本料金は250のはずが317ドルになる計算?これに駐車料を加えたら350を越してしまう。うわっ高い!

カカシが泊まるビジネスホテルでは、ハウスキーパーへのチップは一晩1ドルから2ドルが相場。私個人としては掃除が行き届いていなかったりコーヒーが置いていなかったりしたら払わないこともある。ただ、長期の場合、チップをけちるとサービスも低下するから時々チップを多く置いて「もっとタオルをください」とか「バスルームを汚したので特別の掃除をお願いします」とかメモを書いたりする。普通にやるべき仕事をしてもらうのにチップを大目に置くというのも変な話なのだが、長期滞在するつもりならそのへんの調整は大切。

ところで別のサイトでハウスキーパーへのチップは払うべきかという質問に、「置く必要はありません。日本人の悪しき習慣です。」ときっぱり書いた人が居る。「チップが必要な場合は何か、特別な注文をして手間かけた」時に限り、普通に掃除やベッドメイキングのをしてもらうのは当然の仕事だからチップはいらないというのだ。「因みに、私は一回も枕銭や置きチップをしたことありません。
置かなかったことにより、嫌がらせを受けたこととかは、今まで一度もありませんよ。」とのことである。そうかなあ、気がつかないところで復讐をされてると思うよ、きっと。
実は我がミスター苺もハウスキーパーにはチップを置かない主義。でも彼はカカシのように長期出張するわけではないし、同じホテルに何度も戻ってくるという可能性もないからそれでもいいのかもしれない。彼いわく、チップはその施設に(ホテルにしろレストランにしろ)今後どのくらい行く可能性があるかで決まるという。今後もお世話になる可能性があるなら、チップは弾んでおいたほうが何かのときに融通が利くからである。これは本当の話。

たとえば、ホテルの予約をドタキャンするとキャンセル料金を取られるが、普段からホテルとよい関係にあれば料金を帳消しにしてもらえたり、満室なのに部屋を用意してくれたり、何も言わなくてもアップグレードしてくれたりといったサービスを得られる可能性がある。またラウンジなどへゲストを連れて行った場合、本来ならゲスト料金を取られるところを無料にしてもらったり。同じドリンクを頼んでも量を増やしてくれたりといったサービスが得られる。

ところで最近アメリカでは、レストランというよりファーストフードみたいなお店でもレジのところにチップ瓶が置いてあるところがある。特にスタバのような専門店にそういうところが多くなった。まだマクドなどでは見られないが。カカシの常識としては、お客が自分で飲み物や食べ物を頼んで自分で席まで運ぶ場合、給仕の必要がないからチップは要らないはずという考え。そうでないとどんな場所に買い物に行ってもチップを払うことになり意味がなくなる。

給仕が居ないという点で、ホテルの朝食などブフェ形式になっているところでのチップはどうするかという疑問がわく。ブフェ形式とは日本語でいうバイキング。要するに食品がずらっと並んでいて自分で好きなものを取って食べる形式だから、ウエイトレスにものを注文する必要はない。それでもチップは必要なのかどうか、このへんカカシにはちょっと疑問なのだ。私個人の目安としては、ホステスが居て席に案内してくれるような場所で、ウエイトレスがコーヒーやジュースを持ってきてくれ、給仕の人が汚い皿を取り替えてくれたりする、といったサービスを受けられるのであれば$1くらいのチップを払う。オムレツなどを作ってくれる人が居た場合にはその人にまた$1ドルはらう。サービスが特によければ$2ドルくらい置くこともある。座っても飲み物のオーダーもききにこないようならチップはなし。

ビジネスホテルだと朝食はついていても、すべてセルフサービスのところもある。そういうところではチップはまるで要らない。が、これも長期滞在するなら朝食に携わっている従業員に時々チップをあげてもいいだろう。これは個人の自由だと思うね。

チップのなかでもカカシが一番嫌いなのが車を駐車場から出し入れしてくれるバレエパーカーにあげるチップ。セルフパークの場合はいいが、ハワイなどバレエパーキングしかないホテルも多い。それにセルフでもバレエでもそれほど料金が変わらないところも多く、狭くるしい駐車場を毎晩空いてる場所を探してぐるぐる回る手間を考えたらバレエのほうがずっと便利。しかしバレエパーカーへのチップは一回1ドルが相場だと同僚たちは言うが、毎日最低二回はバレエのお世話になるわけだから最低$2ドルは必要なわけで、荷物の乗り降りを手伝ってもらったらこれにもかばんひとつにあたり$1ドルというのも常識らしいから、車に乗り降りするだけで毎日$2ドルから$4ドルのチップである。前にも書いたがカカシはチップを出張経費として差し引けないので自腹である。バレエだといちにち30ドルから40ドルが普通なので、それを払っているのにさらにチップというのも変な話だよなあ。

というわけで、ホテルに泊まったらチップを払う場所はいくらでもある。その度ごとにチップをはずむと意外な出費になるので気をつけなければならない。カカシなんぞ一ドル札がなくなると部屋に「睡眠中です」のサインを下げてサービスを断ることもある。同僚からは「けち臭い」とけなされるが、、、


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