2012年9月11日、リビアのベンガジにあるアメリカ領事館襲撃でクリストオファー・スティーブンス領事及び職員4人が殺害された事件について、先日当時の国務長官であったヒラリー・クリントンが証言を行なった。
日本語でベンガジについて検索すると、いまだにあの事件は反モハメッドのユーチューブビデオに感化された地元民の突発的な犯行だったという説明が大半だが、事件当時からそれがヒラリー・クリントンが捏造して部下に広めさせた真っ赤な嘘だったことがわかっていた。
だいたいからして、襲撃事件が911同時多発テロの11年目の記念日であったことや、ベンガジでは数週間に渡り国連やイギリス軍やアメリカ領事館に対する攻撃がすでに始まっていたことや、スティーブン領事がヒラリー・クリントン国務長官に何度も警備の強化を嘆願していたなどの事実があるのに、事件が突発的に起きたものだという説明はどう考えてもおかしい。
ベンガジ事件の詳細を調査している米議会調査委員会の調べにより、事件当初数分後にはオバマ及びクリントンは現場からの報告で領事館がアルカエダ系テロリストに襲撃されたことを学んでいた。クリントンは事件が始まって一時間以内に娘のチェルシーにメールでその旨を伝えていたのだ。
オバマもクリントンもこれがユーチューブビデオに感化された突発的な暴動などではなかったことを最初から知っていたのに、何故テロ襲撃だと国民に発表しなかったのか。同調査により、スティーブンス領事は事件前にクリントン国務長官に警備の強化を何と600回に渡りメールで嘆願していたのにクリントンから完全に無視されていたことがわかっている。何故現場の領事の悲痛な嘆願をクリントンは完全無視したのか?
公聴会においてヒラリー・クリントン元国務長官は、スティーブンス領事はユーモアのセンスのある人だったので冗談を言っているものと思ったなどと嘯いている。冗談で600通も援軍要請などするか?冗談だと思ったとしても、一度くらい「このメールの山はなんなのよ?」くらい問い返してもよかったはず。それを完全無視?本当に危険な状態だったら取り返しがつかないことになるのに、実際なったのに、国務長官たるものが領事の度重なるメールを完全無視ってこたあないだろうが。
実は、スティーブンス領事のメールは、クリントンにすべて届いていなかったのではないかという説がある。信じられないことなのだが、クリントンには国務長官として公式なメルアドがなかった。彼女がメールを公私混同していたことや機密メールを普通メールのサーバーを使ってやりとりしていたことは明らかになっているが、何故か大事な公式メールをクリントンは受け取っていなかったというのである。自分の側近やお気に入りの弁護士などからのメールはきちんと届いているのに。
以前にヒラリーは別の公聴会でクリントン自身が襲撃がテロであり突発的な暴動ではなかったことを知っていたのか、という質問に対し、「今更、そんなこと何の違いがあるというの?」と机を叩いて叫んだのは有名。だが、どっちでもいいではないかと本気で思っているのなら、何故嘘の表明をして国民を何週間も騙し続けたのか?明らかにテロ襲撃であっては都合の悪い理由があったからであろう。
では、オバマ政権及びクリントンにとって都合の悪い理由とはなにか?
2012年は全国選挙の年。オバマの再選がかかっていた大事な年だった。
オバマ王は自分の外交政策によって中東のテロ問題は解決したという姿勢で選挙運動を進めていた。前大統領のブッシュと違って自分は穏健な政策によって中東を平和化した、アルカエダは崩壊し、アラブ諸国に春が到来、自分が援助した反カダフィ軍によりリビアの独裁者は倒された。どれもこれも自分の外交政策の功績であると言いたかったのだ。
元々犬猿の仲のオバマとヒラリーがここで協力したのも、オバマの二期目が終わった時点で、国務長官としてアラブ諸国の和平に貢献を残したヒラリーが颯爽と次の大統領候補として選ばれることが約束されていたからである。
そういうときに崩壊したはずのアルカエダテロリストにアメリカ領事館が襲撃されるなどあってはならないことであった。アメリカの援助によってアメリカに感謝しているはずのリビア反政府分子がアメリカを襲撃するはずなどないからである。自分の敵を間違って援助してしまったとなってはオバマ王は大恥をかく。だからリビア襲撃は自分らの政策とは無関係なユーチューブビデオのせいにする必要があったのだ。
自分らの政治生命のために四人のアメリカ人を見殺しにしたヒラリー・クリントン。こんな人間に大統領をやらせていいのか、アメリカは?


1 response to 嘘だらけのヒラリー証言、ベンガジ公聴会、600回に渡り無視された領事の援軍嘆願

In the Strawberry Field8 years ago

『13 Hours The Secret Soldiers of Benghazi』ベンガジ領事館襲撃の真実を語る13時間を描いた映画

2012年の9月11日に起きたリビアのベンガジ領事館襲撃事件。その真実を描いた映画『13 Hours The Secret Soldiers of Benghazi』(13時間、ベンガジの秘密の兵士たち)が今年(2016)1月に公開になった。日本公開はまだ未定らしい。日本語の予告編はこちら。 拙ブログにおいてもベンガジ攻撃については下記に書いている。 事件勃発当初のエントリー リビア米領事館襲撃について沈黙を守る左翼リベラルメディア ベンガジで何がおきたのか、オバマ王は説明すべき ベンガジゲート、食…

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