胎児の臓器を販売していたことが暴露されたプランドペアレントフッド(PP)への予算振り当てを巡ってあくまでも波風立てたくない体制派の幹部と保守派のメンバー達との間で亀裂が生じている共和党議会だが、遂に下からの圧力に耐えかねて下院のジョン・ベイナー議長は辞任を余儀なくされた。これによって事なかれ主義でオバマに媚びているミッチ・マカーノ上院与党代表も苦しい立場に置かれたことになる。

ワシントン(CNN) 米連邦議会下院のジョン・ベイナー議長(共和党)は25日の記者会見で、今年10月末に議長を退任し、下院議員も辞職すると表明した。引退については24日夜から考慮し、25日朝に決断したとしている。

下院議長は現職大統領に職務遂行が不可能な不測の事態が起きた場合、大統領権限の継承順位で副大統領に次ぐ重職となっている。
11月に65歳となるベイナー議長は政府予算案の編成などをめぐって共和党の保守派との対立が目立ち、政権寄りなどとの批判を浴びてきた。政府機関の閉鎖の危機が生じかねない予算案の債務上限額の引き上げなどに関する党内調整が来週、新たな山場を迎える中での議長退任の表明となった。
来年11月に大統領選を控え、共和党はベイナー氏の退任表明を受けて政権奪取をにらんだ挙党態勢の立て直しを早急に迫られる結果となった。

議会提案の予算案が大統領によって承認されないと政府機関閉鎖という状態が起きる。どんな事情で閉鎖が起きても主流メディアは共和党を責めるので、共和党幹部はまた閉鎖が起きて共和党が責められては困るという弱腰でオバマ大統領が必ず否決するといきまいている予算案を提出することができないでいるのだ。しかし大統領の否決が怖くて予算案提出が出来ないというのなら、共和党は大統領の言いなりではないか?いったい何のための議会なんだと聞きたいね全く。これなら民主党議会のほうがよっぽども背筋が通っていた。
フォックスニュースの世論調査によると62%の共和党支持有権者が共和党幹部に不満を抱いているという結果が出ている。この中に我輩カカシも当てはまる。オバマの暴走を止めて正しい方角へ政権を戻して欲しいと思って共和党に投票したのに、多数派議席を握った共和党はオバマをとめるどころかオバマに迎合してオバマ王の言いなり。オバマケアも移民法改正もオバマのやりたい放題である。
ベイナー議長が辞めただけでは共和党保守派議員の不満は納まらないだろう。そもそもベイナーが辞任に追い込まれたのも、上院リーダーのミッチ・マカーノ議員の指導力が足りなかったからだという声もある。マカーノの優柔不断な態度が保守派の共和党内部での不満を高めている。それがベイナーへの圧力となったという見方が強い。ということはベイナーの次はマカーノにもやめてもらおうという動きが出てくるだろう。
1995年に共和党下院議長のニュート・ギングリッチが率いる議会の予算案を巡って政府機関閉鎖という状況が起きたとき、否決権を使ったクリントン大統領ではなく予算案提出をした共和党議会が一方的に責められ国民の顰蹙を買ったことがある。そういう歴史があるので、今でも共和党幹部は政府間閉鎖は共和党にとって非常に恐ろしい危機だという恐怖感をぬぐえないのだ。
しかし、政府機関閉鎖はそれほど共和党に悪影響を及ぼしていない。保守派政治評論家のベン・シャピーロによると、オバマケアを巡って起きた2013年の閉鎖のときも当時の世論調査では53%の国民が共和党に責任があると答え、オバマが悪いと答えたのはたった29%だったにも関わらず、閉鎖中にオバマの支持率は45%から40%に下がり、2014年の中間選挙では共和党が圧勝し多数議席を握るに至った。
であるから共和党は閉鎖を恐れてPP補助差し止め案を諦めるべきではないのだ。オバマ王がPPを補助するというのであれば、オバマ王にPPを弁護させればいい。その際共和党はいかにPPが悪の団体であるかを徹底的に国民にアピールすればいいのである。前回も述べたように63%だかの国民がPP補助差し止めに反対しているというが、それはほとんどの国民がPPの実態を知らないからなのだ。
主流メディアも民主党もフェミニストたちもPPは低所得の女性たちの健康管理の援助をする団体だと言い張っている。産児制限や女性特有の癌検査などを主体にし、未婚の母となった若い女性へのカウンセリングや、母体に危険を及ぼす妊娠中絶手術も行なう女性のための施設という肩書きが信じられているが、実態は全く別。PPでは乳がんなどの癌検査は行なっていない。妊婦へのカウンセリングも人工中絶以外にはしない。PPは単なる中絶施設であり、PPへ相談に行った女性が中絶以外の処置を得ることは皆無なのである。しかもPPは多くの州で違法となっている末期妊娠中絶も行い、中絶中に生きて生まれた胎児を見殺しにしてその新生児の臓器を販売していたことが最近暴露されたのだ。
もし国民がこの事実をしっかり把握していたら、63%もの有権者が血税を使ってこのような団体を支持するとは思えない。であるから共和党はオバマ王やヒラリー・クリントンや民主党議員たちに何故PPを支持するのかと挑戦すべきなのだ。それが原因で政府機関閉鎖になったら、オバマ王にその正当性を説明させるべきである。何故国民の税金を使ってこのような悪営利企業を援助する必要があるのか、はっきり弁護してもらおうではないか。
ベン・シャピーロも指摘しているが、体制派保守派は主流メディアの偏見や民主党の不公平さに不満を述べながらも、何故か彼らの見方を完全に受け入れる傾向にある。政府機関閉鎖はどんな場合でも必ず共和党に不利になるという見方もまさにその一例である。
政府機関閉鎖といっても実際には国民の生活にはそれほど支障を来たさない。国家にとって重要とされる機関は例外なので、防衛省はそのままだし郵便も厚生年金支払いも止まらない。連邦政府経営施設である自然公園は閉鎖されるとはいえ、わざわざ立ち入り禁止にしない限り一般人の使用は可能だ。(前回はオバマがこれみよがしに自然公園やモニュメントの前に柵を張って、すべて共和党が悪いという印象を与えようとしたが、その下心がみえみえで、かえって国民から非常な顰蹙を買った。)
共和党から大統領に立候補しているテキサス代表テッド・クルーズ上院議員はPP補助差し止め案運動を筆頭するものと思われている。8月にクルーズ議員は出来る限りの手段を使ってPPへの補助を差し止めるべきだと語っている。しかしその動きをさえぎっているのが誰あろう上院議会代表ミッチ・マカーノ議員。国内でも国外でも非常な危機状態を迎えている現状で、PPだけのために国家予算が通らずに政府が閉鎖されるというようなことがあってはならないというのが表向きの理由だ。しかしだとしたら、誰もが賛成できる予算案をすべて提出した上で、PPのためだけに国家予算の通過を妨害しているのはオバマ大統領なのだと国民に訴えればいいではないか?
何故、PPのような悪の団体を守るために国家予算を人質にするのだ、とオバマ大統領のその正当性を説明させればいいのだ。政府機関閉鎖が共和党だけの責任だとされることを恐れるのではなく、その責任を押し付けられないように共和党は責任をオバマに押し付ければいいのだ。実際にそうなのだから。
共和党はさっさとマカーノ議員を排斥して上院下院ともに、オバマ王に立ち向かえる勇気あるリーダーを選出してもらいたい。


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